東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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全てを喰らう捕食者

「さぁ、早速行くぞ!」

採取「ガイアの血液」

 

血の池を攻撃して血液の球を展開。

僕に追尾をさせながら弾幕を残しての攻撃。

ふんふん、まぁありきたりな追尾弾幕だね。

 

「しかし、君のスペルカード名でいいのかな?

 随分と盛大な文句が多いじゃないか」

 

ガイアねぇ、ギリシャ神話の大地の神だっけ。

 

(ガイアって、君がよく知ってるだろ?)

(あぁ、俺の母さんの名前だろ?

 大地の神だっけか、昔の事だしうろ覚えだ)

(地母神だよ、ギリシャ神話における原初の神だ。

 そして、神話じゃ君は

 そのガイアとタルタロスの間に生まれた子だよ)

(タルタロスってなんだっけか)

(君の事だろ? 色々と言われてはいるが

 僕の記憶にはっきりの残ってるのは

 死の象徴である存在で

 神さえ恐れる終焉の象徴さ。

 

 原初神であるカオスの次に生まれたという存在。

 まぁ、ギリシャ神話における禁断の存在だ)

(ふーん)

 

まぁ、こいつはそこらへん覚える気はないだろうが。

戦えればいいって感じだしな、こいつ。

 

「大地の力に近しいこの血の池地獄を操った技だ。

 ガイアの血と言っても、差し支えないだろ?」

「いや、あるよ? 大ありだよ?

 ガイアは原初神の一角だよ?

 宇宙規模の存在だ、地球如きじゃねぇ」

「お前、滅茶苦茶詳しいな、神話好きなのか?」

「いや、神話って、ほぼ僕らの話だし。

 ましてやガイアは滅茶苦茶関係してるし」

「フェンリルだろう? お前、関係ないだろ」

「知らないのかい?

 フィルは僕、フェンリルの血と

 テュポーンの血とガルーダの血を引いてる。

 半分は人の血で、45%は僕らの血だ」

「そこまで聞くと、あと5%が気になるな」

「神や妖精とかの雑多な血さ。

 そして出自的にガイアの血も引いてるし」

「ほぅ、それは確かに

 私の技名に反応するのもうなずけるな」

 

会話をしながら彼女の攻撃を避ける。

ひょろひょろの攻撃だから避けやすい。

 

「さ、僕らの話はここで一区切りだ」

「うぉっと! やはり圧倒的な攻撃力だな。

 やはり休む暇はないか、畳みかけてやるぜ!」

精錬「呪われた血液の追憶」

 

彼女が血の池を強く殴ると血の球が飛び出す。

ひとまず今回は僕もその足場に乗ってみる。

正直、乗る必要は無いんだけどね。

脚力で跳べるし、足場は不要だ。

とはいえ、相手の土俵で戦うのもいいだろう。

 

「さぁ、いつまで耐えれる?」

「君、ぷかぷかするの好きなんだね。

 やっぱり見た目相応で

 どこか可愛らしいじゃないか」

「可愛らしいというな! この狼!」

「そう怒るなよ、可愛いといわれるのは不服かい?」

「当然だ! 私は剛欲同盟の同盟長だ!」

「そんなに気にすることでもないだろう?

 他の連中は結構、そうでもないけど?

 いや、あの黒駒が異様なくらいか」

「あいつはそういうやつだからな。

 脳筋なんだ、とりあえず相手よりも

 強力な攻撃を打てばいいって考えてる。

 吉弔の奴は搦め手ばかりでつまらん。

 まぁ、私も本来は漁夫の利こそ至高だがな」

「今の君の行動は漁夫の利ではないだろ?

 僕と一番戦ってるのが君だ」

「当然だ、大金星というレベルじゃないからな。

 お前を喰えれば、私は全てを喰らい尽くせる!」

「まぁ、格好つけてるけど

 そのぷかぷかしてる足場の上で

 その先割れスプーンを振り回しながらじゃねぇ」

「からかうな!」

 

っとと、この足場の下に落ちたら攻撃が当たりそうだ。

まぁ、容赦なく攻撃を踏みつぶしてもいいけど

あまりやりすぎちゃ、面白みに欠ける。

 

「ふふ、そう怒らないでよ」

「く! 目の前!」

「ほら、反応しな」

「ぐぅ!」

 

おっと、反応して僕の蹴りを止めたね。

かなり手加減はしてるが、流石に結構強い。

多分、体術に関しては黒駒の方が上だが

総合力じゃこっちの方が上かもね。

 

