東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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外の世界の不思議

スポーツというのは、本当に楽しい。

だけどきっと、それは私の事を友達として接してくれてる

大事な友達3人、そして大事なお姉ちゃん達とやってるから。

 

きっと1人だと、ここまで楽しんだりは出来ないと思う。

テレビでスポーツを頑張ってる人達は本当に凄いと思う。

結果を残さないと行けないのに、

結果を残しすぎないようにしないと駄目なのに

あんな風に必死に頑張って……あはは、いや違うかな。

 

結果を残し過ぎない様にしないと行けないのは私達くらい。

人の枠から遙かに飛び出した存在だけなのかも知れない。

でも、どうなのかな……そんな存在がこの世界に居るのかな?

 

現実世界、ここは現実で外の人達があると信じた物だけが跋扈する。

そんな、何とも排他的な世界。そんな世界に幻想郷の妖怪達の様に

人の枠から遙かに飛び出した存在が居るのかな?

 

「ふいぃ~、今日は楽しかったわー」

「そうね、もう足が棒よ……てか、バルーンサッカーってさ

 超しんどいわね。あんな風に弾き飛ばされまくるなんて

 あんなの酔っ払うに決ってるわよね」

「あはは、皆テュポーンお姉ちゃんに吹き飛ばされてたね」

「まぁ、最終的にフィルに吹き飛ばされちゃったけどね。

 ま、調子に乗った罰って感じかな」

「くぅ、本気の体当たりってのはえげつないな」

「あ、あはは、ごめんね。ちょっと張り切り過ぎちゃった」

 

ちょっと楽しくなり過ぎちゃって、最終的に全力でぶつかったら

テュポーンお姉ちゃんが凄い速度でバウンドしてたからね。

 

「しかし、君達は本当に変わってると思うよ」

「え? 私達? 私達の何処が変わってるのさ」

「この状況さ、排他的なこの世界で君達はあまりにも」

「あはは、私達は秘封倶楽部だよ? この世界だけが現実じゃない。

 それ位理解してるし、私達が1番の存在じゃないことも知ってる」

「それに、私達は不思議が大好きなんだ、解明されてない不思議が。

 そして、未知に挑む事が、新しい道を開くことが、秘密を曝くことが」

「そして、その秘密の先が悪い物しかないとはサッパリ思って無いわ。

 結界のその先、あらゆる境界のその先を私はこの目で見てきて

 全てだと思っていた現実が決して全てじゃないことを理解した」

 

3人の表情はとても爽やかで、眩しいほどに純粋な笑み。

色々な悪意を知って、この世界の色々な負の面を見て

 

「じゃあ、君達はこの世界に絶望してるのかい?」

「まさか、まぁ確かにこの世界が窮屈だと思う事はあるわよ?

 ここまで科学的に育ち続けた理想主義の頂点とも言える世界。

 私の言葉を大体の人間は幻想だとか理想だとか言うけれど

 私にはこの世界の方が幻想に見えるの。人が頂に立ってるという幻想。

 人の上が存在しないという理想を世界に押付けたような世界。

 

 でもまぁ、そんな中でも楽しい時間は過せる。

 のんびりとカフェでコーヒー啜って色々な事を誰かと考えて

 あらゆる可能性を頭の中で想定したり、そう言う時間も好きだしね。

 そして、この世界が全てを受入れたとき、どんな形になるのか。

 私はそれがとても興味があるの。非常識が常識になった時

 この世界はきっと、今よりも素晴らしい世界になるんじゃ無いかってね♪」

「そうそう! この世界に絶望なんてしないって。

 まぁ超能力なんて持っちゃってる身の上だし~

 そう言うのが当たり前の世界ってのも憧れるけどね」

「……まぁ、私の場合は……この2人が居なかったら……」

 

蓮子ちゃんと菫子ちゃんの表情は同じで笑ってた。

だけど、メリーちゃんの表情だけは何処か優れてない。

でも、後悔してるようには見えない。

 

「まぁ、私はこんな身の上だけど、楽しく過せる場所がある。

 それだけでも私はこの世界に希望を抱くことが出来るわ。

 幻想郷のように全てを受入れる様な世界も素敵だけど

 私はもしかしたら、全てを受入れるのを怖がるかも知れない。

 

 だから、この世界のように全てではなく好都合だけを受入れる。

 そう言うのも、またありなのかなって思うわ」

「そう言う考えも当然あるわよね、勿論私はそれ位理解してる。

 世界はあらゆる思考で分岐するんじゃないかとも思うしね。

 でも、私は理想を秘密を曝き、可能性を開拓したいとも思うわ。

 まぁ、私の場合はただの知的好奇心ってのが大きいかもね」

「好奇心は猫をも殺す。そう言う言葉くらいは聞いたことあるだろ?

