東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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最初の知識

藍さんに空を飛ぶ方法を教えて貰うことに決めて

私はすぐにレミリアお嬢様にこの事を伝えた。

レミリアお嬢様は私が空を飛べるようになったら

移動が楽だろうから、ちゃんと覚えてきなさいと言ってくれた。

 

フランお嬢様は少し寂しそうだったけど

フランお嬢様も渋々許してくれた。

頑張って早く空を飛べるようになってフランお嬢様に

寂しい思いをさせないようにしないと!

 

だって、今日からしばらくの間マヨヒガでお世話になるんだから。

前、弾幕の練習をしてたときに使わせて貰ってたお部屋を使う。

そして教えて貰う代わりにマヨヒガのお掃除をしないと!

 

「よし、では空を飛ぶ方法を教えよう」

「はい!」

「前、弾幕の出し方を教えたときの事を覚えているかな?」

「はい、しっかりと覚えてます!」

「では、その時に教えた特殊な力のことを覚えているか?」

 

弾幕を出す方法を教えて貰ったときのこと…あの時だね!

うん、しっかりと覚えてる。

 

「はい! 人間は霊力、魔法使いは魔力、妖怪は妖力

 神様なら神気ですよね?」

「あぁ、その通りだ。そして自分は何が近いか覚えてるか?」

「妖力です!」

「そうだ、とは言え君の存在は非常にイレギュラーなんだ。

 恐らくだが霊力も扱えるし魔力も扱えるし妖力も扱える。

 もしかすれば神気さえ操れるかも知れない。それだけ特殊だ」

「ぜ、全部ですか…?」

 

うーん、私の存在は確かに変ってるからね。

私の中には私自身を含めても2人存在してるからね。

フェンリルお姉ちゃんにテュポーンお姉ちゃん。

分類的には…やっぱり妖怪なのかな?

 

(あぁ、僕達は妖怪…と言うか、魔獣って感じだね。

 どっちかというと神様に近いかな。双極だけど

 双極故に近しい、と言う感じなのかもね)

(どう言うこと?)

(簡単に言うと僕達と神様は似てるって事)

 

お姉ちゃん達は神様に似てるって…じゃあつまり

私はどっちかというと神気の扱いが得意なのかな?

でも、フェンリルお姉ちゃんは神様とは双極と言ってたし…

 

「そして空を飛べないのは、恐らくその特殊な力を制御出来てないからだ」

「そ、そうか…色々な力を扱えるから逆に何を扱えば良いのか…」

「そう言う事だ、どれを使っても良いが、どれを使えば良いか分からない。

 選り取り見取りという言葉があるな。選択の自由がありすぎる状態だ。

 そう言う場面では中々どれを買うかを決められない。そんな所だ」

「わ、分かる気がします」

 

最終的にもう全部欲しくなって全部買う奴だね。

私は咲夜さんに買って来てと言われた物しか買わないから

どれが良いか悩んだりすることはあまり無いけどね。

 

「今のフィルは複数の選択肢があり、どれを扱うかを決め切れてない。

 空を飛ぶという行為はああ見えて、少々繊細なんだ。

 弾幕は複数の力を混合させて放つ事が出来るが空を飛ぶ方は違う。

 弾幕と違い、維持しないといけないからな。複数の力を扱っていれば

 その力によって性質が違うのだから、空を飛ぶのが難しいのは分かる」

 

なる程、複数の力を適当に使っては飛べないんだね。

弾幕は無理矢理出来るみたいだけど…その違いなんだ。

 

「だから、まず最初にどの力で空を飛ぶのかを選ぶ必要がある。

 そして、その次はその力だけを操る方法を習得する。

 最終的にその力を制御し、空を飛ぶ練習。

 これが今回から私が君に教える流れだ」

「はい!」

「まずは最初のステップと言いたいが、時間も遅い。

 今日はこれまでにして、明日修行を行なおう」

「あ、明日ですか…」

「無理に叩き込んでも効果が薄いからな。

 と言っても、フィルなら問題は無いかも知れないが

 私も食事の用意をしないといけないからな」

「そ、そうですね。ごめんなさい…

 じゃあ私、お掃除してきます!」

「あぁ、食事の用意が出来た橙に呼びに行って貰うよ」

「あ、ありがとうございます!」

 

私はすぐに箒を持ち、そしていつものメイド服を着た。

よし! 今からはお掃除モードだ! 頑張って隅々まで掃除を!

 

「ふにゃ!?」

 

そ、掃除を始めようとしたら背後から誰かに肩を叩かれた!?

誰!? わ、私は結構気配を探知するの得意なのに気付かなかった!?

そ、それに背後には誰も居ない…だ、誰!?

 

「だ、誰で! ま、また後!」

 

背後を振り向いて見ると、そこには逆さまになった女の人の顔が!

 

「あ、あぁ…よ、妖怪だぁ! 妖怪逆さお化け!?」

「あぶ!」

「…あ」

 

い、一瞬凄まじく驚いて思いっきり殴ろうとしたけど

冷静になってみてみたら…な、何だ、紫さんだ…

 

「ゆ、紫さん…はぁ、よ、よかったぁ…し、心臓止まるかと思いましたよ!

