戦うために洞窟から一旦抜け出す。
その道中で洞窟の外へ向ってる
パチュリー様と小悪魔さんが居た。
「あ、パチュリー様、小悪魔さん。
大丈夫でしたか?」
「フィル、最奥には行ったようね。
変なのが2人ほど付いてるし」
「あー? こいつらが大事って奴ら?」
「はい! 私の大事な人です」
「ふーん、弱そうだな」
「……雰囲気からして、大蜈蚣かしら」
「大百足? ムカデなんですか?」
「そうよ、漢字で書くとこうね」
大蜈蚣……読みにくい。
大百足じゃないのかな?
百足って書くわけじゃないんだね。
「よく知ってるな、そうだぜ。
俺は大百足だ! 漢字は知らん!」
「でしょうね、それは雰囲気で分かるわ」
パチュリー様がちょっと馬鹿にしたような表情で
彼女の言葉に応えた。
まぁ、確かに漢字とか詳しい雰囲気無いしね。
「しかし、妖怪の中じゃ大分上位である
妖怪が、こんな所で発掘とはね。
お金にガメツイ雰囲気はないけど、どうなの?」
「お金ぇ? そんなの興味ねーぞ」
「じゃあ、異変の黒幕では無いのね。
利用されたというのが正しいのかしら。
大天狗が黒幕なのは確定として
さてはて、大天狗だけでこの規模が出来るのかしら。
そこの管狐、答えなさい」
「え!? わ、私ですか?」
「あんた以外に狐が居るように見えるのかしら?
私が思うに、あなたは異変を起してる側でしょ?」
「え、いや、それはー」
「大天狗さんが原因らしいですよ。
龍さんだったかな」
「あ、案内したんだから言わないで!?」
「やっぱり大天狗が原因ね。
しかし、そこの管狐。あなたは何と言うか
管狐っぽく無いわね。本当に管狐なの?
資料通りに見えたけど、違うのかしら」
「狐さんらしいですよ?」
「それは見れば分かるわ」
うん、そうだよね、見るからに狐さんだもんね。
「まぁ、管狐で反応したわけだしそうなんだろうけど。
なんか馬鹿っぽいと言うか……まぁ、この際良いわ。
それでフィル、何か変わった物はあったの?」
「はい、こう言うのを貰いました。龍珠って言うらしいです」
私は百々世さんから貰った龍珠を見せた。
「これがアビリティーカードの原料なのね」
「はい! とても美味しいですよ!」
「……いや、そんな力強い笑顔で言われても。
食べないわよ? 食べないからね?
てか、食べられるわけ無いからね?」
「そ、そうですよね……でも、美味しいんですよ?」
「と言うか、なんで食べようと思ったのよ」
「百々世さんが美味しいって教えてくれたんです」
「おう! 美味いぞ!」
「……誰もがあなた達みたいに
顎が強いわけじゃないのよ」
パチュリー様が少し呆れた様な表情で呟く。
うん、そうだよね、私達くらいだしね。
でもなぁ、美味しいと思うんだけどなぁ。
流石に咲夜さんの料理ほどじゃないけど
結構食べられるし、意外性があって良かったのに。
「本当ですよ……」
パチュリー様の言葉を聞いた典さんが
少しだけ嫌そうな表情を見せながら
小さく呟くと同時に何かに気が付いた様な
表情を見せた後、口から龍珠の欠片を出す。
「……あなたも食べたのね、管狐は
かなりグルメだと聞いたのだけど
あなたはそう言うわけじゃ無いのね」
「勘違いしないでいただきたい。
これは無理矢理口に突っ込まれただけです」
少しだけ私達に背を向けて
少しの間だ沈黙して、軽く咳き込み
再びこちらに顔を見せた。
「ハンカチいりますか?」
「いえ、大丈夫です。
そもそも、そのハンカチって
自分の口を拭いた奴でしょう?」
「あ、これは予備のハンカチですよ」
「……使わせて下さい」
「はい、どうぞ」
予備のハンカチを典さんに渡した。
その後、口を押さえて何かを吐き出した。
「ありがとうございます」
「いえいえ、気にしないでください」
典さんに渡したハンカチを受け取って
普段ハンカチを収めてるポッケに戻す。
「……」
「どうしました?」
私の動作を見た典さんが怪訝そうな表情で
私の方をジッと見ていた。
「噂で聞いてたより大人しいからでしょ?
ま、フィルは強大な力を持ってる割には
幻想郷の中じゃ、かなり大人しいからね」
「大人しい?」
「下手に手を出さなきゃフィルは手を出さないわ。
あなたから仕掛けない限りはね。
あなたの態度が異様なのもそう言う事でしょう?
