東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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程々の遠泳

早速私達はボートの紐を持ってと。

 

「よし、じゃあ、レースだね」

「ほら、お前らは速くボート乗れよ」

「え? 本気でやるの?」

「冗談に聞えたのかい?」

「いやぁ、こりゃ最高にスリリングな体験できそうね!」

 

そう言って、メリーちゃん以外はボートに乗る。

菫子ちゃんは私が紐を持ってるボート。

蓮子ちゃんはフェンリルお姉ちゃんが持ってるボート。

そして、開いてるのはテュポーンお姉ちゃんのボート。

 

「なんで誰も俺のに乗らないんだよ!」

「そうよそうよ! 私も別のが良いわ!」

「どう言う事だよそれぇ!」

「はは、そりゃまぁ、当然こうなるだろうね」

 

そんな光景を見たフェンリルお姉ちゃんが

テュポーンお姉ちゃんを馬鹿にするように笑う。

 

「おいフェンリル! 何馬鹿にしたような表情してんだよ!」

「そりゃまぁ、馬鹿にしてるからだね、当然じゃ無いか。

 馬鹿にしてない相手に対し、こんな馬鹿にした表情で

 笑いかけるわけ無いでしょ?」

「なぁ! て、テメェ! お姉ちゃんに向って!」

「ま、まぁまぁ、喧嘩しないでよ。仲が良いのは分かるけど」

 

いつもこんな感じだからね、お互い本気で怒ってるわけじゃないし。

まぁ、フェンリルお姉ちゃんは結構馬鹿にしてる風だけど

本気で心の底から馬鹿にしてるわけでは無いのは分かる。

 

本気で相手を馬鹿にしている人間というのは

わざわざそう言った態度を見せないからね。

本気で相手を馬鹿にしてるなら、何も言わないで

ただ心の中で相手を馬鹿にしたりしてる筈だから。

 

「本当、あなた達は仲良いわね。

 と、とりあえず私は渋々ながら開きに乗るわ」

「おいコラ金髪、お前も馬鹿にしてるだろ」

「ば、馬鹿にしてるというか……嫌な予感が凄まじいというか」

「俺の何処にそんな」

「本気で言ってる? ま、君らが不安に思うのは分かるが

 こいつは相当加減が上手いからね。安心すれば?

 正直言うと、僕らが手加減上手すぎるだけだからね?」

「ふぇ、フェンリル……」

「まぁ、僕らの中で1番馬鹿なのは間違いないけど」

「フェンリルぅ!」

「あ、あはは……」

「いやぁ、こう言う会話を聞くのは良いわね! やっぱり。

 相手を小馬鹿に出来る関係ってのも中々乙なもんよ」

「じゃあ、私とあなたの関係に似てるかもね」

「え!? もしかしてメリー、私の事馬鹿にしてた!?」

「結構ハッキリと見せてきたけど、気付いてなかったのね…」

 

確かにメリーちゃんは結構蓮子ちゃんを馬鹿にした風な

態度を見せてたりはしたからね……あ、あはは。

 

「うぅ、何だか私だけそう言う相手が居ないのが辛いわ。

 でも正直、私がそんな事出来そうな相手とか居ないのよね。

 フィルとは仲良くしてるとは思うけど

 そんな風な態度をした事無いし、そもそもやったら」

「察しが良いじゃ無いか」

「あぁ、滅ぼすからな」

「あ、あはは、し、知ってるよ…」

「お姉ちゃん達、過剰反応しすぎだよ……」

「フィルみたいな可愛い子が馬鹿にされるのは納得いかない!

 確かに馬鹿っぽいところはあるが、あれ天然だしね」

「馬鹿っぽいところ!? え!? そんな所あったっけ!?」

「うんうん、今とか……あと、ちょっと無自覚すぎるし」

 

うぅ、そ、そんな所あったのかな? 私、自覚無いよ……

うーん、直した方が方が良いのかなぁ……で、でもなぁ

自覚無いのにどうやって直せば良いのかな……

 

