東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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圧倒的な成長性

休んだ後、私はあの視認した3つの力の制御を始めた。

力の制御って言うのはちょっと感覚が難しいかもね。

 

「んー…」

 

精神を集中させて、3つの力の内、青い力の制御をする。

紫さんが言うには、この力を足下に集中させるとか。

…ん、落ち着こう私。私は何度か空を飛んでる。

永琳さんの薬の効果だけど、その時の感覚を思い出せば…

 

「……」

「ふふ、これはかなりの速度ね」

「えぇ、もう浮遊までいきました」

 

やった! 空を飛べた! 感覚で分かる。

後はこの状態で動き回る事…

 

「よし、こ、こんな感じで…」

 

永琳さんの薬で飛んだときの感覚を思い出して

私は飛行状態での移動を試してみる。

な、何だか永琳さんの薬で飛んだときよりも早く飛べる気がする。

 

「見事ね、月の賢者に薬を貰って飛んでたのがよかったわね。

 力の視認から軽い制御で、すぐに空を飛べるようになるなんて

 私も想定外の速度よ。流石フィル」

「あ、ありがとうございます!」

「フィル、そのまま力の制御を上手くしていけば

 お前はもっと色々な事が出来るぞ。鍛錬を怠るなよ」

「はい! が、頑張ります!」

「フィル凄いわね…私ももっと頑張らないと」

「そうだな、橙はもっと頑張らないとな」

「はい! 頑張ります! 藍様!」

 

よしよし、これで空を飛べるようになって

今まで以上にレミリアお嬢様に貢献できるぞ!

一緒に移動って時に空を飛べないと不便だしね。

今度は3人に分身出来るかも知れないみたいだから

それを出来るように頑張ろう。そして3人でレミリアお嬢様に!

 

(フィル、多分それが出来たとして、出てくるのは君の分身だけど

 精神的には僕達だと思うんだよね…多分、手伝わないよ?)

(と言うか、俺達は家事とか出来ねぇよ。やったことねぇし)

(何だ、君は出来ないんだね。なら、やっぱり僕の方が姉かな)

(はぁ!? お前もどうせ出来ねぇだろ!?)

(出来るよ? 試してみるかい?)

(はん! テメェが出来るなら、俺だって出来るぜ!?)

(じゃあ、今度勝負してみようか?)

(上等じゃねぇか! このクソ狼!)

(だから私の頭の中で喧嘩しないでよぉ!)

 

うぅ、なんであの2人、仲が悪いんだろう…

 

(ふん! さっさと勝負しねぇと駄目だからな

 フィル! 俺達を出せるように気張れ!)

(う、うん…で、でもその…喧嘩しないでね?)

(あぁ、僕はする気は無いから安心してよ)

(ケ、俺だってフィルが嫌ってんなら我慢するさ)

 

う、うーん…少し不安だけど大丈夫そう…かな。

よ、よし! 頑張って力を制御して行こう!

 

「ん…あれ? 何か気配が…」

 

力の制御がある程度完了した後、凄い気配を感じた。

ただ者じゃないような気配…こんな気配は何度か感じた。

ヘカーティアさんの気配と…後もう1人は…

 

「あら、今日は随分ととんでもないお客様ね」

「まぁ、異界の神々が姿を見せればとんでもないに違いないわよん」

「ここが幻想郷ね、始めて来たわ。ヘカちゃんありがとね」

「同じく異界を統治する神々同士だし当然よ~」

「私の場合は異界というか、魔界なんだけどね」

 

ヘカーティアさんの隣に居る女の人…

銀髪のロングヘアーに大きなサイドテール。

肩口のゆったりした赤いローブ…存在感があるね。

 

「ヘカーティア・ラピスラズリと…

 確か魔界の神、神綺だったかしら」

「へぇ、私の事を知ってるのね、八雲紫だっけ?

 この幻想郷を作り出したって聞いてるわ、お揃いね。

 私も魔界の全てを作り出したの。何かを作るって大変よね?

