東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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最強と最強の最強過ぎる戦い!

「うおぉお!」

 

二刀流での連撃、流石に全部を回避するのは難しいかも?

 

「と、とと」

 

斜め、斜め、横、縦、斜め、横、斜め、斜めが多くなったなぁ。

2本だからかな、確かに2本持っていると、縦に振ったりするときに

あまり力が入らないだろうしなぁ。

 

「くぅ! な、なんで当たらないの!? あたいの攻撃!

 弱そうな奴なのに!」

「ま、まぁ、そうですね、私、紅魔館では弱い部類に入りますし」

「フィルさん、あなたの回避能力は紅魔館随一だと思いますけどね」

「このこのこの! かすりもしない!」

 

意外と2本でも避けられるものなんだという事が分かった。

なんか、1本の時よりも攻撃が単純になっている気がする。

最初よりも余計に力任せに振り回してるだけだし。

 

「えっと、2本はまだ扱えていないみたいですし

 最初は1本だけで戦った方が良いと思いますよ?

 その方が力も入りますし、そもそもまずは扱いに慣れないと」

「こんのぉ! 馬鹿にして!」

 

さっきよりも攻め方が単純になったような気がする。

とにかく適当に振り回している感じだ。

もう少し攻撃速度が速かったら大変かもしれないけど

この程度の攻撃速度なら音を聞いただけで避けられる気がする。

 

「えっと」

「うおぉおお!」

「えい!」

「げげ!」

 

私は飛び掛かってきたこの子の剣の片方をつかんで握りつぶした。

やっぱり凄く冷たかった…やっぱり氷だったんだ。

でも、すぐなら別に問題はないかな。

 

「あ、あたいのアイシクルソードが砕かれた!」

「えっと、これで諦めて」

「諦めるか! あ、あたいは最強だぞ!」

 

どうしよう…なんだか弱い者いじめをしているようで…心が…

 

「フィルさん、大変ですねぇ」

「ち、チルノちゃん頑張って!」

「いや、あれ勝てないでしょ」

「全員で戦えば勝てるかな?」

「多分無理、攻撃当たらないと思う」

「ミスチーがそういうのかー」

「夜間だったら…鳥目にして戦えば可能性は…」

「フィルさん、耳もいいのであまり意味ないと思いますけど」

「目が見えなくても避けるとか怖すぎるんだけど!」

「なら私の闇の力で試してみよう!」

「いやいや、あなたの力だと私たちも視界がふさがるから」

「大丈夫! 多分ね」

 

あれ? 周りがいきなり暗くなった? なんで? 何があったの?

 

「本当にやっちゃったよ、大丈夫かなぁ」

「私たちは匂いでわかるし大丈夫でしょ」

「確かにあの子、良い匂いするね」

「美味しいかもね」

「食べていいの?」

「食べたら駄目ですよ、そんなことをしたら返り討ちに遭いますって」

「…何も見えないけど! とりあえず食らえー!」氷符「アイシクルマシンガン」

「ん」

 

何も見えないけど、とりあえず音と冷気と感覚で避けよう。

 

「どうだ! 参ったか!」

「どうなったのか見えない」

「解除してみよう」

 

あ、暗闇が一気に晴れた。

 

「あ」

「げ! 無傷じゃん!」

「チルノが狙いを外した?」

「いや、見てよ…あの子の後ろに木…確かに氷が刺さってる」

「つまりあの暗闇の中で避けたという事ですね」

「嘘!」

「…く、く、くぅ! あ、あたいは負けない!」

「これは全員で挑んでも勝てないね」

「間違いないわね」

「チルノちゃん…大丈夫かなぁ?」

「大丈夫だと思いますよ? フィルさんですし」

「あ、あたいはここの吸血鬼を倒すんだ!

 お前なんかに負けてたまるか!

 あたいは! 最強なんだ!」氷塊「グレートクラッシャー」

 

退いてくれる様子はありませんね、流石にお嬢様に危害を加える

なんて堂々と言ってる相手に手加減はしない。

ここはこっちもスペルカードを使おう。

小さな鎖で…でも、そろそろ別のカードも用意しろって言われたし。

この場で使うのはどうかと思うけど、試してみよう!

そういえば、前に藍さんに稽古をつけてもらった時に考えた技があった。

スペルカードの名前はどうしよう…う、うぅ! 考えてる余裕はない!

 

「こうなったら適当に!」狼符「狼娘の狩りごっこ」

 

とりあえず即席で考えた名前、だけど、攻撃方法は考えてる。

まずは構えて地面を強く踏み、力を足に集中させる。

 

「ちぇりゃぁ!」

 

相手が間合いに入った瞬間、一気に地面を蹴りだす!

 

「なぁ!」

 

そして、その勢いを殺さないまま、爪で相手を攻撃する。

その前に最初、自分がいた場所に弾幕を展開する。

 

「へぁ! あたいの氷塊が!」

 

攻撃後、地面を踏み勢いを殺している時にも弾幕を展開。

その後、すぐに背後を向き、再び力を足に集中させ、狙いを定める。

狙いを定めると同時に再び地面を強くける。

この瞬間、最初と同じように周囲に弾幕をまき散らす。

 

「げ!」

「…流石に首を裂くのは嫌なんで、退いてください」

「あ…あわわ…」

 

…や、やりすぎたかもしれない。

 

「フィルさん、結構容赦なく無くなりましたね」

「流石にお嬢様へ危害を加えようとしてる相手に手加減はしませんよ」

「ふぃ、フィル、あ、あんなに強かったんだ…回避はわかっていたけど

 攻撃力もこんなにすごいなんて…」

「ち、チルノが結局手も足も出ずにやられるなんて!」

「く、くぅ! さ、最強であるこのあたいが!」

 

うーん、なんだか罪悪感を感じるよ。

 

「ま、負けねーし! あたい負けてねーし!

 おいお前! 名前はなんて言うんだ!」

「え? 私ですか?」

「そうだよ! お前しかいないだろ! 馬鹿なのか!?」

「え、えっと、私はフィルって言います」

「フィルだな! 覚えたぞ! あたいはチルノ!

 絶対に最強のあたいがお前を倒すからな! 覚えてろよー!」

 

……逃げて行ってしまった。

 

「あ、待ってチルノちゃん!」

「これがルーミアが言ってたフィルって子か、すさまじいね」

「でも、かなり面白い子だし、今度また会いに来よう」

「そうだね、というか、チルノもああ言ってたし

 多分またここに来ることになると思うけど」

「リグル、あまり乗り気じゃないね」

「最悪、一緒に戦えとか言われそうだしね

 もう強い相手と戦うのはこりごりだ…

 それに紅魔館にろくな思い出もないし…

 ここの吸血鬼とメイドにぼこぼこにされたから」

「まぁ、咲夜さんとお嬢様は容赦ありませんからね」

「うぅ、お、思い出すだけでも寒気が…早く逃げよ」

 

……なんだったんだろうか。

 

「まぁ、色々とありましたが、フィルさん、おかえりなさい」

「あ、はい、ただいま戻りました!」


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