僕の攻撃をたまに吸収してるからね。

まぁ、大体オーバーフローしてるのか

ダメージを受けてたりするけど。

 

「あ、甘いぜ! 狼! 足を喰ってやる!」

「今の体はフィルの体だからね。

 足がもげても一瞬で再生はするだろうが

 体を動かさせてもらってるのに怪我をさせちゃ」

「な!」

「フィルに迷惑だから」

「うぎ!」

 

彼女が僕の足に食いつこうとした瞬間に

足を引き、彼女を蹴り落した。

かなり手加減したから動けるだろうけどね。

 

「く……やはり、強いな…」

「当然の事を言わないでよね。

 伊達に幻想郷滅ぼしかけて無しい」

(でもお前、地獄の女神にやられてたろ)

(いやほら、あれは僕のレベルじゃないし。

 とはいえ、今の状態なら圧倒できるよ?

 力の制御も出来るようになってきたしね)

 

今の状態で再戦をしてみたいような気もするが

流石にまだ無傷で勝てる自信はない。

イメージで出てきた時は今ほど強くは無いし

流石にその状態じゃ、勝てないような気もする。

 

「だが、ここまで来て撤退は無しだ。

 普段の私ならわざわざ挑みはしないが

 今回は特別だ、お前と戦うのは何故か楽しい」

「そうかい? そりゃよかった」

「さぁ、どこまで通用するか試させてもらうぜ」

「剛欲な獣神トウテツの夕餉」

 

彼女は飛び上がり、血の池に先割れスプーンを刺した。

そこから血の池が噴き出すように飛び出してくる。

まるで衝撃波の様に放たれた血の池の噴水。

噴水からは別の弾幕も展開されての攻撃か。

 

「ほほぅ、最後の方は結構な力技っぽいね」

 

ま、実際は血の池を刺激しての攻撃だ。

僕らがやるような衝撃波とは違うが

この空間を利用した戦い方と言える。

 

「まだまだ行くぞ!」

 

再び飛び上がり、同じように血の池に突き刺す。

何度かぴょんぴょんと攻撃し

周囲を手当たり次第に攻撃していく技。

今までの何処か知性を感じるような攻撃ではなく

純粋な獣の様なパワースタイルだね。

 

「さぁ! まだまだ! 楽しめ!」

「全身運動だね、疲れるよ?」

「この程度で疲れはしない」

 

弾幕を消す事前提の攻撃と言えるね。

まぁ、今回は消さないで避けてるけど。

空中浮遊も使わずにこっちも自力だけだ。

 

「ほらほら、当ててみなー」

「これでどうだ!」

 

かなり高く飛び上がり、血の池を攻撃。

今までで一番大きな波が展開された。

良いじゃん、避けさせる気がないのも面白い。

ルール無用といてっただけはあるね。

 

「おー、良いじゃん」

 

僕は右手を軽く振るい、その波を両断する。

 

「な! ぐは!」

 

同時に、彼女に向けての攻撃も放った。

彼女は僕の攻撃を受けて血の池に沈んだ。

 

「死んで無きゃいいけどね。

 まぁ、死ぬような攻撃でもないけど」

「フェンリル、結構やったみたいだけどまだよ」

「おや、巫女さん。まだっていうのはどういう?」

「そのままの意味よ、まだ饕餮は生きてる。

 とはいえ、もう空腹だろうから

 周囲を吸収するだけの攻撃になるそうよ。

 その間にあなたの能力をぶち込めばいいわ」

「別に殺すつもりは無いんだよ?

 あいつには少し通じるところもあるしね。

 仕留めようと思うだけの遺恨もないし」

「懲らしめるだけよ、殺す必要は無いわ」

「むー、私は破壊したかったんだけどー」

「駄目よ、壊す程の事はしてないしね。

 というわけでフェンリル、お願い」

「君がやればいいんじゃない? 博麗の巫女だし」

「いやよ、私は面倒なのは嫌いなの。

 本来はもう放置でいいかなーって思ってたし」

「職務怠慢じゃないの?」

「別に私がこれ解決しても

 博麗神社の信仰は増えないのよ。

 じゃ、後お願いねー」

 

そこまで言って、霊夢は僕の目の前から消えた。

正直、あの巫女が最初からやる気なら

饕餮は倒せたんじゃないかって思うが。

幻想降ろしとか相当やばい技術だしね。

本当、才能の無駄遣いって気もする。

 

