東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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3つの気配

霊夢さんに迷いの竹林という場所を教えて貰い

いざ行こうと思ったとき…手元にある石を見て

自分がなんでここに来たかという理由を思い出した。

そう言えば、この石の正体を探してたんだった。

 

「えっと、霊夢さん、迷いの竹林って所に行く前に

 1つ気になってたことがあるんで聞きたいです」

「何?」

「ここ、紫さん、藍さん、橙さんいますよね?」

「なんでそう思うの?」

「え? いやだって、3つの気配を感じますし」

「気配?」

 

私は結構気配を察する能力が高い。

だから、間違いないと思う。

博麗神社には私達以外にも3つの気配を感じる。

 

「そんな筈は無いと思うのだけど…」

「え? 1つはあっちから…多分、蔵みたいな建物の中から感じます。

 もうひとつは博麗神社の内部から、もうひとつは上空から感じますよ?」

「はぁ? そんなの何処にもいないわよ」

「そんなはずは…ちょっと神社の中を」

「分かったわよ」

 

私は霊夢さんに断りを入れ、神社内部を探してみたけど

気配が近い場所を探しても、誰もいなかった。

 

「あ、あれ? おかしいな…確かにここに」

「なんで神社の御神体付近に気配を感じてるのよ」

「で、でも…確かにここから…と言うか、御神体?

 少し禍々しい気配なんですけど」

「はぁ!? 不吉な事言うんじゃ無いわよ!」

「痛い!」

 

う、うぅ、殴られた、うん、そうだよね、御神体付近に禍々しい気配って

神聖な神社でそんな事言ったら怒られるよね…でも、結構禍々しい気がする。

強いて言うなら、地底で感じた幽霊…怨霊の気配に近い気がする。

でも、怨霊よりも禍々しく強い気配…一体何処から?

幽霊が近付ける場所じゃない筈…霊夢さんがいるのに。

でも、本当に幽霊だったら恐いなぁ…

 

「えっと、じゃ、じゃあ、今度は蔵の中を見たいです」

「はいはい、構わないわよ」

 

今度は蔵の中、ここで感じる気配は何処か無機質、こいしさんの気配に似ている。

人っぽい気配なんだけど、そうじゃ無い…何があるのかな?

でも、少なくともこの気配が紫さん達の気配じゃないのは分かる。

 

「えっと…あ」

 

蔵の物をどかしながら進んでいくと、その奥にボロボロの女の人が寝ていた。

し、死んでる!? いや、でも、血は出てないし、腐臭もない。

死んでる…とは思えない。

でもその瞳にはまるで生気が無い…無機質な目。

 

「霊夢さん…こ、この緑色の髪の毛の人は誰ですか?

 服装が何だかメイド服っぽいですけど」

「どれどれ? ん、んー? なんだっけこれ」

「人…じゃないのは分かるんですけど」

「……あ、あぁ! 思い出したわ! 結構前に貰って

 使う事も無くなったからぶち込んでたのよ!」

「え!?」

「確か…何処かの世界から来た教授? だったかしら

 赤い奴から貰ったのよ、いやぁ、完全に忘れてたわ」

「え? も、貰ったってどう言う…」

「まぁ、人形ね、勝手に動いてくれる人形、ロボットとか言ってたかしら」

「え、えぇ!?」

「まだ動くのかしら…確かここを押したら動くとか」

「……起動シーケンス開始」

「うわ! 喋った!」

「……異常状態確認…状態イエロー、各所損傷、起動に問題はありません」

「え? 喋るんだ、え? こんな状態で動けるの?」

「自己修復機能作動…完了まで10分」

「よく分からない言葉ばかり言うわね、まぁ、待ってみましょうか」

「は、はい…」

 

 

 

えっと、そろそろ10分かな、何だか変な音がするなぁ。

 

「…自己修復完了、再度起動スキャン……オールグリーン、起動可能です」

「長いわね」

「は、はい」

「起動シーケンス再開…AI作動、マスター認証システム再起動…

 マスター名、再確認、マスター名、博麗霊夢様」

「あ、私の名前」

「起動シーケンス最終段階到達…る~こと、起動します」

 

あ、さっきまで生気の欠片も無かった目に光りが!

 

「おぉ! 起き上がったわね!」

「……おはようございます、マスター」

「はぁ、動くのね」

「マスター、る~こと、起動しました、ご命令を」

「ふーん、なる程ね、動くわけか」

「命令がない場合、最も新しい命令である境内の掃除を行ないます」

「ま、まぁ、それで良いわ、ボロボロだから頼むわよ」

「了解しました」

 

えっと、るーことさんはそう言って、蔵から出て

境内の掃除を始めた…何だか背中のマークが恐いなぁ。

何処かで見たような…あ、思い出した、お空さんだ。

だ、大丈夫なのかな、あれ…放射線とか出てないの?

いや待て、冷静に考えれば放射線なんて出てたら

私達もう遅いよね、ここ、あのるーことさんがずっと寝てた場所だし。

 

「ま、ありがとうね、フィル、お陰でお掃除ロボが復活したわ」

「あ、あはは…」

「でも、あなたの気配を察する力が正確だとすれば

 あなたが御神体の前で感じた気配は一体…」

「なんか新しいのが来たわね、何あれ、咲夜の真似事?」

「いや、真似事じゃないわよ、古いロボット」

「ロボット? また変な物を」

「さてさて、それよりも新しい疑問の確認が先ね」

 

霊夢さんは御神体の前に移動した。

さっきよりもあの禍々しい気配は悪化している。

気配だけで感じるなら…今にも何かが具現化しそうな、そんな気配。

 

「…もしかしてと考えていたけど、可能性は十分あるわね

 全く博麗神社は居候ばかりで困るわよ」

「え?」

「出て来なさい、悪霊」

「やれやれ、ようやく私の存在に気づいたか、霊夢」

 

霊夢さんの声に応えるように出て来たのは

緑色のロングヘアーで、目の色も緑色

下半身は幽霊のように足が無く透けていて、何だか先端が尖っていた。

そして、背中にはは羽が生えてい黒い羽が生えている。

服装は黄色い太陽が描かれた青い三角帽を被り、全体的に青色の装飾がされた服装で

青いマントを羽織っていた。

一目見ただけで分かった、この人は幽霊だ!

それだけじゃない…この人、絶対に強い!

どことなく紫さんにも似た威圧感を感じる…一体…何!?


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