東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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初めてのスペルカード

スペルカード、とりあえずどういう弾幕にするかは決まったけど。

問題は私の能力でその弾幕を作る事が出来るかだよね。

でも、そこまで難しい弾幕じゃないし、私でも出来るかな。

難しくて複雑な弾幕だと、細かい制御が出来ないんだろうし。

 

「う、うーん」

 

私はスペルカードを作るために紅魔館の外に出た。

でも、紅魔館の外は花が植えてあって

ここで練習するのは難しいかな。

だったら、門の外でスペルカードの練習しないと。

 

「よし、やるぞ!」

 

私は門の外に出て、スペルカードの練習をする準備に取りかかった。

にしても…その…何だろうか、どうすれば良いのかな? これ。

 

「zzz」

「め、美鈴さん…」

 

…美鈴さん、やっぱり基本的には寝てるのかな?

今も寝てるし…どうしようかな、起した方が良いよね。

もしも咲夜さんにバレたら滅茶苦茶怒られそうだし。

私はお嬢様から今日は休めって言われてるから問題無いだろうけど。

 

「うーん、あの…美鈴さん?」

「zzz」

「美鈴さーん」

「zzz」

 

だ、駄目だ、まるで起きる気配がないよ…どうしようかな。

うーん、この場所でスペルカードの練習をするとなると

やっぱり目立つよね、目立っちゃったら美鈴さんが寝てるのを

咲夜さんが気付いちゃったり…それは美鈴さんに悪いですよね。

だったら、別の場所でやらないと。

 

「あだ!」

「ひゃぁ!」

 

別の場所に移動しようとしたら、美鈴さんの近くにナイフが刺さった。

そして、近くにいた美鈴さんの頬からは血が流れた。

それが痛かったのか、美鈴さんは目を覚ました。

 

「このナイフは咲夜さんですか…後、その、フィルさん

 私の目の前で腰を抜かしてどうしたんですか?」

「あ、あの、不意にナイフが刺さったので」

「あはは、いつもの事ですよ、それで、何故ここに?」

「あ、スペルカードの練習をしようかなと思いまして」

「スペルカード!? フィルさん、スペルカード出来たんですか!?」

「一応は…ただ、あくまでどんな形にするかを決めただけでして

 名前も正確に出せるかも分からないので、練習をしようかと」

「確かにどんな形が決まっても、確実に出来なければ意味ないですからね」

「はい、ですので練習を」

「では、私が相手しましょうか?」

「え?」

 

う、うーん、美鈴さんとスペルカードで対決なんて出来るのかな?

 

「ですが、私はまだ弾幕の張り方もイマイチですし」

「ですから練習するんですよ」

 

美鈴さんが腰を低くして、私の顔をしっかりと見てニッコリと笑った。

うん、優しくて何だか安心出来る笑顔だ。

 

「は、はい、ですが、下手な弾幕しか張れないと思いますけど」

「最初はそんな物ですよ、さぁ、行きましょうか

 あ、こちらからは攻撃をしないので安心してください」

「はい、ただスペルカードの名前を考えてないんですけど」

「あ、それはちょっと締まりませんね」

「うーん…即席で名前を考えます」

 

私が考えたスペルカードは鎖の様に攻撃するスペルカードだし。

ちょっとそれっぽい名前で行った方が良いよね。

うーん、大して大規模じゃないし、それに即席で考えないと行けないし。

そうだなぁ…そうだ、この名前で行こうかな、何のひねりもないけど。

 

「じゃあ、小さな鎖で行きます! 名前から考えて

 えっと、束縛「小さな鎖」とかどうでしょうか、鎖で相手の

 動きを制限する感じのスペルカードなんですけど」

「妹様のスペルカードと似た感じでしょうか」

「はい! フランお嬢様のカゴメカゴメを元に考えました!」

「おぉ、良いですね、妹様も喜ぶでしょう

 では、それで行きましょう、それじゃあ、いつでも来て下さい」

「分かりました、行きますよ!」 束縛「小さな鎖」

 

私はスペルカードを宣言、考えた弾幕を展開した。

この弾幕は私を中心にして、鎖に見立てた弾幕を周囲に張る。

その鎖の弾幕は私を中心にして上下の斜め4箇所に展開する。

弾幕の密度は隙間が無い程に緻密にしてっと。

 

「それじゃあ、本番行きます!」

「本番?」

 

その後、私は美鈴さんを狙って爪に見立てた弾幕で縦に大きく刻んだ。

美鈴さんはその弾幕をギリギリで回避した。

 

「おっとと、あの鎖の意味は…って、うわぁ!」

 

その後、爪の弾幕が接触した鎖の弾幕が動き出し

ランダムに動き始めた。

これが私が考えたスペルカード。

あの爪はフランお嬢様のレーヴァテインが元。

レーザーはまだ扱えないから、爪の形状をした弾幕にした。

ランダムの弾幕だから、中々当たらない。

で、動いた弾幕が終わった後、すぐに元に戻る。

これが私が考えた私のスペルカード。

最初のスペルカードだから、結構人の弾幕の真似をした感じだけど。

 

「な、何だか避けるのが難しいですね」

「もう一度!」

 

私は再び同じ様に爪弾幕を展開、美鈴さんを狙った。

そして、接触した弾幕も同じく動き出す。

何だか私が考えた弾幕が本当に動いていて

上手く出来ているという事が分かる。

かなり嬉しい、上手く出来てるって分かるのは。

だけど、まだまだ完成度が低い弾幕だったから

結局美鈴さんに制限時間まで回避されてしまった。

もうちょっと難しくした方が良いかな。

 

「うぅ、負けました」

「はぁ、危なかったです、それと、これで改めて分かりました

 フィルさんには才能がありますね。

 このまま努力すれば絶対に凄いスペルカードが出来ますよ!」

「あ、ありがとうございます!」

 

おだてかも知れないけど、褒めて貰えて嬉しかった。

うん、いつか絶対に完全にオリジナルのスペルカードを作らないと!


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