外の世界は、やっぱり暗い雰囲気が多い。
テレビを見てみれば、暗い話が多くて
意外と、どうでも良い話も本当に多かった。
娯楽目的や、冗談目的としてではなく
こう、攻撃的というか、排他的というか。
何と言うか、余裕の無いような話が多い。
時には意味が無さそうなお話しが多い。
「うーん」
(暇だな、何か暇だな)
(そりゃまぁ、暇でしょ)
皆が居ない間、私はこの部屋で過ごすしか無い。
やることが無いわけじゃないんだけどね。
でも、お部屋の掃除はもう完璧に終わっちゃってるし
2人が居ないから、2人が学校に行くまでの準備は不用だよ。
だって、朝のお弁当作りをする必要も無いし
今はお昼だから、自分の昼食を用意すれば良いだけ。
掃除はもう完璧だし、洗濯ももうすでに終わって干してる。
暇だからと部屋の隅々を探してみても、ゴミはないし……
持ち物の整理とかは既に終わってるし、やる必要も無い。
2人の部屋も既に完全に終わってるわけで……やることがない。
「うぅ、暇すぎるよぅ……」
(まぁ、紅魔館の掃除とかと比べればねぇ)
(あそこは部屋数が異常だからな、当然だろ)
「でも、2人のお陰で結構暇は潰せるよ、ありがとう」
(まぁ、俺らも暇だからな)
(だねー、て言うか、テュポーン、君は最近出しゃばりすぎだよ。
お昼、フィルが起きてる間は僕が面倒見る予定なのにさ)
(大丈夫だっての、寝てる間も俺が面倒見てるから)
「あはは、ありがとうね、2人とも」
(お姉ちゃんとしては当然だぜ)
こう言うとき、普通の人達はどうやって過ごしてるのかな?
やっぱり、テレビを見て過ごしてるのかな?
でもなぁ、私はこう言うのを見ても、あまり面白く無いんだよね。
(何処かの有名人が不倫したって、これで何回目だよ)
(多いなぁ、くだらねぇ話……外の世界は平和だな)
「死んでる人も沢山居るよ……」
(だがよ、すぐ別の話題だ。様はこっちの世界じゃ
人1人がくたばるより、有名な奴が不倫ってのをした方が
やっぱ重要な問題なんじゃねぇの? てか、不倫って何だよ…)
(心に決めた奴以外と関係を持つことだよ、それ位知ってるだろ?)
(あー? それがヤベぇ事なの? 俺が知ってる奴は
何百人と関係持ってたぞ? ついでに人の国滅ぼしてたし)
(やれやれ、何処のお爺ちゃんかな。まぁ、僕の方もやらかしてたけど。
まぁ、そう言うことなんじゃ無いかな? 人の命なんてそんな物なのさ。
君も何処かの誰が死んでも興味無いだろ?)
「私は心が痛むよ……どうして同じ人同士で殺しちゃうんだろう。
私には分からない……何が嫌なのか、私には分からない」
(そりゃ、君には分からないし、君が分かるようなことじゃないさ。
怨むべき相手を前に、忌み嫌い、痛めつけて来た奴らを前に
その圧倒的な力を振るわず、誰も殺さなかった君にはね)
誰も殺したくなかった、その人が私に何をしてきたか。
私は知ってる、向こうは知らなかったかも知れないけど私は…
でも、殺したくなかった。誰も、そんな簡単に1つの命が
誰にも感謝されることなく、意味なく散るのは……
理解してる、私達は色々な命を殺し生きてるんだって。
それがルールみたいな物になってるのも知ってる。
私はあの全てを受入れる世界で、そんな現実さえ受入れた。
それでも、私には出来ないんだと思う。
自分の手で、誰かの大事な存在を握り潰すなんて事は。
(勿論悪い事じゃねぇぞ? それはまぁ大事な事だ。
人によっちゃ違うのかも知れねぇが、お前にとって大事なら
それはきっと、どんな精神よりも尊くて大事な物だろう。
人によって価値観が違うなら、自分に響く価値観が1番なのさ。
ま、俺は殺戮を楽しみてぇが、俺が触れてるお前という妹。
そんな大事な妹の考えに触れて、殺戮には興味は無くなってる。
そう言う事じゃないか? 自分が貫く信念って奴は
色んな奴を変える。そう言うのが面白ぇ生き方って奴だろ)
「そうなの? でも、2人とも優しくて」
(君が優しくしたのさ。君はそう言う存在なんだ。
君がその考えた正しいと思ったら、貫いた方が良い。
君の生き方は実は既に何億の命を救ってる。誇って貫きなよ)
何億の命を救ってる? フェンリルお姉ちゃんは何を言ってるんだろう。
私は何もしてない、ただテレビを見て、自分の思いを伝えただけ。
それだけで、私は何も行動していない……行動も出来ない。
私は臆病だから……でも、2人がそんな風に言ってくれるなら
私は胸を張って誇るべきなのかも知れないね。
(まぁ、こんな話は良いだろ。今は暇だって事だ)
(テレビも退屈だからねぇ、刺激的なニュース無いのかな?
