東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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稗田邸へ

阿求に案内されて、僕達は彼女の屋敷へ。

人里ではかなりでかなりデカい屋敷と言えるが

流石に紅魔館ほどでは無いね。

まぁ、そりゃあそこは館だし

咲夜の能力で更にデカくしてるわけだからな。

そりゃまぁ、並の建物ではね。

 

精々、永遠亭クラスじゃないと駄目だろう。

あそこも多分、あの医者の能力で

相当広いことになってるだろう。

 

恐らく時間に干渉する能力で言えば

咲夜以上というのが確定だろうしね。

輝夜の能力が永遠と須臾を操る能力。

時間に干渉する能力と言えるだろう。

 

多分だけど、ガルーダやテュポーンなら

その能力を容易に突破出来るだろうけど

僕だと苦労するのは間違いないだろうね。

 

永遠は変化の無い時間を刺す事が多い。

確か幻想郷縁起だと細かく書いてたね。

異常な知識量と言えるかもね、

やはり阿求も相当頭が良い。

 

「では、こちらでお話しをしましょう」

 

座敷に案内されて、僕達は座布団に座った。

阿求は奥の棚を探り、そこから紙と筆を取り出す。

久々に見た様な気がするね、ああ言う筆記用具。

そりゃまぁ、フィルは何かを記入する必要は無い。

言われたことは即座に記憶するし

忘れることは早々無いだろうしね。

 

フィルは記憶力に関しては自信があるんだろう。

あまり何かを書くことは無い。

たまに書くことはあるけどね。

その時に、気まぐれで滅茶苦茶上手な絵を描いて

どうかな? と、意見を聞いてきたりすることもあるが。

正直、滅茶苦茶上手いとしか言えない。

 

「では、お話しを聞かせてくださいませ」

 

筆記用具を一通り用意した後に

阿求は僕らの言葉を聞くような態度を見せた。

 

「分かったよ、で、何を話せば?」

 

僕の言葉と同時に、襖が開いて

使用人がお茶と和菓子を運んできて

僕らの前にそれぞれのお菓子をおいた。

フィルがよく食べてる団子屋さんの3色団子だ。

 

「3色団子ねぇ」

「はい、人里で今、1番流行ってる団子です。

 フィルさんは常連ですね」

「あら、あの子結構団子を持ってくると思ったら

 ふーん、よく行ってる場所だったのね。

 流石は人里によく行ってるだけはあって

 流行の和菓子を選んでたとは」

「いえ、流行だしたのはフィルさんが

 この団子屋に良く来るようになって

 しばらく経ってからですね。

 味が向上していったらしくて」

「あぁ、知ってるよ、

 フィルが意見してたしね。

 こうしたらどうかとか、

 こうしたら美味しいとか。

 あの子はグルメだしね。

 

 で、決定的に味を変えたのは

 旦那さんが怪我をしたときに

 代わりに手伝ったときだね。

 

 普通の団子を作りながら

 美味しい団子を作って見せてね。

 その日以降、そのお店はお客さんが一気に増えた。

 ま、団子作りすぎじゃと僕も思ったが」

 

僕の言葉を聞いて、阿求が何かに気付いたようだ。

まぁ、その話は幻想郷縁起にも載ってたしね。

 

「取材に行ったときに聞いた話ですね」

「そうだよ、まぁ、その前から結構客足が増えてた。

 特にお爺さんやお婆さんが多かったね。

 沢山食べるフィルに団子を奢ってくれて

 そのお礼のような形で

 フィルはその人達の話を聞く。

 

 小さい子供も良く来るようになってね。

 良くフィルに一緒に遊ぼうとか

 フィルが滅茶苦茶買ってる団子を

 その子達に分けてあげたりしてね。

 ま、フィルは食いしん坊だが独占はしない。

 

 団子を買って帰るときもそうだよ。

 道中でお腹を空かしてる人が居たら

 その団子を渡したりしてたね。

 レミリアお嬢様とフラン用の団子は

 渡さなかったが、自分用は渡してたね」

 

フィルだからね、独占は決してしない。

だから、彼女は色々と好かれてると言える。

 

「俺だったら絶対に渡さないかなぁ」

「そりゃ僕もだよ、好きな物は渡したくない」

「うちもっすね」

 

僕らとフィルはそこが全然違うと言えるね。

僕らはフィルの様に何かを渡しはしない。

仮に渡したとしても、笑顔で渡すことは無いね。

 