 ちょっとそう言うお話しをしてみたいなーと」

「悪いけど、私の場合は幻想郷を全て作ったわけじゃ無いの。

 基礎は作ったけど、それも私1人で作ったわけじゃ無い。

 幻想郷には私の他にも賢者が居てね、協力して作ったの」

「ふーん、じゃあそこまで凄い存在ではないのね、あなた」

「えぇまぁ、あなた様と比べれば、私なんてちっぽけな者ですわ」

 

あんな風に言ってるけど、紫さん全然動揺してるように見えない。

いつも通り、凜とした態度であの人と会話をしている。

 

「へー、随分と謙遜するのね、あなたは神に匹敵するくらい強いでしょ?

 流石の私でも分かるわよ? そして幻想郷の勢力は非常に危険」

「危険?」

「そう、今回私達がここに来たのは忠告も兼ねてるのよ。

 私や神綺はそうでもないけどね。

 私の場合はあなた達の事を知ってるからね。

 だけど、全てがそうとは限らない。

 幻想郷に神々に仇なす存在が居るとなれば煩わしいと」

 

ヘカーティアさんの言葉に反応した紫さんが

2人から守るように私の前に立った…

 

「彼女には手を出させないわ。もう彼女は幻想郷の住民。

 彼女に手を出すとなれば、私も動くわ」

「安心しなさい、さっきも言ったけど私達は否定的ではないの。

 忠告というか、情報をあなた達に与えに来ただけ」

「まぁね~、その子も何だか可愛らしいし、悪い子には見えないのよね。

 ちょーっと、近寄り難いという感じはあるけどね」

「仕方ないわよ、彼女は神々の天敵なんだから。

 そして神を喰らった狼であり、全能に仇なす蛇でもある。

 神々は大体が臆病者だから、早急に危険な存在は消したいのでしょう」

「フィルは私達が守らせて貰うわ」

「あらあら、あなた達に守られるほど、彼女は弱いの?」

「彼女は強いわ、とっても。でも、彼女は人間なのよ」

「そう…なら忠告よ、強くなりなさい。フィル、あなたもね」

「は、はい…強く、なります…」

「そこで提案なんだけど、魔界に来ない?」

「ま、魔界?」

 

ど、どう言う…どうして魔界って所に?

 

「そこで私達が色々と教えてあげるわ。

 力の制御とか、そう言うのをね」

「え…あ、あの…どうしてそこまで…」

「単純に私が興味あるのよね、ヘカちゃんから色々と教えて貰って

 あなたという存在に私は興味を抱いた。

 どんな感じなのか知りたいって言うのがあるのよ。

 で、そのお礼にあなたを私達で鍛えてあげる」

「そう言う事よ。何ならほら、体分離させたいでしょ?」

「うぇ!?」

「ほら、私はこんな事出来るし」

 

そう言うと、ヘカーティアさんの周りに2人のヘカーティアさんが…

金髪と青髪…そう言えば、戦った時もよく髪色変ってた様な。

後、雰囲気も変ってて…ど、同時に出せるんだ!

 

「はい、こんな感じ。あなたの中にはフェンリルとテュポーンがいる。

 私達が稽古を付ければ、その2人を分離し、3人で戦えるわ。

 戦力は多い方が良いでしょ?」

「……わ、分かりました。わ、私が強くならないと幻想郷が危ういのなら

 私、強くなります!」

「よろしい。異論は無いわね? 八雲紫?」

「……えぇ、良いでしょう。我々のフィルをあなた方に託します。

 しかしながら、私よりも許可を取るべき相手が居ます。

 彼女の主である吸血鬼、レミリア・スカーレット」

「吸血鬼如きがこの子の主なの?」

「レミリアお嬢様の悪口を言わないでください!」

「あ、あらごめんなさい。確かに如きは言い過ぎちゃったわね。

 …でも、ヘカちゃん、本当なの? 吸血鬼が彼女の主って」

「えぇ、その通りよ」

「も、勿体無い…これだけ凄いのに主が吸血鬼なのね。

 あなたほどの実力なら、もっと凄いのに仕えられるでしょ」

「私はレミリアお嬢様の家族なんです。

 私に取って、レミリアお嬢様以上の主なんて居ません!」

「そう…どうすればここまで忠誠を誓えさせられるのかしら」

「人徳とかじゃないかしら。さ、とにかく会いに行きましょうか」

「そうね」

 

レミリアお嬢様にまたしばらく帰れないって伝えないと…


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