東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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ライブへの招待

完全憑依の異変。あの件の後から大々的に噂としてこの名前が広がった。

そして、そんな話と同時に、私の元に別の話が届く。

 

「と言う訳で、ボーカルをお願いしたいのよ」

「え、えっと…」

 

そ、そう言えば前に半ば強制的に幽霊楽団に入れられた気がする。

そのライブをこれからするんだ。

 

「折角新しい仲間も増えたし、大々的にライブやりたいのよ。

 あなたを誘ってから、何度か呼びに来たけど

 その度に何処か行ってるからね、今日は運が良かった」

 

何度かライブがあったみたいだけど、その度に私大体居なかったんだ。

通りで全然声が掛らないと思ったよ。

 

「あなた、本当に引っ張りだこね、私達が言えた立場では無いけど」

「多才なのかな?」

「そんな事は無いですよ!」

「…堂々としてるけど信頼できない言葉ね」

「まぁいいじゃん、今回は無事に合流出来たわけだし。

 と言う訳で、ほらほら、新しい仲間をご紹介!

 ほら、雷鼓! 自己紹介」

「OK! ほい!」

 

自己紹介と言われてでてきた彼女が早速太鼓を叩いている。

凄く楽しそうにドンドコドン…何か何処で聞いた気がするなぁ。

 

「どうも、私は堀川雷鼓! 今回からドラマーをやらせて貰うよ!

 で、あなたがボーカル担当のフィルね、よろしく!」

「よ、よろしくお願いします」

 

髪は赤いショートヘアーで、黒い生地の上に赤いチェックが入った上着の上に白いジャケット

そして、ピンクのネクタイを付けていて、白いラップスカートを穿いていた。

両手に持ったドラムスティックをジャグリングしてて楽しそう。

まるで、外の世界のドラマー見たいな格好をしている。

 

それに、靴が特殊な形をしてる。踵の部分にバスドラムのビーターだったっけ

そう言うのが付いている。

 

「確か歌がかなり得意なんでしょ? ボーカルって大変だと思うけどよろしくね」

「は、はい…所で歌詞って何処にあるんですか?」

「お、その感じだと了承してくれてるって考えて良いの?」

「約束ですからね、それに何だか最近は歌もよく歌うようになってますし」

「へぇ、良い傾向ね」

「えっと、はい、これが歌詞ね」

 

始まる。これから、大きな宴が。

騒ぎさわぎ、花を咲かせて。

夢見て踊ろう、もっともっと全て鮮やかに

さぁ騒ごう! 鎖を断ち切って!

 

「…どんなタイトルなんですか?」

「今宵は飄逸なエゴイスト」

「じゃあ、この歌詞は人目をはばからず騒ぎまくる感じのイメージです?」

「まぁね、エゴイストって言うと、身勝手な人とか、そんな意味合いだし」

「そして飄逸は俗世のわずらわしさを気にしないと言う意味合い」

「折角のライブ、俗世の目とか気にしないで全力で身勝手に騒ごうという意味よ!」

「それで今宵は飄逸なエゴイストですか」

「そ、だから歌詞もとにかくはっちゃける感じの歌詞でね」

「なる程です、折角のライブは全力で騒ぐ方が良いですもんね

 それじゃあ、リズムはどんな感じなんですか?」

「待ってて、ちょっと演奏するから」

 

おぉ、最初は静かなスタートって感じ、ピアノがメインだね。

素早いピアノがバックで流れている。

そこから同程度のリズム、そして一気にテンポも上がってスタートって感じだね。

そこからは結構なハイテンション気味のリズム。

 

「どう?」

「はい、分かりました。序盤のスタートとか後のリズム、全部覚えましたよ」

「1度だけで合わせられる? 実は今日ライブなんだけど」

「そうですね…じゃあ、もう一度今度は合わせてみますね」

「分かった、じゃあもう一度」

 

今度は私も加わって、リズムに合わせて歌を歌う。

歌っていると、ドンドンテンションが上がっていく感じの曲だよ。

声も自然と大きくなる、心も弾んで胸の底から何かがこみ上げている感じ。

 

「よし、完璧! これなら本番も行けるね!」

「分かりました、やってみますよ!」

「会場はこっちね、まだお客さんとか来てないしもうちょっとリハしようか」

「分かりました」

 

私はメルランさん達と一緒に歩いて、会場に向った。

太陽のライブステージ…はぁ、凄い広いなぁ。

 

「こ、この会場全部にお客さんが入るんですか?」

「入るわ、もうすでにチケット完売よ!

 それだけこの新ユニットは期待されてるんでしょうね」

「き、緊張する…」

「大丈夫だって、余裕余裕!」

「リズムに身を任せて、自分の世界で歌えば良い…

 歌は…そう言う物だから」

「わ、分かりました」

「じゃあ、少しだけリハしちゃいましょう」

「雷鼓、やる気ね!」

「リリカこそ!」

「よーし! 演奏演奏!」

「……練習でも全力で」

「は、はい!」

 

しばらくの間、太陽のライブステージでリハーサルをする。

この後、この会場一杯のお客さんが来ると考えると本当に緊張しちゃうよ。

でも、私もこの楽団の一員になったんだ! 半ば強制的だけど!

なら、歌う! そう、私は今まで色々な歌を歌ってきた!

外の世界でカラオケしたり、わかさぎ姫さんと歌も歌った!

歌なんて興味が無かったけど、今は凄く楽しいから!

まだちょっと完璧には合わせられていない気がするけど

まだまだ時間はある、本番まで一緒に歌を歌って精度を上げていかないとね!


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