「それじゃあ、歓迎のパーティーを始めましょう」
あぁ・・・・始まってしまった、
結局何も考えることが出来ないままで・・・・
どうしよう、このままだと
私はここに来て早々に赤っ恥だよ。
うぅ、そうなったらどうしようかな、
この館に居るのも少し辛い気がするし。
でも、逃げちゃったら折角拾ってくれた
レミリアお嬢様に申し訳ないし。
フランお嬢様とのお約束も果たせない、
そうだ、その2つを達成するために
私はこのスピーチを成功させて、
堂々とこの館の一員になるんだ!
「じゃあ、フィル、
一応あなたが覚えている事を話して頂戴」
「あ、は、はい、えっと、
私の名前はフィールと言いますが、
今はフィルと呼ばれています。
その、私自身、何処から来たかとかは
記憶が無いので覚えていないんですが、
お嬢様の見立てだと
私は半獣で、半分は人間、
半分は犬の妖怪です、不束者ですが、
どうぞよろしくお願いします!」
「嫁入りの時の台詞みたいね、その言葉。
それで? レミィは彼女をどう扱うの?」
「ペットよ、ペットとして扱うわ」
やっぱりペットとしての扱いなんだなぁ、
いや、分かってたけど。
でも、こう沢山の人達の前で
堂々とペット宣言されるのはちょっと応えるよ。
「レミィらしいわね、一応私も自己紹介。
私はパチュリー・ノーレッジ
パチュリーと呼んで頂戴、
でも立場上はレミィと同じくらいだから、
様くらいは付けなさい」
パチュリー様は白色の服に
紫の縦線が入っている寝間着っぽい服装
帽子は紅魔館の掟なのかしていて、
白色の帽子に三日月の飾りがしある
それに、2つ垂れた髪の毛には
リボンが括ってあるしそこ以外にも何カ所かある。
体型はお嬢様と同じくらいに白い肌で、
体格はなよなよっとしている感じに見える。
目の色は紫で、手には本を持っている、
食事の席にも持ってくるって事は
本が大好きなんだろうな。
「あ、はい、分かりました、パチュリー様」
「私はパチュリー様の使い魔、小悪魔です。
名前はありません、ですが、
コアと呼ばれたりします
そうですね、立場的には
フィルちゃんの先輩ですね、
コア先輩と呼んでください」
コア先輩は赤く長い髪の毛に紅い目をしている、
小悪魔って位だから悪魔なんだろうな
頭の上にも黒い羽が生えてるし、背中にも生えてるし。
でも、服装は普通の黒いスーツだ、
悪魔って言っても
やっぱりシンプルな服装が多いのかも。
どうしても女の悪魔って聞いちゃうとその、
破廉恥な服装が多い気がするけど
やっぱり本物はそんな事が無いんだろうなぁ、
吸血鬼のお嬢様も普通の服装だったし。
「あ、はい、コアせんぱ」
「コアのことは呼び捨てで良いわ」
「なんでですか!?」
「調子に乗りそうだし、
見た感じフィルの方が優秀でしょう?」
「そ、そんなぁ!」
私から見たら、小悪魔さんの方が
優秀に見えるんですけど。
もしかして、小悪魔さんって
ここでの扱い悪いのかなぁ。
そうだなぁ、コアって呼び捨ては駄目だし、
小悪魔さんにしよう。
「えっと、よろしくお願いします、小悪魔さん」
「わ、私にさん付け!?
パチュリー様にああ言われたのに?」
「はい、小悪魔さんは私の先輩ですし、
小悪魔さんの方が背も高く、美人さんですから」
「あぁ、そんなに褒められたのは初めてです、
それに何て従順、あなたが天使ですか!?」
「へ? いや、私は半獣です」
「今のは例えですよ、
でも、そう言う少し無知なところも
可愛らしいですね
あ、私は門番の美鈴です」
あ、門の前で立ってたあの綺麗な人だ、
当然だけどここの関係者だったんだ
でも…何でちょっと服がボロボロなんだろう。
怪我もしてるし。
も、もしかして、侵入者が居たのかな?
「あの、美鈴さん、怪我をしてるんですけど
侵入者でも来たんですか?」
「え? いえ、これは、あだ!」
「サボっていたから軽くお灸を据えたのよ」
美鈴さんの近くに居た咲夜さんが
美鈴さんの頭を強く叩いた後、そう呟いた。
「一応、自己紹介をしておきましょうか、
私の名前は咲夜、
紅魔館のメイド長をしているわ、
立場上は一応あなたの上司になるだろうから、
タメ口よ
まぁ、お嬢様のペットと言う事だし、
もしかしたら私達より立場は上かも知れないけどね」
咲夜さんは白い髪の毛に青い瞳、
頭の上には白くふりふりしたメイドさんの
カチューシャをしてる
服装はメイド服で、ミニスカートだ。
多分動きやすいためだと思う
そして、そのミニスカートから
僅かにきらりと光る刃物のような物が見えた。
もしかして刃物かな?
