東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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泥酔後の目覚め

あ、あぅ…う、うぅ…うあぁぅ…頭痛い。

ん、んー、昨日、何してたっけ? 確か地底へ…その後…む、むぅん。

うぅ、目を開けるのがしんどい、でも、目を開けないと。

いや、別に目を開けずにこのまま眠ってても良いかも…

はぅ、そう言えば、なんで私、紫さんに色々と…あ、そうだ。

記憶だ…記憶を取り戻す為…に。

 

(…ダ)

 

う、うぐぅ、な、何だか、頭が…頭が痛い。

あ、分かった、これが酔うって奴かな…頭が痛い。

 

(はお前らの方だ!)

 

あ、あれ? 本当にただ頭が痛いだけなんだろうか。

何だか、妙な光景が…う、ぅ、うぅ! だ、駄目!

 

「は!」

 

私が目を開けると、周囲にはグッスリと眠っている勇義さん達の姿が見えた。

皆の周りには異常な程に大量の一升瓶が置いてある。

…そうだ、思い出した、確か沢山お酒を飲まされて、意識を失ったんだ。

私の周りに転がっている一升瓶は20本…まさかこれ、全部私が飲んだの!?

いや、飲んだって言うよりは飲まされたって方があってるんだろうけどさ。

でも、この量は正直凄まじいよ…あぅ、お腹が…お酒でいっぱい。

 

「…は、はぁ、凄いな…」

 

……それにしても、さっき…さっきのは夢?

何だか変な映像が私の頭の中に映った。

でも、私はそれを嫌がった、何でだろう。

もしかしたら、私の中の大事な記憶かもしれないのに。

うぅ、分からないけど、頭が痛かったから嫌に感じたのかもしれない。

でも、今からなら思い出すことが出来たりして。

うーんと…どんな感じだったかな…う、うーん…駄目だ、全然出て来ない。

 

「はぅ…うぅ、惜しい事したなぁ、あ、もっとお酒飲んだら思い出すかも?、

 いや、いやいや、そんな訳ないか、そもそもお酒ってあまりのみたくないし」

 

昨日、あんなに酷い目に遭ったからかな、お酒が何だか苦手になった気がする。

それにしても、皆布団も掛けないで眠っちゃって…私には掛かってたのに。

うぅ、皆さんにも布団を掛けてあげたいけど、布団になりそうな物は無いし。

 

「うーん、ん? おっと、とと」

 

うぅ、立ち上がろうとしたらクラッとしてバランスを崩しちゃった。

私が尻餅付いた場所にあった一升瓶が転がる音が聞こえる。

うーん、お酒を飲み過ぎちゃったからかな、少しフラフラするや。

 

「んぁ、あぁ、フィル、起きたのかい」

「あ、勇義さん、済みません起しちゃって」

「いや、あの程度の物音で起きたって事は、後ちょっとで起きるところだったって事だろうさ」

「結構大きい音だったと思いますけど」

「深く眠ってたら、あの程度の音じゃ起きやしないよ、っと」

 

勇義さんは一切ふらつくことなく平然と立ち上がった。

絶対に私よりも沢山飲んでるのに、全くふらつかないって凄いや。

 

「さーて、朝一で飲むか?」

「えぇ!? 昨日あんなに飲んだのに!?」

「あの程度なら何て事は無いさ、ま、酒はとりあえず1人で飲むとしてだ

 何か済まなかったね、泥酔するくらい飲ませちまって」

「あ、いえ、お構いなく…でも、出来ればしばらくはお酒を飲みたくないです」

「はは! そう嫌うな、酒は美味いからね、まぁ、今度は泥酔するまで飲むんじゃなく

 程々に呑もうじゃないか、まぁ、あんたが相当な酒豪なのは分かったけどね」

「いえ、私はそんな」

「はは! あの酒を20杯も飲まされて、二日酔いも殆ど無さそうだし

 相当だよあんたは、その内飲み比べでもしようや」

「い、いえ! 無理です!」

「全くつれないねぇ、まぁ、良いけどさ」

 

勇義さんと飲み比べなんてしたら、絶対に負けちゃうよ。

と言うか、そもそもお酒をもう飲みたくないし。

 

「まぁ良いさ、じゃ、そうだね、案内してやるよ、他の妖怪が居る場所」

「え?」

「あんたの目的はあくまで妖怪達と交流を持つことなんだろう?

 だったら、その手伝いをしてあげないとね、地上の賢者にも頼まれたし」

「紫さんが?」

「あぁ、本当かなり気に掛けてるようだよ、なんであそこまで気に掛けてるかは知らないけどね」

「本当、なんで紫さんは私なんかに…」

「ほら、後ろ向きは無しだ、自分なんか、とか思わない方が良いよ

 後ろ向きに考えても楽しくないさ、やっぱ前向きにが1番だ」

「でも…」

「…まぁ、これから色んな妖怪に出会うし、きっと考えも変わるだろうから

 今はそのままでも良いけど、変わる努力はしなよ、努力しなきゃ変われないからね」

「……は、はい」

「まぁ、何にせよ、あんたは色んな奴に好かれてるんだ、自信持ちな」

「え? 何でそんな」

「地底の連中がすぐに馴染めるほどだからね、そりゃあ、誰だって、あんたを好くさ」

「……はは、そうだと嬉しいんですけどね」

 

私の事を気に入ってくれる人か…そんな人、本当にいるのかな?

…お嬢様とフランお嬢様は私の事、気に入ってくれてるかな?

……いや、きっとまだまだだ、うん、まだまだ。

だから、勇義さんに言われたとおり頑張って変わって、お嬢様達に気に入って貰おう。

 

「さて、ま、くだらない話はここまでだね、ほら、ここだよ、地霊殿だ」

「ち、地霊殿…大きいですね」

「あぁ、旧地獄を管理してる建物だしね、あ、そうだ、ここの主は

 心を読むことが出来る妖怪だからね、まぁ、あんたの場合は問題無いだろうけど」

「心を読めるんですか!? 凄いですね、意思疎通が簡単に出来て良いですね!

 それにその人が口に出せない悩み事も分かって、相談に乗れますし凄い能力ですね!

 誰かに相談したくても口に出せない悩みってありますもんね、内気な人は特に」

「心を読めると聞いて、最初にそう考えられるなら、間違いなく安心だね」

「え?」

「まぁ、良いさ、じゃあ、行こうか」

「あ、はい!」

 

内装はどんな感じなんだろう! 大きい建物だし楽しみだな!

だって、こんな大きな建物は紅魔館以外に見たことないし!

図書館とかあるのかな? うふふ、凄く楽しみ!


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