東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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動物霊

うーん、やっぱり可愛いなぁ、もふもふぅ~!

 

「うぅ、触り心地最高ぅ~」

「フィルってもふもふしてるの好きなんだ。

 正直、フィルの尻尾が1番もふもふしてそうだけどね」

「ふふ、僕の見立てではフィルの尻尾は極レベルのもふもふ度だね!」

「な、何ですか極レベルって…」

「もふもふ度の最上階級だよ!

 階級は並、良、優、極の4段階あるのだよ!

 更にその上アルティメットも存在しているのだ!

 まぁ、アルティメットは適当に言っただけだけど」

 

だ、大丈夫かなこの人…やっぱりいつも思うけど色々とおかしい気がする。

 

「あ、あれあれ!? 何で1歩引いたの!?」

「いや、何かその…気持ち悪かったんで」

「酷くない!? ねぇ、酷くない!?」

「フィルが容赦なく暴言を吐くって珍しいね

 狼さんの方が出て来たのかな?」

「あ、いや口が滑って本心がちょっと出ただけです」

「本心だったの!?」

 

正直、あんな風に言われて気持ち悪いと感じない人は居ないと思った。

いやだって、あれは流石に引いちゃうよ…恐いって。

 

「うぅ、僕のメンタルフルボッコだよ…最近は動物霊も出て来てるから

 余計に心を痛めているというのに、更に追い打ちとはぁ…」

「動物霊?」

「あ、気付いてないの? 最近は動物霊が多いんだよ。

 だから、何処かで沢山の動物が死んでるって感じで

 僕個人としては、何だか心が痛いというかね…」

「動物霊…」

 

動物霊なんて何処にも居なかったと思うけど…

私には気付けなかったのかな…

 

(良い事を教えてあげるよ、動物霊はちゃんと居るよ。

 ただね、僕の見立てだと何か探してる感じがするね、あれ)

(え!? 何処に居たの!?)

(見ようと思えばフィルも見られると思うよ?

 まぁ、大体幽霊とかは僕がカットしてるから見えないんだけど

 カットしてなかったら、かなり見れるよ? 特に紅魔館は)

(そ、そうなの!?)

(ま、まぁね…フィルは臆病だから)

(た、確かに私、幽霊とか恐いからね。ありがとうフェンリルお姉ちゃん)

 

そうかぁ、私の事を気遣ってくれてたんだ、優しいなぁお姉ちゃん。

でも、私の視界から幽霊をシャットアウトさせるって凄いよね。

 

「でも、何か変な事があったなら…冥界に行った方が良いのかな?

 妖夢さんか幽々子さんなら色々と知ってそうだし」

「め、冥界ってさらっと凄い事言うね…死後の世界だけどいけるの?

 あ、そうかそう言えば今は幽明結界が曖昧だからいけるのか」

「何だか難しそうなお話ししてるけど、そう言うのは後でしてよ。

 今は私とお散歩してるんだし、そっちに集中してよ。

 幽霊とかどうでも良いからさ、今はほら、私に構ってよ」

「そ、そうですよね! 今日は散歩ですもんね!

 そう言う難しい事とか面倒なのは後で良いですかね」

「そう言う事! じゃ、散歩再開!」

「はい!」

 

英子さんの元を離れた後、慧音さんの所や小鈴さんの所

阿久さんの所に行ったりと、色々と楽しい時間を過せた。

だけど、その間にも私の中にはあの聞いた話が思い返されてる。

 

何だか増えだしたという動物霊の話し…異変…かな。

だけど、異変解決は私の役目じゃない…けど。

 

「……ねぇ、フェンリルお姉ちゃん。私、どうしたら良いと思う?」

(それを僕に聴くの? フィルが決めるべき事だと思うよ?)

「うん…だけど、何だか決められなくて…」

 

私が出しゃばるべきじゃない事は間違いない。

それに、ただの杞憂かもしれないし、実際は何でも無い筈なんだ。

それなのにどうして悩んでるんだろう…いつも通り、明日も紅魔館で仕事をして

 

それで良いはずなのに…何で私、自分から何かに首を突っ込もうとしてるんだろう。

今まで、そんな事は無かったのに…今まで、仕方なく動いてて…それで危ない目にも遭って。

だけど今、私は悩んでる…何に対して悩んでるんだろう。

 

(……ま、これはあくまでアドバイスだよ、僕は君の意思に背くべきじゃないからね。

 だから、これはただのアドバイスで、最終的に決めるのはフィルなんだけど

 …悩んだなら、行動すれば良いと僕は思うよ。少なくとも君にはその力がある。

 何か問題が起きても大丈夫だよ、君には僕達が居るんだから)

 

何だろう、フェンリルお姉ちゃんの言葉を聞いて、少しだけ何かが軽くなった気がした。

そうだよね、私はもう1人じゃない。何かあっても、助けてくれる人が居る。

頼りっぱなしになるのは駄目だけど、何もしないままだったら私は変らない。

 

