東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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不思議なカード

色々と不思議なことがあった昨日から

幻想郷の雰囲気が大きく変化した。

新しい異変が、この幻想郷で起きたから。

新しいルールというか、特別なカード。

 

特に慌ただしくなったのは妖怪の山だった。

そして、ルール……暴力では奪えない

お金のみでの売買が出来ると言うルール。

 

(気に入らねぇ、うぜぇな)

 

不意に私の頭の中から声が響いた。

その声の主はテュポーンお姉ちゃんだった。

 

「ど、どうしたの?」

(そのままの意味だ)

(まぁ、僕も好きな部類では無いね)

(そう怒る必要無いと思うっすよー?

 何をそんなにかっかしてるんっすか?)

(僕らはね、金ってルール嫌いなんだ)

(あぁ、大っ嫌いだな。

 そう言うルールって奴は上の連中がするもんだ。

 幻想郷にも金は存在してるが、そっちは問題ねぇ

 だが、今回は臭いからな)

(あぁ、僕も臭いと思うよ、怪しいよね)

 

私には分からなかったけど

テュポーンお姉ちゃんとフェンリルお姉ちゃんは

なにやら嫌な気配のような物を感じてる様だった。

 

(そして何より、アビリティーカードの効果だ)

(あ? なんか疑う要素あんの?)

(……嫌な気配を感じたんだろ? 君)

(あぁ、気に入らない気配を感じたぜ)

(……はぁ、あっそ)

 

大きなため息の後、呆れた一言が聞える。

そう言う言葉は良く聞いているからなのか

テュポーンお姉ちゃんは特に反応しなかった。

 

「フィル、お嬢様がお呼びよ」

「あ! は、はい! すぐ行きます!」

 

不意に姿を現した咲夜さんの声に反応して

私はすぐに行動し、お嬢様の部屋へ進んだ。

そこには何枚かのアビリティーカードを持って

そのカードをマジマジと見ているレミリアお嬢様と

フランお嬢様が待っていた。

 

「よく来たわね、フィル」

「呼ばれたわけですし、すぐに来ますよ」

「流石ね、さて、それではあなたを呼んだ理由を話すわ」

「はい」

「じゃあ、まずは近くに来なさいな」

「はい」

 

レミリアお嬢様が手招きをしたから、私は近付いた。

レミリアお嬢様は私が近付いたのを確認した後

私に向けて、とあるカードを見せてくれた。

今、幻想郷で騒ぎになってるアビリティーカードだった。

 

「あなたも知ってると思うけど、アビリティーカード。

 見なさい、この馬鹿みたいな絵。

 モデルも馬鹿だけど、余計に馬鹿に見えるわね」

 

少しクスクスと笑いながら見せてくれたカードには

随分と可愛らしく描かれてるチルノちゃんの絵が描いてある。

当然なんだけど、レミリアお嬢様の絵では無い。

レミリアお嬢様もあまり絵は上手くは無いけどね。

 

「た、確かに簡素ですね……でも、レミリアお嬢様

 ち、チルノちゃんって普通に描くと可愛らしいですよ?」

 

懐にいつも持ってるメモ帳を取り出して、

チルノちゃんを描いて、レミリアお嬢様に見せた。

 

「…………」

 

その絵を見たレミリアお嬢様は少しだけ固まる。

 

「わぁ! フィル、絵が上手いんだね!

 私の絵とか描いてくれない!?」

「え!? あ、はい」

 

今度はフランお嬢様の絵を描いてみる。

簡潔だけど、中々上手く描けたと思う。

 

「随分と可愛らしいね、私の描く絵とは全然違う」

「そ、そうですか? あ、ありがとうございます!」

 

あまり絵は描かないけど、上手く描けたようだった。

 

「……あー、フィル……本当に上手ね、あなた……

 適当に描いただけなのに上手すぎでしょ……

 何でも出来るわね、本当に万能過ぎでしょ」

「まだまだ咲夜さんには遠く及びませんけどね!」

「咲夜は確かに完璧だからね」

 

咲夜さんは絵も上手いし、料理も上手だからね。

炊事洗濯、ありとあらゆる事柄が得意なパーフェクトメイド。

私もそれ位の技量をある為に、日夜努力だよ!

 

「ま、まぁ、絵の話は良いわ。少し羨ましいと感じるけど

 それよりもまぁ、これよ、このカードについてよ」

「あ、は、はい、すみません」

「まぁ、このカードだけど、知っての通り

 このカードであれば、チルノの力を少しだけ扱えるわ。

 正直、あんな雑魚の力を扱えてもとは思うけどね」

「チルノちゃんの事、そんなに悪く言わなくても……

 チルノちゃんだって凄く頑張ってますよ?」

「フィル、ああいうのは頑張ってるとは言わないのよ。

 馬鹿騒ぎをしてるだけだというのよ」

 

つ、強く否定できない……

私が暴れちゃったときは助けてくれようとしてたけど

その時以外は確かにひたすらに騒いでるだけだったしね。

でも、チルノちゃんが妖精の中だと相当強いのは間違いない。

 

