東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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興味深い戦い

さて、お嬢様方と鬼2人の戦い。

鬼2人の方は手加減するつもりらしいが

それは僕としてもあまり好ましくは無い。

僕はお嬢様方の強さを知りたいわけだしね。

……とは言え、あの4人を静止するのは

僕としても気が引けると言うね。

 

「行くわよ!」

「あぁ、掛かって来な!」

 

フランが構え、勇義も構えた。

2人は一瞬硬直した後に

勇義が笑みをこぼすと同時に

フランが素早く勇義に接近する。

 

「ッ!?」

 

吸血鬼の速度では無い素早さで

一瞬で間合いを詰められたことで

勇義は一瞬動揺し、フランの攻撃を

避ける事が出来ず、防ぐ事になる。

盃から酒が溢れそうになる

 

「こりゃ、驚きだね!」

「きゃ!」

 

溢れそうになった盃を即座に動かし

一切盃の水滴を零させることは無く

即座にフランに蹴りを叩き込んだ。

 

「そこよ!」

 

フランが吹き飛ばされた一瞬だろう

恐らく勇義視点で見れば

一瞬だけ、吹き飛んだフランに

視線が隠された瞬間にレミリアお嬢様が

フランと同等の速度で接近してきてる。

 

「とと、今は2対2だよ? お忘れかい?」

 

だが、即座に萃香が割って入り、

レミリアお嬢様を笑いながら受け止めた。

結構な衝撃音が響き、萃香の盃に入ってる

酒が、大きく打ち上げられたのが見えるが

盃の酒は飛び出すこと無く、綺麗に盃の中に戻る。

 

勇義とは違い、不意を突かれたわけでは無いからね。

恐らくだが、フランと同等の速度と攻撃力だと考え

舐めずに対応したのがこの結果の差なのだろう。

 

「チィ!」

 

レミリアお嬢様は即座に妨害に入った

萃香の握り締めようとするが

 

「な!」

 

握り締めようとした瞬間に萃香の腕が霧となり

レミリアお嬢様は霧に逃げられてしまった。

 

「ほい!」

「く!」

 

不意に消えた腕に驚いてる最中だが

萃香は腕の構えを変えた後に

再び自身の腕を出現させ

レミリアお嬢様に裏拳を叩き込もうとするが

辛うじて反応したレミリアお嬢様は

その攻撃を辛うじて回避、頬から血を流しながら

即座に2人から距離を取った。

同時に、レミリアお嬢様の隣に

体勢を立て直したフランが着地する。

 

この一瞬の攻防はフランが弾き飛ばされ

着地するまでの一瞬で起こったわけだ。

人間であれば何があったかを認識は出来ない。

やはり間違いなく、あの2人は強くなってるね。

 

「あっはっは! やるじゃないか吸血姉妹!

 いやぁ! 私の想定より遙かに強いね!」

「そうだねぇ、前に戦った時よりも

 あんた確実に強くなってるね!

 何かあったのかい? 鍛えたとか?」

「そんな事を、貴族たる私がする筈が無いでしょ?

 汗水なんてのは貴族には相応しくないわ」

「うー、ちょっとお腹痛いわ

 でも、案外大した事無いわね!」

「ケロッとしてるねぇ、本気では無いとは言え

 思った以上に頑丈だってのは間違いないね」

 

恐らく萃香は過去にレミリアお嬢様と戦ったことがある。

その萃香がレミリアを強くなったと評価してる。

だが、レミリアお嬢様が鍛えるとも思えない。

間違いないね、やっぱりフィルの影響だ。

 

「でも、これで分かったんじゃ無いの?

