東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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仲良し四姉妹

私は色々な想いに救われてた。

後悔が一切ないわけじゃ無い。

辛い事だって、沢山あった。

恐い思いだって何度もした。

嫌な思いもしてきたかも知れない。

だけど、私には居場所が出来て

色々な人と出会い、そして知った。

 

過去に縛られるべきじゃ無いんだと。

当然、完全に無意味という訳じゃ無い。

過去を糧にして立ち上がることだって出来る。

無意味なのは後悔して進めないことだと思う。

 

きっと、私より辛い思いをした妖怪達は多い。

この幻想郷は忘れ去られた妖怪達が辿り着く楽園。

でも、この楽園だって、自然に出来た物じゃ無い。

 

紫さんや隠岐奈さんとか

色々な妖怪や人間達が協力して作り出した楽園。

彼女達がただ過去に囚われるような人達なら

きっと、こんな楽園は出来上がらなかったと思う。

 

自分達が忘れ去られている状況でも

どうすれば幸せに生きることが出来るかと考えて

作り出したのがこの楽園だったんだろうね。

 

忘れ去られてきているルールを維持するために

きっと幻想郷を作り出した人達の中にも

人間は居たはずだと思う。きっと霊夢さんのご先祖様。

博麗の名を持つ、私が名前を知らない巫女さん。

 

彼女がどうして、人に取っての幸福かも知れない

ルールを否定し、自らが頂に立つという選択を取らず

幻想郷を作りだし、妖怪や神と言った

上位の存在が居る世界を良しとしたのか。

それは分からないけど……ね。

 

「いやぁ、帰ってきたっすね! 我が家!」

「まぁ、いつも通りというか何と言うか」

「……大丈夫なのかぁ? こいつ」

 

紅魔館に帰ってきて、最初に目に入るのは

やっぱり、門の前でゆっくり眠ってる美鈴さんだった。

 

「まぁ、棒立ちってのは暇っすからね。

 多分、うちでも寝るっすよ。

 多分っすけど、門番に向いてると思うっす」

「寝る奴の何処が向いてるんだよ」

「テュポーン先輩よりは向いてるって自信があるっす!」

「何で俺を出す」

「否定できないね、僕も」

「どうしてだよ狼!」

「君が門番してて暇だったら、破壊行動に及ぶだろ?

 門番が向きそうなのは、この中じゃ僕かフィルだけだよ。

 僕は結構我慢強いし、フィルは忠実だからね」

「ど、どうかな……私だと、結構簡単に通しちゃいそう…」

「否定はしないよ、フィルは疑うのは苦手だからね」

 

私って、結構簡単に相手を信じちゃうからね。

も、門番って結構来た人を信じるかどうかって言う

判断が必要だと思うし、私は意外とあっさり信じるから

もしかしたら、不審者だって通しちゃう可能性が……

 

「まぁ、寝てても体が動くなら良いんじゃ無いっすか?」

 

ニコニコと笑いながら、ガルーダお姉ちゃんが

美鈴さんの攻撃を全て避けながら遊んでた。

わざわざ全部紙一重で避けながら笑ってる。

何でわざわざ攻撃されるって知ってて寄ってるのかな?

 

「なんでテメェ、わざわざ攻撃くらいに行ってんだ?」

「何言ってるんッスか、テュポーン先輩

 うちは一撃だって攻撃を喰らって無いっすよ?

 ほら、ちゃんと避けてるじゃ無いっすか。

 いやぁ、面白いッスねぇ、眠りながらの的確な攻撃。

 こりゃ、半端な武道家じゃ喰らいそうッスね。

 的確に隙がある場所を攻撃してる辺り

 マジの格闘家っすねぇ、ま、全部囮っすけど~」

 

相変わらず、ニヤニヤと笑いながら

美鈴さんの攻撃を当たり前の様に避けてた。

でもね、これは決して美鈴さんが弱いわけじゃない。

正直、美鈴さんの動きは起きてるって誤解するほどに速い。

 

実際、その一撃一撃は素早く、はたから見ても

一撃が思いのは分かるし、普通は避けられる物でも無い。

避けるでは無く、防ぐのが最適な答えだと感じる程に

攻撃は鋭く的確だった……けど、ガルーダお姉ちゃんは

圧倒的な速さを持って、その攻撃を避けてた。

 

「……テュポーン、駄目だからね?」

「何が駄目だよ」

「ワクワクしたような表情で答えないでくれるかな?」

「大丈夫だって、当らねぇって! あの速さならなぁ!」

「うぇ!? ちょ、ちょっと待ってくださいっすよ!?

 その握り拳は収めて欲しいっす!」

「大丈夫だって、避けりゃ死なねぇ!」

「テュポーン先輩が本気で殴ったら

 避けても死ぬッス! ワクワクしないで欲しいっす!」

「当らなきゃ大丈夫だ!」

「本気でやったら次元歪んで攻撃飛んで来るっすよぉ!」

「大丈夫だ! 壊さねぇ程度にやるから!」

「次元壊れなくても紅魔館吹きと、あだ!」

「お?」

 

……テュポーンお姉ちゃんにかなり注意が向いていたからなのか

美鈴さんのかなり強烈なハイキックが入った。

 

「……じ、地味に痛いっす」

「んだよ、耐久脆いんだな」

「素早さ特化だからかい?

