東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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親友との再会

「おぉ! フィルじゃないの!」

「す、菫子さん! ど、どうしてここに!?」

「菫子…あぁ、外の世界の話で出て来た…何でそんな奴が幻想郷に?」

 

魔理沙さんの疑問は当然だと思う。私も疑問に思うもん。

だって、幻想郷と外の世界は切り離されてるって聞いた。

確か、紫さんの話では外の世界の物や

人間以外の生き物は幻想郷を守護してる博麗大結界を貫通できると聞いたけど。

でもそうだなぁ、色々な話を聞いた感じ

博麗大結界は突破方法がないという訳では無いと感じた。

 

現に、私だって1度外の世界に行けたんだから。

それに、人間以外の生き物と無機物は貫通出来るみたいだしね。

なら、意識がない人間でもたどり着くことは出来るのかも知れない。

もしくは紫さんみたいな能力の持ち主や力のある妖怪は通り抜ける事が出来そうかな。

 

じゃあ、そのどっちの条件でもないと思う菫子さんがここに居るのは?

菫子さんは力は強いけど、流石にそこまで強力ではないと思う。

当然、人間だし博麗大結界の影響を受けるはず。

でも、彼女はここに居る…可能性があるとすれば、意識を失ってる状態。

 

「……うーん」

「ん? どうしたの? あなた達、私の顔を見て。

 一応、そこの帽子を被った魔女っぽい人とは出会った気がするけど。

 後、巫女さんとか」

「霊夢にあったのか…あぁ、黒い影がどうのこうのって」

「あの時は本気で驚いたわ…」

 

…可能性……夢…とかかな?

確か、夢の世界は色々な世界に繋がってるとか聞いた気がするし。

だとすれば、夢の世界を経由すればこっちに来れる可能性はあるのかな?

 

「で、外の世界の人間がここに来た理由は何?」

「い、いや、私もよく分からないんだけど…幻想郷をイメージしたらね」

「イメージ…あぁ、そうか。確か少し来たことがあるんだっけか」

「あの時にね、まぁフィルに出会ってさ、確かに前から幻想郷に行ってみたいと思ったけど

 その時よりも断然今の方が幻想郷に行きたいって感じてね。

 そりゃあ、親友と長くあえないってのは辛いからね。

 そんな事を考えながら眠ったらここに」

「うぅ、私の事を親友と言ってくれて、本当に嬉しいです!」

「しかし、しばらく会わなくなったら敬語で呼び方も戻ってるし

 もぅ、そう言うのは無しだって言ったじゃないの」

「あ、その…癖で」

 

うぅ…何であんなに親しくなったのにまた敬語になっちゃうんだろう…

 

「ま、フィルは自分に自信を持つタイプじゃないし、敬語に戻るんだろう」

「能力が高いのに、なんでそんなに謙遜しているのか分からないわよね。

 もうちょっと、ガンガン前に出ても良いと思うんだけど?」

「いや、その……自分でもちょっとあまり良く分からないと言うか」

「はは、でもそれもお前らしさだぜ。根っ子が変る事なんて早々無いんだ。

 そう焦らなくても良いぜ、その内変るだろうよ。

 何せ、あの高飛車なお嬢様の下で働いてるんだろ?

 そりゃあ、影響されるぜ。今はまだ影響がないだけだ。

 朱に交われば赤くなるって奴だ、あいつら姉妹の名もスカーレットだし」

「洒落のつもり?」

「結構上等な合わせ技だったろ?」

「いいや、全然」

 

私は上手いと思ったけどなぁ、アリスさんはかなり厳しい評価だった。

でも、私も少し感じたけど、あの例え…実は狙ってなかったんじゃないのかな?

ついつい洒落になってて、後から気付いて洒落にしたって感じかも?

 

「確かに前も口調変えてくれるまで時間掛った気もするしね。

 とは言え、今回はすぐに変えて欲しいわ。久し振りに会ったのに

 敬語なんて使われたら、距離を感じるしね」

「う、うん」

「敬語以外のフィルは珍しいわね」

「フランお嬢様!?」

 

私と菫子さんが会話をしている間にフランお嬢様が起きたみたいだった。

確かに時間的にはそろそろ夜。吸血鬼であるフランお嬢様が目覚めても

何ら不思議は無い状況だったけど。

 

「私もフィルにタメ口で会話して欲しいわ」

「そ、それはちょっと…私は仕えている身ですから」

「お姉様にでしょ? 本当はお姉様に話をして

 フィルを私のペットにしたいんだけど、お姉様もフィルの事好きだから

 全然許してくれないし」

「ぺ、ペット…何か法に触れそうな発言ね」

「ここは幻想郷だぜ、外の世界の法など無意味だ」

「えぇ、暴力沙汰は何の問題も無いからね」

「困ったときは弾幕だぜ!」

「…あれ? 私が思ってた幻想郷と実際の幻想郷違うの?

