幽香さんと戦った後……私はふと思った。
そう言えば私、殆ど空を飛んでないって。
折角空を飛べるようになったのに飛んでない。
今だって歩いて紅魔館を目指して進んでるし。
「うーん……」
足下を見て、軽く地面をトントンと踏んづける。
その後、少し考えてゆっくりと体を浮遊させた。
……そして、もう一度大地に足をつける。
「やっぱり空を飛ぶよりは歩く方が安心するよね」
折角空を飛べるようになったのに、私は変わらない。
何だか紫さんや藍さんに申し訳無い気がする。
無理にお願いして空を飛ぶ方法を教えてくださいって
そう言って、色々と教えて貰ったのに
まさか使う事が無いって言うのはなぁ。
「よし、飛ぼう!」
やっぱり飛んだ方が良いよね、その場で軽くジャンプして
そこそこの高度で私は空を飛ぶために力を制御した。
「よしっと、あ、あそこが人里で、あそこが紅魔館だね。
うん! ひとっ飛びしたら、やっぱり全部見えるよ!」
高く飛び上がれば、それだけで幻想郷の全土が見える。
跳び過ぎちゃったりすると、宇宙に飛んで行っちゃうけど
ある程度の制御は出来るし、問題は無いよね。
と言うか、私は宇宙空間でも普通に動けるし。
「えっと、あ、妖怪の山ってやっぱりデカいなぁ」
空高く飛び上がることで最も目立つのは妖怪の山だった。
もしかしたら、富士山よりもデカいのかも?
って思うくらい妖怪の山は大きいね。
あ、神社が見える。あそこが守矢神社かな?
やっぱり神社の付近は木々が切れてるから分かりやすいよね。
上空から見れば、一目でここだーって分かっちゃうよ。
まぁ、紅魔館の位置も分かりやすいんだけどね。
何てったって、広い霧の湖の近くにあるんだから。
「あはは!」
空高く飛び上がるのは、本当に楽しいかも!
一目で色々な景色を楽しめて、凄い楽しい!
迷いの竹林の場所だって一目で分かるし
魔法の森だって、すぐに分かるからね!
あ、何だろうあれ、神社かな?
博麗神社と守矢神社の他に神社ってあったんだ。
人間の里の近くにあるけど、結構大きいね。
ちょっと行ってみようかな? でも、迷惑かな?
……あ、そう言えばあの場所って確かお礼を言うときに行ったよ!
あの場所は多分命蓮寺! 空から見た事が無いから気付かなかった!
「あやや、楽しそうですねぇフィルさん」
「あ、文さん! こんにちは!」
「こんにちは、帰ってきてたのですね。
しかしまた、妙な場所で飛び上がってますね。
また、紫さんに観光地案内でもされたんですか?」
「はい、太陽の畑って所へ案内して貰いました」
「あやや、なる程。確かに観光地ですね。
あ、そうだフィルさん、こんな情報を知ってますか?」
「はい、何でしょうか」
「太陽のライブステージ、プリズムリバーウィズRのライブ会場」
「あ、懐かしいですねライブ!」
「えぇ、フィルさんのヴォーカルは実に素晴らしかったです。
で、そのライブ会場なんですが、何故太陽のライブステージと
そう言う名前にしたかって話は聞きましたか?」
「え? いえ、それは聞いてませんね。
私はヴォーカルをお願いって言われただけで」
「実はですね、太陽のライブステージは
元々太陽の畑で予定してたんですよ」
「え!? そうなんですか!?」
そ、それは知らなかったなぁ、でも太陽の畑ってさっきの場所だよね?
場所的に考えても、結構人里の人達は来にくいんじゃ?
「はい、ですがフィルさんも参加すると言う事で
人里の人達の提案で人里付近に会場が出来上がったんですよ」
「へぇ! 知りませんでした!」
「フィルさんは人里の人達に大分気に入られてるようですしね。
まぁ、従順で可愛らしい性格ですしね。
妖怪の中では大分好感を持てる性格でしょう」
「そ、そんな可愛らしいだなんて、えへへ、ありがとうございます」
そんな風に思って貰ってるんだね、少し嬉しいかも。
「まぁ、結果問題は無かったとは言え
もしもフィルさんがライブには参加しないって言ってたら
どうするつもりだったんですかね?」
「そのままライブだったんじゃ無いですか?
それに、約束した以上は私はやりますし」
「そう言う性格が人間達に気に入って貰えた理由なんでしょうね。
さて、それではここで1つ、提案をしてみてもよろしいですか?」
「提案ですか?」
「えぇ、人間の里の人々に気に入られてるお寺がありましてね。
命蓮寺と言うのですが、そこに行ってみるのは」
命蓮寺はお礼をしに行った時に行ったっきりで行ってないよね。
「はい、お礼をして回ってたときに行きました!」
「えぇ、ですがその日以降は行ってないのでしょう?
彼女達としてもあなたが来てくれるのは嬉しいはずですよ」
「で、ですけど、め、迷惑じゃありませんかね…?」
「そんな事は無いと思いますよ? 何せあの場所はお寺ですからね。
誰かが来て門前払い、だ何て事は決して無いでしょう。
それに観光ついでですし、お参りというのも良いかなと思いますよ?」
うーん、め、迷惑にならないなら……ちょっと行ってみようかな。
聖さんは何だかお母さんみたいで落ち着くような気がするしね。
私のお母さんも、とても優しかったし。
「じゃあ、行ってみます」
「あやや、そう来なくては。では、私もお供させていただきますよ」
「あ、一緒に来てくれるんですか?」
「えぇ、私が提案したわけですからね。一緒に行きますよ」
じゃあ、文さんと一緒に命蓮寺へ行ってみよう!
お礼をしに行った時位しか行ってないからね、命蓮寺。
(うーん、この天狗なんか企んでないかい?)
(あぁ? そうかぁ? そんな風には思えねぇけど?
普通にフィルに話し掛けてるだけじゃねぇか?)
(でもなんか裏がありそうじゃ無い? わざわざこっち来て
僕らにあの神社へ行ってみろだなんて……
まぁ、フィルに対して悪い事をするつもりじゃないだろうけどね)
(そりゃそうだろ、俺達のフィルに何かするつもりなら)
(それ位理解してるだろうしね。となるとあの神社に何か用かな?)
(あの神社に? まぁ、天狗の事は俺はよく知らねぇけど)
(ま、神社の連中に恩を売ろうって感じかもね。可能性はあるか。
あの天狗は新聞記者だし、取材でもしたいんじゃ無いかな?
だとすれば、僕らには何ら影響はないのかもね)
(だな、何かやろうとしたらぶちのめすだけだぜ)
(……ねぇ、2人とも)
(何だい? フィル)
(命蓮寺は神社じゃ無いよ? お寺だよ?)
(んな! あ、そ、そう言えば!)
(ぷふー! 言い間違えてらー! 言い間違えながら
真剣になんか考えてるとかマジ笑えるぜ!)
(くぅう! ぼ、僕としたことがぁ!)
あはは、フェンリルお姉ちゃんも間違えることあるんだね。
そう言うところ、やっぱり親しみやすいかも!