東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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久し振りの帰宅

「で、スペルカードの1枚は出来たのかしら?」

「あ、えっと…ま、まだ1枚も…だ、弾幕を撃てるようになったくらいで」

「…はぁ、まぁ、そこまで行けば問題無いわね、後は時間の問題か

 まぁ、時間は異常にあるからのんびり待つことにするわ」

「す、すみません」

 

うぅ、お嬢様、スペルカードの事を期待してくれてたんだなぁ。

でも、私はスペルカードを会得できてないからなぁ

うぅ、が、頑張ってスペルカードを会得しないと。

 

「まぁ、気にしなくても良いわ

 楽しめるスペルカードを考えて頂戴」

「はい! が、頑張ります!」

 

と言っても、お嬢様が楽しめるスペルカードって何かな?

うぅ、分からないや、仕方ない、まずは1枚でも考えないと。

 

「さて、スペルカードの事はここまでとして、どう?」

「え?」

「私と1戦」

「む、むむ、無理です! お嬢様と戦うなんて無理です!」

 

絶対に、絶対に無理だぁ! 無理だぁ! 勝負にならないよぉ!

 

「相変わらず、自信とかはないのね」

「ありません! 無理です!」

「…全く、本当自分の事を過小評価してるわよね、あなたって

 実力は凄まじいはずなのに、自分の能力を評価できてない

 そこはマイナス点ね」

「あぅ…私なんてぇ…」

「まぁ良いわ、ひとまずは休みなさい、疲れてるでしょうし」

「も、申し訳ありません」

 

はぅ…お嬢様にがっかりされちゃったよぉ。

うぅ、じ、自分に自信を持たないと…でも、私なんて…

だって、弾幕がようやく出せるようになっただけだし。

その程度じゃ、どうしようもないし…

やっぱり、最低でもスペルカードを1枚考えないと。

そうしないとどうしようもないし、な、何とかしなきゃ!

でも、どうしようかなぁ、どんな弾幕が良いのかなぁ?

うぅ、も、もっと勉強して、色々と覚えないと。

 

「あ、あれ!?」

 

そんな事を考えながら歩き回っていると、私はまた道に迷ってしまった。

ここは何処か分からない…でも、見覚えはある。

フランお嬢様のお部屋に向う道だった。

う、うぅ、考え事をしていると迷っちゃうなぁ。

 

「うぅ、こっちじゃ無いや」

「あ、あぁ!」

 

私が後ろを振り返って戻ろうとすると、背後から強い力で抱きしめられた。

 

「うぐぐぐぅ! く、苦しいぃ!」

「あはは! フィル、帰ってたのね!」

「ふ、フランお嬢様!? あの! く、苦しいでふ!」

「あ、ご、ごめん、つい」

 

は、はぁ、し、絞め殺されちゃうかと思ったよ。

フランお嬢様の力は本当に凄いんだよなぁ。

 

「ねぇ、フィル、戻ってきたって事は」

「え?」

「勝負よ!」

「え!? いや! 私はまだ!」

「私のカードは試しに1枚! 容赦なく行っちゃうわ!」

「いや! まだ私、スペルカード使えな!」

「さぁ、避けて!」 禁忌「カゴメカゴメ」

 

ひぃ! わ、私の話なんて一切聞かずにスペルカード宣言してきたぁ!

あ、あわわぁ! 私の周りに鳥かごみたいに弾幕が張り巡らされた!

で、でも、動かない…あれ? 動かない弾幕?

最初の展開してきた弾幕の時しか危ない要素が無いんじゃ。

 

「それ!」

「わぁ! 大きな弾幕が、って、ひゃわぁ!」

 

あぁ! あの大きな弾幕が通った場所に設置してあった弾幕が動き出した!

も、もしかして! 最初に私を包囲するように展開した弾幕!

その弾幕にフランお嬢様が放った大玉の弾幕が当たると動き出すの!?

うぅ、ゆっくりだけど、動き出してきてるから、こっちに来てる!

よ、避けないと! 避けないと当たっちゃうって!

 

「まだまだ!」

 

更にその波が収まるよりも早く新しい籠となる弾幕が設置される。

それだけじゃなく、設置されてる間にも大玉が飛んでくるから

設置が完了してない状態だろうと、大玉が接触した弾幕が動き出し

私の逃げ道を確実に塞いでくる。

単純な籠だけならまだ良いのだけど、斜めの籠も出来てきてるから

避けるのは時間経過と共に難しくなってくる!

それにこちらを狙ってくる大玉も1発の後に3発という

そこそこ変則的な攻撃、でも、い、いける! どう動くか読めさえすれば!

 

「と、とと、っとと!」

「あは! 初めて私のスペルカードを受けてここまで回避出来るなんて!

 やっぱりフィルは強い! あはは! もっと楽しみましょ!?」

「はぁ、はぁ、よ、避けきった!」

「あはは! まだまだ!」

「え!? いや、最初に1枚って!」

「禁忌「レーヴァテイン」

「え、えぇ!?」

 

あぁ! な、何でぇ!? さっき避けたのに!

い、1枚って言ってた弾幕避けたのにぃ!

あ、安心してたのに全然容赦ないよぉ!

 

「わぁ!」

 

な、なぎ払う赤いレーザ-! 更にレーザーからは弾幕も出ており

攻撃している最中に弾幕が発生する、端っこに追いやられて

危うく食らうって所でレーザーは止まるけど

レーザーの軌道上に弾幕が設置されて、後は弾幕で押しつぶすように

私を狙って攻撃してきている!

 

「ひぃ! ま、待ってフランお嬢様! る、ルール! ルールが!」

「ルール? あぁ、そうか、そう言えば宣言した枚数突破されちゃったら

 負け扱いなんだっけ」

「は、はいそうです! ふ、フランお嬢様は1枚って最初宣言しました!」

「うーん、あぁ、そう、残念、ちょっとフィルの事甘く見てたからなぁ」

 

は、はぁ、フランお嬢様が出していたレーザー弾幕が消えた。

あ、危ないところだった…でも、何だかフランお嬢様の弾幕を見て

私、スペルカードのヒントが貰えたかも知れない!

 

「あ、あの! フランお嬢様!」

「何?」

「フランお嬢様のお陰で、私、スペルカードのヒントを得ました!」

「本当!? それは良かったわ! じゃあ、ヒントを与えるためにもうひと勝負」

「あ! ご、ごめんなさい! あ、あの、あのですね!

 えっと、まずはこのスペルカードを作りたいので、今日はこれで!」

「あぁ! フィル! …ま、いっか、また今度やれば良いし

 フィル! 頑張ってスペルカード作ってね! 出来たら私に使って見て!」

「あ、はい! まだ1枚ですけど、楽しみにしていてください!」

「うん♪」

 

よ、よーし! スペルカードを作るぞぉ! お嬢様もフランお嬢様も

期待してくれてるし、凄く出来の良い物を作らないと!


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