東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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楽しすぎる空の旅

空を自分の力で飛んでいる。

なんで飛んでるのか分からないときと違って

今は自分の力を制御して飛んでる。

何だか凄く……凄く嬉しいと感じる。

 

「何だか感激ですぅ」

「あのー、フィルさん? 速すぎません?

 と言うか、1直線に行けば良いのでは?」

「あ! ご、ごめんなさい! 何だか嬉しくて」

「フィルは結構テンション上がってるからね。

 まぁ、それはそうとして、君って速いね。

 今のフィルは結構速いと思うけど付いてくるとは」

「あ、フェンリルさんの方ですね、こんにちは。

 やはり妹ちゃんの事は大事ですか?」

「あぁ、大事だよ?」

「ふむふむ」

 

文さんが結構余裕そうに飛んでメモを取ってる。

凄いなぁ、この速度でメモを取れるなんて驚きだよ。

 

「き、器用だね、君」

「えぇ、新聞記者ですしね。まぁ今はね

 フィルさんがあまり速く飛んでないからですよ。

 本気で飛んでたらちょっとメモ帳がねぇ」

「ふーん、て言うか君って翼あったんだね」

「あ、これですか? えぇ、速く飛ぶときに生えます」

「私も生えますかね!? 格好いいですし!

 なんかこう、羽根が少し抜けて落ちてる所が!」

「……意外と生えるかも知れませんよ?」

 

文さんが何だかニヤニヤしながらそんな事を言った。

もしかしたら私もあんな風に翼が生えるかも!?

レミリアお嬢様はフランお嬢様みたいに!

 

「うぅー! 翼よ生えろー!」

「まぁ、冗談で」

「いやその……」

「わぁ!」

 

おぉおおお! 背中に何か出てきた気がする!

 

「えぇ!? 翼が生えたんですけど!? 赤い翼!?」

「まぁ、生えるよね~」

(なんで生えてるんだぁ!?)

(君の翼もあると思うけどね、テュポーンって

 神話次第じゃ翼が生えてるからね……白いの)

(おぉ! 俺の翼だったのか!)

「え!? テュポーンお姉ちゃんって翼あるの!?」

(ま、まぁね……てか、なんで忘れてるのさ。

 君の事だろ?)

(いやぁ、なんか昔の姿ってマジ覚えて無くてな。

 今の俺の容姿はフィルがイメージした容姿だしよ)

(今度から翼が生えるのかな?)

(なんか似合わねぇなぁ)

「はぁ、テュポーンは翼が生えてるのですね。

 これは大発見です。テュポーンには

 赤い翼が生えてると……? 赤なのですか?

 私のイメージでは白い翼なんですけど?」

「語り部次第だね、神話というのはそんな物だよ。

 まぁ、僕の記憶では白色だね、容姿とか」

 

へぇ、テュポーンお姉ちゃんって白い翼なんだね。

 

「ま、まぁ、僕らって語り部のイメージも反映されるしね」

「何だか……煮え切らない返答ですね」

「まぁね、僕もほら、よく分かってないし」

「……怪しいですね」

「はいはい、僕の出番お終い」

「あ!」

 

フェンリルお姉ちゃんの言葉の後

私の口が何だか軽くなった気がする。

フェンリルお姉ちゃんが引いた証拠なんだと思う。

 

「……怪しいですね、フィルさん知りません?」

「いや、私も分かりません……

 翼なんて今まで生えたことが無いですし。

 でも、何だか良いですね! 翼で飛ぶのも!

 まるで取りになった様な気分です!」

「うぇ!?」

 

おぉ! さっきよりも断然速く飛べる-!

凄いアクロバティックに飛ぶ事も出来るよ!

まるで自分の体にずっと生えてたかのように

かなり自在に操れる! 凄い!

 

「あやや……唐突に速くなりましたね……」

「文さーん! どうしたんですかー!

 早く来て下さーい!」

「うぅ、私が追いつけないほどとは……

 地上でも上空でも負けてしまっては

 幻想郷最速の名が潰えてしまいます」

「あはははは!」

 

何だかドンドン楽しくなってきたよ!

 

(フィルー、ストップだよ)

(え? どうして?)

(音速越えるよ?

 ソニックブームが起こるから迷惑だよ?)

(……私、そんなに速く飛んでた? 全然)

(全然本気じゃ無いのかもだけど、駄目だよー

 やり過ぎると大変だからね、轟音凄いから)

(う、うん、自粛するよ)

 

ちょっと楽しくなり過ぎちゃったよ。

速く飛びすぎると凄く迷惑になるそうだし

あまり速く飛ばない方が良いのかもね。

 

「は、速いですね……驚きですよ」

「自分でも驚いてます」

「それで? もう速くは飛ばないのですか?」

「はい、速く飛びすぎたら迷惑だって

 フェンリルお姉ちゃんに言われましたから」

(僕らの移動速度は異次元だからね)

「あはは……」

(光速越えられるんじゃね?)

