東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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久しぶりの旧地獄

中々スリリングな雰囲気があるね、これは。

あ、蜘蛛の糸があるね、邪魔だよ。

 

「わぁ!」

「ん?」

 

大きな声がして、落下を言ったん止めた。

フランの方も同じ様に降りるのを止める。

 

「ちょ! な、なんで私の糸が!」

「あら、誰かしらあなた。

 いや、思い出したわ。

 フィルを止めようとしてくれてた奴ね!」

「え? 誰? あ、吸血鬼の妹の方ね。

 で、そっちはフィル? 地底に用かしら」

「そうだよ、地底というか正確には

 地底に居るであろう神に用があるんだ」

「ふーん、神奈子様かしら、所でフィル

 何だか雰囲気が違う気がするけど…

 なんか威圧感が凄いって言うか」

「今の僕はフィルだけどフィルじゃ無いから」

「その口調、ま、また暴走したの!?」

「違う違う、暴走してるわけじゃ無いよ」

 

金髪の確か土蜘蛛だったかな。

八雲紫が地底のフィルを送ったときに

最初に出会った妖怪。

 

「今はフィルのお姉ちゃんであるフェンリルが

 前面に出てて、一緒に黒い水の謎を追ってるのよ」

「黒い水、あれね血の池地獄が腐った水かしら

 噴き出してる理由とかさっぱり分かってないし」

「血の池地獄が腐った水って何言ってるんだ?」

「え? そうとしか考えられないけど」

 

あの匂いは間違いなくあの忌々しい水だ。

石油、世界を進化させたクソみたいな水。

しかし、ある程度の目安が出来たとも言えるか。

旧地獄の血の池地獄。そこを探って見よう。

その前に地霊殿へ行って、話を聞くのもありか。

 

「しかし、本当妙に人多いしなぁ」

「と言うと?」

「前も結構色々とやって来てね。

 腐った血の池地獄を抑えるためなのか

 神様まで来たし、何だか騒がしいわぁ。

 まぁ、間欠泉の異変があって変化があったけど

 半獣異変があってから地底は千客万来。

 簡単に出入りが出来るようになったけど」

「ふーん、で、誰が来たとか知ってるのかい?」

「霊夢、魔理沙、船幽霊、神様、貧乏神と疫病神。

 そして、今回はあなた達がやって来たって感じね」

「ほう、じゃあ大体当りっぽいね」

「でも、どうしてそんなにピリピリしてるの?」

「神を食い殺そうと思って」

「え? いや、そんな物騒な」

「まぁ、冗談だよ」

 

流石に殺すのは不味いだろうからね。

そんな事をしたら、フィルが黙ってないだろう。

あの子はそこら辺、かなり甘いからね。

 

「じゃあ、とにかくその神に興味があるんだ。

 流れとして戦う必要があるのかもね。

 戦うつもりなら戦ってあげるよ?

 それも、普段よりも超絶手加減した状態で」

「ま、まさか、あなたと戦うなんて冗談じゃ無いわ」

「そうかい、じゃあこのまま行くよ。

 一応お礼を言わせて貰うね、情報ありがとう」

「えぇ、行ってらっしゃーい」

「あ、その前に私も、ありがとうございましたー」

「あ、フィルの方ね、久しぶりに会話が出来て

 私も嬉しかったわ、じゃあ頑張ってねー」

「はーい!」

 

唐突にフィルが出て来たけどまぁフィルらしい。

とは言え、今回の情報で分かることも多い。

大体予想通りだったと言う事かだね。

 

しかし、あの守矢の神がここを通ったと。

つまり、最初の石油は関係無かったのか?

だが、石油に目を付けて見に来たという可能性もあるか。

 

もしそうだとすれば、あの神以外にも何か居るのか。

まぁ良い、とりあえず核融合炉にも行ってみよう。

あの神が居るとすれば、恐らくそこだろう。

守矢の神社には気配も無かったしね。

 

「さて、旧地獄まで来た訳だけど」

「その姿……久しぶりに来たのね」

「あぁ、橋姫の。久しぶりだね」

「普段とは雰囲気が違うわね。

 複数の性格があるなんて妬ましい」

「安心しな、人格は1つしか無いからね。

 僕は姉だ、フェンリルだよ、橋姫」

「あなたもフィル救助で手を貸してくれたわね。

 ありがとうね、確かパルパルだっけ」

「パルスィよ! 水橋パルスィ!

 そんな馴れ馴れしくあだ名で呼ばないで。

 本当、元気すぎて妬ましいわね! 

 吸血鬼の妹!」

「もう、皆そう言っちゃって、何よ吸血鬼の妹って

 私も吸血鬼よ? 妹の方の吸血鬼って言いなさい」

「いや、あまり変わって無くない? それ

 て言うか、それで良いの?」

 

唐突な若干抜けた会話を聞いて、少し呆れる。

 

「じゃあ、なんでこの場所に来たの?

 最近は客が多くて困るわ。

 私の嫉妬心が刺激されて困るわ本当」

「まぁ、それは君の才能、いや、本質かな?

