パチュリ-さんの許可を貰って、私は大図書館の探索をした。
本当にぎっしりと沢山の本があって、何が良いのか分からないや。
でも、こう言う迷ってる時間って、結構楽しいなぁ。
とりあえず適当に取ってみよう、この黒い本とか気になるな。
「よいしょ」
私は黒い本を手に取り、とりあえず開いてみた…だけど
残念ながら読めそうな字が無い、とても難しい文字ばかりだ。
何なんだろう、何て読むのが正解なのかな? さっぱり分からないよ。
「フィルさん、その本を手に取るとは流石ですね」
「どういうことですか?」
「この本は黒のグリモワール、闇属性、最高レベルの魔術に関する
記述等が行なわれていて、この本を読めれば最高位の黒魔術を扱えます
と言っても、よほどの人じゃ無い限り、精々小さな使い魔を召喚できる程度ですよ」
「使い魔?」
あまり聞いたことの無い単語だった、と言うか、初めて聞いた。
「あぁ、使い魔というのは主の命に従い、行動する従順な悪魔などのことです
因みに私はパチュリ-様の使い魔で、小悪魔ですが、一応高位の悪魔ですよ」
「小って付いてるのにですか?」
「か、肩書きですし、そもそも人の形態を取れる使い魔は結構凄いんですよ」
へぇ、使い魔のことはよく分からないけど、小悪魔さんがそう言うならそうなんだろうな。
それにしても、この本…えっと、えっと…うーん…うーん…
「睨めっこしても分からないと思いますけど」
「ディル…アルデレッグド、シュリエ、二ニューキス」
「え!? まさか、読めるのですか!?」
「あ、いえ、予想から言語を理解しようとして」
「…何だ、驚きましたよ」
とりあえず、このまま予想から文字を読んでいってみよう。
まぁ、当たってるか分からないけど、多分大丈夫だと思う。
きっとこう言うのはパズルだ、パズルみたいな物なんだから。
「ファララード」
私がそこまで口に出して言うと、黒い本が少し光りだした。
「まさか! 詠唱が成功した!? 予想で!?」
「よく分かりませんが、何だかすごそうです!」
何度か断続的に光り輝き、最後に強い光が発せられた。
すると、目の前に可愛い子犬ちゃんが姿を見せてくれた。
「あ、可愛い子犬ちゃんです」
「本当ですね…でも、なんで子犬?」
自分でもよく分かってないのだけど、可愛いから別に良いよね。
でも、本当に可愛いなぁ、なでなでしちゃえ。
「可愛い!」
子犬は私のなでなでに少しだけ反応を見せてくれた。
何だかすごく嬉しいよ! あぁ、ずっとこうしていたい気分かも。
「しかし、子犬とはいえ、この短期間で文字を予想、黒のグリモワールの文字を読み
使い魔であろう魔物を召喚…恐ろしい才能ですね、これはパチュリ-様も興味を示すわけです」
「パチュリ-さんが興味を?」
「はい、最初に出会ったときからどうもあなたの事が気になってたらしいですよ」
「ど、どういう意味ですか?」
「いえ、あなたは見た感じ非常に弱そうですよね?」
「うぅ…」
いや、事実だけど、事実なんだけど…ここまでハッキリと言われると…何だか悲しくなるよ。
「でも、パチュリ-様はフィルさんが見た目通り弱いとは思って無いようで」
「あの…事実なんですけど…やっぱりハッキリと言われると…」
「あ、すみません、ですが、事実ですし」
「よ、容赦ありませんね、もう少しソフトに言って欲しいです」
はぁ、何だか自信無くすなぁ、いや、事実なんだよ? 事実だけどさ。
でも、やっぱりこれは少し…うぅ、やっぱり見た目に迫力が無いのかなぁ。
何だかなぁ、うぅ、もう少し迫力が欲しいなぁ。
「うーん、半獣というのはそこまでの能力があるのでしょうか」
「分かりませんけど、慧音さんもすごかったし、意外とあるのかも知れません」
でも、私に慧音さんみたいな能力があるとは思えないけどね。
私、すごく弱いし、慧音さん見たいな能力なんてあるわけ無いよね。
で、私達2人が色々と考えていると、私が召喚した子犬ちゃんが
少し淡く光ったと思うと、消えてしまった…
「こ、子犬ちゃんが…」
「時間が経った感じですかね、きっと一時的に召喚する魔法だったんでしょう」
「召喚の魔法にも色々とあるんですね」
「えぇ、ありますよ…少しお話ししましょうか」
「あ、お願いします」
自分も召喚魔法って言うのが使えるかも知れないわけだし
案外知っていても良いかも知れないかな。
「では、えっと、召喚魔法の種類は大きく分けて2つだけです」
「そうなんですか?」
「えぇ、1つは先ほどフィルさんがやったと思われる一時的召喚魔法
この召喚魔法は大した魔力を消費しません。
理由としてはただ召喚に応えた魔物がちょっと出てくるだけですから
ですが、この召喚で出てくる魔物は人によって違います」
へぇ、違うんだ、全部の人が同じ魔物を召喚できるとかじゃないんだね。
「基本的にその召喚を施した召喚主の力に呼応して出て来ます。
ただ、この召喚では強力な魔物は出て来ません
あくまでお試し、自分の召喚系統を確認するために使う感じですかね」
「へぇ」
「次に本命の永続召喚、私達は契約召喚と言っています。
この時、召喚された使い魔は召喚主の魔力をいただき
この世界に自分自身を維持することとなります。
ですので、極上の魔力には極上の魔物が食い付き
不味い魔力にはあまり良い魔物が食い付いてきません
因みにパチュリ-様は召喚時に魔力を調整して
私達というちょっと上位だけど、上位の魔物ではない私達を召喚しました」
「調整次第で出てくる魔物は違うんですね」
「えぇ、普通は召喚士の魔力の5割を貰って召喚され
維持に少々の魔力、と言う感じなんですけど、パチュリ-様クラスになると
魔力の調整で召喚できる魔物を自由に操れるみたいです。
因みにパチュリ-様が本気で召喚したら、恐らくですけど
魔王レベルか、それに近しいほどの魔物が出てくると思います」
……ま、魔王…何かすごそう、と言うかパチュリ-さんとんでもないよ。
やっぱり紅魔館の人達って皆すごいんだろうなぁ、私も強くなりたいよ。
「うぅ、私も強くなりたいです」
「幻想郷ではあまり力は必要ありませんよ、スペルカードルールですし」
「あ、スペルカード…どうやったら作れるんだろう」
「それは私も知りたいです」
よ、よし、きっとスペルカードを使えるようになって、私も強くなるぞ!
私がそん決心を心で決めたとき、パチュリーさんから声が掛かった。