(大変な事になるからね?)

(宇宙から帰ったし行けるだろ)

(あそこ、光速で移動しないと駄目なほど遠くないよ?)

(はぁ、あの賢者は結構近くに移動させたんだな)

(距離があればあるほど大変なんじゃ無い?)

 

いくら紫さんでも力の限界があるんだろうね。

 

(でもよ、俺はあのジジイと宇宙駆けて戦ったぞ?)

(……それは異常だからね

 君が化け物なのは分かってるから)

(な、なんか冷てぇな…ど、どうしてだ?)

(はぁ、ちょっと馬鹿過ぎるって思ってね)

(酷くねぇか!? おい! そりゃ酷ーぞ!

 俺に何の恨みがあるんだよ!)

(恨みは無いけど、呆れてる。

 本当脳筋は……君は何も分かってないよね)

(なぁ! なんだよ! 今日は嫌に冷てぇな!

 なんだよ、フィルに翼生えてからどうしたよ!)

(気にしないで、僕の方でなんとかするから)

(頼れよ!)

(いや、君には無理だよ……君は役に立たないしね)

(なんだよ! フィルに翼が生えてから

 なんか妙に雰囲気変わったな、なんかあんのか?)

(いや、気にしないで。

 さっき言ったとおり僕がなんとかするよ。

 今まで通り、フィルの制御は任せてよ)

(は?)

(いや、忘れて)

(どうしたんだよ)

 

た、確かに何だかフェンリルお姉ちゃんの雰囲気が変わったね。

私がこの翼を生やしてからだよね、何でだろう。

 

(ね、ねぇ、フェンリルお姉ちゃん…この翼、何かあるの?)

(いや、大丈夫だよ。少なくとも君に悪影響は無い。

 でも、出来れば翼は生やしてない方が良いかもね)

(わ、分かったよ)

 

フェンリルお姉ちゃんがそう言うなら……

でも、どうやったら消えるのかな?

こう、消えろーって念じたら消えて……

 

「あれ!? 消えない!?」

「どうしたんですか?」

「あ、あの、つ、翼が消えなくて!」

「翼を閉じれば消えるのではありませんか?

 少なくとも私はその様な形で消してますよ」

 

そう言って、文さんは自分の翼を閉じて

私に背中を見せてくれた。

確かにさっきまで生えてた翼は消えてる。

 

「じゃ、じゃあ、私も同じ様に…」

 

文さんと同じ様に私も自分の翼を閉じてみた。

すると、背中の物が消えたような感覚がある。

 

「ど、どうですか?」

 

恐る恐る背中を文さんに見せて翼が消えてるかを見てもらう。

 

「消えてますね」

「よ、良かったぁ…」

「しかし、何故翼を消そうと思ったのですか?

 あんなに楽しそうだったのに」

「それが、フェンリルお姉ちゃんが翼を消した方が良いって」

「ふむふむ、やはりあの翼には何かあるのかも知れませんね。

 しかし、恐らくこのまま聞いても答えてはくれないでしょうね。

 仕方ありません、興味深いですが、機を伺うとしましょう。

 それでは、命蓮寺へ行きましょうか」

「あ、はい! ゆっくり行きますよ!」

 

よーし、このまま命蓮寺へ言って、色々とお話ししよう!

お邪魔じゃ無ければ良いけど。

 

 

 

 

 

 

 

「……ふむ、あの翼……何かしらあるのかしら」

「あの翼に何かあるとは私は思いませんけどね……

 フィルであれば、自分の翼を生やすことは出来るでしょう。

 彼女はかなり力を制御してますし、姉達を具現化も出来てる。

 翼を具現化することが出来ても、何ら不思議は無いでしょうけど」

「えぇ、確かにフィルならそれ位は出来るかも知れないわ。

 だけど、あのフェンリルの態度……何か知ってるわね。

 悟り妖怪に頼んで心を読んで貰えば良いかもだけど

 流石の悟り妖怪でも、フェンリルの心を読めるか怪しいわね」

「フィルの心を読んでいた瞬間もありましたし、読めるのでは?」

「それは、フィルが無警戒だったからよ。

 あの子は警戒心があまり無いからね。

 それに対してフェンリルはかなり警戒心が強いわ。

 私達に知られたくない情報があるなら隠すでしょう。

 少なくとも正面から心を読めば、能力を無効化されるかも」

「……確か最初、悟り妖怪がフィルの心を深く読もうとしたとき」

「えぇ、読めなかったと言ってたわね。

 フェンリルが妨害してた可能性だってあるわ」

「……確かにそうですね」

「えぇ、しかし気になる情報である事は確か。

 ……何かしら知られたくない要素でもあるのかしら。

 藍、このままフィルを見守るわよ」

「はい、紫様」

「……地獄の女神が懸念してた事態に至らなければ良いけど」

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