幻想郷縁起で自分の事を読んでみて
何だか、自分も幻想郷だとそこそこ有名人?
とか、そんな風に思っちゃったんだけど。
やっぱり、ちょっとこう自惚れが過ぎるかな?
「あはは、でもやっぱり本で描かれるって
何だか、恥ずかしいし、有名人かも?
って、自惚れでも思っちゃいますね」
多分だけど、大分照れてると思う。
きっと、顔は赤くなってるし
あまり上手じゃ無い笑顔なのかなぁ。
自分の顔なんて、鏡が無いと見えないから
そこら辺はよく分かんないんだけどね。
「フィルさんは有名人ですよ? 言うまでも無く」
「え? 私、そんなに」
「目立ちますよ? 私の新聞読んでくれてます?
読んでくれてると思ってたんですが、酷いですねぇ」
「あ、す、済みません! あまり読む余裕が無くて」
「フィルさん引っ張りだこですからね。
紅魔館で休んでる間は何をしてるんですか?」
「あ、お掃除を担当してます。
と言っても、まだ紅魔館の一部だけですけど」
流石に咲夜さんクラスの範囲は掃除できないんだよね。
流石に時間を止めるだなんて芸当は出来ないし。
(出来るんじゃねーの? やってみりゃ)
(そうなの!? 出来るなら役に立てるね!)
(まぁ、そうだろうけど……おい狼。
お前、そこら辺結構知ってるし分かるだろ?)
(……)
(狼? フェンリル、無視すんのか?)
(うぇ!? あ、ごめんごめん、で、なんだっけ?)
(お前が俺達の会話聞いてないとか、どうしたんだ?)
(え? あ、いやほら、ちょっと寝不足で)
(……お前、本当にどうしたんだ?)
(き、気にしないで、ほら、君には関係無いから)
(一応、お前は俺の妹だぞ? 姉なんだし
多少くらいは心配する。何隠してる?)
(ま、まぁ、その話は後だよ後)
フェンリルのお姉ちゃんの雰囲気が変わってる。
私があの翼を出してから、何だか態度が変だ。
やっぱり、あの翼に何か秘密があるのかも?
(ね、ねぇ、やっぱりあの翼に)
(な、無い無い! 何も無いよ?)
絶対に嘘だと、そう感じてしまった。
だって、明らかに雰囲気が違うのだから。
やっぱり、あの翼には何かしらの秘密がある。
それはまず間違いないんだと思うけど。
「まぁ、紅魔館のメイド長は能力高いですからね。
ですが、そのメイド長に一部を任されてると言う事は
それだけ、高い掃除技術を持ってると言う事ですし
十分誇れることだとは思いますけどね」
だけど、やっぱり咲夜さんに全面的に頼って貰えないのは
咲夜さんの部下としては、何だか申し訳無い気持ちになる。
「そうですね、誰かに色々な面で頼られる。
それはとても素晴らしい事だと思います」
それはそうだって、私も思うんだけど
だけど、やっぱり出来る事は全部やりたいんだよね。
「それに、咲夜さんは能力もありますからね。
殆どの範囲をカバー出来るのは間違いありません」
「ですけど、咲夜さんの能力は時間を止めてるだけです。
その間、本人は動いて仕事をしてるんです。
念じただけであらゆる場所の掃除が出来る
なんて、そんな便利な道具がある訳でも
便利な能力があるわけでも無いんです。
だから、もっと色々と頼って貰わないと。
咲夜さんに負担を掛けすぎるわけにはいきません」
「本当に思うんですけど、優しいですね。
幻想郷縁起で書くために、人里の方々に
色々と話を聞いてきましたが、好意的な意見ばかりです。
圧倒的すぎる力を持ちながらも、その精神は実に優しい。
素晴らしい事です。人里の買い出しの時も
困ってる人を見れば必ず助けてたそうですしね」
「何か出来るならやりたいんです」
「えぇえぇ、素晴らしい事ですよ、それは」
阿求さんが優しい笑みを私に向けてくれた。
「なんか阿求、雰囲気違うわね」
「気にしないで、そう言う物よ」
「そう言う物なの? よく分かんないけど」
「あなただって、お客様の前と私の前じゃ
雰囲気大分違うでしょ? それが普通なのよ」
「あやや、それが自然な事ですからねぇ。
自分を切替えるというのは実に重要な事です。
さて、話が逸れましたね。それでフィルさん。
紅魔館では掃除以外に何をこなしてますか?
