東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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太陽の畑

「さて、早速だけどお帰りなさい」

「はい、ただいまです!」

 

幻想郷に戻ると同時に、紫さんがそう呟いた。

お帰りなさい、それは私が本来住むべき世界が

この幻想郷だと言う事を告げている。

 

私は外の世界で生まれたけど

私の故郷は、今、この全てを受入れる世界なんだ。

私は1度否定され、拒絶され、1度は自棄にもなった。

 

だから、完璧に私は否定され、外の世界から追放された。

そんな私を救ってくれたのは、この全てを受入れる世界。

この世界は本当に全てを受入れてくれると私は理解してる。

 

私はこの世界でも1度、外の世界と同じ様に自棄になった。

色々な人に迷惑を掛けて、危ない目に遭わせた。

だけど、この世界はそんな私さえ、再び受入れたんだ。

 

……周囲から香ってくる、この優しい匂い。

ただの勘違いなのかも知れないけれど

周囲の花々でさえ、私の帰還を歓迎してくれるように思えた。

 

「でも、今回も紅魔館じゃ無いんですね」

「まぁね、紅魔館に直接というのも良いのだけど

 あなたと会いたがってる人は多いからね」

「そうなんです? えへへ、何だか嬉しいです。

 でも、ここは何処なんですか? ひまわり畑ですけど」

「太陽の畑よ、妖怪の山には何度か行ったことあるでしょ?

 ここは、その妖怪の山の反対に位置してるの。

 主に妖精の活動場所と言う感じね」

「へぇ、妖精の楽園って感じなんですね!

 確かに妖精さんが沢山飛んでます!」

 

色々な場所を妖精さん達が楽しそうに浮遊してた。

一緒に遊んでる妖精も多いし、やっぱり凄いなぁ。

本当に感動的な光景と言えるね。

一面に広がる綺麗な花々、本当に癒やされる。

 

「それと1つアドバイスね」

「アドバイスですか?」

「えぇ、ここであなたのお姉ちゃん達は召喚しない方が良いわよ」

「え? そうなんですか? どうしてです?」

「まぁ、騒ぎになりかねないからね」

 

騒ぎ? ど、どう言う事だろう。

 

「それと、あまりひまわりを傷付けない方が良いわ。

 これも騒ぎになるかも知れないからね。

 正直な話、あなたなら何の問題も無いでしょうけどね。

 殆ど妖精しか居ないけど、妖怪も住み着いてるしね」

「妖怪さんも居るんですね」

(おぉ! わざわざ警告するって事は強いのか!?)

(馬鹿だね、僕らの相手になる妖怪とか居ないでしょ)

「え、えっと、強いんですか? その妖怪さん」

「まぁ、妖怪の中では強い部類ね、純粋に妖力が凄まじいの」

「お前と比べてどっちが強ぇんだ!?」

「あ、テュポーンの方ね、たまに出てくるわね。

 まぁ、そうね。能力抜きで戦えばあちらに軍配が上がるかもね」

「えぇ!? そ、そんなに強いんですか!?」

 

ゆ、紫さんよりも強いって、相当強いんじゃ!?

 

「あくまで能力抜きで戦った場合よ。

 あいつは純粋な妖力と身体能力が化け物だからね。

 まぁ、能力ありきで戦えば無論、私の方に軍配が上がるわね」

「あら、それは聞き捨てならない台詞ね、八雲紫さん?」

「あらあら、うわさをすれば影とよく言うけどね」

 

気配は感じてた、異質な気配。妖精とは違う気配。

やっぱり、この人が紫さんが行ってた妖怪さん。

 

少し癖がある緑の髪、そして真っ赤な瞳。

意外と珍しく、頭に帽子や飾りなどをつけていないね。

私が知ってる人は、大体何かしらの髪飾りを付けてるけど

この人は何も付けてない。私もだけど……いや、私の場合は耳があるかな。

 

そして服装、白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカート。

普通だ、凄く普通って感じがする、これもちょっと珍しいね。

紳士服ならぬ、淑女服って感じかな?

 

それに、チェック柄のベストを羽織っている。

もしかしたら、チェック柄が好きなのかも知れない。

首には黄色のリボン、蝶ネクタイみたいな感じかな。

そして日傘を持ってる。

日傘なんだろうけど、今は日傘を開いてない。

 

「しかし、あなたがここに来るとは随分と珍しいこともあるわね。

 今日は何かご用かしら? 私の住処へ」

「ちょっとこの子に幻想郷の観光地を案内してね」

「観光地? 随分と馬鹿な事を言うのね。

 この幻想郷で観光地なんてそんな安全な場所は無いでしょ?

 ただの人間であれば、何処へ行こうとも命を落とす物よ」

「力があれば話は別でしょ?

