東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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フランお嬢様とお散歩へ

いやぁ、パチュリーさんとレミリアお嬢様に追いかけ回されたり

今日は何だか大変なスタートだったなぁ。

でも、お二人の仲の良い姿を見れて嬉しかったなぁ。

あまり一緒に居るような気はしないけど

私が知らない間にあんな風に会ってるのかな?

 

「…ふふ」

 

でも、仲が良い姿を見られて良かった。

やっぱり親友なんだなって、そう思った。

私もあんな風に仲良く出来る親友が欲しいなぁ

 

(私の事、恐くないんですか?)

(ん? 全然恐くないわよ?)

 

……少しだけ、あの3人の顔が出て来た気がする。

そうだよね、私にも仲がいい人は居るもんね。

あの人達は人間で、私は妖怪…だけど。

 

「あ、フィル! 何してるの?」

 

少し考え事をしながら歩いていると、フランお嬢様に出会った。

フランお嬢様は私の姿を見て嬉しそうに笑い駆け寄ってきた。

 

「フランお嬢様、いえ、ちょっとパチュリーさんに指示されて

 小悪魔さんのお手伝いをしてたんです」

「今もお手伝いの最中?」

「いえ、今はお手伝いが終わって部屋に帰ろうとして居るところです」

「へぇ、じゃあ一緒に外出ようよ!」

「え? でも今はまだ日が」

「大丈夫! 日傘さえあれば問題無いから」

「あはは…べ、便利ですね」

 

日光って吸血鬼の最大の弱点じゃなかったっけ?

それでもフランお嬢様とかレミリアお嬢様は

別に日が差してても日傘さえしてれば問題無いって…凄いよね。

弱点が多い吸血鬼だけどその弱点も殆どお二人には効果無いしね。

弱点が少ないのに凄い能力高いって、凄いインチキだと思う。

 

(それを君が言うの?)

(わ、私の場合は私自身が弱点みたいな所あるし…)

(ハッキリ言うけど、フィルが1番強力なんだけどね)

(あはは! まさかそんな事無いよ!)

(自覚が無い最強クラスってフィルの事を言うのかもね)

 

良く周りにはそんな風に言われるけど、私自身全く自覚が無いよ…

そりゃあ、フェンリルお姉ちゃんやテュポーンお姉ちゃんは強いけど

私はそんな2人に守られてるだけだしなぁ…

 

「フィル、どうしたの? ほら、早く行こうよ」

「あ、はい…何処行きますか?」

「そうだね、人里に行こうかしら、お腹空いたし」

「止めてください!」

「あはは、冗談だよ冗談!」

 

で、でも種族的には人間は食料だからね…

冗談には聞えないよ…でも、そこは私の出番だよね。

ちゃんとフランお嬢様を守る為に頑張らないと。

 

「ふんふふーん、フィルと2人でお散歩ー」

「そ、そんなに嬉しいですか?」

「うん!」

「えへへ、そ、そうですか?」

 

フランお嬢様の言葉を聞いて、何だか嬉しくなった。

フランお嬢様が私と一緒に居ることを楽しんでくれてる…

あはは、本当に嬉しい!

 

「さて、人里に付いたけど、何処行こうか」

「き、決めてなかったんですか?」

「まぁね、一緒に散歩したかっただけだし」

「そうなんですか!?」

「うん!」

 

で、でもそうだとすれば…何をするかを私が考えるべきなのかな?

じゃあ、とりあえず英子さんの所に行こうかな。

その後、鈴奈庵に言って…後、寺子屋にも行ってみようかな。

いけそうな場所は沢山あるし、暇も潰せそうだしね。

 

「じゃあ、ペットショップに行ってみましょうか」

「ペット? あぁ、フィルみたいな」

「あ! そう言えば私、ペットだった!」

「あはは! なんてね、今紅魔館でフィルの事をペットなんて思ってる人は

 何処にも居ないよ。お姉様も絶対にフィルの事はペットじゃなくて

 大事な家族って考えてるだろうしね!」

「そ、そうですかね…」

「そうだよ、自信持って?」

「…はい!」

 

いつの間にか、私は紅魔館に馴染んできてる気がする。

それだけじゃなくて、この幻想郷自体に馴染んできてる気がする。

1度暴れたけど、幻想郷は私を受入れてくれた。

だから、私はここに居ても良い。この世界は私を受入れてくれたんだから。

 

「じゃあ、そのペットショップに行ってみよう」

「はい、分かりました」

 

そのまま私はフランお嬢様と一緒に英子さんのペットショップへ向った。

 

「お、フィルちゃん! 今日は何か買ってく?

