東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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紫さんからの依頼

あの後、6日間のライブを私は過ごした。

その度に空の上では弾幕が飛び交っているのが見えていた。

誰の弾幕か分かる場合も多かったけど、結果は魔理沙さんの時と同じだった。

何が起こってるの? 私には分からなかった。

 

そして、今日はライブ最終日だ…でも、何だか変な雰囲気はあった。

だって、ライブに関係していた人達全員のお金使いが妙に荒かった。

不自然に感じた、私は全くそんな事は無い。

だから、何だか私だけが外側に居るような、そんな気分。

 

メルランさん達も妙にお金を使っていた、ライブで稼いだお金をドンドン。

流石に奇妙な物を感じた…おかしい、あまりにも違和感がある。

ライブ最終日…でも、私はこの違和感の中では歌えないし踊れない。

 

このままだと、私は蚊帳の外って雰囲気で歌わなくちゃ行けないから。

それは私にはあまりにも酷だった。私には出来ない行為だ。

そんな風に悩んでいると、私の前に紫さんが姿を現した。

 

「ライブ、頑張ってるわね、フィル」

「あ、見ててくれたんですね、ありがとうございます」

「えぇ、楽しそうに歌って踊って、私は素直に嬉しかったわ。

 でも、どう? 何だか違和感を覚えてたりはしない?」

「……はい」

 

私は今まで感じていた違和感を紫さんに全部話してみた。

だって、紫さんならその違和感の正体が分かってるかも知れないし

その違和感を解決する方法だって分かるかも知れなかったから。

 

「そう、やっぱりね」

「分かってるんですか? 原因は?」

「…あなたも気付いているかも知れないけど、ライブの裏で私達が戦ってたでしょ?」

「……はい、何をしてるかは分かりませんでしたが、同じ人物相手に。

 でも何なんですか? 皆さん、何度か姿を変えてますし」

「完全憑依、その影響よ」

「完全憑依…」

 

噂では聞いていた、そんな事態が起こってるって。

でも、本当だったんだ…所詮噂だと思ってたけど。

 

「今回の黒幕はね、下賤な動機で異変を起してるの。

 でも、下銭な動機だというのに、その手段は実に狡猾。

 流石の私でも1人では手出しが出来ない程に面倒な方法」

「紫さんでもですか!?」

「えぇ、霊夢と私でダックを組めば何とかなるかも知れないけど

 霊夢は今、あまり動けない状態でね」

「どうしてですか?」

「…ちょっと、食中毒で」

「えぇ!?」

「外の世界から牡蠣ってのが入ってきてね、食べてみたら…ね」

「なんで食べちゃったんですか!?」

「あなた、レミリアに外の世界の食べ物…教えた?」

「あ、はい、色々と教えました、興味があったみたいで」

「……その結果、レミリアが牡蠣を仕入れてきて、残ったらしいの。

 普段ならフィルに食べて貰うんだけど、居ないからって霊夢に」

「……そ、その結果」

「食中毒にね…だから、動けなくて」

 

ま、まさかそんな感じで霊夢さんが動けなくなってしまうなんて…

 

「だから、あなたに協力をしてもらおうと思ってね」

「え? 私に…ですか? 無理ですよ! 紫さんでも手も足も出ない相手に!」

「いえ、あなたなら倒すことが出来る。例え1人でも」

「ど、どうして…ですか?」

「あなたはあいつらにとっては完全なジョーカーカードだからよ」

「え?」

「本来なら、霊夢に解決させるこの異変、でも今は無理。

 だから、最近異変を解決してる、あなたに協力を仰ぎに来た。

 時間は今日の夜。ライブの時間かも知れないけど話をしておいて。

 恐らく、あいつらを発見できるラストチャンスだから、確実に仕留めたい」

「……分かりました、聞いてきます」

「ありがとう」

 

紫さんに言われたとおり、私は4人に今回の件を話した。

 

「…異変の解決を依頼されてしまうとはね」

「て言うか、博麗の巫女が食中毒って…やっぱり人間なのね」

「ですので、その…ライブ最終日は」

「えぇ…でも、その話から考えても黒幕は太陽のライブステージに居るんでしょ?」

「はい、何度かその姿も見ました」

「じゃあ、速攻で片付けてきてすぐに戻ってきて。

 ライブの途中で飛び入り参加、悪くないわね」

「良いんですか?」

「えぇ、中々に面白い演出になりそうだからね」

「ありがとうございます!」

「じゃ、私達は最後のライブをしてくるわ…待ってるからね、フィル」

「はい、必ず」

 

