東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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3人風呂で

お嬢様達と一緒にお風呂に入る事になった。

うーん、こう言う場合はどう言う会話をするべき何だろう。

ガールズトークというのはあまり得意じゃないしなぁ。

 

「フィルって胸大きいよね」

「え? そうでしょうか」

 

でも、私はそんなに大きいわけじゃ無いんだけど。

お空さん達と比べると、かなり小さいからね。

紫さんや藍さんもとても大きいし…

その人達と比べると、凄く小さい…うぅ。

 

「そうかしら? 普通くらいじゃない?」

「そ、そうですよね…」

「何ちょっとショック受けてるのよ! 喧嘩売ってんの!?

 私達と比べればどれだけ大きいことか!

 ペットのくせに身長も胸もご主人より大きいとか恥を知れ!」

「あぁ! そこは揉まないで! 怒りますよレミリアお嬢様!」

「さぁ、その無駄乳を少しよこしなさい!」

「ちょ! レミリアお嬢様ー!」

 

い、いきなりこんな事になるなんてー!

痛い! 結構痛いよレミリアお嬢様!

 

「お姉様嫉妬しなくても…」

「フランは悔しくないの?」

「胸って大きくても邪魔なだけだと思うの」

「ま、まぁ、私も少しはそう思ってるけどさ

 こう、無駄にデカいの見せられたらイラッとしない?」

「いや全然?」

 

ふ、フランお嬢様がそう言うところをあまり気にしないタイプで良かった…

フランお嬢様もそう言うところガンガン気にしてたら私の胸が凄い事に…

 

「でも、羨ましいとは思うなー、私も大きくなったらそうなるのかしら」

「な、なりますよ! 吸血鬼ってナイスバディなイメージありますし!」

「そうかなー」

 

でも、正直ナイスバディなレミリアお嬢様とフランお嬢様は想像出来ない。

…よ、幼児体型だからね…未来予想図は流石にまだ分からないよ。

 

「まぁ良いわ。とりあえず今度は私の背中を流しなさい」

「あ、はい」

 

ふぅ、何とか胸の話から脱出することが出来たぞ。

とりあえずお嬢様の命令通り、お嬢様のお背中を流そう。

うんっと、力加減はしっかりしないと痛いよね。

 

「よいしょ、よいしょ。痒いところとかありませんか?」

「ん、大丈夫よ」

「じゃあ、その間だ、私はフィルの背中を流すよ」

「え? いえ、そんなお手間を取らせる訳には」

「大丈夫だよ、それー!」

「あだだだだぁ!」

 

痛い痛い!せ、背中の! 背中の皮が剥がれるぅ!

ま、前もこんな事があったような気がするぅ!

 

「あ、ごめん」

「相変わらずフランは手加減が下手ねぇ、ちょっと貸しなさい。

 誰かの背中を流すときは、こうやってソフトにやるのよ」

「あ、痛くないです」

「全くご主人に背中を洗わせるとか不敬なペットよね」

「す、すみません!」

 

うぅ、私がやってと言った訳じゃないけど怒られた。

でも、本気で怒ってるわけじゃなさそうだし大丈夫だよね?

多分大丈夫だよね? ちょっと不安だけどきっと大丈夫。

 

「ま、こんな感じよ、やってみなさい。フィルは良い練習台だし」

「えぇ! どうしてそんな事言うんですかぁ!?」

「いやだって、フィルって怪我してもすぐ治るし」

「そう言う扱い止めてくださいよぉ! でも、フランお嬢様の成長の為

 このフィル! 一肌脱ぎます! いくらでも!」

「脱ぐというか、最悪剥がれるけど頑張ってー」

「いででででぇー!」

 

そんなこんなで、しばらくの間フランお嬢様の練習台になった。

す、凄く背中が痛い…ヒリヒリする。本当に皮が剥がれた気がする…

でも大丈夫、私はすぐ再生するから何の問題も無い!

でも、痛いのはやっぱり痛いよ…

 

「よし、上手く出来るようになってきたよ!」

「うん、最初と比べると大分上達したわね」

「はい…背中が痛いですが、フランお嬢様のお役に立てたなら嬉しいです!」

 

ちょっとだけ背中をさする…でも、やっぱりそこまで痛くはない。

私の再生能力は無事に機能してたみたいだね、安心したよ。

うぅ、でも湯船に入ると少しヒリヒリするよ。

 

「ありがとうフィル、お陰で少しだけ手加減出来るようになったよ!」

「この勢いで吸血の手加減の練習もしましょうか」

「レミリアお嬢様! 本当勘弁してください! 痛い物は痛いのです!」

「それもそうよね、吸血の練習は後日にしましょうか」

「後日にしちゃうんですね…」

「まぁ、練習は必須だからね」

「お姉様も血をいつもこぼすし必要だよね」

「く、痛いところを…そうよね、私も吸血の練習しないと」

「確かレミリアお嬢様は吸血があまり得意じゃなくて

 吸血しようとしたら、いつもこぼしてるんでしたっけ」

「後、少食だからあまり飲めないのよ」

「少食なんですね、私とは正反対」

「あなたの場合は大食いすぎるのよね」

 

まぁ、フェンリルの力も受け継いでるみたいだしね。

フェンリルは世界を喰らう狼。神様だって食べちゃう狼。

その力を受け継いでるなら、私が大食いなのは自然なのかな?

