東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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能力

私は能力の事がよく分からないから、詳しく聞いてみることにした。

能力とはどういった物なのか、そんな事も私はよく分かってないからなぁ。

 

「そうですね、例えば慧音さんは歴史を食べる、もしくは隠す程度の能力です

 この能力は自己申告制なので、実際は知りませんがね」

「事実だ」

「れ、歴史を食べる!? な、何だか凄く壮大で格好いいですね!」

 

歴史を食べるって凄いなぁ、何だか響きが凄い気がする。

なんて言ったって、食べるんだから、凄いよ。

でも、後、隠すもあるけど…どう違うのかな?

言い方だけ…かな?

 

「まぁ、長い時間を生きている妖怪やそこの稗田の娘には効果が無いがな」

「どういうことですか?」

 

歴史を食べてるのに、なんで効果が無い人とかいるの?

と言うかそもそも、歴史を食べるってどういうことなのかな?

 

「私の能力は簡単に言えば歴史を無かった事にする能力だ、無かった【事】にな

 つまり、あったことを無い物にすることは出来ないんだ

 事実を変えることは出来ない」

「よ、よく分からないんですけど…」

「まぁ、簡単に言えば、ここに筆があるな」

 

慧音先生は自分が持っていた筆をこちらに見せてきた。

 

「は、はい」

「今、ここに筆があるが、私の能力を使えばこの筆がこの場に無いと

 周囲に認識させることが出来る、だが、この場に筆があると

 詳しく知っている人物にはこの筆は見えるんだ

 この場に筆があったと少しでも知っている場合は

 ここに筆があったのにと言う違和感を感じる

 だが、ここに筆があったという事を知らない物が見た場合

 この場所にあるはずの筆は完全に見えなくなる、こういう所だ」

 

む、難しくてよく分からないけど、つまりこの場所にあるって事を

知らない人には見えなくなるけど、あるって少しでも知ってる場合は

少し違和感を抱くけど見えない?

でも、詳しく知ってる人の場合はこの場所の筆が見えると言うことかな?

 

「まぁ、理解は難しいでしょうね、因みに満月時の彼女の能力は

 歴史を創る程度の能力です、こっちの方が簡単ですかね?」

「え? どういうことですか? え? 満月の時とで能力違うんですか?」

「あぁ、私はワーハクタクと人間のハーフでな満月の夜は

 ワーハクタクになるんだ、その時と、今の人間の状態では能力が違う

 まぁ、今は人間、満月の夜は妖怪になるというわけだな」

 

へ、へぇ…じゃあ、私ももしかして満月の日とかには妖怪になるのかな?

もう普通の人にはあり得ない耳と尻尾も生えちゃってるけど。

と言うか、慧音さんの能力難しすぎるんだけど。

え? 歴史を食べる…隠す? 能力と、歴史を創る能力?

どう違うの? 少し訳が分からない。

 

「妖怪には色々いますから、でも、今は能力のお話と行きましょうか」

「あぁ、そうだな、私の白沢時の能力についてだな」

「は、はい」

「私は白沢時には幻想今日中の歴史を一時的に知ることが出来るんだ

 だから私は間違った歴史を学んでしまう事で

 人間と妖怪が不要な争いを起こしてしまうのを防ぐために歴史を書き記しているんだ」

「ん? えっと、人の時は隠して、妖怪の時は記す? 正しい歴史を…ですか?」

「あぁ、歴史とは誰かに書き記されて初めて歴史になる、そうだったな、阿求」

「えぇ、その通りです」

「だから、本来の隠された事実、その事実を白沢時に私が記し、歴史を創っているんだ

 不要な争いを起さぬようにな、だから、私はこの時の自身の能力を

 歴史を創る程度の能力として阿求に申告したと言う訳だ」

 

本来なら、幻想郷の歴史を見る程度の能力でも良いかも知れないけど。

慧音さん自身がこの時の能力を阿求さんに歴史を創る程度の能力と申告した。

自己申告制だからこそ、本人達が持つ自分自身の能力についての評価、考えとかが出てくるんだ。

自己申告制によって、その妖怪の性格も見えてくるって事かな。

 

「なる程、分かりました、能力の自己申告制って

 自分の能力を自分達自身がどう思っているかを確認するためにも大事なんですね」

「はい、それと性格も見えてきますよ、例えばあなたの主、レミリア・スカーレット

 彼女は自身の能力を運命を操る程度の能力としています」

 

何それ凄い! 何か凄く格好いい!

