ミケさんにお話を聞いて
私達はすぐに妖怪の山へ向った。
何だか、最近は良くここに来る気がするよ。
前もここに来たしね。
……それにしても、あの白い人。
あの人は一体、なんだったんだろう。
私はこの幻想郷で色々と過ごしてきたけど
あそこまで反射的に臨戦態勢を取ったのは
あの時が初めてだったような気がする。
自分でも良く分からない間に即座に反応した。
あんな事が……うーん、やっぱり異常な気がする。
「さて、妖怪の山へ来たわね」
「初めて来た様な気がします」
「それは当然でしょうね。
私は基本的に紅魔館から出ないもの。
なら当然、使い魔であるあなたが出ることも稀よ」
「あはは、で、ですよね」
小悪魔さんは殆どパチュリー様と行動してるからね。
今回だってそうだし、当然なんだろう。
小悪魔さんが1人で行動する事も珍しいし
パチュリー様が1人で行動する事も珍しい。
今回はかなり貴重な状態だと言えるのかな。
「パチュリー様、このような場所で珍しいですね」
私達が会話をしていると、不意に気配が増え
聞き慣れた声が私達の背後から聞えた。
「わぁ! さ、咲夜さん!?」
不意に聞えた声に、小悪魔さんが驚いた。
私は気配が増えると同時に反応してたから
そこまで驚くことは無かった。
あの半獣異変以降、私の堪はより鋭くなってる。
だからなのか、咲夜さんが不意に出て来ても
あまり驚くことが無くなったような気がした。
でも、警戒してないときとかなら驚くけどね。
今回はあの時の事もあって、結構警戒してたし
咲夜さんの登場に一切の動揺も無かった。
「咲夜、あなたは人の背後に立つのが趣味なの?
レミィの近くに現われるときも
いつも背後に立ってるし」
「私はメイドですからね。
仕えるべき相手の歩む道を阻むことは
よほどのことが無い限りはあり得ません」
場合によっては、主の歩みを阻む。
咲夜さんの言葉には、その意図も含まれてる。
レミリアお嬢様が信頼されている理由の1つだ。
優秀な部下が居るから、レミリアお嬢様は
この幻想郷で暴走する危険性が無い薄いと判断されてる。
だからこそ、私はレミリアお嬢様の家族のままなんだ。
「そう。所で、どうして私達の前に姿を現したの?」
「それは単純な理由ですよ、パチュリー様。
あなた達が居たから、それだけの理由ですわ」
「ごもっともね。じゃあ、ただ姿を見せただけなの?」
「えぇ、まぁ。ただお話しもしようと思いましたが。
しかし、パチュリー様の興味で
フィルと小悪魔と共にこの場所に来たのは理解してますが
もうここまで来たのは驚きです。
流石はパチュリー様」
「おだては良いわよ殆がフィルの活躍だし」
「そ、そんな事無いですよ、私は馬鹿ですし
今回もパチュリー様の指示に従っただけです!」
「馬鹿って、あなた相当頭も良いでしょ?
それに、異変の解決出来るくらいに
勘も中々に鋭いでしょ?」
「何処かの巫女のようね、勘で解決だなんて」
絶対に霊夢さんの事だね……
幻想郷の巫女と言えば、霊夢さんと早苗さん。
そして、勘だけで解決が出来そうなのは霊夢さん。
早苗さんは、何と言うか1人で全部を解決する様な
霊夢さんタイプとは違うような気もするしね。
「あの巫女は色々と規格外ですからね。
幻想郷に関する事柄であれば、右に出る物は居ないでしょう」
「幻想郷以外では、あまり活躍できないような気もするけどね」
「幻想郷以外であれば、フィル以外は大体何も出来ないですよ」
「わ、私は例外なんですか!?」
「あなたは色々と規格外の実力だからね。
外の世界も月とかも地獄でも何処でも
大体は解決出来るでしょ?」
「た、確かに色々な所は行けますけど……
実際ちょっと前に地獄にも行きましたし……」
考えてみれば、地獄も通ったしね、あの時。
畜生界も向ったし……でも、どうなんだろう。
幻想郷にも六道ってあるのかな?
