「……紅魔館にまた随分とデカい存在が来たわね」
「ふふ、紅魔館に神が2人だからね」
レミリアお嬢様も流石に驚いたのか
少しだけ表情が強ばってるように見えた。
やっぱり凄い神様なんだなぁ。
「今回、私達がここに来た理由は分かるかしら?
可愛い吸血鬼ちゃん」
「可愛いなんてくだらない事を…しかし、あなたは何者?
隣は分かるわ。地獄の女神、ヘカーティア・ラピスラズリ」
「あらあら、私は地獄の女神でもあり、地球の女神でもあり
また、月の女神でもあるのよん? と言っても~
私は地獄というだけでなく、そもそも異界の女神よん。
少なくとも、今の私の状態であればね」
今のヘカーティアさんの姿は赤色。
他にも青色と黄色があるけど、この姿では異界の女神なんだね。
「そして、私は魔界の女神、神綺。
これでも魔界の全てを作った魔界神と言う奴よ?」
「魔界って単語がそもそも聞き慣れないのよね」
「外界との交流は断ったからね、一時期は魔界人が
幻想郷に旅行とかで出て行ってた時期があったけどね~」
そうなんだ、魔界人…どんな人達なんだろう。
私達とそんなに変らないのかな? それとも全然違うのか。
でも、神綺さんの姿を見る限り、同じ様な気がする。
異形の化け物とかが居るような感じではないよね。
「ふーん…しかし、フィルが私の所に来てと言う物
どうも紅魔館には客人が絶えないのよね。
特にあなた達のような規格外が…
そして、幻想郷の賢者もよくやってくるようになったわ。
今日も来てるんでしょ? 八雲 紫」
「あら、よく分かったわね」
「こんな大きな動きがあれば、当然あなたも来ると思ってね。
あなたは何だかフィルをかなり気に掛けてるようだしね」
「えぇ、この子は私のお気に入りですもの」
やっぱり紫さんも見てたんだなぁ、視線を感じる気がしたもん。
「幻想郷の賢者、地獄の女神、魔界の女神…そうそうたる顔ぶれね」
「レミリアちゃん、一応は自覚した方が良いと思うから言うけど
あなたはこれだけのメンバーと対等に話せるほどの立場になってるよ」
「大出世と言う感じかしら? と言っても私自身の戦力も意外と多いのよね」
「……しかし、レミリア。あなたも大分雰囲気が変ったわね」
「何がよ」
「いえ、例の騒動の時は何処までも自分勝手で身勝手に身の程知らずだったのに
今では、自分勝手では無くなり、身勝手でもなくなった。身の程も知っている」
「喧嘩を売ってるの?」
「いえいえ、その様な事はございませんわ。
ただね、妖怪がここまでの短期間で変ったというのが不思議なのよ」
「ふん」
レミリアお嬢様が少しだけ不機嫌そうな表情になるけど
少しして、僅かに微笑んだ。
「妖怪だろうと何だろうと、環境が変れば変るのよ。
私は姉として、主として、しっかりとした振る舞いをしなくてはならないの。
紅魔館の主として
フランドール・スカーレットの姉として
そして、フィルの主として。
子供っぽいままじゃ示しがつかないでしょ?」
「…そう」
その言葉を聞いた紫さんが僅かに微笑んだ。
「ふーん、なる程ねぇ、これがレミリア・スカーレット…
まぁ、普通ね、極めて普通」
「何が言いたいのよ」
「強大な力を得たはずなのに、その意思は極めて普通。
要するにあれでしょ? 現状維持大事って事でしょ?
力があるのに今を良しとして、先を見ていないわね」
「何が言いたいのよ魔界の女神! 言いたいことがあるなら
ハッキリと言いなさい! まどろっこしい言い方は!」
「では、ハッキリと伝えるわね。レミリアちゃん。
あなたは今のままでは……主としても姉としても
その責務を全うすることが決して出来ない」
「……あんた、何をくだらない事を!
私が何も出来ないとでも言いたいの!?」
神綺さんの言葉を聞いたレミリアお嬢様が怒鳴りながら席を立った。
「れ、レミリアお嬢様! お、落ち着いてください!」
い、急いで制止しないと、ここで喧嘩しても意味ないし!
「邪魔をしないで、フィル! こいつは!」
「はいはい、喧嘩しないで。私達は喧嘩をしに来たわけじゃ無いのよ」
「喧嘩を売ってきたのはこいつよ!」
「……あなた達、一体何を知ってるの? そして…何を恐れているの?
私達の前に現われたときだって、何かを懸念しているようだったわ
私達に対し、強くなれと…それは、どう言う意味?」
紫さんが2人に疑問を投げかけた。
ヘカーティアさんと神綺さんはその疑問を聞き
少しだけ考えた後に、小さく口を開いた。
「まだ伝えないわ、杞憂になるかも知れないからね。
でもまぁ、ひとまず私達はフィルに稽古をつけてあげたいの」
「喧嘩を売ってきた相手に任せると思う?」
「気に触ったというのなら謝罪するわ。でも、もしもよ?
もしフィルが再び暴走した場合、あなたは止められる?」
「……それは、でもそれを不安に思うのであれば
何故フィルを強くしようとしてるの?」
「彼女が強さを求めているからよ。あなた達を守る為にね。
私達は神、そんな思いに応えてあげないとと思っただけよ」
「……ふん、そう。フィル…どうするの?」
「は、はい! わ、私、強くなりたいです!
強くなって、皆を守りたいので、私、魔界に行きたいです!
れ、レミリアお嬢様…何度も何度も本当に申し訳ありませんけど…
わ、私が魔界に行くことを許可してください!」
「……良いわ、好きにして。あなたの意思を尊重するわ」
「あ、ありがとうございます! 私、頑張りますね!」
私はもっと強くなって皆を守るんだ!
守られてばかりじゃなくて、皆を守れるくらいに強くなる!
「……紫、後で話したいことがあるの」
「…分かったわ、何でも言って頂戴」
ん? ヘカーティアさんが紫さんに何か…
でも良いや! 今は魔界で頑張って修行しよう!