 

「まぁ、運命という物はかなり不確定な物ですから、正確には分かりませんが

 彼女に声を掛けられた人は数奇な運命を辿るようになるそうです

 生活が大きく変わることも、しかし、それは果たして彼女の能力なのか

 ただの会話で1人の生が変わることなど多々あります

 何でも無い一言で死ぬつもりだった人が救われることもありますし

 何て事の無い一言で人が1人死ぬこともあります

 このように、運命というのは非常に不確定で、不安定

 彼女に声を掛けられ、運命が変わったとして、それは彼女の能力なのかは不明

 ですが、彼女は自分の能力を運命を操る能力という

 何処か傲慢で自分勝手な所があるように感じますね」

 

ご、傲慢…じ、自分勝手? あまりそんな風には思えないけど

それはやっぱりまだ2日しかいないからかな?

 

「まぁ、果たしてそれが本当なのか虚構なのかは不明ですけどね

 運命を操るなんて言う、不確定で不安定な能力では分かりません」

「そ、それが事実なら、凄く強いですね、お嬢様」

「さぁ、どうでしょうね、紅霧異変では博麗の巫女に敗れていますし

 彼女の能力が本当に運命を操って居れば勝利していたでしょう。

 もしくは、彼女がどんなに運命を操ろうと

 博麗の巫女に勝利するという運命が無かったのか。

 兎にも角にもハッキリと分かることは、彼女の能力は万能ではないと言う事ですね

 操ったとしてもその運命に行き着く可能性が無ければ無意味なのか

 そもそも完全に操ることが出来ないのか、果たしてどちらでしょう」

 

うん、やっぱりお嬢様の能力もよく分からないや。

運命を操ってもそこに行き着く可能性が無いと操れないのか

そもそも完璧に操ることが出来ないのか分からない地点でどうしようも無い。

 

「全く理解できませんでした」

「妖怪達の能力はハッキリ言ってよく分からない能力が多いからな

 理解しようとしても理解できないのは仕方ないだろう」

「そうですね、まぁ、何が言いたいかというと

 自己申告制のお陰でその妖怪について色々と考察が出来るのです

 性格も能力も捉え方も、色々な考察が出来て楽しいです」

「だから自己申告制なんですね」

「はい、ですので、フィルさんもあまり気負いせずに自分で考えたことを出して下さい

 …因みに、現時点でもしあなたが自分の能力を決めるとしたら、どうします?」

「え? そ、そうですね…な、何でも食べる程度の能力…とか?」

「もういますね」

「いるんですか!?」

「正確には何でも喰う程度の能力ですね」

 

へ、へぇ、同じ様な考えをしちゃう人…人なのかな? 妖怪だったりして。

 

「そんな人がいるんですね」

「人では無くキョンシーですね、妖怪…ゾンビ? とにかくそんな感じです」

「ゾンビ!? キョンシー!? な、何でもありですね」

「幽霊や妖怪が平然と歩き回っているからな、幻想郷は

 ゾンビやらキョンシーがいてもおかしくは無いだろう」

 

す、凄いなぁ、幻想郷、何でもありなんだ…ただの嘘話だと思ったけど

…あれ? 何で私、ゾンビやキョンシーを嘘話なんて思ってたの?

やっぱり外の世界から来たのは…間違いないのかもしれない。

 

「やはりまだ自分の能力はハッキリ分かっていないようですね

 ですが、まぁ、何でも食べる程度の能力でも問題ありませんよ

 人を驚かせる程度の能力で同じ妖怪達もいますし、問題無いですよ」

「そ、そうなんですか…でも、やっぱりまだ少し待ってて下さい

 自分の能力…考えてみたいですから」

「分かりました」

 

自分の能力…どんな能力なんだろう…自分でも分からないけど

きっと、絶対に見付けないとね、自分の力!


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