 こんな世紀末ヒャッハーな感じだったの?」

「何だよそれ」

 

これは蓮子さんから聞いた気がする。筋肉もりもりのマッチョな人が

モヒカンの悪党を沢山倒して世界を平和にする作品だって聞いた気がする。

 

「いや、別に気にしないで…説明しても分からないだろうから。

 とりあえず、外の世界の娯楽品って方が分かりやすいのかしらね」

「いや、全く分からないぜ」

「漫画って奴」

「あ、それは知ってるぜ! 小鈴の貸本屋に少し転がってたな。

 あの、絵が書いてる奴だろ? 絵が描いてあって、台詞が書いてる奴」

「そうそれ」

「ほうほう、やはりあれも外の世界の物だったのか。

 しかも娯楽品とは面白いぜ。私も少し興味はあったが

 結構数が少なくて、あまり読めなかったんだ」

「そうなの? 漫画なんて腐るほどあると思うけど」

 

外の世界では確かに漫画って沢山あるもんね。

その漫画を動かしたアニメもあるくらいだし娯楽品に関しては

幻想郷よりも外の世界の方が圧倒的に上なのかもね。

 

「流石外の世界ね、娯楽品がゴロゴロ転がっているとは。

 幻想郷じゃ、弾幕ごっこをしてる奴らを拝むのが結構な娯楽なのに」

「弾幕ねぇ、私はそこら辺はあまり知らないのよ。

 オカルトは知ってるけどね。使ってたし。

 て言うか、気になったんだけどあなた達のオカルトって何?」

「ん? 私の場合は学校の七不思議だったが…そもそも学校って何か分かってない」

「なんで学校の七不思議だって分かるのよ」

「確かマミゾウから聞いたんだ、何でも外の世界の学び舎らしいな」

「えぇ、その通りよ、学校と言っても小学校、中学、高校、大学とかあるけど

 学校の七不思議は大体小学校って感じね」

「ふーん、そうなのか。で、アリスは?」

「私は知らないわよ、オカルトとか」

「あぁ、アリスは参加してないからな」

「それに、オカルトボールトやらが来たのは一部なんでしょ?

 私にはそのボールは来てないから、オカルトとか無いわ」

 

…そう言えば、私にはオカルトボールが来てたけどオカルト知らないんだよね。

1度も使ってないから…どんな物なんだろう。ちょっと気になるかも

 

「今でも都市伝説の具現化はあるから、使えるんじゃないか?」

「そうなんですか?」

「私も、お前が具現化させる都市伝説に興味あるし、少し見せてくれよ。

 私が相手してやるからさ」

「い、良いんですか?」

「あぁ、構わないぜ。とは言え流石に外でだけど」

「わ、分かりました」

 

自分も気になっていたけど…うーん、でも魔理沙さんに怪我をさせるかも?

 

「あぁ、お前の事だ。私に怪我をさせるとか考えるかも知れないが安心しろ

 私はそんなにヤワじゃ無いぜ」

「で、でも…どんな力かも分からないのに危険じゃ」

「大丈夫だって、私は大体の事は何とかするから」

「は、はぁ…うーん、でも不安で」

「私も興味があるわ、そのオカルトって言うの」

「私も-」

「あ、私はそこまで」

「全員起きてたんだな」

「これを見たら、私帰るわ-」

「お、おぅ、分かったぜ」

 

成美さん…さっくりと言うなぁ。

でも、とにかくやってみよう。

 

「だけど、どうやって都市伝説を具現化させるんですかね?」

「意識を集中すれば大体扱えるぜ。まぁ、気質にあった都市伝説しか使えないが」

「わ、分かりました」

 

意識を集中して、私はオカルトを発動させる。都市伝説を具現化させる。

魔理沙さんを狙って…私は都市伝説を…でも、ちょっと不安だし外して

 

「それ!」

「へ? うわぁあああ!」

 

は、背後の木が吹き飛んだぁ!?

 

「……え!?」

「な、何だよそれ!」

「私の能力かしら」

「ふ、フランの能力とは何か違う…爆発したぜ?

 フランの場合は内部からの破壊だが、あれは内部からの爆破…

 も、妹紅の人体発火現象のオカルトに似ている気がするが

 あれは自身を燃やすオカルト。フィルの場合は相手を爆破するオカルト。

 おかしいな、フィルの雰囲気や性格からは考えられないほどに攻撃的だぜ」

「…い、今まで使わなくて良かった…」

「さっきのも、わざと外してくれてなけりゃ、私はヤバかったな」

「相手を破壊する都市伝説…何かを破壊する都市伝説…うーん」

 

私のオカルトを見た菫子さんは、頭を抱えて悩んでいる。

 

「……駄目ね、私にも分からないけど。怪ラストワードを使えば」

「そ、それは何だか恐いので止めておきます」

「……そう言えば、フィルと初めて会ったときに何かを発動しようとしてたわ

 多分あれが怪ラストワード。あの時私が感じたプレッシャーから考えても

 怪ラストワードは危険だと思うわ」

「はい…使いません」

 

結局、私が扱える都市伝説が何なのか分からなかったけど

こんな危険なの、使わない方が良いよね…


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