「まぁ、そう言う話は良いから、そろそろレースだ。

 僕らとしても、ずっとこの場に待機ってのはね。

 まぁ、僕は問題無いが、馬鹿なお姉ちゃんがねぇ」

「ふぇ、フェンリルが俺の事をお姉ちゃん……だと……

 ど、どうした!? 変な物でも食ったか!?」

「……はぁ、変な事言うべきじゃ無いね」

「やっぱり仲良いわね、あなた達」

 

そんな事を言いながら、

メリーちゃんがテュポーンお姉ちゃんのボートに乗った。

 

「よし、じゃあ行こうか」

「そうだな、落とさねぇようにしねぇと」

「だね」

「じゃあ、合図よ! 3,2,1,スタート!」

 

蓮子ちゃんの合図で私達が一斉にスタートした。

 

「うっひゃぁああああ!」

「ちょ! ちょちょちょ!?」

「あ! 今気付いた! これ、フィル不利じゃ無い!?」

「わ、私というか、菫子ちゃんが不味いかなぁ」

 

考えてみれば、私が1番不利な位置なのかも知れないね。

だって、左右から迫ってくる、2人が立てた波に挟まれるし。

 

「ぶひゃぁ! 波と波がぶつかって途中で相殺したわね」

「そうだね、こうすれば問題無いかも」

 

私が立てた波とフェンリルお姉ちゃんテュポーンお姉ちゃんの

2人が立てた波が衝突して、激しく打ち消し合う。

結構高い波だね。

 

「い、今更気が付いたわ、これ、他の人達に凄く迷惑じゃ!?」

「……だ、大丈夫だよ!」

「そりゃまぁ、僕らが適当に本気出したらねぇ」

「後、何であなた達、普通に会話してるわけ!?」

 

息継ぎというか、適度に加減をしてるからだね。

本気だったら、息継ぎしないで行けそうだけど。

 

「あぁ!? フィル! 前! サメ!? 何かデカいのが!」

「本当だね、サメなんて居たんだここ、結構沖だから?」

「ひゃぁ! 飛びかかってくるぅ!」

「しっかり捕まっててね」

 

とりあえず、飛びかかってきたサメを思いっきり殴った。

サメは結構面白いように跳んでいった。

 

「し、死んで無いかな……」

「ぎゃ、ギャグ漫画みたいに飛んでいったぁ!?」

「よく突撃してきたな、あのサメ。命知らずだったのか?」

「窮鼠猫を噛む的な感じじゃ無いの? ヤバいと思ったけど

 これ、絶対逃げ切れないって感じて来たんじゃ無いかな?」

「サメより速いのぉ!?」

「そりゃまぁ、僕らは規格外だからね、手加減してるとは言えね」

 

あ、あはは、やっぱり私達って規格外なんだね。

 

「よし! 到着!」

「くぅ、負けちゃったね」

「ほら、金髪。いつまで気絶してるんだ?」

「うぅ……」

「はぁ、はぁ、はぁ……し、死ぬかと思ったわ」

「いやぁ、最高に刺激的な船旅だったわね。

 駆逐艦とか、そう言う速い船に乗ったら

 こんな風な気分になるのかしら」

「失礼だなぁ、たかが船程度に負けるわけないだろ?

 僕らは本気を出したら、何百㎞の速度で泳げるよ?」

「え? 200㎞とかよりも速い?」

「何を当たり前な事を」

「……せ、世界一速い魚の速度、知ってる?」

「知ってるよ、確かバショウカジキだったかな。

 泳ぐ速度は確か110㎞程度だったっけ。

 暇な時に色々と勉強してるから覚えてるよ」

 

そう思うと、魚って結構ゆっくり泳いでるって思うよね。

……あ、もしかしてそう感じるのがおかしいのかも知れない。

 

「あ、波が凄い事になってるわね」

「そんなに大きな波は立ってないでしょ?

 精々、大型の船が通った後の波程度だ」

 

結構手加減してたからね、本気を出したらどうなったのか

流石にそこまでは分からないんだけどね。

 

「じゃぁ、戻ろうか」

「え!?」

「どうしたの?」

「……も、もう一度……の、乗るの?」

「勿論だろ、何言ってんだ?」

「……あ、あは、あはは……」

「じゃ、じゃあ、の、乗ろうか」

「うぅ、そ、そうね」

 

そして、菫子ちゃん達が渋々と乗った。

帰る時はゆっくりと帰ろうかな。

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