東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

58 / 245
紅魔館の来客

3人で作った料理、幽々子さんと紫さんはかなり褒めてくれた。

私が一人で作った訳じゃないけど、なんだか最近料理がうまくなった気がする。

多分気のせいなんだけど、結構うれしい気がする。

 

「うん、美味しかったわ」

「あ、ありがとうございます!」

「さてと、それじゃあ、フィル」

「は、はい、なんでしょう?」

「そろそろ次に行きましょうか」

「へ? つ、次ですか?」

「あぁ、でも、少し時間がかかりそうだし、紅魔館で待ってて」

「あ、はい」

「それならここに居てもいいんじゃないかしら?」

「この子は本来紅魔館の妖怪よ、流石にこれ以上はね」

 

なんだか久しぶりに紅魔館に帰る気がする。

山に登って、地底に行って、さとりさん達にお世話になって

今度はここにきて、本当に結構な間、帰ってない気がする。

 

「それじゃあ」

 

紫さんは私の前にあの空間を召喚した。

 

「こ、今度は足元に出さないんですね」

「足元に出してほしいの?」

「いいえ、痛いので嫌です」

「でしょうね」

「あ、フィルさん!」

 

私があの空間に入ろうとすると、妖夢さんが私を呼んだ。

 

「どうしたんですか?」

「いえ、迷惑をかけたので改めて謝罪しようと、それと一つ

 こんなことを言える立場ではないのはわかっていますが

 …えっと、今度は私の修行に付き合っていただきませんか?」

「え?」

「いえ、気に入らないのならばいいのですが」

「うーん、私なんかが修行相手になりますかね?」

「接近戦に強く、回避性能が恐ろしい、どう考えても最高の修行相手よね」

「あ、そうなんですか? じゃあ、機会があったらやりましょう!」

「ありがとうございます!」

「それじゃ、お家に帰りなさいな」

「あ、はい!」

 

よーし、久々の紅魔館!

 

「あ、そうそう、流石にそろそろもう一枚くらいスペルカードを用意しなさい」

「あ、はい、分かりました! それじゃあ、考えてみます、よいしょ」

 

新しいスペルカードか、確かに小さな鎖だけだとなぁ。

私がそんなことを考えていると、紅魔館の門前だった。

美鈴さんが誰かの対応をしていた。

 

「ほらほら~、フィル出してよ~」

 

あれはルーミアさんだ、でも、ほかの子たちは誰だろう。

 

「いえいえ、だからフィルさんは今は」

「最強のあたいが会いたいって言ってるんだぞ! 会わせてよ!」

 

美鈴さんに詰めかけた少女、彼女の姿は髪は薄めの水色で、

ウェーブがかかったセミショートヘアー。

背中には羽が六枚生えていて、青の大きなリボンを付けている。

服装は白のシャツの上から青いワンピースで、

スカートの縁に白のぎざぎざ模様がある。

ちらっと見えた首元には赤いリボンが巻かれていた。

足元は水色の靴を履いている。

 

「ち、チルノちゃん、そんなに怒らなくても…」

 

その少女を止めた女の子の姿は、髪の色は緑、左側頭部をサイドテールにまとめ、

黄色いリボンをつけている。

服は白のシャツに青い服を着ていて、

隣の水色の子を止めるときにちらりと見えた首元には

黄色いリボンを付けている。その背中からは虫か鳥のような縁のついた羽が生えていた。

こっちは2枚だった。

 

「そうそう、焦ってもあまり意味がないって」

 

えっと、今度は人間の子供位の体躯で緑色のショートカットヘア。

黒く燕のしっぽの様に分かれたマント。

白シャツに紺のキュロットパンツ、なんだかボーイッシュな恰好。どこか親近感を抱くなぁ。

というか、男の子何だろうか…でも、声からして多分女の子だ。

後、なんだか虫の触角みたいなものも見える、きっと虫の妖怪なんだろう。

 

「というかさ、なんで私たちまで巻き込んだの?」

 

今度の子は、鳥のような翼と長い爪、で、羽の様な耳。

帽子には羽根の飾りが付いている。

靴にも同じように羽の飾りがついてる、羽が好きなのかな? 

