意外と初めてのパーティー。
本来、紅魔館ではパーティーは多く
色々な勢力がやってくるらしい。
だけど、私が紅魔館に来てからは
私が色々な所に行くのが理由で
あまりパーティーをしてなかったそう。
折角の催しは全員でと言うのが
レミリアお嬢様のスタンスらしい。
「フィル、食材は切り終わったかしら」
「はい、こちらに」
咲夜さんに指示をして貰いながら
私は料理の手伝いをする事になった。
咲夜さんがその気になれば
一瞬で食材を捌けるだろうけど
それだと咲夜さんの負担が凄い。
だったら、咲夜さんが時間を止めて
食材を切るのと同等の速度で
私が食材を切れば良いだけの話だ。
「速いわね、じゃあ、次はこれよ」
「はい、やります! 出来ました!」
「……そ、そう」
みじん切りであれば全然楽に出来る!
私は色々な能力があるらしいけど
今は純粋な身体能力で私は勝負しよう。
「フィル、随分と切るのが速くなったわね」
「はい、咲夜さんが時間を止める必要が無い位
素早く食材を切るように練習しましたし」
「本当、素直に感謝するわ」
「ふーん、フィル、切るの速いね-」
私達が料理をして居ると、フランお嬢様がやってきた。
レミリアお嬢様と一緒に招待状を書いてたはずだけど
飽きてこっちに来たのかも知れない。
「フランお嬢様、招待状は?」
「飽きたからこっちに来たわ。
料理をするのも面白そうだしね!」
「フランお嬢様、申し訳ありませんが
フランお嬢様がお料理をされてしまうと
食材が跡形も無くなってしまいますので」
「あら、褒めてくれてありがとー」
「フランお嬢様? わ、分かってるでしょうけど
咲夜さん、ほ、褒めてませんよ?
褒めてませんからね」
「何言ってるのさ、フィル。
跡形も無くせるというのは
私が凄い強いと言ってるのと同じよ。
意識しなくても何かを跡形も無く破壊できる。
それは、やっぱり褒め言葉だと思うの」
「りょ、料理は破壊したら出来ませんよ……」
「大丈夫よ! 人間の調理なら問題無いわ!」
「人間の調理はしてません!」
「でも、私の能力を使えば木っ端微塵よ。
一瞬で大量の血が噴き出して美味しいわ!」
滅茶苦茶笑顔で言ってるけど恐い!
実際フランお嬢様の能力を人に使えば
一瞬で木っ端微塵で血飛沫が凄い事になるだろうけど!
「フランお嬢様、それでは血が飛び散ってしまい
美味しい部分を抽出できませんわ。
良いですか? 人間の血には種類があります。
栄養を運んでいる新鮮な血と
栄養を運び終わった不味い血。
確実に前者の方が美味しいですし
更に言えば心臓部と脳付近の血が美味しいでしょう」
「なんでそんな事知ってるんですか!?」
「愚問ね、人間の調理なんて朝飯前だからよ」
「人間の調理までしてるんですか!?」
「えぇ、正確にはあなたの血を」
「やっぱりいつの間にか採られてた!?」
「えぇ、採血してもすぐ治るしね」
「きょ、許可くらい取って下さいよ!」
ま、まぁ、知らない間の方が良いけど…
だって、いつの間にかでしか無いし
私自身には本当に大した影響がない。
どうせ一瞬で傷は癒えるし
怪我をしたことすら私は気付かないだろうしね。
「やっぱりフィルの血は美味しいわよね。
フィル、料理にあなたの血を使うのはどう?」
「これはパーティー用なので!
霊夢さん達も来るんですよ!?