 君達が現実から離れれば離れるほど、君達は現実ではなく幻想に寄る」

「それでも、私は幻想を追い続けたいと思うのよ」

 

きっと、この2人は変わらないんじゃ無いかなって思った。

彼女達は既に、私という非常識な存在さえ受入れてる。

この現実や常識以外は存在を拒絶される、この窮屈な世界で。

そんな彼女達がこの程度の言葉で怯むことがないのは分かりきってた。

 

「それに、この世界に存在してる非常識はきっと窮屈でしょ?

 そう言う子達と色々なお話しをしてみたいとも思うのよ」

「……そうだね、居場所があるだけできっと何処でも楽園のようになる。

 私がそう言ってるんだ……間違いないよ。ありがとう、皆」

「ふふん、気にしない気にしない。私達の方こそ楽しいからね!」

 

そんな話をしてるとき、私の背後を微かな何かが通ったように感じた。

不意に振り向いたその先には小さな小さな歪みが見えた。

 

「結界の境目が……」

「良いじゃないの! さぁ!」

「やっぱりこっちの世界にもこう言うのあるのな」

 

そう言いながら、テュポーンお姉ちゃんが結界の境目を掴み引き裂く。

 

「な、何やってんだよ君はぁ!」

「あー? 結界をぶっ壊しただけだぜ?」

「い、一応結界を破るのって禁忌って言うか…

 と言うか当たり前の様に壊したわね!?

 普通結界を壊す時って、多少の手順が!」

「知るかよ面倒くせぇ、こんなちっぽけな神が作った結界とか」

「ば、馬鹿馬鹿! な、なんて事やってくれとるのじゃ!」

 

あ、結界の中から小さな虎さんが出て来た……

 

「な、何か出て来たぁ!?」

「よぅ、神様かぁ?」

「ふふん、無論じゃ、妾はこの祠に祀られておる神様じゃ!」

「ふーん」

 

か、可愛らしいドヤ顔だね……と言うか、なんで驚かないんだろう。

神様にとって、私達ってとんでもない天敵だと思うんだけど…

 

「まぁよい、とりあえず結界を離すのじゃ。修復できぬ。

 これでも儂、結構強い神様なのじゃぞ!」

「……」

「……」

「なんじゃい主ら、そんなに黙りこくって」

「外の世界の神様って奴は、相当弱いらしいな……」

「ちょっと憐れみを感じるというか」

「なぁ! か、神様である儂に何と言う!」

「はぁ、まぁ良いよ。それに外の世界にも神ってのが居るのが意外だ」

「あまり数は多くないがのぅ。極一部の者しか信仰せぬしな。

 じゃが、その様な存在がおるから、我らは存在できるのじゃ」

 

少ない信仰で存在している神様……

でも、やっぱり不思議なのはこの状況。

何で彼女は私に怯えてないのかが分からない。

 

「ふーん、一応は信仰で生まれてるタイプなんだね。

 その割に、僕らには何も反応しないんだね」

「反応じゃと?」

「まぁまぁ、しかし私としては最高にテンション上がるわ!

 いやぁ、まさか神様が存在してるとは思わなかったよ!

 で、その結界の中ってどうなってるの!?」

「む、主らも奇妙じゃな、驚かぬとはのぅ、まぁ良い!

 ふふん、儂の結界に興味があるとは実に面白いのじゃ。

 さぁさぁ、儂が案内してやろうぞ!」

「なんだぁ? 俺らも良いのかぁ?」

「うむ、不敬ではあるが彼女らの友人というのであれば

 一応は許してやろうぞ。さぁ、入るのじゃ」

「こりゃ、最高の出会いね!」

 

結界の中かぁ、外の世界に存在してる神様が生きてる空間。

どんな風になってるのか、興味あるかも!


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