戦争とか、そう言うのがあっても良いんじゃ無いかなぁ)
「戦争なんて、そんな」
(あるんだよ、報道してないだけで戦争なんて何処でもね。
偽りの力を持ち、自分以外にろくな興味が無い奴は争うのさ)
(じゃあ、俺らもその類いだったわけだ)
(間違いないね、今は違うけど)
2人は相変わらず楽しそうに話をしている。
私はあまり長く生きてないけど、2人の方は
何だか長い時間を生きてたのかもって思う。
うーん、置いてけぼりだよぅ……
(まぁ、適当にチャンネル弄れば?)
「そうだね」
しばらくの間、テレビのチャンネルを弄ってる。
そして、ある番組を見付ける。
いや、正確には見付けたというか、録ってあった。
蓮子ちゃんと菫子ちゃんが好んで見てる番組。
心霊番組だね、色々な摩訶不思議が撮られたと言う映像。
「うーん、何処かな……」
(マジマジと見るね)
「うーん…って、はわぁあぁあ!」
い、いきなり画面一杯に人の顔がぁぁぁあ!
「いやぁー! 恐いぃー!」
(……僕の妹は実に可愛いね)
(なんで幽霊嫌いなのに見るんだよ)
「だ、だって、ちょっと興味が……
あ、あぁああ! 女の人が這ってくるぅうう!」
(やれやれ、本当に平和だよね)
「はわわぁ! う、う、後ろにぃ! 後ろに恐い顔がぁ!
あ、あぁー! か、顔が真っ赤になってるぅ! 恐いよぉ!」
(……狼、俺なんかフィルを驚かせたくなってきた)
(止めときなよ、顔面粉砕されても知らないよ?)
(そ、そうだな、死にたく無いな……)
うぅ、や、やっぱりこう言うの恐いよぉ!
「ふっふっふ、恨めしやぁー!」
「きゃぁああぁあああ! 近寄らないでぇ!」
う、後ろにお化けがぁ! 恐い! 恐いぃ
「……ふ、ふふ、私は今。猛烈に私自身の反射神経に感謝してるわ」
「蓮子、何か首が少しだけ後ろに押されてなかった…?
拳当ってなかったとおもうけど。いやまぁ、分かるけどね?
結構後ろに居る私にも、何か拳圧というか変な風が吹いて
あからさまに髪の毛なびいたし…」
「あ、あぁあ! れ、蓮子ちゃん! 酷いよ驚かすなんてぇ!
と、と言うか大丈夫だった!? ごめんね!」
「ふっふっふ、ま、まぁ、驚いたのは私の方だけど……
それのほら、まぁ大丈夫だったし謝罪は良いわよ。
むしろ、私の方が謝るわ。驚かせてごめんなさい。
ま、まぁ、驚いたのは私の方だけど……あ、あはは」
蓮子ちゃんが顔を真っ青にしながら凄い量の冷や汗をかいてる。
(あいつ、死にたがりだったのか?)
(君もでしょ、まぁ反射的に避けそうだし
それに根本的に甘いフィルだから、多分当らないだろうしね。
現にあの人間は生きてるからね。フィルが容赦なかったら)
(あれだな、顔面砕けてたな)
「顔面が砕ける!? 何それ恐い!」
「えぇ!? 何それ!?」
「ちょっと口を借りるねー、まぁ一応言っておくけどね
フィルって、相当強いから本気の一撃を喰らいでもすれば
顔面なんて木っ端微塵だよー」
「ふ、ふふ、ふふふ、ますます私は自分の反射神経に感謝しないと…」
「フィルに感謝しろ、本気の本気だったら拳圧だけで吹き飛んでるぞ」
「何それ恐い!? 何処かの覇王か何か!?」
「覇王というか、終焉の使者というか、まぁ世界を壊せる存在だし」
「ふ、フィルが優しい子で私は本当に良かったと思うわ…」
「れ、蓮子、もう変な悪戯しないでよ?」
「でもさー、姉ちゃん、フィルが心霊映像見て
ワーキャー言ってたら、そりゃ悪戯心が」
「ふ、その気持ち分からないことは無いわ」
「……やっぱり、宇佐見姉妹は馬鹿姉妹ね」
「メリーも酷い事言うわね」
「実際馬鹿でしょ、まぁ……嫌いじゃないけど」
「ふふー、相変わらず素直じゃないわねー、メリーは」
「本当、あなたって良い人よね」
「ん? ハッキリ言われるとちょっと困惑するわね」
ふぅ、危なかった。やっぱり幽霊相手でもちょっとって思って
あ、あはは、私の知り合い……何だか幽霊多いもんね。
私自身、幽霊を本気で攻撃したら粉砕できそうだし……
でも、うん。やっぱり私はそう言うところが良いのかもね。
でも、本当に蓮子ちゃんも菫子ちゃんも……良い人だよ。
ありがとう、外の世界に戻ってきて、最初に出会えたのが
菫子ちゃんで、そして蓮子ちゃんとメリーちゃんで……良かった。