それに、腰には懐中時計を付けている。
「安心なさい、
フィルはそう言う事気にしないでしょう、
それに誰彼構わず敬語を使いそうだしね」
「あはは、そうですよ、
皆さん私よりの先輩ですから、
私を一番下だと思ってください」
「凄く従順な子ね、コアの代わりに欲しい位よ」
「え!? 私はしっかり仕事もしてるし、
パチュリー様に従順じゃないですか!」
「本を崩したり、魔理沙の防衛も出来ずに?
紅茶を入れてこいと言ったのに
ミルクティーを出すし」
小悪魔さんって意外とおっちょこちょいなんだなぁ。
「うぅ、それは・・・・私がドジだからで」
「だからしっかりしてそうで、
従順なフィルが欲しいと思ったのよ」
「うぅ」
「パチュリー様、あまり酷く言わないでください、
あまり知りませんけど小悪魔さんも頑張ってますし
反省もしています、
時間が掛かってもパチュリー様の為に
頑張ってる限り成長出来ますよ」
「あぁ、何て優しい言葉・・・・」
「・・・・そう言う事も言うのね、
この場で初対面の相手に対して」
「あ、あの、失礼があったのならお詫びしますけど」
「大丈夫よ、少し変わっていると思っただけ。
ま、レミィが気に入りそうな子ね」
どういうことだろう、
私みたいなタイプがレミリアお嬢様は気に入るのかな。
「分かってるわね、パチェ」
「ど、どういうことですか?」
「簡単に言えば、お嬢様は自分が思っていることを
ズバッと言う人がお気に入りなのよ」
「フィルはそう言う事よく言いそうだよね、
あの時も私達を制止したし」
「とりあえず、あなたには少し期待してるわ、
精々私を退屈させない事ね
さて、長い話はここまでにしましょうか、
それじゃあ、食事を始めましょう」
「待ってました!」
お嬢様の合図で、私達は食事を始める事にした。
私はこう言う食事をした記憶がないから、
恐る恐るだけどその料理を口にした。
そして、口に入れた途端にあふれ出てくる
ほのかな食感と甘み、凄く美味しい!
こんな美味しい物があるなんて!
「沢山食べるんだね、フィル」
「美味しいですぅ!」
「こんなに喜んで食べられると、
作った甲斐があるわね。
おかわりもあるしドンドン食べて」
「はい!」
私はその料理にがぶがぶと食い付いた、
とても美味しい。
どの料理にもほどよい旨味に
その旨味を引き立てるために気が付かない程に
ささやかな塩見がある。
「随分食べるわね、
私は少食だからあんなに食べられないわ」
「私もよレミィ、軽く羨ましい位の食欲よね」
「私も負けないよ!」
「・・・・ねぇ、フィル」
「ふぁい?」
「食事中悪いのだけど、質問良いかしら」
「ンク、はい、大丈夫です」
「そのマフラー、なんで外さないの?
食べにくいんじゃないかしら?」
あ、そう言えばマフラーを付けっぱなしだったんだ、
確かにこれだと食べにくいかも。
「忘れてました、確かに食べにくいですね。
外します」
私はマフラーを外すために首元の括り目を解こうとした・・・・けど、取れない
「あ、あれ? 取れない」
「そうなの? 解けないマフラーって不便ね、
このままだとお風呂もこのままになるわ」
「うぅ、どうしましょう」
「ちょっと貸してみて、私が軽くやってみるわ」
心配してくれた咲夜さんが私の方にやって来て、
マフラーの括りを見てくれた。
「どうですか?」
「ん? 結構普通なのね、これなら簡単でしょうに」
「そ、そうなんですか!?
括り目なんて見たことなかったので」
「これなら簡単に取れそうなのに、案外取れないわね
切るのが1番早いでしょうけどそれだと勿体ないし
なんとか解いてみるわ、大人しくしていなさい」
「あ、はい」
それから、数分の時間が経って、
咲夜さんは私のマフラーを解いてくれた。
何だか首元が涼しく感じるよ、
それに何だか解放された気分。
「よし、何とかなったわね」
「ありがとうございます!」
「どういたしまして、それにしても…
簡単な結び方だったのに
全く訳の分からないマフラーね、これ」
でも、不思議とマフラーがないと落ち着かないなぁ。
やっぱりご飯の時とお風呂の時以外は付けておこう。
私はそんな事を考えながら、ご飯を食べ始めた。
やっぱり凄く美味しい、
こんなご飯をこれから毎日食べれると思うと幸せだよ
「凄く食べたわね、フランとフィル」
「「ぷふぅ」」
「妹様の大食らいに匹敵するとは、
これは食費が大変なことになりそうですね」
「大丈夫よ、お金は十分あるわ」
「そうですね」
私は満腹の幸福の中で、
これから頑張ってレミリアお嬢様のために
必死に頑張ろうと思った。
私を拾ってくれた恩を返すために、
それと、毎日のご飯をもっと美味しく食べるために。