 私達相手に手加減なんて必要無いって」

「あぁ、なんでそんなに強くなったのかは

 私は全く想像出来ないが……フェンリルは

 大体事情を知ってる様子だね」

「あぁ、その通り。そしてその僕が断言するが

 今の2人は君達が本気を出しても戦えるよ」

「ふふ、なら、ハンデは不要かねぇ」

 

勇義の言葉と同時に2人が一気に盃の酒を飲み干す。

そして、楽しそうな笑みを見せると同時に

盃を放り投げて初めて構えた。

 

「はん! 最初からそうすりゃ良いのよ!」

「私達の強さを見せてあげるわ!」

 

2人が一気に距離を詰める動きをした。

フランは萃香に、レミリアお嬢様は勇義に。

一気に近付き、一気に攻撃を仕掛けるが

萃香達はその攻撃を笑顔のまま受け止める。

 

「力比べで鬼に挑むのは」

「あんたらにゃ、無茶な話しさ」

「く!」

 

萃香達は即座に反撃はしない物の

2人に力の違いを見せ付ける動きをする。

どれだけ全力で力を行使しても

あの2人はビクともしない、まず力が違いすぎる。

 

吸血鬼は非常に高い戦闘能力を持つ。

高い再生能力に圧倒的な力にスピード。

色々な分野に秀でているが

逆を言えば、1つの分野に尖ってる相手に

その部分で挑んで勝つ事は出来ない。

 

再生能力も蓬莱人等に比べれば劣り

移動速度も烏天狗に比べれば劣り

力は鬼と比べてしまうとどうしても劣る。

だが、戦いにおいては悲観することじゃない。

 

あらゆる分野に秀でていると言う事は

あらゆる分野を組み合わせて戦えるという事。

飛び抜けた長所は無いが、苦手な部分が少ない。

それが吸血鬼の強みでもある。

 

当然、あの鬼2人はそれ位理解してる。

だから、力比べは無茶だと2人に告げた。

だが、別の方法であれば?

 

「なら、別の方法でやるまでよ! フラン!」

「うん! お姉様!」

 

2人は素早く後方に跳び退き

翼を大きく広げた。

その動きを見て、萃香と勇義は笑みを見せた。

 

「はぁ!」

 

2人が同時にかけ声を上げて

かなりの速度で移動を始めた。

 

「っと!」

「はは!」

 

素早く飛び回りながらの攻撃。

吸血鬼の俊敏さを利用した戦い方。

フィルも似たような事を妹紅にしてたね。

この盤面、鬼2人が取るべき行動は

地上での迎撃なのは明確だ。

 

攻撃可能な場所を制限できるからね。

だが、あの2人に取っては所詮遊びだ。

2人はわざわざ飛び上がった。

 

「馬鹿にして!」

「舐めないで!」

 

その動きを見て、侮られてると理解した2人が

さっきよりも速度を上げて、全方位からの攻撃をする。

萃香と勇義はその攻撃を避ける、防ぐなどして

笑顔のまま迎撃している。

 

「クソ! 容赦しないわ!」

「覚悟して!」

 

このままだとジリ貧だと判断した2人が

一緒の場所に飛び上がり

自分の手元にそれぞれの武器を召喚する。

 

全てを貫く槍、僕の忌々しい相手が持ってた

主神が持つ神の槍、グングニル。

その神の作った世界を僕らと共に焼き払った

終焉の巨人が持つ破壊の剣、レーヴァテイン。

 

本来交わる筈の無い2本の武器。

だが、フィルが繋いだ絆により

その2本の武器は常に繋がることになった。

こんな、くだらない遊びだったとしても。

 

「行くわよ! フラン!」

「うん! お姉様!」

「はは! 来な!」

「容赦なく迎撃してあげるよ!」

「スカーレットエンブレム!」

 

いつの間にか考えていたのであろう合体技か。

フィルに突撃したときと同じ様に

2人は一斉に飛び込んでいった。

 

「はは! 合体技か! 良いね! 萃香!」

「面白いねぇ! じゃ、その場のノリで!」

「三歩滅殺!」

 

2人が楽しそうに笑いながら一緒に力を込めて

フランとレミリアの攻撃に拳を合わせた。

同時に周囲に花火のように

煌びやかな弾幕が展開され

大きな炎の柱が落下すると同時に

周囲の弾幕が一斉に弾け

薄暗い地底に美しい軌跡を残した。

 

「う、うぅ……」

「つ、強い……」

 