私の血なんて吸血鬼である
お嬢様達しか興味無いですよ」
「人食い妖怪とか居るし」
「そ、それでも駄目ですよ、異物混入です」
「むー、融通効かないなー
あ、そうだフィル、あなた速いわよね
料理を作るの、時間止めてる訳じゃ無いんでしょ?」
「あ、はい、フェンリルお姉ちゃんが言うには
時間を止めることも出来るらしいですけどね」
「なんで止めないの?」
「お姉ちゃん曰く、まだ力の制御が上手くないから
下手に使うと世界の時間が動かなくなっちゃうって…」
「時間って、そう言う感じなのね」
「いえ、フィル限定だと思いますわ」
咲夜さんは平然と時間止めてるけど
やっぱりコツってあるのかなぁ。
「まぁ良いわ、じゃあ試して欲しい事があるの」
「なんですか?」
「空中で食材って切れる?」
「え? 何でまた……」
「面白そうじゃ無いの、魔理沙が持ってきた本に
なんかそんな事してる絵があったし」
「漫画ですかね……でも、やる必要は」
「ね、お願い、見て見たいのよね」
「……ど、どうします?」
「良いんじゃ無い、一度くらい」
「そ、そうですか……意外とノリ良いですね」
「面白そうな事はやるだけよ。
仮に失敗してもあなたは食べるだろうし」
「はい、食べます」
「……抵抗はないの?」
「食べられる物は食べますよー
美味しい物はどんな状態でも美味しいのです」
「腐ってても?」
「腐ってても食べるよ、腐ってる物には
腐ってる物の独特な味わいというのがあるんだ」
「しれっと出て来たわね、フェンリル…
あなた、食べ物の話しになると
反射的に出て来たりするの?」
「だって僕、グルメだし」
「グルメは腐った物は食べないわ」
「それは自称グルメだよ、不味い物も焦げた物も
腐った物も、あらゆる物を食べ拘るのがグルメだ。
グルメは全てを食べなきゃ語れないんだ」
「あなたの食へのこだわり、中々ね……」
実際、結構フェンリルお姉ちゃんは
食べ物の話しになるとちょっと馬鹿っぽくなる。
普段は飄々としてたり、相手を挑発してたりと
かなり大人っぽく振る舞ってる
フェンリルお姉ちゃんだけど
食べ物の話題とかになると、かなり語るからね。
「フェンリルがグルメとかは今は良いんだけど
ね、フィルー、見せてー」
「あ、そう言えばその話が元だったね。
じゃ、包丁をしっかり研ごうね、フィル」
「あ、うん。どう研げば良いかな」
「まぁ面倒だから力を纏わせた方が速いけど
とりあえず爪を使って刃先を研いでおこう」
「分かったよ」
フェンリルお姉ちゃんに言われたとおり
爪を用いて刃を研いだ。
よし、かなり綺麗に研げた気がするよ。
「じゃあ、行くわよフィル」
「あ、はい」
「それ」
咲夜さんがこっちに食材を投げてきた。
私はその食材を空中でみじん切りにして
軌道上にあるボールに全て入れた。
「おぉー! 流石ね!
じゃあ、次は野菜をお手玉しながら」
「その、た、食べ物はお、玩具じゃ無いので…
い、1回は付き合いましたけど
そ、それ以上はちょっと…」
「珍しいわね、
フィルがそこまでハッキリと否定するのは。
やっぱり食べ物が大事だから?」
「は、はい、そうです。食べ物を食べられないような
そんな人も世の中には居ますからね。
あまり遊ぶのはちょっと良くないと思って」
「ふーん、じゃあ1回だけで良いわ。
どうしようかなー、暇だなー」
フランお嬢様が意外とあっさりと納得してくれた。
でも、暇そうにこの場所に居るのは変わらない。
「まぁ良いか、お姉様の部屋に戻ろー。
じゃあ、お料理頑張ってね!」
「あ、はい」
そのまま私は咲夜さんと協力して
パーティーの料理を作る事にした。
早めに作った料理は全て咲夜さんが
能力を用いて時間を止めて保管する事で
出来たてほやほやの料理をいつでも提供できる。
本当に便利だよね、時間停止って。
私もいつか出来るようになりたいなー。