 

「あ、でも私は沢山食べるよ。フィルと同じだね」

「フランの吸血は…フィルじゃ無いと確実に死ぬのよね。

 死んじゃったらゾンビになって面倒だし…」

「ぞ、ゾンビになるんですか…感染症?」

「いや感染はしないわよ。日光に焼かれて死ぬだけ。

 気に入った対象は吸血鬼にして眷属に出来るんだけどね。

 そうでも無い奴はゾンビになって、そのまま焼け死ぬのよ」

「お、恐ろしい…」

「でも大丈夫よ、私は食事は基本フィルから取ってるし」

「私は知らない間に食べられてた!?」

「と言うか正直、あなたの血は栄養豊富すぎるのか

 ちょっと吸血したら、しばらく食事の必要無くなるのよね。

 数滴飲んだだけで10日以上は過せるわ」

「わ、私の血はそんな特殊なエナジードリンクだったのですね…」

「そうよ、だから飲ませなさい」

「死んだらゾンビになっちゃうなんて話を聞いた後に

 分かりましたと首筋を出す人がいると思いますか!?」

「大丈夫よ、あなた死なないし」

「死にませんけど!」

「だから」

 

ひぃ! ま、また血を吸われてしまう!

あ、あれ痛いししんどいから嫌なのに!

 

(嫌ならハッキリ言えば良いのに)

「はい、そこまで。僕の妹に痛い思いをさせないで欲しいな」

「うげ! 出たわね狼!」

「元々どっちも狼だけどね」

「あぁ、フィルのお姉ちゃんだっけ、フェンリルの

 へぇ、フィルの姿のままで唐突に出てくるのね。

 この間、フィルってどうなってるの?」

「はい、普通に喋れます。口が勝手に動く感じです」

「ま、フィルが僕らを受入れたことで同時に存在できるからね。

 それはそうと、吸血はあまりしない方が良いと思うよ?

 僕はまだ良いとして、もう1人の化け物は結構過保護だよ?

 怒っちゃったら恐いからね-、あの蛇」

「あっちの方か…確かに乱暴だからね。

 でも意外にフィルの事大事にしてるのね、あっちも」

「まーね、今寝てるけど」

「フィルが起きてるのに寝てるんだ」

「強力すぎるからよく寝てるよあっちは。

 平均睡眠時間は20時間だね」

 

あ、テュポーンお姉ちゃんは寝てるんだ、だからあまり出て来ないんだ。

 

「その間、一応僕がフィルを見守ってるよ。

 僕は基本的にフィルと一緒に寝てフィルと一緒に起きてる。

 あっちと比べれば燃費良いからね。

 でも、フィルが寝てる時はテュポーンの方は敏感だから

 寝込みを襲撃しようとしたら消し炭になるから気を付けてね」

「何この隙が無い生物…」

「多分、私が1番の隙ですよね、あはは」

「そう思うの? 馬鹿だなぁ、やっぱり過小評価しすぎだよ。

 良い事を教えてあげる。僕達の力は君が持つ力の半分以下だ」

「えぇ!? う、嘘でしょ!?」

「いや本当。ま、その内自覚する日が来るんじゃないかな?

 出来れば来て欲しくないところだけどね。

 まぁ、これにて僕は退散させて貰うよ。一応、忠告はしたしね」

 

そこまで言った後、口が何だかさっきよりも自由になった気がした。

きっとフェンリルお姉ちゃんが下がった証拠なんだろうなぁ。

 

「これからは吸血するときにフィルの同意を取らないと駄目って訳ね

 ちょっと不便だけど、仕方ないかしら」

「出来れば直接の吸血は…しょ、食事の時にはちゃんと出しますから」

「私達に吸血されてる姿と、自分で自分を傷付けて血を出してる姿

 どっちが恐いかな?」

「多分後者でしょうね、フィルの場合手首ちょっと切るし、すぐ治るけど」

「すぐ治るので大丈夫です。ちょっと力込めれば一瞬ですし」

「私達より再生能力があるって凄まじいわよね」

 

ご飯は食べないと駄目だからね。

お嬢様達はあまり吸血しなくても大丈夫みたいだけど

人食いの妖怪が人を食べないって言うのは大変そうだしね。

 

人で例えれば塩分を全く取らない食事ばかりをしてるって感じなのかな。

必要な物を取らない…そうなったら、果たして妖怪はどうなるんだろう。

人間なら死んじゃうけど、妖怪はどうなるんだろう。

私には分からないし、出来れば分かりたくない…普通が1番だよね。


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