結果は分かりきってた物だった。

炎の柱が落下した地点で分かっては居たが

勝者は萃香と勇義だった。

レミリアお嬢様とフランは

少しボロボロの状態でいくらか埃を被りながら

大地に倒れてる状態になっていた。

 

正確にはレミリアお嬢様が仰向けで倒れ

フランがそのお腹に落下してる状態だ。

フランもうつぶせだし、お腹とお腹が引っ付いてるね。

 

その体勢で2人は目を回してる状態になり

何カ所か服が破れてる。

 

「はは! 最高だね!」

「いやぁ! 楽しめた! 合体技ってのも

 中々乙で良い物だねぇ!」

「ま、まさか私達が敗北するなんてぇ~」

「うぅ、フランと共闘して負けるなんて…」

「まぁ、相手が悪かったって事だね。

 確かに強くはなってるが

 まだ鬼の2人にゃ敵わなかったって事だ」

「ぎゃふぁー!」

「へ?」

 

結果が分かって近付こうとしたとき

背後から間の抜けた声が聞えてきて

僕は即座に振り返ったが。

 

「ぐは!」

「ぎゃふぃ!」

 

ふ、振り返ると同時に飛んで来ていた

ガルーダに激突し、僕も吹き飛ばされた。

 

「おぉ!」

「うぎゅぅ!」

 

そして、勇義に受け止められたわけだが!

苦しい! 潰れる!

 

「おぉおおぉ! 私が押されるとは驚きだ!」

「……し、死ぬっす……うちが死ぬっす…」

「……し、死にそうなのは僕だぁ!

 つ、潰れるかと!」

「うっしゃー! 俺の勝ちだぜー!

 あ? おいお前ら、何イチャイチャして」

「何処がイチャイチャだ! 死にかけてるんだぞ僕!」

「そうっすよ! まぁうちとしては!

 フェンリル先輩とイチャイチャしても構わないッスが!

 今はイチャイチャする状況じゃ無いっす!

 見てくださいッスよ! このお腹! お腹無い!」

「いや、あ、あるけど……」

「あ、もう再生したんっすねぇ、流石うち!

 マジびびったっすよ! 喰らったとき

 うちのお腹が弾丸みたいにポーンと」

「じょ、冗談も休み休み言えよ……

 確かに腹辺りの服破れてるけど

 背中は破れてない……てか! 早く起きろ馬鹿!」

「良いじゃ無いっすか~、労って? せんぱーい」

「顔を近付けるな気持ち悪い! 食うぞ!」

「え!? 唇を!?」

「誰がお前みたいなキモい奴の唇なんて食うか!

 早く離れろ! クソ鶏!」

「なぁ! ふぇ、フェンリル先輩に鶏って言われた!

 初な気が! 初めて言われた気が!」

「うっさい! 早く離れろ!」

「がふぁ! 殴らないでー!」

 

く、クソ! 最悪な気分だ畜生!

 

「……あ、あんたも大変だねぇ…」

「う、うん、マジで勘弁して欲しい。

 まぁとりあえずだ、あ、ありがとね受け止めてくれて。

 あのまま吹き飛んでたら被害が……」

「気にしないで良いよ、私が管理してる部分もある

 あんたらが吹っ飛んで被害が出ちゃ困るからね」

 

その後、僕が展開してた空間を解除して

まぁ、うん、かなり壮絶なのが分かるね。

地面が凄いや。

 

「あのボロボロの地面はほぼうちが避けたときに」

「そ、そりゃ分かるけどね…」

「何カ所か壊れてるのはテュポーン先輩の拳圧っす」

「大分手加減してたのは分かるけどね…」

 

だって、穴あいてるだけだからね。

かなり手加減はしてたんだろうが…

 

「ありゃ、こりゃ結構ボロボロだね。

 まぁ良いか、楽しい思いもさせて貰った礼だ

 これ位は私らの方で直しておくよ」

「ご、ごめんよ、ちょっとやり過ぎたみたいで」

「なに! 楽しい事にこしたことは無いさ!」

「あぁ! 私も楽しめたからねぇ!」

「お、フランとレミリアが伸びてるな。

 じゃぁ、勝ったのはあの鬼2人か」

「そうだよ、結構良い勝負してたけどね」

「ま、まぁ大した怪我が無い用で安心っす。

 まぁうちも内臓は潰れてないんで

 怪我という怪我はして無いっすけど」

「あ、潰れなかったんだ」

「えぇえぇ、テュポーン先輩が本気だったら

 そりゃ、うちだって潰れちゃうっすけど

 そこまで本気じゃ無かったんで」

「おぅ、本気でやると吹き飛ぶからな」

 