 なんて言ったが、ご主人様が居るって事は違う理由かい?」

 

ペットショップへ向ってる間に良くお世話になってる八百屋さんに声を掛けられた。

ここのおじさんにはおまけして貰ってたりお世話になってるけど

今日はお買い物が目的じゃないからね。

 

「はい、今日はフランお嬢様と一緒にお散歩です」

「へぇ、フランちゃんか、確か吸血鬼って話だけど

 でもよ、その背中の翼、何だか変じゃないかい?」

「そう? 宝石みたいで綺麗でしょ?」

「ま、まぁ綺麗なのは認めるがよ…それ、飛べるのかい?」

「飛べるわよ? ほら」

 

そう言うと、フランお嬢様は翼を動かし、空を跳んで見せた。

…何だかパタパタと動いてて可愛いけど…これ、飛べてるの?

翼、関係あるのかな? でもなぁ…あれで風切れるの?

なんて思ったけど、翼がなくても飛べる人って沢山居るし

この幻想郷の世界で物理的な話は意味ないのかな。

 

「ほ、本当に飛べるんだな」

「まーね」

「ふ、フランお嬢様! それ以上高く飛ばないでください!

 日傘が! 私が持ってる日傘が届かなくなりますよぉ!」

「フィルも空飛べば良いのに」

「私は空を飛べません!」

「え…? 飛んでなかったっけ?」

「それは一時的ですし…後、私の場合は飛ぶじゃなくて跳ぶなので

 高度の維持って出来ませんから!」

「飛ぶなら大丈夫じゃん」

「多分ですけど、違う方の跳ぶです!」

 

こう、漢字で書けば分かりやすいんだけどなぁ、跳ぶと飛ぶって。

でも、発声では同じだから分かり辛いからね。

 

「まぁいいや、急いでペットショップ行こうよ」

「はい、それじゃあおじさん、今日はこれで

 またお買い物に来ます!」

「あぁ、いつでも来てくれよ、フィルちゃんなら歓迎だ。

 まけてやるから、よろしく頼むよ」

「はい! ガッツリおまけして貰いますね!」

「そりゃ勘弁して欲しいな! じゃあまた来てくれよ!」

「はい!」

 

八百屋のおじさんに別れを告げた後、そのままペットショップへ向う。

その道中で人里の人達に沢山挨拶して貰った。

 

「フィルって人気者なんだね、驚いたよ。

 色々な人達に挨拶して貰ってるし」

「はい、何度も来てますし、優しくして貰ってます」

「いやぁ、フィルも顔が広くなって来たね!」

「皆さんのお陰ですよ!」

 

特に紫さんかな、色々な所に連れて行って貰ったし。

でもそう言えば、あの1件以降紫さんは私の前に姿を見せてくれてない…

うーん、どうなんだろう。問題が解決したから会いに来る必要が無くなったのかな。

 

「あ、はいここですペットショップ」

「もふもっふ…変な名前だね」

「分かりやすいと思いますけど…」

「分かりやすいけど、ペットショップとは思わないよね。

 まぁいいや、色々と見てみよう」

「はい」

 

私達は英子さんのお店の中へ入った。

するとまぁ、最初に目に入ったのは

奥の椅子でグデーっと眠ってる英子さんの姿だった。

……よ、涎が凄いなぁ…いびきはかいてないけど

だけど何だろう、凄く幸せそうな表情だ…変な夢見てるのかな?

 

「あはは! 変な格好だね!」

「ね、寝てる時ってきっとこんな感じですよ」

「いやいや、それはないよ流石に。

 お姉様は寝てる時にこんな表情してないし」

「寝てる姿を見たことあるんですね」

「うん、最近は一緒に寝ること多くなってるからね。

 前までだったら考えられなかったけど

 これもフィルが来てくれたお陰かな!」

「わわ! ふ、フランお嬢様! い、いきなり抱きつかないでください!」

「良いじゃん! 誰も見てないって」

「いや、それでも!」

「……まぁ、見てるんだけどね」

「な! え、英子さん!?」

 

あぁああ! は、恥ずかしい! 英子さんに見られた!

 

「いやぁ、良い物見せて貰ったよ! 顔真っ赤だね!」

「あ、あえ、えっと、い、今のは…」

「良くも私達の恥ずかしい姿を見てくれたわね!

 あなたを破壊する!」

 

フランお嬢様が英子さんに掌を向けた、あれ? これ不味いんじゃ…

 

「えぇ!? ちょ! 掌こっち向けないで!」

 

身の危険を感じたからなのか英子さんはすぐに机の裏に隠れた。

 

「冗談だよー!」

「あ、そ、そうだよね…あはは」

 

ふ、ふぅ、一瞬だけ焦ったけど、大丈夫みたい。

 

「そ、それで…今日は何をお探しで?

 ほ、ほら、この猫ちゃんは可愛いよ?」

「色々と見て回るよ」

「OKOK、色々と見てみてよ」

 

ペットは沢山居るし、見るだけで癒やされる気がする。


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