東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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不良天人VS紅魔の門番

私が紅魔館まで逃げてきちゃったせいで、美鈴さんが天子さんと戦う事に!

わ、私はどうしたら良いの!? い、一緒に戦う?

そ、そうすればきっと勝てると思う!

 

「あ、あの、美鈴さん、私も一緒に戦います!」

「いえいえ、1人で、戦いは1対1が基本ですよ」

「ふふ、その心構えは褒めてあげるわ、実力が伴っていれば、だけどね」

 

天子さんが剣を取りだし、地面に強く突き刺すと

地面が揺れた、地震だ! あの剣で地震を起したんだ!

あんな小さな剣を地面に刺しただけで地震が起るとは思えないけど。

さっきの急な揺れはそうとしか考えられない!

 

「や、やっぱり私も、え!」

 

私が美鈴さんと一緒に戦おうとすると、目の前の景色が変わった。

景色が遠くなり、美鈴さんが小さく見える様になった。

それに、隣にはレミリアお嬢様が外を見ていた。

 

「フィル、お帰りなさい、まぁ、問題を引き連れてきたのは叱るべきなのでしょうけど

 丁度私も暇をしていてね、あなたがあの天人を連れてきてくれたお陰で

 良い暇つぶしになったわ」

「あ、あの! あの人、凄く強くて!」

「安心なさい、美鈴もそれなりに強いから」

 

…美鈴さんが強いのは分ってるんだけど、天子さんも凄く強い。

いくら美鈴さんでも、1対1で勝てるか…ちょっと不安。

 

「ふーん、あの吸血鬼も見ているのね」

「そうみたいですね、ま、とにかくフィルさんも移動しましたし

 そろそろ始めましょうか、お嬢様を退屈させるわけにはいきませんし」

「すぐに暇になるわ、何せ、一瞬で勝負が着くんだから」

 

天子さんがいきなり剣を振り上げ、美鈴さんに斬りかかった。

美鈴さんはその攻撃を呼んでたかのように、素早く流し

すぐに強烈なハイキックが天子さんを襲った。

 

「おっと」

 

だけど、美鈴さんの攻撃は天子さんが何処からか出した石で止められた。

 

「いつでも出せる防御の石とは厄介ですね」

「私の要石はそうそう崩せないわよ」

「それはどうでしょうかね!」

 

会話の終わりの後、すぐに美鈴さんは間合いを詰め、両手での掌打を繰り出した。

天子さんはその攻撃を思いっきり腹部に受け、吹き飛ばされる。

 

「ふーん、やっぱりただの無能妖怪というわけじゃないのね」

 

完全に腹部に強烈な一撃を受けたはずなのに、あまり応えていないようだった。

結構平然と立っているし、あまり痛がってる様子も無い。

 

「流石に頑丈ですね」

「私に一撃を与えたことは素直に喜びなさいな」

「全くダメージが無さそうなのに喜べませんよ」

 

美鈴さんの攻撃を受けても大したダメージはないなんて頑丈すぎる。

普通なら、もっとダメージを受けててもおかしくないのに。

あの一撃はどう考えても普通なら悶絶するくらい強烈だったのに。

 

「やっぱり一撃を受けただけじゃ応えないわね、あの天人は」

「分かりきっていることですね、あの天人は頑丈ですから」

「そう、あ、そうだ咲夜、美鈴があいつに勝つにはどうすればいいと思う?」

「まともにやってもダメージは与えられません

 ですので、ダメージを与えるには的確に急所を狙うしかない

 それは美鈴も分かっていることでしょうが」

 

うぅ、難しいお話でよく分からない。

つまり弱点を狙えってことなのかな?