 冬眠してるって聞いたのに、何で?」

「し、心臓が止まるかと思ったのは私の方よ…心臓というか

 私の場合は一瞬、息の根が止まりそうになったわ…

 いきなり反射的に殴ろうとしないで頂戴よ」

「す、済みません…」

 

あまりにも驚いて、無意識に体が動いてたよ…き、気を付けないと。

 

「フィル、何の…え? ゆ、紫様!? 何故ここに!?

 まだ冬眠をしている最中だったのでは!?」

「普段とは違う時期に眠ったからね、つい早く起きちゃったのよ。

 あるでしょ? 普段より早く寝ちゃうと、普段より遙かに早く起きる事」

「あります! 私は本当によくあります!」

「ま、それと同じよ。で、藍を呼ぼうと思ったらフィルが居たからね。

 からかっちゃったわ」

「わ、私、恐いの苦手なんですから…」

「まぁ正直、私の方が肝を冷やすことになるとは思わなかったけどね」

「す、済みません…」

 

うぅ、お、驚いちゃうとどうしても…はうぅ…

 

「それで? フィルに何を教えてたの? メイド服なんて着せちゃって」

「フィルが空を飛びたいから教えて欲しいとお願いしてきたんです。

 なので、空を飛ぶ方法を教えようかと思いまして。

 それと、メイド服の方は私の指示じゃありませんよ?

 教える代わりにマヨヒガの掃除をお願いしましたが」

「メイド服は私の仕事着ですからね。お掃除となればメイド服です」

「ふーん、しかしちょっと気に入らないわね」

「気に入らないとは?」

「折角マヨヒガに来たんだし、紅魔館のメイド服は違和感があるわ。

 ここはどう? 藍や橙、そして私に似たような服装というのは」

「に、似たような服装…ですか?」

「そうね、橙との色違いなんてどうかしら。耳は帽子から突き出すスタイル」

「み、耳を突き出す…」

 

そう言えば、橙ちゃんの耳は帽子から突き出してたね。

で、藍さんの方は帽子の中。

 

「そうよ、折角耳が生えてるんだし、ファッションとして生かすのもありよ」

「み、耳をファッションですか? そんなの考えたこともありませんでした」

「無理も無いわ、一応私はあなたの過去は知ってるからね。

 でも、だからこそよ。もうその姿で生きる事に決めたんでしょう?

 なら、自分の大事な体の一部もしっかりと着飾らないとね」

「そ、そうですね…あ、でも橙ちゃんと一緒って事は…

 わ、私も耳にピアスを付けたりするんですか?」

「抵抗あるの?」

「あはは、ふ、普段やらない事ってちょっと…」

「挑戦は大事よ? と言う訳ではい、ピアス」

「ど、何処から…」

「私を誰だと思ってるの?」

 

うん、確かに紫さんなら何処からでも出せるよね…

ちょ、ちょっと抵抗あるけど、ピアス…付けてみようかな。

橙ちゃんと同じ場所よりは反対の方が雰囲気は良いかな。

 

「うーん…う、うぅ…」

「どうしたの?」

「い、いやぁ…私、耳は敏感で…」

「そうなの? だとすれば結構痛いのかしら」

「あ、痛いのは大丈夫です。慣れてますから」

 

とりあえずちょっと痛いのを我慢してピアスを付けてみた。

 

「ふむふむ、中々良い感じね。じゃあ、橙の服が赤だし

 あの服と殆ど同じ服で、色合いだけ青にしてみましょうか」

「お言葉ですが紫様。フィルは青よりも赤い方が似合ってます」

「む、確かに首に巻いてるマフラーも赤いからね。

 でもそれだと橙と被ってしまうわ…ここは、そうね。

 橙もたまには気分を変えたいだろうし、橙の色を変えましょうか。

 緑とかありね」

「緑色の服装をした橙ですか…確かに似合いそうですね。

 いやそもそも、橙はどんな色でも似合う気がします」

「それを言ったら、フィルもどんな色でも似合いそうだけどね。

 とは言え、首に巻いているチャームポイントであるマフラーが赤だし

 やっぱり一番似合う色は赤…でも、そのワンポイントを寄り目立たせる為に

 他の色合いというのもありかもね。やはりここは青で行きましょう。

 そして橙は緑にするわ。どんな風になるか見物ね。藍、明日までに作りなさい」

「はい、仰せのままに」

「あ、あのー…何だか私達が着せ替え人形みたいになってませんか?」

「気に入ってる可愛い子には色々な格好をさせたいじゃないの」

「普段見ている姿以外の姿も見てみたいと感じる時がたまにはあるんだ」

 

藍さん、本気で今日中に作る気なんだね…出来るのかな?

 

「藍様~、お腹が空きました~」

「あら、食いしん坊ね」

「…ふにゃ!? 紫しゃま!? どうして!?」

「あら、橙とフィルは驚いた時、同じ言葉を言うのね」

「あ…そ、そう言えば私も驚いた時、ふにゃって言いますね…」

「狼なのにね、ふにゃ、よりはきゃう、のほうがそれっぽいわ

 今でも可愛いけど、どう? 口癖変えたり」

「咄嗟の声って、そう簡単に変りませんよ…」

 

でも驚いたなぁ、まさか紫さんが起きてくるなんて。

やっぱり悪い事しちゃったなぁ…私のせいでリズムが崩れたみたいだし。

うぅ、もうこんな事無いようにしないと…はうぅ。


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