東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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三途の河

三途の河かぁ…何処までも広がってるように見えるよ。

ん? あれ? 目の錯覚かな? 何だか牛っぽい人が見えた気が。

牛? 三途の河だよね? 後人っぽいのに…牛? 満月の日の慧音さん?

 

「ん? なんだ死神? ここから先は地獄しか無いと思うが

 死神が直接地獄へ運ぶ程の大罪人とか居るのかい?」

 

あ、やっぱり人だった…何だか牛みたいな人だ。

手元に赤ちゃん抱いてるけど…石で出来てる気がする。

でも、やっぱり牛なのかな? 髪の毛とか白と黒で別れてるし

確かに角みたいなのも生えてる。服も牛柄だし。

……そ、そして何より…で、デカい…大きいなぁ…

でも、それよりもボロボロなのが気になるかも。

 

「あぁ、牛鬼か。随分とボロボロだけど何かあったのかい?」

「いやぁ、ちょっと前に襲撃されちゃってね。

 もしかしたらそこの子もその口かい?

 だとすれば、もう少し休ませて欲しいんだけど…」

「あ、いえ、私は確かに動物霊の異変を追ってますけど

 今はどっちかというと、先に来てると思う

 妖夢さんと魔理沙さんが目的でして」

「あぁ、あの2人か…うーん、なら追わない方が良いんじゃ無いかな?

 どうもあの2人、特に庭師の方は普段と雰囲気違ったからね。

 ただの思い違いだと思うけど追うなら覚悟した方が良いよ?

 …因みに、あんたは空を飛ばないのかい?」

「え、えっと…私、空を飛べなくて…」

「……帰った方が良いんじゃ無いかなぁ?」

「いえ! 確かに地獄とか出来れば行きたくはありません!

 て言うか、目的がなかったら絶対に行きたくないですそんな恐ろしいところ!

 でも、幽々子さんとのお約束もありますし、今まで話を聞いていたら

 2人がどうなってるか心配で心配で…だから、行かないと!」

「……そうかい、じゃあちょっとした試験だ。

 はい、この赤ん坊を持ってみて」

「え? あ、はい」

 

…? なんで石の赤ん坊を渡されたんだろう。

 

「どう?」

「え? いや、どうとか言われましても…えっと、良く出来てますね」

「……お、重いとか?」

「え? 重いんですか? これ」

 

凄く軽いと思うんだけどなぁ…んー、あ、でも見た目の割に

ちょっとだけ重量あるのかな? それでも片手で持てるくらい軽いけど。

 

「一応、超重量級の赤ん坊なんだけどね。表情1つ変えやしない。

 なる程なる程、空を飛べないって言うからどうかと思ったけど

 見た目に反してかなりの怪力らしい。でも空を飛べないのは辛いだろうなぁ

 それだけの実力があるなら、空くらい飛べそうだと思うけど…」

「あはは、紫さんに教わったのは弾幕とかスペルカードばかりで

 空を飛ぶ方法とか学ばなかったんですよね。

 あ、でも大丈夫です! 空は飛べなくても空は跳べるんで!」

「……死神、この子大丈夫か?」

「大丈夫も何も正直な話をするとこの子はあたい達とは次元が違うよ?」

「そりゃそうか、耳と尻尾から半獣って所だろうけど

 見た感じ、そんなに力があるようには」

「あー、いやいや逆だって、あたい達が敵う相手じゃ無いって事」

「……ふふ、面白い冗談だ」

「冗談に聞えるかもだけど、冗談じゃないんだよ?」

「あはは、よ、よく弱そうと言われますし、自分でもそう思うんですけど

 何だか実は凄く強いらしいです。強いお姉ちゃん達が居るからだと思いますけど」

「あたいが思うにそのお姉ちゃん達とやらは関係ないんじゃないかい?」

「うーん、まぁ確かに超重量の赤ん坊を軽々と持ってるし怪力なのは間違いないだろうが

 やっぱり幻想郷では見た目に騙されては駄目だと言う事か」

 

確かにレミリアお嬢様やフランお嬢様も見た目だけでは小さな女の子だけど

実際は凄い怪力だし、悪魔も自在に操れるし、とんでもなく強いからね。

見た目って、やっぱり幻想郷だとあまり関係ないのかも。

 

「まぁいいや、あんたが大丈夫だって言うなら

 私がわざわざ心配するまでもないか」

「そう言う事だよ、ま、空を飛べないのは確かに不安ではあるが

 フィルはそのハンデを背負っても相手を圧倒できるくらい強いからね。

 突出した強さに弱点なんて大した意味は無いって事だろうね」

「うぅ、その言い方は何だかプレッシャーを感じます…」

「大丈夫だって、あたいが保証するよ。さ、このまま先に進もうか。

 地獄はそろそろだよ。本来は行きたがるような場所じゃないだろうけど

 並々ならぬ事情って奴だし、仕方ないさ」

「ですね」

「そうかい、まぁ怪我をしないことを祈っておくよ。

 私は何も手は貸せないけど、応援はしてるからね」

「はい、ありがとうございます! あ、そう言えばお名前を聞いてませんでしたね。

 私はフィルです。フィル・ティルーダと言います!」

「自己紹介ありがとね、私は牛崎潤美(うしざきうるみ)

 まぁ、ただの漁師だよ。一応牛鬼だから、多少は戦えるけどね」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃぁ、先に進もうか」

「はい!」

 

小町さんが再び船を進めてくれた。

このまま先へ行くと地獄…うぅ、恐いなぁ…

地獄って恐いイメージしかないから…中々恐ろしいよ。

 

でも、怖がってちゃ駄目だよね。2人に何があったのか調べないと。

そして、魔理沙さんと妖夢さんを元に戻す。

幽々子さんと約束したんだもんね! が、頑張ろう!

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