耳にはピアスが付いてる。

服装はジャンパーが付いたスカートで色は茶色だ、雀の色が近い気がする。

で、ジャンパーには紫のリボンが多数あしらわれている。

というか、この服はスカートと上の服は同一なんだなぁ。

その下には白色のシャツ? ブラウス? そんなものを着ていた。

髪の色はピンク色だった。

 

「……んー、そこの子は誰?」

 

茶色い女の子がこっちに気が付いている、正面を見れたのも

あの子がこっちを向いているからだし、当然だけど。

 

「お? 何だお前! あたい達と戦おうってのか!」

「お、フィルじゃん」

「フィル? 誰それ、ルーミアの知り合い?」

「私たちが何のためにここに来たのか忘れたの?」

「え? …何のためだっけ、あ、紅魔館だし吸血鬼を倒そうとしたとか!」

「はぁ!? 何馬鹿言ってんのさ!? 吸血鬼に勝てるわけないじゃん!」

「最強のあたいがいれば問題ない! とりあえず手始めにあの狼を倒すぞ!」

「え!?」

「い、いやいや、なんで!?」

「だって、あいつスゲー弱そうじゃん! まずは弱い奴から倒す!」

「えぇ!?」

「さぁ、勝負だ! あたい! 最強!」

「フィルさん、妖精は非常に頑丈なので、手加減はいらないと思います」

「へぇ!?」

「うおぉおお!!」氷塊「グレートクラッシャー」

「は、はぁぁあ!?」

 

何々何!? 何あれ! あの子の背丈の何倍もあるでかい氷塊が出てきた!?

ちょっと待って! 聞いてない! まだ心の準備とか出来てない!

 

「チルノちゃん! ダメだってば!」

「はははー! つぶれちゃえー!!」

「ちょ、ちょっとま、なぁ!」

 

あ、危ない! 当たるところだった! 危うくつぶれるところだった!

 

「くぅ! まだまだ!」氷体「スーパーアイスキック」

 

あのハンマーが砕けるとすぐにあの子は背後に飛びあがり

強烈な蹴りをこちらに向けて来た。

に、肉弾戦? 肉弾戦なの?

 

「痛いかもしれませんが!」

 

私はそのキックを少しだけ背後に下がり、ぎりぎりで回避する。

あえて背後に下がったのは高度から考えてこの場所が

ちょうど私の手が届く距離だったからだ。

私はすぐにその子のお腹を少しだけ押してみた。

 

「冷た!」

 

まるで氷を触ったかかと思うほどに冷たかった。

 

「あはは! あたいに触ると火傷するぜぇ!」

「そうみたいですね、まぁ、これで十分ですけど」

「へ? あだぁあ!」

 

私の狙いは少しだけバランスを崩すことだった。

ちょっと触れるだけでもバランスは十分崩れるからね。

 

「えっと、諦めてくれますか?」

「ぐぬぬ! まだまだ! 最強のあたいが負けるわけがなーい!」

 

結構派手にこけたのに、まだまだ元気みたいだ。

 

「もう怒ったし! 容赦しないし! あたいのアイシクルソードで倒しちゃうし!」

「へ?」

 

あの子が少しだけ力を込めると、手元に剣の様なものが出てきた。

…どこから出したの? え? どこから出てきたの!?

 

「うおぉおお!」

「っとと」

 

かすった時に感じた冷たさ…多分あの剣は氷でできてる。

氷でできた剣? どこから出したかは分からないけど。

 

「てりゃてりゃてりゃ!」

 

縦、横、斜め、斜め、横、斜め、縦、切り上げ、横、斜め。

剣筋は滅茶苦茶、むやみやたらに振り回してるみたいだ。

 

「くぅ! 当たれ! 当たれ! 当たれぇ!」

「さ、流石に少々適当に振りすぎだと」

「くぅ! なんで笑顔なんだよ! あたいは攻撃してるのに!」

 

で、でも…妖夢さんと戦った時と比べると、すごく楽だし。

剣筋が滅茶苦茶で振りも遅いし。

 

「な、なら! これでどうだ!」

 

今度は2本、一体どこから出してるんだろうか。

というか、出した瞬間に動きがなかった。

いきなり手元に出てきたように見えた。

じゃあ、もしかして氷で作ってる?

 

「へへへ、あたいは最強なんだ!」

「う、うーん…」

 

これは飽きるまで攻撃してくる感じだったりして…あはは。

そう場合だと、飽きるまで付き合ってあげないと駄目なのかなぁ…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。