東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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灼熱地獄の八咫烏

結構暑い灼熱地獄という場所を、私はお隣さんと進んでいった。

汗も結構かいてるし、中々長居はしたくないなぁ。

と言うか、もう服が汗で酷い事になっちゃってる気がする。

 

「はぁ、はぁ、もう、お空、何処に居るだか」

「そのお空さんって、この中で過ごしてるんですね、暑いでしょうに」

「あの子は暑さに強いから…でも、おねぇさんも相当暑さに強そうだね

 この灼熱地獄に結構長い間居るのに、汗は出てるみたいだけど

 表情は殆ど変わってないようだし」

「結構平気ですね、この暑さ、汗は流石にかいてますけど」

 

こんなに汗が出たのは久し振りかもしれない。

あはは、温かい場所なんてあまり居なかったしね。

夏場もそこまで暑くなかったし、そんなに汗はかいてない。

でも、流石にここは暑いかなぁ、灼熱地獄って言うくらいだし当然かもだけど。

 

「うにゅ」

「あ! お空!」

 

私達が話していると、空から声が聞こえてきた。

私はすぐにその方向を見てみる。

そこには白のブラウスに緑のスカート。長い黒髪に緑の大きなリボンをつけている。

服装だけは普通なんだけど、凄いのはあの人の装飾品。

鴉見たいな真っ黒な翼が生えているし、上から白いマントをかけている。

そして、驚いたのは、そのマントの内側には宇宙見たいな物が映し出されている。

胸には赤い目玉みたいな物が付いている、腕には何だか棒みたいな物があるし

左足には象のような靴を履いていて、右足には球体のような物が複数付いている。

えっと、あのマントの裏の宇宙空間は一体何?

象みたいな足はまだしも、右足のあの球体はどうしてあんな場所にあるの?

接触しているようにも思えないから、付いているわけでも無いし。

後、胸の赤い奴はどうなってるの? 宝石? 目玉みたいだけど宝石なの?

あの腕に付いてるよく分からない棒はなんなの? 何の為にあるの?

この人の服装は本当によく分からない、いや、服じゃないかな。

あの人の装飾品だ、装飾品が沢山あって、その沢山の装飾品の全てが訳が分からない。

私の頭の中にいくつものはてなマークが出ている。

 

「え? え? なんですか? あの装飾品…え? なんですか? あのマント…

 胸に付いてる赤い目玉は? 象みたいな靴に変わった球体? え?」

「ま、まぁ、お空の服装を見たら、最初は疑問ばかりになるだろうね

 えっと、あの子は霊烏路 空(れいうじ うつほ)私達はお空って呼んでる」

「お隣、そこの子は誰? さとり様の新しいペット?」

「いや、この子はお客様だよ」

「あ、こんにちは、私はフィルと言います、狼と人間の半獣で」

「へぇ、何でここに?」

「お空に会いに来たのさ、フィルは妖怪達と仲良くしたいらしいから」

「へぇ、妖怪達と、じゃあ、私達とも仲良くしたいって事だね」

「はい、仲良くなりたいです」

「じゃあ、やらないといけないね」

「何をですか?」

「弾幕ごっこ」

「え!?」

「やっぱり仲良くなるためにはこれをしないと! 私も戦いたいし!」

「え!? いや、ちょっと待ってください、流石に」

「じゃあ、行くよ!」

 

お空さんはスペルカードの枚数を宣言すること無く攻撃をしようとしてきた。

 

「え!?」

「駄目駄目! ルールがあるでしょ!? ちゃんと枚数を宣言しないと!」

「…あ、そうだった、いやぁ、弾幕ごっこのルール覚えて無くて」

「い、一応、再度教えて上げるよ」

 

お隣さんはお空さんに近付いて、色々と細かに教えている。

教えなくても良いんだけどなぁ…そうすれば、戦わないですむし。

 

「ふんふん、えっと枚数を宣言して、スペルカードを…

 スペルカードって何?」

「そこも!? えっと、スペルカードって言うのは技の名前を書いたカードで」

 

……大丈夫なんだろうか、と言うか、思い出さない方が私としては良いけど。

いや、だって、スペルカードルールを思い出したら、私はあの人と戦わないといけない。

 

「ふーん、えっと、私のスペルカードってなんだっけ?」

「……常に持っている様にって言ったじゃ無いか、きっと何処かにあるから探して」

「うん、えっと、何処かな?」

 

お空さんは自分の服を色々と探した。

 

「あ、あった!」

 

そして、ようやく胸元から何枚かのカードを出す事が出来た。

あれがお空さんのスペルカード…うぅ、どうしよう。

そう言えば、私ってスペルカード持ってたっけ。

……あ、あった、小さな鎖のスペルカード持ってた。

危ない時は宣言すれば回避出来るって言ってたけど、どうなんだろう。

 

「で、この中から好きな枚数選んでね、どんな技かはあたいは全部覚えてないよ」

「大丈夫、自分の技は何だか覚えてる!」

「なんで技は覚えているのに、スペルカードルールは覚えてないのさ」

「わかんない!」

「…ま、まぁ、良いよ、うん」

 

良いんだろうか、それで…流石にルールは覚えてないと不味いんじゃ。

 

「それじゃあ、枚数だね、えっと、私が使うスペルカードは5枚!

 スペルカードの名前も覚えてるから、一応使うときに言うね」

「あ、はい…と言うかあの、戦う事は避けられないのでしょうか?」

「残念でした。もう地獄の釜から逃げ出せないよ。

 私があなたと戦うと決めた地点でね。

 さぁ、究極のエネルギー、核融合の力を味わって!」

「え? えぇ!?」

 

何だか雰囲気変わった! さっきまで少し間が抜けてた感じなのに

戦うってなった途端雰囲気変わった! ど、どうしよう、死んじゃう!

て言うか、核融合!? す、凄く物騒な単語なんだけど!?

何度か聞いたような記憶が…確か、生き物が死んじゃうって聞いたけど…

あ、あれ? これ、私、過去最大級にヤバいんじゃ…し、死んだらどうしよう。

 

「あなたも私とフュージョンしましょ?」

「嫌なんですけどぉ!? 私、死にたくない!」

 

私、戦うの苦手なんですけどぉ!?


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