あまり紅魔館内での活動は取材してませんでしたしね。
折角なので色々と聞いてみようかと」
「それをこの命蓮寺前でする必要はあるのですか?」
私達が会話をしていると、あの母親の様な雰囲気を纏った
お姉さんが私達の前に姿を見せた。
やっぱり思うけど、凄く独特な髪色だなって思う。
それに、大きい気がするしね、羨ましいよぅ……
「おや、聖さん。本日はよろしくお願いしますね」
「はて? よろしくお願いしますとは、どう言う意味で?」
「取材したいんですよ、命蓮寺の事とかを」
「いえ、そんないきなり来られても」
「興味があるんですよ、内部事情とか。
個人個人の関係とかにも大分興味ありますしね。
最も、殆ど公にはなってますが一応はね」
「久しぶりです、聖さん」
「お久しぶりですね、フィルさん。
雰囲気からしてそちらの天狗さんに連れられて
命蓮寺へやって来たという感じでしょうか?」
「はい、あまり命蓮寺に来てないと思ったので」
聖さんが私の返事を聞いて、優しい笑みを向けてくれた。
「なる程、素直に嬉しいです。あの子達も喜ぶでしょう。
では、阿求さんと小鈴ちゃんは何故こちらに?」
「あ、そうですね。幻想郷縁起にフィルさんの事を
新たに記入したので、お届けに来たのです」
「あら、お疲れ様です。大変ですね」
「いえいえ、フィルさんの情報を集めるのは
何とも楽でしたので、問題ありませんでした。
取材も好意的な意見も多く、聞いてて気分も良かったです」
聖さんの言葉に応えながら、阿求さんは
幻想郷縁起を聖さんに手渡した。
「ありがとうございます」
阿求さんにお礼を言って、聖さんは早速本を開けた。
「えっと、フィルさんの項目はどちらになるのでしょうか?
妖獣か獣人か、私としては獣人かなとは思うのですが」
「はい、獣人です。英子さんの項目の隣に記入してます」
「ふむふむ、なる程です。確かにフィルさんの場合
半分以上が人ですからね。妖獣とは違うでしょうし」
妖獣は藍さんとか橙ちゃんとかなんだろうね。
後は響子さんとか、結構居るような印象があるね。
「しかし、かなり恐ろしい2つ名を考えましたね。
神の天敵とは」
「そ、それは自覚あるので、大丈夫です。
フェンリルお姉ちゃんも言ってたし」
「フィルさんの2つ名は大分考えたのですが
やっぱり分かりやすかったのがこれだったんですよね」
2つ名って阿求さんが考えてたんだね。
あまり2つ名って考えた事が無かったから
素直に凄いって思うよ。
幻想郷縁起に書かれてる人達には
皆、それぞれ2つ名が書いてあったからね。
私にはそんなの考えられないしなぁ。
でも、きっと全員では無いんだとは思うけどね。
何人かは自分でその2つ名を考えてるんだと思う。
「あのー、済みません、取材は」
「……まぁ、良いでしょう。多少であれば」
「おぉ! それはありがたいです!」
そして、文さんも取材をする事が出来るようになった。
今日はちゃんと皆さんとお話ししよう。
ふぅ、話が逸れて助かったよ……全く災難だ。
(そんなに警戒しなくて良いじゃ無いっすか
フェンリル先輩。危害なんて加え無いっすよ?)
なんで君まで目覚めちゃったのか知らないけど
修行が悪い方向へ作用しちゃったのかな。
もうさ、僕らだけで十分だから休んでてよ。
(こんな楽しそうな状況でハブるのは酷いっすよ
なんでうちの事知ってるの、
フェンリル先輩だけなんっすか?)
テュポーンはあまりフィルに詳しくないからね。
だから、僕はフィルの事を1番よく知って無いとね。
そして、僕は君の存在に気付いた。
そして、出来れば隠したいと判断した、そう言う事だよ。
君は出て来ないでくれ、君の力は強大すぎる。
僕らが言えた口じゃ無いが、僕らと言う存在の中に
更に君という存在が加われば、フィルが危険なんだよ。
君もフィルを守る為に生まれたのなら理解してくれ。
ガルーダ。君は出て来ちゃ駄目だ。
(まぁ、その内バレるんじゃ無いっすか?
もしくは、もうバレてるか。わかりやすいっすからね。
フェンリル先輩の神への特攻。
テュポーン先輩の不死性は分かります。
じゃあもうひとつ、他者の能力がほぼ効かないのは何故か
そして、神の力が影響を受けない理由。
2人にはそんな神話は無いっすからね)
そうだ、でも今はまだ駄目だ、だから眠っててくれ。
(分かったっすよ、まぁ多分その内出てくるっすよ。
もう、うちも目を覚ましちゃったんだから時間の問題っすよ。
フェンリル先輩がいつまでうちを抑えられるか見物っす)
ったく、馬鹿にして……はぁ、嫌な後輩が目を覚ましたな。
と言うか、なんでこいつ、こんな口調なんだか謎だよ。
お姉ちゃんじゃ無くて先輩って、どう言う意味だ?
(気分っす、可愛いでしょ? 後輩キャラ)
もう眠っててくれ、全く軽い奴だなぁ。