東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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魔界の街並み

魔界って言うのは、何だか恐い雰囲気があった。

だけど、いざ言ってみると意外とそこまで恐くはない。

何だか若干明るい雰囲気もあるし、少し発展してる街並みがある。

 

「はい、ここが魔界よ」

「凄いですね…何だか…」

 

幻想郷とは雰囲気もまるで違うし、まるで現実世界みたいだった。

高層ビルみたいなのも沢山あるし、まるで大都会だよ。

こんな場所が博麗神社の裏山にある洞窟の中にあるなんて…

 

「全く、なんで私まで巻き込まれるんだか」

 

博麗神社の裏山だから、霊夢さんもやって来た。

 

「まぁ、私も久々にってね」

 

そして、博麗神社の中で過ごしてた魅魔さんもやって来た。

私だけだと思ってたから、少しだけ嬉しいかも。

 

「何であなたまで来たのよ、私は嫌なんだけど?」

「なんだい? 私の事、そんなに嫌ってるのかい?

 ま、私はあんたをコテンパンにしてる実績があるからね」

「あら、私が本気を出していたとでも思うの?

 魔界で本気なんか出したら、大変な事になるでしょ?」

「へぇ、じゃあ試してみるかい? 今なら本気で相手をしてあげるよ?」

「良いわね…と、言いたいところだけど、この子が居る地点で

 どれだけ派手にやっても、ただの前座にしかならないわね」

「えぇ!? そこで私に!? ま、まぁ、私の存在で

 喧嘩が止まったというなら、別に良いんですけど…」

「全く、幻想郷でもえげつない奴らが勢揃いよね。

 何で魔界に行かなきゃならないのかしら…神社でゴロゴロしたいわ」

 

霊夢さんはあまり乗り気ではないんだけど、紫さんに話を聞いて

渋々一緒に魔界に来ている状態だったりする。

何を聞いたのか分からないけど、深刻な事なのかも知れない。

 

「博麗の巫女なんだから、ちょっとは気合い入れなって。

 あんたは立ち位置的には相当力あるんだから」

「はぁ…まぁ、仕方ないから修行するけどさ…

 私、本来そう言うの好きじゃないってのに…面倒くさいわね」

「面倒くさいと言いながらも来てるじゃ無いの。素直じゃないわね」

「面倒くさくても、どうしてもやらなきゃ駄目なのよ。博麗の巫女として」

 

博麗の巫女って、やっぱり色々と大変なんだと思う。

幻想郷の重要なポジションだからね、重要なのは当然かも。

 

確か霊夢さんが居なくなったら、幻想郷の維持が困るんだっけ?

普段、何かしているって感じはしないけど、やっぱり霊夢さんは凄い人なんだ!

 

「やっぱり霊夢さんって凄い人なんですね!」

「う、や、止めなさいの、その憧れてますみたいな目…」

「憧れます!」

「うぐぐ…あなたかなり純粋よね、力凄いのに。

 もうちょっとこう、疑ったりしないと騙されたりするわよ?」

「んー、そこは大丈夫だよ、ほら、僕達が居るから」

 

いきなりフェンリルお姉ちゃんが私の口を動かした。

うーん、いきなり出て来られると、ちょっと驚くよ。

 

「あら、これがフェンリルちゃんね、あなたがもしも別れて出たら

 どんな見た目になるのかしら? フィルちゃんそっくりなのかしら?

 それともフィルちゃんをちょっと男らしくした感じかしら?」

「男らしくなるとすれば、僕よりもあの蛇だと思うけどね。

 口調は完全に男だ。中身はポンコツだけどね」

「殺すぞクソ狼!」

「もう止めて! 私の口を使って喧嘩しないでよぉ!」

(ご、ごめん…)

 

2人が同時に私に謝罪をしてくれた。

確かに2人が私と切り離されて色々と会話とかするのは

何だか気になる気がする。どんな見た目になるんだろう?

ちょっと想像出来ないから楽しみだよ。

 

「フィルちゃんは大変そうね。でも、2人を制御してる感じね」

「制御って言うか、2人が私の事を大事にしてくれてるから

 私のお願いをすぐに聞いてくれるってだけなんですよ。

 頼りになるお姉ちゃん達ですけど、すぐ喧嘩するのが…」

「いやはや、全く面白いねぇ、最強の魔獣と魔狼が

 こんな可愛らしい女の子に飼い慣らされてる何てねぇ」

「おっと悪霊さん。飼い主が可愛いだけとでもお思いかな?

 フィルは自覚が無いだけで、僕達より強いよ?」

「えぇ!? そ、そんな事無いよ!? 私、弱いもん!」

「弱いねぇ…自覚が無いってのも大変ね。

 あなたが弱いとか、あり得ないっての」

「霊夢さんまで! 私、弱いですもん! 助けて貰わないと何も出来ません!」

「まぁまぁ、自分の強さはその内自覚するようになるわ。

 いや、自覚しないといけなくなるのかしら? まぁどちらにせよ

 あなたがどれだけ言っても、あなたは凄く強いと言う事よ。

 その事実は変らない。私もあなたと戦うのは避けたいくらいにね」

「またまた、おだてても何も出ませんよ」

 

私は何だか、周りから凄く強い凄く強いって言われるけど

私自身、そんな風には全く思わない。

だって、私はずっと守れてばかりだったから。

 

いつだってそうだったから。外の世界に居たときも

私は結局フェンリルお姉ちゃんに守られて

テュポーンお姉ちゃんに守られて…

そしてお父さんとお母さんに守られてた。

 

幻想郷に来たときだって、レミリアお嬢様に守られて

紫さんに守られて…そして、父さん母さんに守られてた。

だから、私は結局守られてばかりなんだ。

 

……でも、このままだと駄目だって事くらい、私も分かる。

だから、私は強くならないといけないんだ、その為に努力するんだ。

頑張ってテュポーンお姉ちゃんやフェンリルお姉ちゃん程じゃ無いにしても

大事な場所を守れるくらいに、強くならないといけないから!

 

私は頑張る! 失わないために、私は頑張る!

守られてばかりじゃ駄目だから、私は強くなるんだ!

精神的にも肉体的にも、私は成長しないと!

 

「でも、私はまだまだ弱いですけど、絶対に強くなります!」

「その意気や良し。あなたは絶対にもっと強くなるわ」

「本当、どうしてそこまで頑張ろうと思えるか謎よね」

「自分を下に見ても、下に見すぎない位が丁度良いのさ

 フィルは丁度良い位に自分を下に見てる。向上心の塊だろうね」

 

私は頑張らないと! 皆に迷惑を掛けちゃったんだから!

せめて恩返しをしないと、申し訳無い! だからまずは強くなる!

そして、レミリアお嬢様を絶対に守り抜くんだ!


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