 まぁ、全然平気そうに見えるけどね」

「いやまぁ、実際はそこまで痛くは無いっすけど」

「あ、あまり喧嘩しないでよ、多分咲夜さん呆れてるよ」

「まぁ、そうだろうな」

 

そんな会話をしていると、しれっと渡したとの前に

咲夜さんが姿を見せてくれた。

 

「あなた達は紅魔館に戻る度に

 美鈴とじゃれ合う癖でもあるのかしら?」

「紅魔館に帰って、最初に目にするのは門番だしね。

 同じ館の仲間だし、最初に気になるのはやっぱり

 最初に目に入った人物って事だよ」

「実際、結構面白いッスしね、毎度毎度眠って

 何か眠りながら攻撃するとか面白いっす。

 これが睡拳って奴ッスかね! あはは!」

「まぁ、確かに睡拳であってるね、寝てるし」

「普通は酔った拳と書いて、酔拳だけどね……」

「実際、便利な特技よね。サボりながら責務を真っ当とは。

 また、随分と面白い努力をした物よ。

 その努力を別の要素で鍛えて欲しいのだけど?」

「……あ、え、えっと-」

「あ、起きたんっすね~、おはようございますっす~

 美鈴せんぱーい?」

「……え、えっと、色々と聞きたいのですが……

 え? 誰ですか? あなた……先輩?」

「あなたの後輩、ガルーダちゃんっす!」

「……はぁ?」

 

め、美鈴さんがかなり呆れた表情で答えた……

確かにいきなり後輩とか言われても

あんな反応しちゃうよね。

 

「……雰囲気からして、フィルの新しい姉かと思ったけど

 あの様子じゃ、ただの馬鹿みたいね、安心したわ」

「ちょ! そこのメイドさん! ば、馬鹿にしたっすね!?

 う、うちはこう見えて、結構真面目ちゃんっすよ!」

「……フィル、あれはあなたの姉になるの?」

「え、えっと……は、はい、そうみたいです」

「……フィル、大変ね。姉2人が馬鹿とは」

「だなー……って? あれ? 2人だと?

 そうか、フェンリルも馬鹿なところあるんだな」

「……ま、まぁ、何も言わないでおこうかな」

「狼、何か呆れてね?」

「へぇ、君って僕の表情を察する能力があったのか。

 こりゃ意外だね、凄いな、流石はテュポーンだ」

「何か、超馬鹿にされてる気がするんだが!?」

「いやいや! テュポーン先輩が馬鹿なのは当然っすけど

 うちが馬鹿だって言うのは納得いかないッス!」

「おいコラクソ鳥! テメェ!」

「……実は、1番大変なのはフェンリルの方なのかもね」

「あ、分かる? 大変なんだ、この馬鹿2人。

 僕は3番目に下なのに、何だか苦労ばかりだよ。

 普通、こう言う苦労は長女がする物だけど」

「長女が馬鹿だと大変ね、同情するわ」

「クソ鳥! 俺が馬鹿っての撤回しろ!」

「いや、少なくともうちよりは馬鹿っすし!」

「んだと!? じゃ決めるか!? どっちが馬鹿か!」

「良いっすね! 決めようじゃ無いっすか!」

「……その会話がもうすでに馬鹿全開だけどね」

 

フェンリルお姉ちゃんが呆れながら小さく呟く。

私も2人の謎の戦いを見て、少し呆れちゃった。

当然、ガルーダお姉ちゃんの近くに居た

美鈴さんも困惑していた。

 

「ま、まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。

 喧嘩はよくありませんよ?」

「黙れ無能門番!」

「酷くないですか!?」

「酷くないわね、実に的確な言葉よ」

「少しは私を庇ってくださいよー!」

「て言うか、良く止めようと思ったね、君」

「喧嘩はよくありませんしね……

 まぁ、何だかもう止めらる気がしませんが…」

「もう、2人とも……け、喧嘩しないでよぉ……」

「でもよ、こいつ俺の事馬鹿にしたんだぞ!」

「すぐに喧嘩しちゃったら、仲良く出来ないよ?

 それに、これからお嬢様に会いに行くんだし

 そんなに喧嘩してたら、お嬢様が心配しちゃうよ。

 い、意外と楽しそうに見る気がするけど……ね」

「そうね、お嬢様はそう言う催しは好きだからね。

 でも、規格外の2人が喧嘩してる様は流石に危ないし

 お嬢様には見せられないのだけど」

「ね? 皆が怪我しちゃったら大変だから、我慢しよ?」

「く! 何て可愛らしい笑顔……」

「何か、フィルちゃんがお姉ちゃんっぽいッス……」

「妹に諭される姉2人とは、全く自覚無いんじゃ無いかな?」

「何も言い返せねぇ……」

「は、反省するっす……」

「やっぱり、フィルには頭が上がらないのね、あなた達でも」

 

何とか2人の喧嘩が止まってくれたお陰で

私達はお嬢様の部屋に向うことが出来た。

でも、喧嘩するほど仲が良いって言うし

意外と仲が良さそうな雰囲気はあるけどね。

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