「うん、分かった。何かあったら助けてね、フェンリルお姉ちゃん。テュポーンお姉ちゃん」

(お安いご用さ。僕達を助けてくれた住民達の為に

 僕達だって出来る事はやるべきだからね)

「うん!」

 

だけど、今日はもう遅い。私はひとまず1度寝て、朝になるまで待つことにした。

そして朝、私は早速咲夜さんとレミリアお嬢様にこの事を話した。

すると、2人ともすぐに承諾してくれた。

どうやら昨日のうちにフランお嬢様が話をしてくれてたみたいだった。

 

「フランから話は聞いたわ、あなたの事だしどうせ止めても行くんでしょうしね。

 ま、異変解決は本来私達の仕事じゃないけど、面白そうな事は大歓迎よ」

「フィル、お嬢様方のお世話は私に任せなさい。あなたはやりたいことをやれば良い。

 まだこっちに来て間もないのなら、何事も経験でしょうからね」

「ありがとうございます!」

 

異変を解決するために、私は永琳さんからあの薬をもう一度貰った。

一応使う必要があるときまでは取っておこう。

 

その後、すぐに冥界に向った。何処から入れば良いかから調べないとだけど

ひとまずあの時、空から見た景色を思い出して、何処から見ればあの景色が見れるか

それを推測して、その場所へ移動した。

そこには確かに空の上に変った歪みが存在している。

私はその歪みに飛び込む。距離はあるけど私には問題無い距離だった。

 

「っとと」

 

冥界へ入って、すぐに奥へ進み幽々子さんと妖夢さんを探す事にした。

そのまま階段を上がると、いつか見た景色が私の目に入る。

満開の桜たち、そしてその奥。満開の桜たちに見守られているかのように立つ

枯れ果てている、大きな桜の木…あそこからは何だか嫌な気配を感じた。

 

「あら、幽霊嫌いのあなたが冥界へ来るなんて、どう言う風の吹き回しかしら? フィル」

「幽々子さん。お久しぶりです。その節は色々と」

「いえ、気にしないで。それで? どうしてここに? と言っても予想だけど

 そうね、動物霊…とか?」

「な、なんでそれを!?」

「いやね、妖夢が動物霊がどうこう言っててね、あの子心配性だから」

「じゃあ、妖夢さんにお話を聞けば何か分かるかもしれないって事ですか?」

「そうね、でも残念ながらあの子は地獄へ行ってしまったわ」

「え、えぇ!? そ、そんな…よ、妖夢さん、し」

「いや、死んだとかじゃないから安心しなさいな、向っただけよ。

 こっちから自分の意思で、自分から地獄へ向っただけよ」

「……じ、地獄ってそんな身近にあるんですか?」

「いやまぁ、死後の世界にあっさり来れるくらいだし

 地獄も結構簡単にいけるのよ? 旧地獄とかも簡単にいけるし」

「……あ、そう言えばここって確か死後の世界でしたね」

「あなた達はそこに生身で来るのが普通になってるから感覚おかしくなってるけどね」

 

あはは、確かにその通りって感じがするよね。

簡単に死後の世界へ行くことも出来るし。

 

「……ふぅ、ねぇフィル。私のお願いを聞いてくれる?」

「はい、何でも!」

「…妖夢を止めてきて欲しいの」

「え?」

 

さっきまでの表情とは大きく変わり、幽々子さんは真剣その物になった。

 

「ど、どうしてですか? 妖夢さんは動物霊の異変を解決しに」

「…今回の件、明らかに違和感があるわ。何故あの子が地獄へ向ったのか。

 誰から情報を与えられた? 動物霊が増えてきたとなれば

 まず動物達が死ぬ頻度が増えたと疑うはずよ。

 

 妖夢が地獄へ向ったのは動物霊が増えてきたと話しだしてすぐ。

 あの子は猪突猛進ではあるけど経過報告は良く言う子だからね。

 まず動物が死ぬ頻度が増えたと考え、調査したというなら私の耳にその情報が来る筈」

「た、確かに…」

「そして何より…あの子が私に詳しい話をしないのもあり得ない事よ。

 そうね、長くあの子を見ている私から見てみたら、あの時のあの子はまるで

 何かに操られているように感じるわ…あの子に憑いていた動物霊…恐らく鷲ね。

 それがかなり怪しいけど」

「ど、動物霊…?」

「悪いわね、あの子から色々と聞いていれば良かったんだけど」

「いえ、貴重な情報ありがとうございます! …ち、因みになんですけど

 じ、地獄って…恐いですか?」

「えぇ、そりゃもう恐いわよ。この冥界よりも断然恐いわ~」

「ヒェ! あ、でも、そんなに恐い場所に妖夢さん行ったんですね」

「そうなのよ、それもまた不自然な部分なんだけどね。

 あ、そうそう、地獄への入り口まで案内してあげるわ。

 妖夢のこと、お願いね」

「はい!」

 

地獄…うぅ、こ、恐いけど…お願いされた以上はやってやる!

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