東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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今日のお部屋

のんびりとご飯を食べて、ゆっくりとお休みもした。

最初はお化けが沢山居て恐い場所だと感じていたけど

案外、そうでも無いみたいだった。

私が案内された部屋は、大きなベットがあり

真ん中には大きなガラスで出来た机。

椅子はふかふかした素材で出来ている。

何というか、凄くお洒落な作りになっている。

 

「ここに今日はお泊まりください、後、止めたのですが」

「私もここで寝る!」

「…本当、お空に心底懐かれましたね、フィルさん」

「えっと、私、何かしましたっけ?」

「何だか一緒に居て楽しいし!」

 

う、うーん、何だか凄く人懐っこい人なのかもしれない。

大丈夫かな? 悪い人とかに騙されたりしないのかな?

何だか凄く不安なんだけど…

 

「安心してください、お空は本来警戒心は強いですから。

 まぁ、強すぎる警戒心故か、危険がまず無い人に対しては

 かなりあっさりと懐きますよ…この懐き方は相当ですがね」

「は、はぁ…」

「あれかもね! 私とフィルは運命の赤い糸で結ばれてるのかもね!

 ……赤い糸見えないけど」

「お空、赤い糸は見えませんよ、見える物ではありませんし」

「え? でも、糸は見えますよ?」

「…ま、まぁ、見えない糸もあるのよ、うん」

「そうなんだ、初めて知りました」

 

それって言うなれば例えじゃ無いのかな? 

運命の赤い糸…でも、なんで糸なんだろうか。

あ、もしかして、運命をたぐり寄せると言う感じで

糸なのかもしれない、だとすると、運命は自分で引き寄せる事って感じかな。

つまり、運命の相手は自分で選べと言う事かも知れない!

確かに人との出会いが運命によって定められているって言うのは

素敵なことかもしれないけど、それだと何をしても運命は変わらないって事になる。

それは嫌だなぁ、だって、どれだけ頑張っても運命で結果が決まってるのは。

いやいや、そもそも、運命で全てが決まっているとすれば

お嬢様とか凄い能力って事になるよね、変えられない筈の運命を操ることが出来る。

それって、お嬢様が周りの運命を決めてるって感じになるし。

 

「そうですね、確かに運命は自分で決め、選ぶこと、と言う考えの方が良いですよね。

 定められたレールの上しか進むことが出来ないのは寂しい事ですし」

「そうですよね、やっぱり運命は自分でつかみ取る! って方が格好いいですよね」

「はい、私もそう思います」

「うにゅ? 運命は自分でつかみ取る? じゃあ、私とフィルは

 運命の赤い糸で結ばれてる訳じゃ無いんだね」

「そうですね、あなた達は運命の赤い糸に導かれたわけでは無く

 自分で選んだ相手でしょう」

「まぁ、運命の赤い糸が無くてもあっても

 私は皆と出会えて嬉しいって思ってます!」

 

運命って言うのはよく分からないけど、やっぱり自分でたぐり寄せる方が良いよね。

どんな運命でも、自分で変えて進めることが出来るのは良いことだよ。

…いや、違うかも、皆で変えてるのかもしれないなぁ、運命って。

皆さんが楽しそうに笑っている姿を見ると、そう思う。

 

「運命は自分で切り開くのでは無く、皆で切り開く。良いですね、そう言うのも」

「と言うかさ、なんで同じお部屋で寝るって話から

 運命のお話になってるのさ、そんなメルヘンチックな会話じゃ無いと思うんだけど」

 

ま、まぁ、確かにその通りだよね、あはは…

 

「うん! それじゃあ、早速フィル!」

「あ、はい、何でしょう」

「髪の毛を弄るよ!」

「え? な、何でですか?」

「お空、誰かの髪の毛を弄って見たいと思ってたみたいなんだけどね。

 普段は忘れて、後から思い出すんだけど、今回はすぐに思い出したのかい」

「うん! 髪の毛弄るよ!」

「え、えっと、私の髪の毛、あまり長くないと思うんですけど」

 

動きやすい方が良いし、私はそこまで髪の毛を伸ばしていない。

だって、バク転するときとか、髪の毛を手で押さえつけちゃったら大変な事に…

 

「大丈夫だよ! 弄らせて!」

「あ、は、はい…短い髪の毛でも良いなら」

「やったね!」

 

その後、なにやらテンションが高くなったお空さんは私の髪の毛を弄った。

こんなにも短い髪の毛でも、色々な髪型に出来るんだね。

で、最終的にお空さんが私にさせたヘアースタイルは

 

「出来た! これで私とお揃いだね!」

「そ、そうですね」

 

自分と同じ、ポニーテールだった…少し引っ張られるような感覚だ。

後はポニーテールが結構不格好だった、うん、初めてやったみたいだし

仕方ないんだろう、でも、この不格好なポニーテールも

何だか私は可愛く見えた…頑張ってやってくれたんだなと思ったから。

 

「ありがとうございます、凄く可愛いです!」

「エッヘン!」

「ふふ、本当に仲が良いですね、姉妹のようです」

「姉妹だとすれば、お空が妹ですかね?

 身長とかはお空の方が高いですけど」

「中身で言えば、フィルさんの方がかなり大人ですよ

 面倒見の良いお姉ちゃんという感じです」

「へぇ、さとりお姉ちゃんと同じ感じなのかな?」

「いや、私なんかよりもフィルさんの方が立派なお姉さんよ」

「さとりお姉ちゃんは妙な所で自信無くすね、お姉ちゃんは立派なお姉ちゃんだよ

 お姉ちゃんの可愛い妹であるこいしちゃんが言うんだから、間違いないよ」

「こいし…でも、私は本当にあなたのお姉ちゃんに相応しいのかしら…」

「お姉ちゃんが自分の事をどう思っていても、私はお姉ちゃんの事が大好きだよ

 心を閉じても、それだけは変わらない、お姉ちゃんは私の大好きなお姉ちゃん」

「…ありがとう」

 

……やっぱりさとりさんとこいしさんは仲が良い、仲が良い姉妹だ。

 

「さとり様とこいし様、どうしたんだろう?

 でも、2人が楽しそうだし、別にいいや」

「そうですね」

 

それから、私とお空さんは同じベットで寝る事になった。

うん、ベットも2つあるし、お空さんが窮屈な思いをすることは無いかな。


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