 それに、美しい光景は共有したいじゃ無い」

「あら、あなたみたいな妖怪に美しいという感情があるのね」

「あなたにあるんですもの、無論、私にだってあるわよ」

 

え? 何だかいきなりお互い牽制しあってる感じが…

とか思ったけど、紫さんは大体の相手と牽制し合ってた。

意外と相手を挑発しない場合の方が珍しい気がする。

 

「なぁ、あんたって結構周りに挑発しまくるんだな。

 何だぁ? 仲悪いのかぁ? それとも逆に仲良いのか?

 実際、フェンリルのアホも俺の事良く馬鹿にするしな」

(いや、君はからかいやすいだけだよ)

「まぁ、仲が良いとは言えないわね」

「えぇ、しかしその子、見た目に反して口が悪いのね。

 見た目随分と大人しそうなのに、意外よ」

「いや、この子は大人しいわよ?

 と言うか大人しくなと困るし」

「困るの?」

「えぇ、困るわ、凄く困るわ」

「あ、す、済みません、あ、あはは」

 

た、確かに私は大人しくしないとちょっと大変だもんね……

 

「ふーん……見た目は大人しそうだけど変った雰囲気。

 そして半獣、あんたが妙に肩を持ってたり

 わざわざ観光までさせてるところから考えて。

 その子が件の半獣かしら? 幻想郷最大の異変を起した

 超が付くくらいの問題児ちゃん」

「ご名答、彼女がフィル。レミリア・スカーレットの家族よ」

「は、初めまして、フィルと言います。

 レミリアお嬢様元でメイドさんやってます」

「……本当、あの吸血鬼は何なの? メイドって…」

「まぁ、レミリアは悪意とか殆どないからね。

 私も安心してフィルを任せられるわ。

 正直、あそこ以外で任せられそうな場所って

 ……まぁ、博麗神社か私の所で式やらせるか。

 候補は多少あるけど、まぁ1番安心ね、あそこが」

「随分と高く評価してるのね、あの吸血鬼を」

「えぇ、彼女は私が評価をするだけの成果を見せてくれたからね」

 

な、何だか分からないけど、レミリアお嬢様が褒められてる。

私が知るべき内容はそれだけで十分だよね。

私もすっごく嬉しい!

 

「ふーん、まぁそこは今更興味を抱くまでも無いわね。

 あなたが誰を評価し、誰の肩を持とうとも私には関係無い。

 ただ私が興味があるのは……ふふ、その子の強さよ」

 

そう言って、彼女が私に日傘の先端を向けた。

 

「幻想郷全てを巻き込むほどの強さがどれ程の物なのか」

 

彼女が指を鳴らすと同時に周囲の花々が地面に引っ込んだ。

え? 何したの? 何か分からないけど凄いなぁ。

あれ? いや、私は今、そんな事に感心してる場合なのかな?

……あれ? 日傘が何か光ってるような……え? 日傘って光るの?

 

「試させて貰うわ!」

「え!? えぇ!?」

 

日傘の先端からとんでもなくぶっといレーザー出て来た!?

 

「ちょ! な、何するんですかいきなり!」

 

は、反射的に飛んで来たレーザーを殴って弾き飛ばした。

 

「へぇ、これは相当ね。面白いわ」

「な、なんでそんなに好戦的なんですか!?」

(おぉ! あいつスゲーやる気満々だぜ!

 っしゃー! フィル! 俺だせよ! 俺!

 ほら、イメージで俺を呼び出せ! 戦うぜ!)

(馬鹿言わないでって、君がでたら殺すだろ?)

(先に仕掛けてきたのはあいつだぜ!

 それに、マジでやるならやっぱり命のやり取り必須だ!)

(それはお互い死ぬ場合ね、僕ら死なないから。

 あのレーザー直撃しても多分無傷だし死なないから。

 一方的に命狙いに行ってるだけだからね?)

 

う、うーん、確かにテュポーンお姉ちゃんが出て来たら

容赦なく殺しちゃいそう。でも、大丈夫な気もする。

あの人、あの一撃で何となく感じたけど、相当強い。

紫さんが純粋な戦いなら負けると言ったのも納得出来る。

 

「……ふふ、さぁ楽しみましょう、お嬢さん。

 私の名前は風見 幽香よ、よろしくね」

「……は、はい」

 

少しだけ、楽しくなって来ちゃった。

 

「なら、楽しみましょう。何だか血が騒ぐ気がします! 

 妹紅さんと戦った時以来にワクワクする気がします!」

「良い表情ね。ふふ、これはかなり楽しめそうね」

(あ、フィルがめっちゃ楽しそうじゃねぇか……)

(何か滾ったのかな? まぁいいや、楽しそうだし

 このまま僕らは傍観するとしよう)

 

何だか戦うのが楽しみって感じがする、不思議だよ。

私もテュポーンお姉ちゃんの影響受けちゃったのかな?

まぁそれでもいいや、楽しければそれが良い!

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