東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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地霊殿の友人達

ちょっとした喧嘩をしながらも

僕達は地霊殿へ到着したわけだ。

やっぱりいつ見ても、ここは異様にデカいね。

まぁ、旧地獄の地獄の部分を管理してるわけだし

そりゃ、大きいのは当然なのかも知れないね。

 

噂じゃ、地獄の縮小計画とやらで

切り捨てられた地獄の一部だとか。

まぁ、僕は地獄だとかそこら辺の

ちんけな部分に対して興味は無いから

そこまで詳しいわけじゃ無いけどね。

 

灼熱地獄の上に

ここが建ってるのは知ってるけどね。

 

「相変わらず、動物園よね」

 

何度か来たことがあるのだろう。

レミリアお嬢様はわんさか居るペットたちに対し

さほど驚いた様子は見せない。

フィルと一緒に来たことは無いが

個人で行ったことはあるという形かな。

 

「にゃー」

「わんわん!」

 

僕達の到着を察知した動物たちが

一斉に僕達の方へ集まってきた。

犬猫等は僕の方に集まりだして

鳥類等はガルーダの元へ集まり

蛇などの爬虫類はテュポーンにすり寄った。

 

「んだぁ? なんでたかってきてやがる」

「同族だからじゃないッスかねぇ、蛇だし」

「僕の元に、なんで猫まで来るんだ?」

「フィルの時は

 全員フィルに集まってくるんだがなぁ」

 

フィルが地霊殿へ向った場合

動物達は一斉にフィルの元へ集まってた。

そりゃまぁ、フィルはかなりの人気者だからね。

動物にも好かれるというのは、また変わってるが。

 

「あなた達にはすぐにすり寄ってくるのね。

 私にはあまり近寄ってこないのだけど」

「そうかしら? 蝙蝠は集まってくるわ!」

「そりゃ、お嬢様達は蝙蝠ッスしー」

「口を慎みなさい! 私達は蝙蝠じゃ無いわ!

 怒るわよ! このクソ鳥!」

「酷い!」

「いや、あれは怒るだろ。

 フィルが聞いたらぶちギレるんじゃねぇの?」

 

実際、結構当たり前の様に言ってたが

あれ、ほぼ侮辱だからね、フィルが聞いたら怒る。

まぁこの場にフィルは居ないし怒られはしないが

レミリアお嬢様にちょっと不快な気持ちを与えたのは

 

「フェンリルー! 見つけたぞ!」

 

そんな会話をしてると、地霊殿の扉がこじ開けられ

いつも通りのスプーンを持った饕餮が姿を見せる。

ここまで来るとはね、暇かよこいつ。

 

「あら、いつか見た羊さんね」

「クックック、

 まさかこんなちんけな場所に用とはな」

「ちんけって随分な言いぐさね、ここは一応

 この私の友人が管理してる館よ」

「館とは違うと思うよ? レミリアお嬢様」

「館じゃないならなんていうのよ、こういう場所」

「そうね、お屋敷でしょうね、レミリア」

 

2階からさとりがゆっくりと階段を下りて来た。

その隣ではこいしが腕を後ろに回して

笑顔を見せてる。

その2人を守るように、

左右には燐と空が笑顔で歩いてた。

 

「あぁ? ひょろそうなのが出て来たな。

 まぁ関係ない、フェンリル。

 さっきそこのチビをお嬢様なんて言ってたな。

 お前もそのチビに従ってるのか?」

「チビですって!? あんたに言われたくないわ!」

「それよりも、

 関係ないと言われたのが気に入りませんね。

 ここは私の屋敷ですよ、饕餮。

 フェンリルさんを

 手に入れたいと考えておきながら

 その実、フェンリルさんに恐怖しているならば

 フェンリルさんに近づかなければ良いのでは?」

「はぁ!? 何を馬鹿な事を言ってる!

 私はフェンリルに恐怖などしてない!」

「私相手に嘘など何の意味もありませんよ。

 あなたはフェンリルさんを欲しているが

 勝てるわけがないとも理解してますね。

 漁夫の利を狙わなければ

 確実に手に入らないとも理解しながらも

 自らのプライドと、

 最強であった事に対する意地。

 そして何より、圧倒的な力に憧れてしまい

 柄にもなく、

 向上心を持ってしまった自分を隠すために

 あなたは狂犬を装い、

 彼女を追いかけまわしてる。

 違いますか?」

「な!」

 

図星だったのだろう。

饕餮は顔を赤くして一歩下がる。

流石は心を読む程度の能力だね。

饕餮の心を一瞬のうちに看破したというのか。

しかし、そうかそうか、

僕に憧れちゃったのか、こいつは。

 

「て、適当な事を言うな!

 私がフェンリルに憧れてるだと!?

 そんな馬鹿な事があってたまるか!」

「ふふ、面白い反応ですね。

 自称最強の同盟長様とやらも

 そういう、自らの心には勝てないのですね?