地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人道、天道
この中で、私が知ってるのは
地獄道と畜生道と天道と人道。
地獄道は地獄で、畜生道はちょっと前に行って
人道はこの現実世界。天道は天子さんの故郷だよね。
後は阿修羅道と餓鬼道……この流れならあるんだろうなぁ。
でも、冥界とかもあるし、三途の川だって存在してる。
この幻想郷には何だか、色々な世界が融合してるような
そんな印象さえ覚えるくらいに、色々な世界がある。
幻想郷は幻想が力を得る世界なのであれば
こう言う、神話の話しも力を得るんだろうね。
少なくとも幻想郷では仏教、神道は存在してる。
ならばきっと根の国も存在してるし、高天原もある。
私が知らないだけで、
もしかしたらヴァルハラもあるかも知れないし
オリュンポスの神々だって存在してるのかも知れない。
幻想が力を得る事が出来る世界なのであれば
外の世界で幻想とされた奇跡が具現化する。
「本当、あなたは色々な世界を旅してるわね。
幻想郷だけじゃ、あまりにも狭すぎるのかしら。
まぁ、あなたが引っ張りだこだという証拠でしょうね」
「た、確かに色々と呼ばれてますからね……」
「ま、今回は珍しく私のわがままに付き合って貰ってるけど。
あぁ、そうだ咲夜。有力な情報とか知らないかしら?
先に異変解決に乗り出してるあなたなら
何か知ってるでしょ?」
「えぇ、そう言えばそのお話しが先でしたね。
アビリティーカードですよね」
私達と会話をしながら、咲夜さんがカードを取り出した。
「多少の情報は仕入れていますわ」
「どんな情報かしら、私は興味があるのよね。
このアビリティーカードがなんなのかに。
そして、フィルのアビリティーカードが存在するのか」
「フィルのアビリティーカードは私もまだ確認出来てません。
ですが、このアビリティーカードが何で出来ているのか。
その情報は知らせることが出来ますわ」
「それは素晴らしいわね、教えて頂戴」
「はい、分かりましたわ。このアビリティーカードの材料は
この妖怪の山で手に入る、とある宝石だそうです。
宝石からカードが出来るとは驚きですがね」
「宝石? それは何処にあるの?」
「妖怪の山の高地に入り口がある洞窟。
虹龍洞と呼ばれる場所に存在してるとか」
「場所はこの地図に記入しております」
会話の最中に不意に咲夜さんの手元に大きな地図が出て来た。
恐らくだけど、あの会話の間に時間を止めて
地図を書いて私達に渡してくれたんだろうね。
「なる程、興味深いわね。なら、私達はここに向うわ。
咲夜、あなたは恐らくこの異変に関係してるであろう
天狗を探して、異変を起した意図とかを聞いて
異変解決に動いて欲しいわ。とある宝石とやらは
私達が確認してくるから」
「分かりましたわ、パチュリー様」
「それともう1つ。
無いかも知れないけど
フィルのアビリティーカードの捜索もお願い。
レミィも私もそれにも興味があるから」
「承知いたしました。では、失礼します」
お辞儀をして少しして、咲夜さんの姿が消える。
何度も見慣れてる光景だった。
「じゃあ、行きましょうか、フィル」
「はい、パチュリー様!」
私達は虹龍洞へ向けて進むことにした。
(フィルのアビリティーカードってあると思うか?)
(無いだろうね、今回の異変だけど
恐らく神が介入してると言える。
金が無いと手に入れることが出来ないと言う所から
そうだなぁ、商売の神様とかじゃ無いかな?)
(この幻想郷じゃ、信者とか居そうにない神様っすね)
(だね、信仰が無いと存在出来ないと考えるとすれば
案外、市場の神とか、そう言う存在だったりするかも?)
(なんで市場の神だよ)
(人里では商売と言っても、あまり信者が出来そうにないからね。
市場であれば、人が何人も揃ってたら出来る物だしさ。
それに、商売よりもカバー範囲広そうだしね)
(ふーん……じゃあ、アビリティーカードはその神の力か?)
(さぁ、そこまでは。ただルールを組み立てた存在は
神だと言う可能性が高いとは思ってるよ。
アビリティーカードまでは分からないけど。
意外と、黒幕が複数人居たりしてね。
少なくともがめつい奴だろうね。
で、ここが妖怪の山だから……天狗か河童かな?
うーん、多分河童……? でも、どうだろう。
妖怪の山にいる妖怪達は縦社会らしいし
下にいるであろう河童にそんな事が出来るかな?
商売関連は河童の分野だから、河童の偉い奴とか?
だけど、異変を起すほどの騒動にするかな?
流石にそんな権限は無いだろうし……
なら、天狗……天魔とか? あの雑魚……
でも、商売とかやろうとしてる雰囲気ないしなぁ……
烏天狗はあまり商売って雰囲気ないし
当然、白狼天狗もあり得ないだろうから……)
(考えるの後で良いだろ、今はカードだっての)
(……だね、黒幕の方はメイドさんが探るだろうし
僕らはカードの正体を探るか)
(ま、探るのはうちらじゃないっすけどねー)
(ま、まぁ、今回の僕らは傍観者だしね、あはは)