「そう聞くと、フィルさんはまるで福の神ですね」

「フィルが行きつけの店は大体繁盛するからね。

 そりゃまぁ、フィルが好きな味は愛情の味だ。

 フィルがよく行く場所は、その味がするんだろう。

 グルメだからね、味覚も鋭いんだ。

 

 料理に愛情を込めてるような店によく行くんだし

 その店はお客のために努力をしてる店とも言える。

 

 例え廃れてても、フィルが行きつけになれば

 フィル目当ての客が来るし、フィルは料理に対して

 結構アドバイスをする事が多いからね。

 

 フィルのアドバイスを聞けば料理が美味しくなって

 フィル目当てのお客さんも常連になるだろう。

 そうなれば繁盛する、当然と言えるよ」

 

フィル目当てのお客さんが多くなって人が増えても

フィルが居ない時間は人が来なくなるだろうが

フィルのアドバイスを聞いて料理を美味しくすれば

フィルが来ない日もお客さんが来るのは当然だしね。

 

結局は正しい努力の方向を教えて貰って

努力をすることが出来たから繁盛したと言える。

最終的には実力だろうね。

 

「なる程、結構アドバイスとかするんですね」

「外の世界じゃ、絶対に出来ない事だね。

 幻想郷だから出来る事だろう」

 

外の世界は善意を見せても突っぱねられたり

ただ良かれと思ってやったことでも否定される。

全てが全てでは無いとしても、可能性は高いだろう。

 

「しかし、取材の話しの派生でここまであるとは。

 他に色々とあったりはするのでしょうか?」

「そうだね、よく行ってる八百屋さんなんだけど

 そこでフィルが呼び込みを手伝ったことがある。

 

 旦那さんに急用が出来たらしくて

 その時、旦那さんの代わりに八百屋で呼び込みをして

 野菜の料金を全て把握して手早く捌いてたね。

 

 で、旦那さんが帰ってきたら

 八百屋の野菜が全部売れて大喜びだ。

 フィルは声もデカいし、意外とトーク力がある。

 少しだけ勧誘されたが、まぁ紅魔館の所属だし

 フィルは断わってたね。

 八百屋さんもまぁ、仕方ないと大人しく引いてくれた」

「ふむふむ」

「次は小さな子供が人里で走って転けたときだ。

 彼女が転けて、大怪我をしたから

 フィルが急いで手当てして、親の所へ背負って運んで

 事情を説明して感謝されたこともあるし

 

 人里からでて妖怪に襲われそうになってた子供を

 フィルが説得して助けたこともある」

「説得なんですね、攻撃では無く」

「妖怪の事情だってフィルは把握してるからね。

 向こうも食べないと駄目なのは理解してるが

 見過ごせなかったから説得したのさ」

 

攻撃すれば終りだろうが、フィルの場合は説得を選んだ。

その後、子供を帰した後にちょっと囓らせてたし。

いや本当、何処まで自己犠牲な性格してるんだか。

そりゃまぁ、妖怪の方もお腹を空かしてたとは言え

普通、自分を囓らせるかな。

 

そりゃまぁ、レミリアお嬢様やフランお嬢様に

結構食べられてたりするけどさ、あの子。

その時と比べれば楽だって……はぁ

 

「あの子は本当に甘いというか優しいというか。

 僕としても、ちょっと心配になるんだよね。

 いやまぁ、フィルは悪意に敏感だから

 危ない事には巻き込まれないんだけどさ」

 

正直、ただの人間だったとしても

フィルの無意識の威圧に負けて

下手な事は出来ないんだけどね、うん。

 

幻想郷じゃ、それが普通なのだと考えると

外の世界の人間はよっぽど鈍いと言う感じだ。

やっぱり幻想郷で過ごしてる人間達は

妖怪達が居ると知ってるから、結構賢いよね。

 

「色々と人助けしてるのね、あの子。

 じゃあ、人里に買い物に行って、

 結構帰る時間がまばらなのは」

「フィルが人助けをしたり、子供の相手をして

 人里で結構活動してるからだよ。

 最低でもこの時間までには

 帰ってこいと言う時間には

 あの子は帰ってくるけど、

 その時間に帰らない場合は

 人里で結構危ない事があった場合だから

 出来れば責めないで欲しい」

「そうね、紫に攫われてるかも知れないし」

「色々と他の妖怪にちょっかい掛けられてるよ。

 帰りに氷精達に絡まれたりもするし

 天人が湧いて出て来て絡んでくるし

 

