東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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とにかく逃げる!

いきなりやって来て、まさかいきなり攻撃してくるなんて!

な、何だかあの光り輝いてる剣が凄く怖いんだけど!?

あれ当たったら、絶対に痛いじゃすまないよ! 死んじゃうよ!

 

「はぁ!」

「ひぃ!」

 

天子さんの横振り攻撃は凄く強烈だった、当たったら大変なのは間違いない!

当たれない! 当たったら死んじゃう! 死んじゃうって!

 

「そこ!」

「ひょえぁ!」

 

こ、今度は縦に振ってきた! 危ない! 当たる! 当たったら

真っ二つになっちゃうよ! 私、まだ死にたくない!

 

「中々すばしっこいじゃないの」

「あ、あの、おわぁあ!」

 

今度は突いてきた! 危ないよ! お腹に刺さっちゃう!

な、なんで私、この人と戦ってるのぉ!?

 

「なら、これはどうかしら?」

 

天子さんが一気に私に近づいてきて、手に持っていた

剣を強く振り上げてきた!

このままだと、私は下から真っ二つになるよ!

 

「くぅ!」

 

私はとっさにバク転をして、後方に飛び退いて着地した。

 

「良い動きね、何だ、十分強いじゃないの

 まぁ、私には届かないけどね!」

 

振り上げた直後、すぐに間合いを詰めてきて今度は振り下ろしてくる。

このまま避けてても私が追い込まれるだけなきがする。

だ、だったら、私は逃げるのが1番の手立てだ。

この振り降ろしを上手く躱して、隙を作るんだ!

 

「うぅ!」

 

私はその剣を流し、天子さんの剣を強く踏み付けた。

 

「な!」

 

そのまま背後にジャンプして、私は急いでその場から逃げ出す。

これなら流石に逃げ切れるよね!

 

「こ、これで何とか!」

「くぅ! 逃げるというの? 待ちなさい!」

 

だけど、天子さんは諦めていないみたいだった、ヤバいよ。

 

「逃がすわけが無いでしょう!?」

「ほえ?」

 

天子さんがそう言った後、私の足下に不自然な影が。

お、おかしいな、ここら辺、影になるような場所は。

 

「あえ!?」

「ぶっ潰れなさい! 要石「天地開闢プレス」」

 

う、上から恐ろしく大きな、大きな岩が降ってくる!?

どうなってるの!? 何あれ!? 死ぬ! 死んじゃうよぉ!

 

「う、うわぁああ!」

 

私はとにかくこの場所から逃げる為に全力で背後に飛びのく。

自分でも驚くくらいの速度で私は背後に吹っ飛び

あの大きな岩を回避することに成功した。

 

「何ですって!?」

「はぁ、はぁ、に、逃げないと!」

 

すぐに私は紅魔館の方向に走り出し、何とか逃げだそうとしたけど。

 

「逃がすわけ無いでしょ!? 何度言えば分かるの?」

「ひょわぁ!」

 

今度はさっきの石と比べると小さな石だけど

かなり重たそうな岩が空から降ってきて、私の逃げ道を塞いだ。

 

「さぁ、これでも食らいなさい!」

「うわあぁ!」

 

今度は天子さんが目の前に刺さった石よりも少し小さな尖った石を

こちらに向けて飛ばしてきた、絶対に重たいのに投げてくるなんて!

 

「え、えい!」

 

その石を飛ぶことによって回避、だけど、ジャンプしてしまうと隙が出来る。

それ位は私も分かってるんだ、私が分る位だし、当然天子さんも分かってる筈。

 

「そこ! 今度こそ食らいなさい!」

 

天子さんは自分の手に持っていた剣をこちらに強く回しながら投げてきた。

こんなの当たったら真っ二つ! 何でこんなに勢いよく投げられるの!?

 

「し、死にたくはありません!」

 

私は一か八かの勝負で天子さんが飛ばしてきた石を強く蹴って

背後に飛び退く、これならかなり遠くに飛ぶことが出来る。

ただ、体勢の問題でこのままだと後頭部が地面に当たっちゃう。

 

「要石を踏み台に!?」

 

私は地面に激突する前にバク転をして、体勢を整えて地面に着地した。

ふぅ、何とか地面に激突しないですんだ、後は逃げる!

 

「こら! 待ちなさい!」

「待ちません! 死にたくありません!」

「戦いなさいよ! この臆病者!」

「私は臆病者で良いんですよぉ-!」

「なんであんた、そんなに強い癖して逃げ回ってるのよ!」

「私が強いとかあり得ません!」

「嘘言いなさい! 絶対強いでしょ!? あんた!

 回避能力も素早さも! 絶対攻撃したらヤバいでしょ!?

 緋相の剣を踏み付けたとき分ったんだから!」

「強くありませんからぁ!!」

 

もう逃げるしか無いよぉ! 戦うのは嫌だし!

死にたくない! 死にたくない!

 

「ひぃー!!」

「待ちなさい! コラ! まともに戦いなさい!」

「あわわぁ!」

 

私が逃げていると、背後からレーザーとかあの尖った石とかが

沢山飛んで来ている、私はそれをひたすらに避けながら

紅魔館の方に走り続けた。

 

「くぅ! 絶対強いわね、あなた、真面目に戦いなさいよ!」

「嫌ですよぉ-!!」

 

必死に逃げていると、何とか紅魔館までたどり着くことが出来た。

紅魔館の門前では少しうとうとしている美鈴さんが立っている。

やった! 助かった! ここまで来れば大丈夫!

 

「め、美鈴さん!」

「…おや? フィルさん、お客様ですか?」

「どう見たらそう見えるんですかぁ!?」

「ここは、へぇ、あなたはここの奴だった訳ね!」

「いやぁー! 来ないでー!」

「待ちなさいコラ! 戦えって言ってるでしょ!? 暇つぶしに付き合いなさい!」

「嫌ですよぉ-!」

 

何とか紅魔館の近くまで移動すると、美鈴さんが私を庇うように前に立ってくれた。

 

「そこまでにしておいてください、天子さん」

「ち、あんたはいつぞやの門番ね、邪魔しないでくれる?

 私はその子と戦いたいのよ」

「暇つぶしなら私がお相手しますよ? どうせ私も暇ですし」

「普段なら喜んで何だけど、今はそこの子犬に用があるのよ」

「何故フィルさんにこだわるのですか? 暇つぶしなら誰でも良いでしょうに」

「その子の力に興味があるの、この緋相の剣でも気質が読めない妖怪

 更にかなりの実力を秘めていると分っていて、いじめ甲斐もある子犬

 そんなの誰だってこだわるわよ、暇つぶしには持って来いよ」

 

き、気質って何かな? それに、いじめ甲斐があるって…嫌だなぁ。

 

「あなたのご主人も相当良いおもちゃを見付けた物よね」

「フィルさんは玩具じゃありませんよ、私からして見れば大事な後輩ですので

 ですので、まぁ、フィルさんの邪魔をするというなら

 この紅 美鈴、全力をもって相手をして差し上げますよ」

「ふふ、良いわ、じゃ、その子を賭けてひと勝負と行きましょうか」

 

私、いつの間にか賭けられちゃってるんだけど!?

え!? もし美鈴さんが負けちゃったら、私、どうなっちゃうの!?

 

「フィルさんは渡しませんよ、大事な紅魔館の一員ですからね」

「それはすぐに終わるわ、ほんの数分後からは私のおもちゃよ」

「め、美鈴さん、あ、あの」

「大丈夫ですよ、必ず守りますから、私は門番ですので」

 

あわわ…ど、どうしよう、ど、どうしよう! 私、どうしたら良いの!?


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