東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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剣の稽古

竹刀をとりあえず2本持って、1本は腰に。

うん、これで何となく見た目は剣士っぽくなったかな。

…あと1本、あった方が良いのかな? 三刀流とか。

なんてね、3本は無理だよね。何処に持てば良いか分かんないし。

 

「お待たせしました、妖夢さん」

「はい、それでは始めましょう」

 

妖夢さんは竹刀を1本。一応腰に1本あるし

やっぱり二刀流の方が落ち着くのかもね。

よし、私も妖夢さんの真似をするから2本で正解だね。

次はどう構えるか…だけど、とりあえず前に読んだ漫画の真似をしよう。

こう、腰を低くして、剣の先を相手に向ける感じで…

 

……やっぱり止めよう、普通に妖夢さんと同じ様に構えないと。

あ、妖夢さんは剣を下に降ろしてるんだね。

両手で持って、剣を足下の方に…こんな感じかな?

 

「まず最初は打ち合ってみましょう。何処まで剣を振るえるか知りたいですし」

「分かりました」

「私は攻撃をしませんので、とにかく攻撃を仕掛けてくださいね。

 どんな動きで立ち回るのか少しだけ見せて貰います」

「はい、行きます!」

 

その場を蹴ってすぐに妖夢さんに近付く。

 

「うわ!」

 

だけど、流石は妖夢さん。私の攻撃なんて簡単に防いじゃう。

どういう風に立ち回れば攻撃が当るのか考えると

やっぱり背後に回るのが1番確実なのかも?

私は速く動くのが得意だし、速さで相手を翻弄する感じで。

 

「それ!」

「速いって!」

「速さには自信があります! 正面から攻撃しても意味無さそうですし」

「いやその、一太刀一太刀にかなり重みが…そのですね

 力任せに攻撃しても、むしろ刀が摩耗しますので加減を…

 そうですね、あ、あの…こう、確実に当てられるときに本気でやる感じで…」

「あ、分かりました」

 

なら、速く動いて確実に当てられる場面で攻撃するべきかな?

とにかく今の私に出来るのは速く動いて、力任せに剣を振る事だけ。

技術が無いし、相手の攻撃や反撃を予想するのはちょっと…

弾の軌道を読むのは得意だけど、相手の動きを予想するのは慣れてないし。

 

「うぅ…」

「…ありゃ、技術じゃ覆せないんじゃ無いか? その能力が結構あるし」

「とにかく速いわね、フィル。白玉楼の庭は平面だけど、あれもしも森の中だったら

 平面の攻撃所か、全方位からの立体的な攻撃を仕掛けてきそうで恐いわね」

「でも、妖夢も見事だと私は思うわよ? フィルは確実に攻撃を当てる瞬間

 その瞬間でしか攻撃をしないつもりでしょう? なのに攻撃をしていない。

 それは翻弄されているように見える妖夢に大きな隙が見えないという証拠よ」

 

妖夢さんが私の動きを予想する範囲を制限している気がする。

正面、側面、背面だけを集中して見ている様に感じる。

なら、斜めの方向から狙えば!

 

「そこです!」

「私も予想はしてました!」

「うぇ!?」

 

な、斜めからの攻撃を完全に防がれた!

 

「な!」

「あ!」

 

同時に私達が持っていた竹刀が綺麗に折れちゃった。

そのままの勢いで私は妖夢さんに体当たりして一緒に転けちゃう。

 

「あだ!」

「い!」

 

うぅ、ま、まさか完全に防がれるなんて…それに竹刀が折れるとは思わなかった…

 

「ご、ごめんなさい妖夢さん…大丈夫ですか?」

「あ、はい、何とか…」

 

やっぱり私は単純な動きしかまだ出来ないなぁ…

 

「ほぅ、妖夢もかなりやるじゃないか。

 フィルを出し抜くとは驚いたぜ」

「良い誘い打ちだったわね、あれもフィルが怪力じゃなかったらどうなってたか」

「て言うか、いつまで2人で寝転がってるんだよ」

「あ、ごめんなさい、ちょっと色々と考えてて、すみません妖夢さん」

「いえ、全然大丈夫です」

 

今度は相手がわざと隙を作ってるかも知れないって考えないと…

あんな風に戦術的な立ち回りはまだ出来ないから、勉強しなくちゃ。

 

「後、竹刀折っちゃってすみません」

「いえいえ、折れることは想定してました。

 しかしフィルさんは凄まじく速いですね。

 あそこまで素早く動けるなら、そう言う戦術を鍛えるべきですね」

「そ、そうですね」

「ただやはり加減がまだ出来てないと言う感じですね。

 力が強ければ強いほど、刀は摩耗し、使えなくなってしまいます。

 そう考えると、フィルさんは技術よりも

 まずは刀の手入れを覚える方が良いかも知れません。

 実際、竹刀を折っちゃってますからね…3回打ち合っただけで」

「ご、ごめんなさい…」

「いえ、フィルさんがどう成長するべきかが分かりましたし

 無駄ではありません。まずはやはり加減ですね。

 フィルさんはあまりにも力がありますし、手加減を覚えれば

 もっと安定した攻撃が出来ると思います。

 攻撃は時に最大の防御にもなり得ますからね。

 攻撃を気兼ねなく出来る様になる為にもやはり手加減が重要でしょう」

「は、はい」

 

確かに私は1回の攻撃で手加減しないで本気でやってるからね。

それが理由で刀が凄い速度で消耗する…武器は消耗品なんだ

ちゃんと上手く長く扱える様に手加減を覚えないと。

 

「では、次は手加減の練習をしましょうか。今回も私は攻撃をしません。

 ある程度の攻撃力を維持しつつ、武器の消耗を抑えるためにも

 何度か攻撃して、その感覚を掴みましょう」

「はい」

 

よーし、何度も何度も攻撃して、安定した攻撃が出来る力加減を目指そう!


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