東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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うん、どうも藍さんは本気だったみたいだ。

本当に1日で私達の服を縫ってくるなんて…

 

「えへへ、藍様! 似合いますか?」

「あぁ、可愛いぞ橙!」

「あの、紫さん…そんなにマジマジ見ないでください…恥ずかしいです」

「うーむ、マフラーで蝶ネクタイが隠れちゃうわね…

 そのマフラ-、取って頂戴よ」

「あ、あの…紫さん知ってますよね、こ、このマフラーって…」

「フェンリルの方も臨戦態勢じゃなかったら出て来なでしょ」

 

そうなのかな…このマフラー、一応封印みたいな意味合いがあるのに…

 

「それにほら、その気になればマフラー関係無しに出て来そうだし」

「た、確かにマフラーを付けてる間に

 フェンリルお姉ちゃんが出てくることはありますけど…」

(出てあげようか?)

(い、今は良いよ…)

 

うん、フェンリルお姉ちゃんは結構いつでも出て来れるからね。

力は出せないみたいだけど、口くらいなら問題無いし。

でも、フェンリルお姉ちゃんが私の体を動かしてるときでも

私がマフラーを取ろうとしないと取れないんだっけ…

 

「じゃ、じゃあ、これで…」

 

流石にマフラーを取るわけにはいかなかったし

私はマフラーを服の中に入れてみる。

 

「うん、やっぱり赤いマフラーってプロレスラーみたいよね」

「もう、私はこのマフラー大切にしてるんですから。

 だって、お父さんとお母さん、それに皆の祈りが詰ったマフラーです」

「優しい鎖って奴ね。とは言え、赤いマフラーって奴は

 やっぱり冬服じゃないと似合わないわね…」

「多分、色関係なくマフラーは冬服じゃないと似合わないかと…」

 

まぁ、私は着こなしとかどうでも良いんだけどね。

大事なマフラーなんだし、いつだって身につけていたいから。

 

「でも毎日付けてるのはやっぱり大事だから?」

「はい、それは当然ですよ!」

「そう…やっぱり可愛らしいわねこの子…」

 

紫さんの表情がちょっと恐いなぁ…

 

「……ねぇ、やっぱり私の式にならない?」

「私、レミリアお嬢様のペット…と言うか、家族ですので」

「最初から私が保護してれば良かったわ…今更後悔」

 

紫さん、何か結構本気でガッカリしてるような気がする…

でも、私はレミリアお嬢様の家族。あそこを離れたくはないよ。

 

「そ、その…えっと…だ、大丈夫ですよ、式にはなれませんけど

 紫さんの事も私、大切に思ってますから。

 恩人って…ありがとうございます、紫さん。

 

 私を幻想郷に連れてきてくれて…

 お父さんとお母さんの願いを聞き入れてくれて…

 私を、受入れてくれて!」

「ふふ…当然よ、幻想郷は全てを受入れるのよ。

 それはそれは残酷な事だけど、そしてまた優しい事。

 居場所のない思いさえ、幻想郷は受入れるのよ」

「紫様、格好いい事を言ってますけど頬が緩んでます」

「あなたに言われたくないわ、藍…ちょっと鏡を見てきなさい

 真剣な表情だけど鼻血出てるわよ? シュールすぎるわ

 あなた本当に橙の事好きよね」

 

藍さん…凄く真面目なんだけど、たまにこうなるよね…

あはは、でも完璧すぎると近寄り難いし

こう言う弱点があった方がきっと良いよね。

 

(いや、むしろあの状態の方が近寄り難いと思うけど?)

(……ほ、ほら、何だかこう、可愛らしいじゃん…)

(てかフェンリル、テメェもどうせあれだろ?

 フィルの姿を拝めるようになったらああなるだろ?)

(おいこら、なんで君が今起きてるんだよ、就寝中じゃ?)

(俺にも会話させやがれ! フィルは俺の妹でもあるんだぞ!?)

(ふふ、君よりも僕の方がお姉ちゃんしてるから)

「はぁ!? テメェ、位置的には俺の妹なのに舐めやがって!」

(あの! 私の頭の中で喧嘩しないで!)

 

あ、あはは…頭の中で喧嘩してる声が響くって、結構変な気分だよ。

 

「…ちょっと出てるわよ、何? 頭の中で喧嘩でもしてるの?」

「あ、そ、その…すみません」

「結構不便だな、そう言うのは。たまに出てくると」

「頭の中で喧嘩してる声を聞くのって、しんどそうよね。

 空を飛ぶ練習のついでになんとかする練習もしたら?」

「な、何とか? どう言う?」

「ほら、2人の人格を出すとか…人型にして、式神みたいな感じで」

「そんな事出来るんですか!?」

「あなたは結構特殊な存在だし、可能かも知れないでしょ?

 とは言え、今はそれよりも空を飛ぶ方が大事かしら。

 空を飛べないというのは、中々不便だからね。

 空を跳ぶ事は出来るようだけど」

「そ、そうですね、修行を頑張ります!」

 

頑張らないとね、修行を! でも、この格好でするのかな?

橙ちゃんの格好だし、何だか普段と違うから違和感が…

め、メイド服を着てたほうが、何なら落ち着くというか…

 

「その前に、朝食でしょう? あなたは特に大食いだしね」

「た、確かに大食いですけど、大丈夫です! お腹は制御出来ます!

 沢山料理が出ていれば沢山食べますけど、

 あまり出ていなければそれだけで十分満足です」

 

私はそんな感じだからね。食べる時は沢山食べるけど

食べないときはそれだけで満足できる。

 

「ふぅ、いやぁ少しだけお財布に優しいわよね。

 それじゃ、藍、橙を抱きしめるのは後にしてご飯の用意」

「は! す、すみませんでした!」

「いやいや、気にしないで良いわよ?

 お気に入りを愛でたいのは当然だしね」

「あ、あはは…紫さんは私を抱きしめるんですね…」

「お気に入りを愛でるのは当然ですもの」

「紫さん…何だか今日は随分と雰囲気が…寝起きだからですか?」

「元々、あなたの事は気に入ってたんだけど、不安要素が多かったからね。

 不本意ながら多少距離を取ってただけなのよ。今は不安要素はないしね」

(おい、このババア殴って良いか? 俺のフィルに馴れ馴れしすぎる)

(僕も噛み付きたい。僕のフィルに馴れ馴れしくしすぎだ)

(あの……2人もドンドン雰囲気変ってるよ…?)

 

うぅ、何だか環境が変化してる気がする。やっぱり紅魔館が落ち着くかも…

でも、紫さんに抱きしめられてると、少し安心する自分も居る。

誰かに守られてるような、そんな安心感…お父さんとお母さんと一緒の時も

こんな暖かい思いを感じてた…その思いは今でも常に感じてるけどね。

暖かい…とても暖かい私のマフラー…私はこのマフラーはずっと大事にする。

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