 人の良いところを即座に見るのは良い事だ」

「フィルなら言いそうだけど、あなたも言うのね」

「フィルの言葉だよ、君の事は聞いたしね」

「そ、そう、妬ましいわね、優しすぎて」

「ありがとうございます、パルスィさん」

「雰囲気が変わったわね、フィルの方かしら」

「はい、久しぶりに出会ったのでお話ししようかと」

 

フィルが前面に出て来たね、まぁいいや。

ひとまずはフィルの会話を聞くだけにしよう。

 

「フィル、あなたのお姉様急いでる様子だけど」

「そ、そうだね、あまり会話しない方が良いかも。

 じゃあ、ごめんなさいパルスィさん。

 何だかフェンリルお姉ちゃんも急いでる様なので」

「それ位分かるわ、あなたの姉が出てるほどならね。

 さぁ、好きに行きなさい、わざわざ止めないわ」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃ、行こうか、フラン」

「はーい!」

「……本当、あなたが妬ましいわ、フェンリル」

「そこは妬んでくれて良いよ、僕が君でもそう思う」

「ふん、さ、行きなさい」

 

さて、あっさり通して貰えたね。

わざわざフィルを相手に足止めはしないだろう。

 

「さて、旧地獄だね」

「結構臭いわね、ここ」

「酒臭いね、怒号もうるさいし。

 まぁ、活気があるのは良いことだよ」

「おっと、珍しい顔だね、フィル」

 

あの1本の角、確か勇義だったかな。

 

「あなたも助けてくれたわね、お礼を言うわ」

「おっと、妹の方の吸血鬼ちゃんかい」

「あら、あなたは吸血鬼の妹とは言わないのね」

「あんたも吸血鬼だしね」

 

随分と明るく笑ってるね、この鬼。

 

「で、今日はどうしたんだい?

 何だかフィルの雰囲気が違うけど。

 笑顔が無いよ、普段は良く笑ってるじゃ無いか」

「普段のフィルを知ってる位にあってるのか?」

「あぁ、人里で笑顔を振りまいてる姿をよく見るよ。

 まぁ、口調で分かるが、フェンリルの方かい?」

「そうだよ、フェンリルの方だ」

 

そう言えば、この鬼は人里にも結構居るな。

 

(フィル、今回は出ないで良いんじゃ無い?)

(でも、久しぶりだし…)

(今度、人里で会ったときに会話して。

 今は少しだけ急いでるからね)

(う、うん)

 

あまり時間をかけたくは無いからね。

とは言え、情報収集はさせて貰うけど。

 

「まぁ、今回僕らがここに来たのは黒い水だよ」

「黒い水ねぇ、確かにたまに噴き出して困るんだ」

「……ここで?」

「そうだよ」

 

ははーん、予想は出来てたけど噴き出してるのは

何処かの誰かが裏で糸を引いてるな。

 

つまり、黒幕は2種類居ると言う訳だ。

石油を掘り出して利用してる奴と

それを止める為に石油を噴き出させてる奴。

 

恐らく石油を利用してる側にあの神が居るね。

で、石油を噴き出させてる奴は……賢者だな。

八雲紫か、いつぞやの扉の神だ。

あの2人の能力なら噴き出させることは出来るだろう。

 

恐らく僕と同じ理由で妨害しようとしてるな。

幻想郷に劇的な進化が発生しないように。

 

「なる程ね、大体見当が付いたよ

 黒幕が2種類か…」

「何かヒントを言ったつもりは無いけど

 役に立てたなら良かったよ」

「で、君は石油側だったりする?」

「石油側? なんだい石油って。

 私はいつも通り旧地獄を散歩してたら

 珍しい顔が見えたから声を掛けただけだよ」

「嘘は無い?」

「鬼は嘘を吐かないよ。悪魔と同じでね」

「私は嘘を吐くし、お姉様も嘘を吐くわ」

「それはあんたらが特殊なだけだろうね」

 

普通、悪魔は嘘を吐かないものだけどね。

まぁ、ここは幻想郷だしね。

お嬢様は十字架武器にしてるしね。

 

まぁ、あれは当然と言えるが。

吸血鬼の弱点が十字架なのは

吸血鬼の元がキリスト教の場合限定だ。

それが弱点だと考えると言う事は

当時の連中はそれが当然だと誤解してたんだろうね。

 

お嬢様は宗教だとか興味なさそうだし

十字架なんぞが弱点な訳無いだろう。

 

「まぁとにかくだ、嘘は吐いてないよ」

「みたいだね、信じよう。

 そもそも、君と戦いたくは無いし」

「あたしはあんたと戦いたいって思うけどねぇ」

「好戦的なのは結構だが、君と戦うってなると

 今の超絶手加減状態じゃ苦労するから断わるよ。

 テュポーンが出てるときに挑めば良いさ」

「……超絶手加減状態ってどう言う事さ」

「神に気付かれないように極限まで気配を消してる。

 この状態で戦って力を漏れないようにするのはね。

 雑魚妖怪なら問題無いが、君は強そうだし」

「何か考えがあるのかねぇ、まぁ良いよ

 理由があるなら仕方ない。戦うのは止めよう」

「ん、理解してくれてありがとう。じゃあ行こうか」

「だねー、そう言えば鬼のお姉さん、あなたは強いの?」

「まぁ、強いだろうね。フィルにゃ劣るだろうが」

「あはは、それはそうだよ! じゃーねー

 今度、機会があったら私と戦って」

「あぁ、機会があればね」

 

フランは中々好戦的らしいが、そこまでみたいだね。

じゃ、急いで先に進もうか。

 

 

 

 

 

「おおよそ、事情を把握されたようね」

「だな、予想以上に聡明らしい」

「今度はあなたが狙われるかも知れないわよ?」

「いや、それは無いだろう。お互い狙いは同じだ」

「そうね、フェンリルが敵対しないで良かったわね」

「全くその通りだな」

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