東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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本気の戦い

「一応、色々と噂は聞いてるぜ、結構出来るようになったらしいな」

「あ、はい、おかげさまで弾幕も撃てるようになりました」

「じゃあ、今回は容赦無しだぜ、ま、今回はスペルカードルールとは

 ちょっと感覚が違うだろうがな、接近戦ありのスペルカードルール。

 で、弾が当ったらアウトじゃなく、体力が限界になったらアウト

 完全なデスマッチ方式だぜ、死ぬかもな」

「恐いんですけど…あ、それと1つ良いですか?」

「なんだぜ?」

「さっき、霊夢さんがしてた技は? あれはスペルカードですか?」

 

ちょっと霊夢さんのスペルカードとは違うような気がした。

カード宣言もしてなかったし、いきなりのカウンター攻撃だ。

イマイチよく分からない…どういうことなんだろう。

 

「あぁ、あれはお前も持ってるボールあるだろう?」

「はい、この気味の悪いボールですよね」

「ま、まぁ、現に気味が悪いんだが、とりあえずそのボールを持ってると

 オカルトって言うのが使えるんだ、先に言っておくと

 私は厠の花子さんだったか、そんな感じだぜ」

「で、私は隙間女だっけ、これは正直紫でしょうと思うけどね

 まぁ、使えるというか具現化させるって方がそれっぽいけどね」

「へぇ、どうやってそう言うの分かるんですか? 感覚?」

「使ったら分かるだろ」

「はぁ…でも、やっぱり怪しくないですか?」

「まぁ、怪しいのは間違いないが使える物は使うだけだぜ」

「その内、使ったら死ぬとかそんな感じの道具を使って死にそうよね、あなた」

「恐い事言うなよ、ま、問題無いがな」

「問題しか無いと思うんですが…」

「とにかくだ、勝負だぜ! 因みに使い方はちょっと集中すればだな」

「へぇ、やってみます」

「私としてはやって欲しくないが、まぁ、戦いはフェアが1番だからな

 じゃ、始めようぜ」

「はい、負けませんよ!」

「ふふ、楽しませろよ!」

 

魔理沙さんとの戦い、前に1度やったけど、あの時は一方的だった。

こっちには攻撃手段は無いから、ただ避ける事しか出来なかったけど

今回は違うはず…弾幕も撃てるようになったし、接近戦もありなら

私にも勝機はあるはずだ!

 

「行きますよ!」

 

私は地面を蹴り、魔理沙さんの方へ突撃した。

一気に間合いを詰めて接近戦に持ち込む。

そうすれば私にも勝算はある!

得意分野で勝負しないと、魔理沙さんには勝てない!

 

「うぉ!」

「その箒、随分と頑丈ね」

 

私の爪を防いだ箒を見て、霊夢さんが少し笑いながら質問をする。

 

「ま、まぁ、魔法で強化してるし…てかきついぜ!」

「そりゃそうでしょうね、フィルが相手なんだから」

「まぁ、確かにこいつの身体能力凄いけどな」

「あ!」

 

私の爪から逃げ出した魔理沙さんは空に避難した。

 

「飛べないフィルから逃げる為に飛んだわね、卑怯よね」

「そりゃ得意な場所で勝負するだろ! お前だって夜戦う事多いんじゃ無いか?」

「私は結構夜寝てるわよ」

「吸血鬼なのにか!?」

「凄く今更よ、それ」

「まぁ、そうだけど」

 

お嬢様とフランお嬢様は昼間に活動すること多いからなぁ…

吸血鬼なのに生活リズムが真逆だし。

 

「と、とにかくだ、私は勝つために立ち回らせて貰うぜ

 正直、ここで負けたとあっちゃ、ちょっと恥ずかしいしな

 と言う訳で食らいやがれ!」恋符「マスタースパーク」

 

飛び上がった魔理沙さんはそのままスペルカードを宣言し

こちらに向かって攻撃を仕掛けてくる。

 

「ひゃぁあ!」

 

うぅ! とんでもなく大きなレーザーだ、よ、避けるの大変…

 

「うわぁ!」

「こりゃ、フィルにはキツいかしらね」

「擦っても無いけど?」

「避けるのは凄く上手いからね、フィル」

「攻撃もするようになったし、いつの間に成長したの?」

「さぁ、八雲紫に攫われて帰ってきた後からかしら

 確かチルノと戦ってたときも攻撃してたしね」

「ふーん、殆ど攻撃をしなかったフィルがね…何があったのかしら」

 

あのレーザーを避け続けるのは結構難しい。

上空からの一方的な攻撃、このままだとジリ貧だ…

だったらどうする? どうすればこの状況を切り抜けられる?

お嬢様に命令された以上、この勝負は負けられない。

だから、勝つ方法を考えないと…そうだ。

あの高さなら、私のジャンプでも届くはず。

何処かで隙を見て…あのレーザーのギリギリを飛ぶんだ。

魔理沙さんに見えにくいように、レーザーの下方部を擦るように飛ベば!