 

「さぁ、今度はこっちから行かせてもらうわ! 地震「先憂後楽の剣」」

 

何かを宣言した後、天子さんは地面に剣を突き立てた…

でも、何も起こらない、あれ? なんでだろう。

 

「まさか…」

「さぁ、逃れることができるかしら?」

 

天子さんがそうつぶやいた後、地面が激しく揺れ始める。

 

「な、なに!?」

「あの天人! 地震を起こしたわね!」

「あぁああ! 目が回るぅー!!」

「く!」

「さぁ、そこよ! 要石「天地開闢プレス」」

 

天子さんが高く飛び上がったと思うと、空からあの大きな石が!

あ、あの石は、私をつぶそうとした石! 今は地震で動けない!

あ、あのままだと美鈴さんが!

 

「侮らないでください! 星気「星脈地転弾」」

 

え、えぇ!! 美鈴さんが何か出した!

七色にキラキラと輝いててとても綺麗だ。

 

「うぐぐ!」

「無駄なのよ! 無駄無駄!」

「私は負けません! オラァーー!!」

 

美鈴さんの全力の一撃と天子さんの強力な一撃。

ど、どっちが…どっちが勝つの!?

 

「く!」

「ふ」

 

め、美鈴さんがつぶれた! そ、そんな! 美鈴さん!

 

「ふふ、やはり私の勝ちのようね、ま、当たり前だけど

 正直、少しだけ驚いているわ、あなたみたいな妖怪が

 ここまでの実力があるとは思わなかったもの。

 でも、私の敵ではなかったわね、これで私の勝ち」

 

あ、あぁ、そ、そんな、そんな…

 

「め、美鈴さん!」

「フィル、そう焦らないで」

「え?」

 

咲夜さんの言葉の後、天子さんの石に少しだけ亀裂が入っていた。

 

「え?」

「私は負けませんよ!」

 

石を砕いて下からボロボロの美鈴さんが姿を現した。

 

「まさか!」

 

かなり驚いたのか、天子さんは動揺したまま地面に着地する。

その瞬間を美鈴さんは見逃さなかったようで。

 

「反撃と行きましょう! これでどうですか!? 熾撃「大鵬墜撃拳」」

「な、うぐぅ!」

 

隙だらけの天子さんに何発もの攻撃が叩き込まれた。

一撃一撃がかなり重そうで、流石の天子さんも応えてるみたいだ。

 

「はぁ!」

「くぅ!」

 

最後の締め技が出されて、天子さんは空中に吹き飛ばされた。

 

「そして! これでとどめです! 華符「彩光蓮華掌」」

 

さらに落下してきた天子さんに合わせて強烈な掌底を打ち込んだ。

すると天子さんが光り輝き、大爆発を起こした。

 

「この! 私がぁぁ!!」

 

天子さんは大爆発で吹き飛ばされ、地面に倒れた。

も、もしかして、し、死んじゃったのかな?

す、すごい爆発だったし、もしかしたら…

 

「ふぅ、少しひやひやしたけど、何とか勝てたみたいね、やるじゃないの」

「す、すごいです美鈴さん!」

 

美鈴さんは私たちのほうを向いて、大きなお辞儀をした。

その後、私は紅魔館で天子さんに軽く手当てをした。

 

「あー、まさか負けるとは思わなかったわ、完全に決まったと思ったのに

 まさか砕いてくるとは予想外にも程があるわよ」

「美鈴さんすごい力でしたね、でも、天子さんもすごかったです」

「ま、負けたら意味がないのよ!」

「天子さんも楽しそうにしてたじゃないですか」

「うるさいわね……で、フィル、あんたは戦う気にはなった?」

「え? ま、まだあの話、終わってなかったんですか?」

「えぇ、あなたの実力はやっぱり興味があるわ」

「私なんて何でもない雑魚妖怪ですよ」

「嘘言いなさい、バレバレよ」

「嘘じゃないですふよー!」

 

私は天子さんに頬を引っ張られながら答えた。

うぅ、ちょっと痛い。

でも、いつか私も戦いたいって思ったなぁ。

美鈴さんみたいに強く、かっこよくなりたい!

私も頑張ろう! 美鈴さんみたいにはなれなくても

少しは戦えるようにならないと!


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