少し前も、3人の妖精さん達と戦ってたのを見たけど

その時は1人で3人を圧倒してたくらいだったもんね。

その後、両手に腰を当てて高らかに

あたいったらさいきょーね! とか、言ってたけど

その大声で驚いた野良犬に転かされて気絶してたし。

 

「まぁ、チルノの話は良いわよ。

 問題は、こんなカードで他者の力が使えると言う事。

 スペルカードと似たような雰囲気はあるのだけど

 あれは自分自身の力を扱って戦うためのカード。

 でも、このカードは他者の力を利用して戦うカード。

 

 あまり力の無い連中が、簡単に虎の威を借りる事が出来る。

 まぁ、そんな話は正直、そこまで興味は無いのだけど

 一番の問題は、このカードなのよね」

 

そう言って、今度は違うカードを2枚、私に見せてくれた。

そのカードの1枚には口に手を当てる指が描いてあった。

もう1枚にはカラフルな羽根が刃の様になり、描かれてる。

当然、2枚目は特徴的な羽根の色で、誰のカードかは分かった。

 

「1枚目は分かりにくいかも知れないけど

 2枚目は実に分かりやすいでしょ?

 答えを言うと、1枚目は私の力を利用出来るカード。

 2枚目は、見た目通り、フランの力を利用できるカード。

 

 私のカードもフランのカードも効果は同じで

 展開された弾幕を全て打ち消すことが出来る

 そんな、結構容赦ないカードになってるわ。

 

 私達に何かしらの影響があったわけでも無いし

 私達の体調が崩れたというわけでも無いのだけど

 私達の力を容易に扱われるというのは気にくわないわ」

 

そんな風に言ってるレミリアお嬢様だけど

本人はそこまで気にしているようには見えなかった。

恐らく、いや、まず間違いなくこの言葉は口実だ。

 

レミリアお嬢様は面白い事や、新しい事に目が無い。

大人びてる雰囲気はあるけど、根本は何処か子供っぽい。

長い時を生きてるから、退屈を嫌ってるだけって言う

そんな考えも出来るには出来るんだけどね。

 

「さて、ここまで言っちゃうと、何が言いたいか分かるわよね?」

「えっと……」

「だけど、あなたの予想とは違う仕事を、私はあなたに伝えるわ。

 あなたは恐らく、異変を解決してこいと言われる。

 そう、考えたでしょう? 今まで通りにね」

「あ、はい」

 

結構、色々な異変を解決しに行ってたからそう言う事なのかと。

だけど、どうやら今回は違うみたいだった。

 

「今回の異変の調査は既に咲夜にお願いしてるわ。

 面白そうな異変だったら、どうなったか教えて欲しいって

 そう軽くお願いしてね。だから、あなたは異変を解決する為に

 色々と駆け回る必要は無いわ」

「じゃあ、咲夜さんが留守の間、紅魔館の仕事とかをとか」

「いや、そう言う訳でも無いわ。咲夜」

「はい」

 

咲夜さんが不意に姿を見せ、同時にパチュリーさんも姿を見せた。

パチュリー様のすぐ近くに、小悪魔さんの姿もあった。

 

「パチュリー様?」

「えぇ、私よ。今回、私があなたに指示をするわ」

「実は、パチェもこのカードにかなり興味を持ってね。

 自分の力をどうやって利用されてるのか。

 そして、フィル……あなたのカードが存在するのか」

「どう言う事ですか?」

「現状、あなたはこの幻想郷で最強の存在よ。

 そんなあなたの力を一部とは言え、扱える力があるなら

 それは非常に驚異的だし、そして何より

 あなたの力をほんの僅かでも模倣できる術。

 そんな物が存在しているのか、興味があるの」

「それに、あなたはあまりパチェとは仲良くしてないしね。

 一応、今のパチェは喘息も大分良くなってるから動けるからね。

 昼じゃ無ければ、私も一緒に回ろうとは思うけど

 今は生憎の晴天だからね。だから、あなたにお願いしたって訳。

 

 あなたの力を極一部とは言え模倣できるカードが存在した場合

 パチェが危ないからね。親友としては危惧してるのよ」

「レミィ、丸くなったわね」

「あなたもでしょ?」

 

最初は、お互いそこまでハッキリとは大事とは言ってなかったけど

今はレミリアお嬢様もパチュリー様も仲良さそうにしてる。

やっぱり、親友同士だもんね。

 

「はい、分かりました! では、私の今日のお仕事は

 パチュリー様の護衛と言う事ですね!」

「えぇ、そう言う事よ。

 一応、役には立たないだろうけど

 コアも連れて行くわ」

「パチュリー様……は、ハッキリ言わないでくださいよぅ……」

「なら、負けじと頑張りなさい。じゃあ、フィル。お願いね」

「はい! お任せください!」

 

今日は珍しくパチュリー様と一緒だね。

あまり深い交流が無いから、この機会に

今まで以上に仲良くなれるようにしないとね!

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