本当、いまいちつかみどころが分からない奴だ。

欲深そうに見えて、いまいち欲深いわけでもない。

変わったタイプの人間だよ、彼女は。

 

「ま、折角だ」

 

巫女が消えてすぐに血の池の奥に饕餮が見えた。

容姿はかなり変わってるね。

 

「お腹を空かせたグリードモンスター」

 

巨大な姿となり、大口を開けた饕餮が

周囲の血液を吸収し始めた。

 

「君が自らの能力を最大限用いて行使するなら。

 君の最大の力を用いても越えられない壁を見せてやる。

 僕は全てを喰らう、神殺しの魔狼だ」

「全てを喰らう捕食者」

 

周囲に全てを喰らう空間を展開したスペルカード。

一瞬の間で僕の周りにある血の池は消失する。

空間は爆発的に広がり、饕餮さえも飲み込んだ。

 

「……強者が強欲になれば、そこには何も残らない。

 僕らが欲に身を任せれば、そこには何も残らない。

 それが、神を、世界を喰らえる魔狼だ」

 

静寂の中で僕の声だけが響く。

……ふふ、やはり欲に身を任せるのはよくない。

 

「ふふ、久々に色々と出来て満足だよ」

 

静寂を切り裂くように、僕が指を鳴らす。

同時に周囲がはじけ飛び、血の雨が降り注いだ。

 

「う、うぐぅ……」

 

そして、僕の目の前に饕餮が落ちてきた。

血の池も活動が落ち着いてきたね。

 

「なかなか楽しめたよ、饕餮。

 だが同時に、僕は強欲にはなれない。

 それも改めて分かったよ。

 やろうと思っても出来なかったからね。

 感謝するよ、ルール無用で戦ってくれて」

「く、くっく、やはり敵わないか……

 この饕餮様が手も足も出ないとはな。

 逆に清々しい気分にすらなる。

 

 どうやら私は、どこか自惚れてたらしい。

 畜生界最強等と謳われ、どこか飽きてた。

 全力を出せる相手などいない。

 戦うだけ無駄で、つまらないだけだと。

 

 戦いに関して、私は剛欲になれなかった。

 だが、今回初めて戦いに剛欲になれた。

 私と似た力を持つお前と出会って

 柄にもなく挑もうとして、完敗だ。

 

 悪くないな、敗北の味というのも。

 だが、やはり勝利の味の方が美味い」

「同じ味ばかりじゃ飽きるだろうしね。

 だから、今回はいい経験になっただろ?

 良かったね、もう満足だろう?」

「満足? まさか、私は満足することは無い。

 常に貪欲に常に強欲に決して満たされぬ剛欲に。

 それが、この私だ。

 剛欲同盟同盟長、饕餮尤魔様の生き方だ!」

「そうかい。いつか満たされればいいね。

 強欲な存在は決して満たされる事が無いから」

 

彼女は常に強欲に生きているという事か。

それが、彼女の本質なのかもしれないな。

 

「クックッ、フェンリル……

 どうだ? 剛欲同盟に来ないか?

 私はお前の事が気に入ったんだ」

「断るよ、僕は決して剛欲なんかじゃないからね。

 それに、最初に言っただろう?

 僕らは強欲であってはならないんだ。

 

 僕らは世界を滅ぼす訳にはいかない。

 僕らの大事な妹が悲しむからね。

 それに、僕らは今に満足してるんだ。

 それでいいのさ、今のままで」

「欲の否定は生命の否定だと言っただろう?」

「僕らは違うんだよ。

 僕らの欲の肯定は生命の否定だ。

 僕らの欲は僕らが否定し続けないとね。

 僕らの欲を止められるのは僕らだけだから」

 

もちろん、僕より強い奴は多いが

僕らより強い存在は居ないからね。

 

「じゃあね、饕餮。石油は封印するから。

 もう、これに手は出さない様にね。

 僕らは劇的な進化を否定するから」

「……私は諦めないぞ、フェンリル。

 必ずお前を私の物にしてやる!

 必ずだ! 必ずお前を手に入れて、

 全てを手に入れてやる!」

「全てを手にしても、持てあますだけだぜ?

 身の程程度の欲が一番なのさ」

「絶対に……絶対に手に入れてやる!

 誰にも渡すものか! お前は誰にも渡さない!

 お前は、私の物だぁ!」

 

本当、あいつは相当欲深いらしい。

実際、欲深な存在は身の程をわきまえないからね。

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