 良いことを思いつきました。

 あなたの本心のもう一つを言ってあげましょう」

「な、なにを言うつもりだ!」

「あなたはフェンリルさんに惚れてる」

「ッ!?」

 

え? 惚れられてるの? 僕。

いやまぁ、

異性的な意味じゃないんだろうけどね。

誰かに惚れるという言葉はよく言うからね。

その生き様に惚れたとか、強さに惚れたとか。

恐らくそういう意味なのだろうが

からかうために、わざとああいったね。

 

「え? 何? 

 フェンリルに惚れてるの? こいつ」

「ち、違う! 違うぞ! 断じて違う!」

「フェンリル、お前モテモテだなぁ

 ニホンオオカミに惚れられてたし」

「あっちも女の子っすけどね。

 えー、でもなー、フェンリル先輩が

 女の子に惚れられるってー

 えー? そういう魅力的なのがー?」

「黙ってろ馬鹿鳥」

「え!? 否定しない!?」

 

テュポーンは絶対に理解してないが

ガルーダのアホは絶対に理解してるだろう。

それなのにからかって来てやがるな、こいつ。

 

「あら、あなたはフェンリル好きなのね。

 私も好きだけど、私としてはフェンリルより

 フィルの方が好きかなーって思うけど。

 いや、フィルか可愛いから

 惚れるとは違うのかしら。

 そもそも、惚れるってどういう感情なのかしら。

 495年も一人だったから、

 私にはよくわからないわ」

「ふ、フラン、その……ごめんなさい」

 

当たり前のようにフランが言った言葉ではあるが

レミリアお嬢様に無意識へ攻撃した形になったね。

まぁ、レミリアお嬢様も後悔してるわけだし

あんな風に言われたら、流石にダメージあるよね。

 

「悔やむ必要は無いわ、レミリア。

 フランもあなたを恨んでない。

 私が言うんだもの、説得力あるでしょ?」

「そうね、あなたが言うならそうなんでしょう」

「クソ! 適当な事言いやがって!

 もう我慢ならん! 覚悟しろ!」

「おや、反論の言葉が出なくて暴力に出ますか?」

「うるさい! 黙れー!」

「もしもし、私メリーさん、

 今、貴方の後ろに居るの」

「な!」

 

いつの間にか饕餮の背後にまわってたこいしが

ニコニコしながら、背後から饕餮を切り裂いた。

容赦ないというか、こいしって結構やばい?

 

「何! 後ろだと!」

「こいし、なんでいきなり相手を切りつけてるの?」

「あら、だってこいつ敵でしょ?

 お姉ちゃんは体弱いから先に倒そうかと思って。

 大丈夫よ、死なないでしょ? もう死んでるし」

 

そりゃまぁ、饕餮は動物霊だしね。

僕やフランなら本気でやろうと思えば殺せるが

わざわざ殺すつもりは無いし。

 

「アハ! そうよね! 死なないもんね!」

 

その言葉を聞いたフランが一気に笑顔を見せ

唐突にレーヴァテインを取り出した。

 

「フラン、まさかあなたも」

「面白そうじゃない!

 普通じゃ壊せない饕餮を壊すの!

 フェンリル以外に壊せない相手を壊す!

 ふふ、中々楽しい戦いになりそうだしね!

 

 実は私も饕餮を破壊したかったんだけど

 フェンリルと霊夢に止められちゃったの!

 でもほら、今なら問題ないでしょ?」

「クソ! 舐めるな小娘どもが!

 この饕餮様が2度も敗れる事は無い!

 たとえ2人だろうと、まとめて喰ってやる!」

 

止めるべきか否か悩むが……

まぁいいか、好きにやらせた方が良さそうだしね。

 

「うぐぐ! なんで周りばかり戦うんだ!

 俺も! 俺も戦うぜ俺も! 饕餮粉砕だ!」

「君は駄目」

「なんでだよフェンリル!」

「理解して、君が動いたら面白くないし

 最悪、地霊殿崩壊するし

 何なら、灼熱地獄がぶっ飛んで

 幻想郷も大惨事になりかねないから」

「うおぉお! 俺も! 俺も戦いたいんだぁ!」

「すごいですね、戦いの事しか考えてない……

 でも、フェンリルさんの言葉は

 あっはりと受け入れるのですね。

 なるほど、自分は馬鹿だからそういうのは

 全てフェンリルさんに任せてると」

「そうだよ! 俺は馬鹿だからな!」

「あ、認めるんっすね、馬鹿って」

「馬鹿じゃねぇ!」

「なんでうちは駄目なんっすか!?」

「自分より馬鹿な奴に

 馬鹿と言われたくないそうです」

「酷過ぎる!」

 

さとりがいると、会話が楽しくていいね。

ふふん、案外この心も読まれてたりね?

どうだい? フィルのお姉ちゃんっぽいだろ?

 

「えぇ、でも読まれてると意識してるのは違いますね」

 

はは、ま、僕はあまり油断したいタイプじゃない。

さて楽しもう、あの3人の戦いを。

心配だった妹が元気よく友達と遊ぶの様を見るのは

君もレミリアもとてもうれしいだろう?

 

「えぇ、全て肯定します」

 

レミリアも素直じゃないからね。

 

「こいし! やるよ!」

「おっけー、フランちゃん」

「後悔させてやるぜ! この私に挑んだ事を!」

 

ま、あいつの乱入も悪い事ばかりじゃないか。

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