 最近は饕餮が絡んできたり

 黒駒が喧嘩売ってきたりもするし

 割と魔理沙が話し掛けてきたりね。

 

 特に多いのは天狗が来る場合だね

 短い距離なのに、人里の外は外で

 妖怪とかに絡まれてるのがフィルだから」

 

流石に幻想郷の上位層はあまりフィルに接触しない。

だけど、結構色々な視線は感じてるから

上位層も結構観察とかしてるかも知れないが。

 

「大変なのね、あの子も」

「人気者だからね、フィルは」

「おぅ! 自慢の妹だ!」

「そうね、私も自慢だよ! フィルの事!」

「うちも可愛いフィルちゃんが好かれるのは

 やっぱり最高だと感じるっすよ!」

 

あの子を知れば知るほどに、自慢になるのは当然だ。

何処までも盲目的に優しい女の子だ。

たまーに暴走することはあるが

あれはテュポーンの影響だしね。

 

「なる程、取材する候補は結構分かってきましたね」

「妖怪とかにも話を聞いたら良いかも知れないね。

 ただ神には話は聞かない方が良いけど」

「それは分かってます。

 では、次に能力のお話しをしましょう。

 後、あなた達の2つ名とか」

「ふっふっふ! あなたの後輩ガルーダちゃん!」

「……こいつは馬鹿鳥で良いから」

「ただの悪口っすよそれ!? 2つ名じゃ無いっす!」

「あなたの後輩ってのも2つ名じゃないでしょ」

「でも、赤い悪魔と悪魔の妹が君達の2つ名だし

 永遠に幼き紅い月とかって話も聞いた気がするが」

「2つ名は複数ある物よ」

 

2つ名は通称という感じなのかな。

まぁ、僕はよく分からないんだけど。

 

「まぁ良いか、とりあえず僕は神の捕食者で」

「俺は何が良いんだろうな」

「君は全能の天敵で良いんじゃ無いかな」

「じゃ、それで」

「うちはあなたの後輩!」

「君は馬鹿鳥だ」

「だからそれは悪口ですよ!?」

「じゃあもう、君は世界の超越者で良いよ。

 それならなんか格好いいし、納得だろ?」

「いやまぁ、確かにうちの能力的には

 それでも良さそうな気もするっすけど

 うちはやっぱりあなたの後輩が無難かと!」

「はぁ、じゃあもう良いよ、好きにしな」

 

面倒くさいからね、これ以上はちょっと。

あなたの後輩でも良いし馬鹿鳥でも良い。

一応、世界の超越者でも良いだろう。

 

「ふむ、フェンリルさんは神の捕食者。

 テュポーンさんは全能の天敵。

 ガルーダさんは……世界の超越者で」

「なんでっすか!? あなたの後輩で!」

「いやだって、世界の超越者の方が

 何か凄い強そうだから警戒しよってなりますし。

 一応、幻想郷縁起は妖怪の危険性とか

 そう言うのを伝える目的もありますので

 やっぱり凄い強そうな方が警戒されますし

 あなたの後輩とか、何か意味分かりませんし」

「ぶーぶ-、まぁ良いっすけどね。

 そっちの方が何か強そうだからマシっす。

 もうこの際、馬鹿鳥以外ならそれで良し」

「  フィルさんは神の天敵

 フェンリルさんは神の捕食者

 テュポーンさんは全能の天敵

  ガルーダさんは世界の超越者

 これでよろしいでしょうか」

「こう聞くと、何かフィルが弱そうに聞えるわね。

 フィルは天敵だけど、フェンリルは捕食者だし

 テュポーンの場合は神では無く全能の天敵明らかに

 神よりもグレードが上って感じがするわ。

 で、ガルーダは世界の超越者、明らかに強そうね」

「フィルを警戒させない方が良いし、それで良いよ」

 

フィルは自覚が無いけど僕らの中でも最強だ。

僕らの能力は所詮フィルの能力の極一部。

フィルは僕らの能力を全て僕ら以上に扱える。

だが、自覚が無いから強いと思って無い。

 

「では、次は本題、能力ですね」

「待ってました!」

 

ガルーダは嬉しそうに食い付いたね。

まぁ、こいつは能力話したがってたしね。

こいつに説明できるか不安だが。

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