 

「おりゃぁ!」

「今だ!」

 

私はレーザーの下方部を擦るように飛ぶ事に成功した。

ちょっと失敗したらレーザーに直撃するような行動。

だけど、こうしないと魔理沙さんに勝つことは出来ない。

だから、賭けに出て、辛うじて成功した。

 

「げ! そんなのありかよ!」

「近付きましたよ、魔理沙さん!」拘束「小さな鎖」

 

スペルカードを宣言し、鎖が現われ、魔理沙さんを拘束した。

 

「何! お前のスペルカードってこれか!? 動けないぜ!」

「私のスペルカードはこれだけじゃありません、この後の追撃!」

「うぐ!」

 

一気に接近し、魔理沙さんへ攻撃を仕掛けた。

完全に拘束されている魔理沙さんは回避するどころか

動くことも出来ず、私の一撃を完全に喰らった。

そのまま魔理沙さんは箒から落下し、地面に打ち付けられる。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「い、いてて…ゆ、油断してたぜ…まさかこんなスペカを使ってくるとは…」

「あの高さから落下して無傷なんですね」

「この程度で怪我するわけ無いだろ」

「自分の身長2人分以上の高さだったんですけど」

「その程度で怪我するわけ無いだろ」

 

…あぁ、これが幻想郷か、流石だなぁ。

 

「と言うか、そこ疑問に思うわけ? 

 あなただってそれ位何食わぬ顔で飛ぶくせに」

「…あ、そうでしたね」

「何処か抜けてるわね、あなたって」

「まぁ、フィルだしね」

「それで納得できるのが不思議でならないわ」「貶されてますよね、それ」

「安心しなさい、馬鹿にしてるだけだから」

「貶してるって事じゃないですか!?」

「全く、あ、オカルトボール無くなった」

「え? おぉ!」

 

て、手元にあるボールが増えてる……何これ恐い!

気付いたら手元にあるんだ…瞬間移動?

 

「うぅ、気味の悪いボールが3つに…」

「間違いなくこれからも増えるぜ、ボールを持ってる奴は

 基本例外なくボールを回収しようとするからな

 それを3つとか、最優先襲撃対象だぜ」

「敵が増えるだけじゃ無いですか!」

「7つ集めたら願いが叶うぜ!」

「こんな気味の悪いボールを7つ集めても願いが叶うとは思えません!

 爆発しそう…もしくは勝手に動き出して色々壊したり!

 なんか持ってる対象を吸収してくるとか、影の自分を出してくるとか!

 そして、その影の自分に負けたら吸収されちゃうとかってなりそうです!」

「そんな訳無いだろ…」

「でもまぁ、確かに願いが叶うってのも変な噂よね

 噂は基本それっぽい物にしか立たないからね。

 でも、このボールは全くそれっぽく無いわ

 フィルが言ったようなマイナス方面の噂が立つのが自然。

 だけど、願いが叶うという明るい噂…奇妙な物よね」

「例えば、何処かの誰かがこのボールを利用するために流した噂とかですかね。

 7つ集めたら、その噂を流した人に利となって、こっちが不利益を被るとか。

 都市伝説が具現化するなら、都市伝説関連とか

 あ、例えば月の都を見てみたい人がそれを具現化させるために流した噂とか」

「なんで月の都? そんな物を見たい奴が幻想郷にいるはずないわ

 あんな面倒くさいところ…と言うか、フィルは知ってたのね」

「え? あ、はい、噂には聞きました、凄く綺麗な都市って話を」

「はぁ? そんな訳無いでしょ、確かに見た目は綺麗でも

 住んでる奴らは自分勝手で自己中心的な面倒な連中ばかりよ

 自分達が1番強く、1番偉いとか思ってそうだし、なんか嫌よ」

「え? なんで住んでる人をレミリアお嬢様が知ってるんですか!?」

「行ったことあるのよ」

「そ、そうなんですか!? う、兎! 兎いました! お餅突いてました!?」

「……えっと、そうね、あなたの夢を壊さないためにも何も言わないわ」

「え、えぇ!? 教えてくださいよ! 兎天国ですよね!?」

「いやまぁ、兎…ぽい…奴らはいたわ」

「え? 兎の後、なんて言いました?」

「何も言ってないわ、まぁ、そんな奴らがいたわね、うん」

 

へぇ、やっぱりお月様に兎さんがいるんだ! 可愛いのかな?

なでなでしたいなぁ…えへへ、1度でも良いから

兎に囲まれてもふもふしながらすごいしたいなぁ。

 

「あぁ、もしかして月の都を具現化させるために流した噂って考えたの」

「はい! 兎天国を満喫したいです!」

「あなたが思ったからね」

「はい!」

「…忠告しておくけど、ろくな場所じゃ無いわよ」

「え? でも、兎さんが」

「…良い場所があるから、教えてあげるわ

 兎天国を満喫したいなら、そこでしなさい」

「え!? 何処ですか!?」

「迷いの竹林って場所があってね」


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