流石にそこは自重してくれたって訳だね。

 

「じゃあ、本気を出してないのに喰らったのか」

「あ、あれ以上速く動くと今度はうちの回避行動で

 周囲が大変な事になるんで……」

「ふーん」

 

なる程ね、一応お互い手加減はしてたわけだ。

まぁ、そうじゃ無いと困るしね。

とりあえずフランとレミリアお嬢様を運ぼう。

 

「よっと、じゃあ地霊殿へ行こうか」

「だな」

「僕はフランを運ぶから

 テュポーンはレミリアお嬢様を運んで」

「はいはい」

 

僕らは2人を背負って運ぶ事にした。

 

「ご、ごめんね、フェンリル」

「大丈夫だよ、軽い物さ」

「わ、悪いわね、テュポーン」

「気にすんな、大した事じゃねぇさ」

「……うちだけ仲間外れ!」

「君は色々と騒がしいから」

「休んでくかい? 歓迎するよ?」

「いや、僕らは2人の友人の所に行くからね

 休むなら、その友人の所へ行くから」

「えぇ、ちょっと地霊殿で休ませて貰うわ。

 そうだ、後2枚しか無いけど

 2人で来るなら問題は無いからね」

 

そう言って、レミリアお嬢様が招待状を取り出す。

 

「これは?」

「紅魔館でパーティーをする予定だから

 その招待状よ、来て欲しい相手に渡してるの」

「へぇ、私達にもくれるんだね」

「えぇ、楽しませて貰ったからね」

「負けたから不機嫌になりそうと思ったが

 聞いてた話よりかなり寛大だねぇ」

「フィルが居るのよ、今更勝ち負けに

 そこまで拘ることは無いわ…

 強い弱いもあまり意味のあることじゃないしね」

「はは! そりゃそうだ! 楽しけりゃ

 それが1番だからね! じゃぁ、遠慮無く貰うよ!

 で? 酒は出るんだろうね?」

「えぇ、ワインもあるし、

 あなた達が大好きな酒もあるわ」

「はは! そりゃ楽しみだ!」

「じゃあね、あなた達! また戦ってね!」

「あぁ、楽しみにしてるよ!」

 

もうフランは大分元気なんじゃ?

これ、僕が背負う必要無いんじゃ無い?

と思ったが、ガッシリ掴んでるね。

降りる気無いね、まぁ距離近いし良いけどさ。

今度、フィルも背負ってあげよう。

 

「今度、うちはフィルちゃんを背負うっす!」

「フィルを背負うのはこの俺だ!」

「いや、僕だ!」

「いや! うちっす! 2人はもう背負ってるし!

 唯一誰も背負ってない、うちが背負うべきっす!」

「なにぃ! 俺が背負うんだよ俺が!」

「テュポーンは心配だから僕が背負うんだ!」

「あ、あなた達はフィル好きね……」

「私はフィルにも背負って貰いたいかも!」

「うぅ、もうちょっと背が高ければ

 私が……いやいや、何考えてるのよ、私

 とにかく早く地霊殿へ行きなさいよ!」

「そ、そうだな、てか元気だな、歩くか?」

「折角だし背負いなさい」

「そうそう! 運んでー!」

「はぁ、僕らは馬とかじゃ無いんだけどなぁ」

「……は! むしろこれ、うちが運ぶべきなのでは!?

 唯一誰かを乗せてたのはうちなのでは!?」

「知らねぇよ、ったく」

「やはりうちがフィルちゃんを背負うべきッスね!」

「んだと!?」

「もう良いから運びなさーい!」

 

結構グダグダだが、そこそこ楽しめたから良いか。

だが、フィルを背負うのは僕だ!

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