フィルに対し、恐怖を抱いているから
可能な限り怒らせないように道化を演じてる。
管狐は腹黒く、全てを破滅させる妖怪だからね。
当然、その特性はフィルが嫌う特性。
他者を陥れる力を、彼女は好まないわ」
「そんな能力なんですか?」
「い、いえ、そんな能力じゃ無いです。
私の能力は主に幸福をもたらせる能力で」
「一時的にね、最終的には破滅させる。
それが管狐という妖怪よ
何ともずる賢い妖怪。
そう考えれば
あなたの第一印象が管狐では無いと
そう感じたのも自然よね。
本能的に、あなたはフィルに睨まれないように
道化を演じ、無能を晒してる振りをしてた」
パチュリー様の言葉を聞いた典さんの目が鋭くなる。
最初に会ったときとは違う、僅かな邪悪を感じた。
「実際、賢い判断と言えるわ。
フィルと敵対するのは賢明では無いしね。
だけど、あなたは自分の本質を知って居る。
それを証明してるとも言えるけど」
「妖怪にはそれぞれ、本質が存在していましょう。
その本質を理解していない妖怪などは
力無き妖怪位でしょう?」
最初とは違う雰囲気を醸し出しながら
典さんはパチュリー様と会話をしていた。
パチュリー様もその言葉を聞き、小さく微笑む。
「面倒くせぇ話は良いじゃねぇかよ。
俺はさっさとこいつと戦いたいんだ。
話し合いなら、外でやってくれよ。
俺とこいつがやり合ってる間にな」
難しい会話に飽き飽きしたんだろう
百々世さんが少しだけ怒りを露わにして
その2人の会話を無理矢理引き裂いた。
「あなたはフィルと戦うつもりなの?
勝てるとでも思ってるのかしら」
「まさか、俺だって無謀じゃねぇさ。
実力差程度容易に分かってる」
「なら、何故戦おうとするの?」
「俺が俺だからだ、それ以上の理由はねぇ。
つえー奴が居れば戦う、それが俺の生き方だ。
龍珠ばっか食ってちゃつまらねぇからな。
俺の本質は闘争だ、戦う事こそ
俺の生き様! 俺の生きる原動力だ!」
堂々と叫び、とても力強い笑みを浮かべた。
……最近はこういう人とよく合う気がする。
私と戦う事を楽しんでる人と。
私に敵わないと感じても戦いを挑む人が。
……自覚するんだ、私。
私は強い、強い人達に挑まれるほどに。
だから、その挑戦を受けて立つことが。
「ッ!?」
「へへ! 良い笑顔だな! フィル!」
「ふふ、楽しみましょうね、百々世さん」
「本当、心の底から楽しそうな笑みね。
確実に自分に自信が付いてきてる証拠。
この異変も、フィルには良い刺激ね」
そのまま、私達は洞窟の外に出た。
虹龍洞が潰れないように少しだけ山を下り、
ある程度の広さがある空間へ移動する。
周囲には木々が生えている。
「ここで良いんですか?」
「あぁ!」
「木が邪魔では?」
「関係ねぇ」
百々世さんはスコップを強く振り、
近くの木をあっさりと粉砕した。
「こんなの、俺達の邪魔にもならねぇからな」
「決闘のルールはどうします?
スペルカードルールで良いですか?」
「そうだな、それで」
「それで良いんですか? 百々世さん」
「あ?」
戦いのルールを決めようとしたときに
百々世さんの背後に典さんが姿を見せた。
彼女は悪い笑みを浮かべながら、
彼女に語りかけていた。
「こんな機会、早々ありませんよ?
あなたが全力で戦える相手と
戦うだなんて事」
「……」
「強すぎるあなたが全力を出せる相手。
そんな相手と、折角戦えると言うのに」
典さんは百々世さんに
色々な方向から声を掛けてた。
「次、また同じ様な機会があるとは限りません。
今回は異変の調査できていた魔法使いさん。
彼女を守る為に
フィルさんはあなたと戦う事を了承しました。
ですがもし、この機会を逃した後に
全力で戦いたいと思ったとしても
フィルさんが了承してくれる保証は無い。
ですが、今ならば受けてくれる可能性が高い。
彼女はあなたと戦う事を約束してくれました」
「……」
「彼女は約束は守るタイプでしょう。
なので、全力で戦いたいと願えば
きっと答えてくれるはずですよ?
試したくはありませんか? あなたの全力を
知りたくありませんか? 何処まで通用するか」
「……そうだな、知りたい、試したい!
俺の全力が、幻想郷最強に何処まで通用するか!
全身全霊で挑みたい! 何かに挑んでみたい!
全力で挑戦したい! だから……
だからフィル、全力でやらしてくれ!」
そう呟き、百々世さんが深く構えた。
手に持ってたピッケルとスコップも
深く構える前に放り投げた。
「……良いんですか? それで」
「あぁ、最高の機会だ、試してみたい。
俺の全力が何処まで通用するか!」
その言葉と同時に、彼女は全身に力を込める。
僅かだけど、空気が揺らいだように感じた。
「挑ませてくれ、全力で!」
「……分かりました、全力で来て下さい。
大丈夫です、ちゃんと手加減はしますので」
どうやら、彼女は本気のようだ。
だから、私も応えないと行けない。
私も同じ様に構えを取った。
「管狐、あんた何が狙いよ」
「気になるじゃ無いですか、幻想郷でも
最強格である2人が本気で戦ったら
どんな結末になるのか」
「……」
「あなたも興味があるでしょう?
知識の探求こそ、魔法使いの本質。
そうでしょう?」
「……そうね、ただ自分の身は自分で守りなさい
私はあなたを守らないわ」
「構いません構いません」
「あ、あの、パチュリー様、私は…」
「あなたの事は一応守ってあげるわ。
フィルはそんなヘマはしないでしょうけどね」
「ふふ、百々世さんとフィルさんの一騎打ち。
面白くなってきたわー」
私は絶対的な強者として、彼女の前に立つ。
私は強いんだ……だから、応えるまで!