私は紫さんと合流して、紫さんの能力で空を飛べるようにして貰った。

 

「申し訳ないわね、フィル。巻き込んじゃって」

「いえ、何だか私が原因みたいですし、やって見せますよ、速攻で」

「ライブ終了までに間に合えば良いわね」

「間に合わせます!」

「…頼りになるわね、やっぱり。

 それじゃあ、あなたが私に憑依して、集中すれば良いから。

 あなたを単独で挑ませても勝利は間違いないでしょうけど

 確実な方法を選びたいの」

「分かりました…完全憑依って確か瞑想して」

「えぇ」

 

私は噂で聞いたとおりの手段を行なった。

完全憑依、私はあまり状態を把握できては居ないけどどうやら出来たみたい。

 

「今夜もライブ、楽しみねー! 観客達から富を奪い放題よー」

「ねえ女苑、そろそろ私にもお金を分けてよー」

「えー、姉さんに渡すとすぐに無くしちゃうじゃん。お金は私に管理させてー」

「女苑はすぐに使っちゃうんだもん。全然私に回って来ないじゃない」

「使い切れないくらい奪えば良いのよ。金脈はこんなにあるんだもん」

「まあそうね。ガッポガッポ稼ごうね」

「あ、誰か来たわ」

 

あの姿だ、小さいシルクハットにサングラス

そしてまさかの茶髪お嬢様縦ロール。幻想郷にはあまりにも似つかわしくない雰囲気。

ジャケット・ミニスカで、ネックレス・指輪・ブランドバッグ

色々なアクセサリーで綺羅びやかに着飾った、外の世界のギャルスタイルって奴っぽい。

幻想郷の住民とは思えないほどド派手でまるで外の世界の人間みたいな容姿。

 

手は扇子を持っている、あんなのを何処かで見た気がする

そう、外の世界だ、外の世界のバブル時代、その象徴として有名な扇子。

 

そして、そんな少女のまわりに飛んでいるもう一つの影。

青のロングヘアーに、薄汚れたパーカー、少し透けてるように見える

青のミニスカートを履いてる…見ちゃうよ…

それにしても、あの真ん中の女の子のゴージャスな見た目に対して

貧相な出で立ち、パーカーの下に下着も着ていない様に見えるし

足元は靴所か靴下も履いていない。

 

服やリボンには請求書、差し押さえ、督促状って書いてある札が大量に貼られている。

誰かから借金をしているのかな? だとすれば、多分もう一人の子だ。

手にはボロお椀を所持し、黒猫っぽいぬいぐるみを抱えてる。

何だかパチュリーさんみたいな目付き、俗に言うジト目って奴かな?

何だかやる気の無さそうな目付きをしている。

 

「そこまでよ。貧乏神の紫苑に、疫病神の女苑。少し、おいたが過ぎたようね」

 

紫苑に女苑、それがあの2人の名前。

 

「何なのよ? もうすぐライブが始まるから邪魔しないでよね」

「うふふ、嬉しいわ。やっとお前達を懲らしめる時が来たんだから」

「あー、もう何よ。はいはい、私達が完全憑依異変の黒幕ですよ。

 私達には絶対勝てないって噂を聞いてないの?」

 

そうなんだ、そんな風に言われてたんだ…凄そうには見えないけどなぁ。

 

「それはやってみないと判らないんじゃないかしら?

 私は一人でも強いけど、最強の助っ人も連れてきましたよ

 あなた達にとってのジョーカーカード、あなた達はどう足掻いてもそいつには勝てない。

 あなた達があなた達である以上、あの子に絶対に勝てない」

 

え!? 紫さんそれはどう言う意味なんですか!? 全く分からないよ聞かされても無い!

 

「ねえ女苑。ザコが何か言ってるよ。切ないねぇ、不幸だねぇ」

 

…ゆ、紫さんの事を雑魚って…少しだけイラッとした気がする。

きっと、レミリアお嬢様が侮辱されたりしても、私は怒るんだろうけど

紫さんが侮辱されても、何だかムカッとする。

 

「哀れすぎて見てられないね。私が吸い取る運すら持って無さそうね。

 ライブのドサクサに紛れて死んでしまった方が幸せかもね」

「はっ、お前達の様な生粋の嫌われ者は本当の幸福を知らない。

 幸福を知らない者は性格がひん曲がってしまう。

 しかし喜ぶがいい! お前達に完全敗北という幸福をくれてやろう。

 歓喜せよ! 人生を変えるスペシャルライブの始まりだ!」

 

どんな作戦をするんだろう…私には分からないよ。

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