東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

83 / 245
大食いパーティー!

今日は皆で外で遊ぶ事になった。

4人で遊んで、少しお腹が空いてきた。

 

「うーん、そろそろお昼ね」

「そうだね、私もお腹が空いてきたよ。

 菫子ちゃんは何処で食べたい?」

「むむ! ちょっと待った! 何、ちゃんって!」

「ふふん、私とフィルは親友になったのよ」

「なぁ! わ、私を差し置いて姉さん!」

「ねぇ、フィル、私の事もメリーちゃんって呼んで良いのよ?」

「あぁ! どさくさに紛れてメリーまで!」

「いやだってね、メリーって呼んで貰えるのは嬉しいけど

 さん付けは、やっぱり距離を感じて」

「あ、だったら私も蓮子ちゃんって呼んでよ!」

「い、良いんですか?」

「敬語も無し無し! 普通に話して!」

「え、えっと、わ、分かったよ」

 

い、いきなり呼び方を変えるのって、少し躊躇うなぁ。

でも、そう呼んで欲しいと言われるなら、そう呼ぶ。

私も…友達として対等にお話しをしたかったし。

 

「それじゃあ、呼び方も決ったところで

 本題ね、昼ご飯を何処で食べる?」

「うーん…でも、普通にご飯と言っても味気ないし」

「ご飯は味があるわよ」

「そう言う意味じゃ無いわよ!」

「まぁ、確かにただお昼を食べるだけじゃね。

 折角こんなに集まったのに普通じゃね」

「じゃあ、何をするの?」

「ふふふ、この場所、覚えない?」

「……」

 

私は外の世界に詳しくは無いけど、蓮子ちゃん達は知ってるみたいだった。

 

「ま、まさか…蓮子」

「そう! ここは大食いの店があるのよ! しかも、日本最大のね!」

「大食い?」

「ちょ、ちょっと待って! それはかなりお金も掛かるし!」

「食べきれば無料で賞金3万円よ!」

「食べきれなかったら1万円よ!?」

「大丈夫よ、食べれば良いし!」

「無理だって! 噂だけど5kgもあるんじゃ!?」

「だ、大丈夫だって! それじゃあ、行きましょう!」

「待って待って! 女の子4人でやるイベントじゃ無いわよ!」

 

メリーさんは必死に蓮子さんを止めようとしているけど

蓮子さんは一切聞く耳を持っていなかった。

 

「ちょ、ちょっと、菫子さん、蓮子を!」

「え? 良いじゃん、面白そうだし!」

「そう言えばこの2人姉妹だったわ!

 じゃ、じゃあ、フィル! 止めて!」

「……じゅるり」

「ちょっと! その涎何!?」

 

沢山食べられるみたいだし…今まで我慢してた分! 沢山食べるぞぉ!

 

「まともなのは私だけ!?」

「よーし、行くぞぉ!」

 

私達は蓮子ちゃんに連れられて、そのお店があると言う場所に移動した。

私と菫子ちゃんはノリノリだったけど、メリーちゃんはあまり乗り気では無いみたい。

 

「うぅ、1万円は流石にキツいわ…蓮子、あなたのおごりよね」

「ま、まぁ、任せてよ」

「…割り勘しましょうね、蓮子、2万円ずつで良いかしら」

「無理だと分かっているなら食べに行かなきゃ良いのに」

「いや! ネタに向って全力疾走するのが私のセオリーよ!」

「くだらない全力疾走は止めなさい!」

 

必死に止めようとしているけど、やっぱり止まることは無かった。

私達は早速席に着いて、4人ともその大盛りを頼んだ。

 

「…え、えっと…正気ですか?」

「だ、大丈夫です!」

「お金…ありますか?」

「は、はい!」

「えっと…後悔は」

「しません!」

「…では、お待ちください、席は別々にした方が良いと思います」

「は、はい!」

 

どんなに大きな料理が出てくるんだろうなぁ。

ふふふ、今までずっと食べるのを我慢してたから楽しみだよ!

でも、料理が来るのには結構時間が掛かった。

 

「な、何であの子、あんなにワクワクしてるのかしら」

「涎凄いわね、確かに大食いだけど」

 

まだかなまだかな、早く来ないかなぁ。

お~腹が減ったよ~、沢山食べたい~

 

「さて、えっと、はい!」

「おぉおおお!」

 

大きなサンドイッチだぁ! ポテトが沢山乗ってる!

お肉も野菜も沢山あるし! 美味しそう!

 

「うげぇ! この大きさは予想外!」

「絶対無理でしょ!」

「…2万円用意してて良かったわ」

「美味しそう!」

「え?」

「えっと、制限時間はありません、食べきることが出来れば賞金3万円で

 料金は無しです。しかし、食べきれなかった場合は1万円払っていただきます。

 因みに、今まで食べきった人は1人も居ません」

「おい、あの子達マジか」

「女の子に食える訳ねぇって」

「俺は半分も食えなかった…」

「それでは、始め!」

「いただきまぁす! あむ!」

 

美味しい! ポテトの塩気が丁度良いよ!

お肉と野菜もあるから、バランスも良いし!

 

「もぐもぐ、うまぁーい!」

「はぁ!? あの子食べるの早くない!?」

「ま! もう5分の1平らげてるけど!?」

「はむはむ、んー! デザートみたいなサンドイッチもあるんですね!」

「…か、顔色1つ変えてねぇ…」

「このお肉、味が丁度良いです! あ、こっちのお肉は味が違うんですね!

 沢山量がある分、飽きないように味も変えてるって事ですね!」

「え? あ、は、はい…」

「はむはむ、美味ーい! 今度はポテト!」

 

ふぅ、全部食べちゃった。

 

「……10分足らずで完食!?」

「美味しかったです! でも、物足りません!」

「はぁあ!?」

「…じゃ、じゃあ、私達の分…食べる?」

「え!? 良いの!? でも、まだ殆ど食べてないんじゃ?」

「だ、大丈夫よ、ほら、私、もう満腹だし」

「そうなんだ、分かった!」

 

うーん、全部食べちゃったよ、もう少しあっても良いなぁ。

 

「ごちそうさまでした」

「……ひ、1人でこの量を…」

「物足りませんでした!」

「どれだけ食べるのよ!」

「と、と言うか、家で食べてた分じゃ、絶対満腹になってないわよね」

「いや、私は出て来た物を食べたら満腹になるんだぁ」

「べ、便利な胃袋ね…」

「因みに、今回はリミッターを外したの、だから物足りない」

「…ま、まぁ、今はそれで我慢しなさい」

「分かってる」

「……えっと、この場合はどうなるのかしら」

「…じゅ、12万円…です」

「あ、ありがとうございます!」

 

美味しい物を沢山食べられたし、お金も貰えたし大満足!

 

「…えっと、その代わりに写真撮影とかをお願いします」

「あ、はい、分かりました」

 

それから数日後、あのお店がテレビで放映されていた。

テレビには沢山のお客さんが映っていて

皆があの大盛り料理を食べているところが放映されていた。

 

「あ、あんな華奢な女の子が食べられるならと頼みましたけど

 ま、全く食べられませんでした…」

「このHUXのお客さん達は全員、この大盛り料理に挑戦しています。

 この料理を食べる事が出来たのは1人だけという話です。

 その1人というのは、この女の子です。

 この子が初めて食べたときにその場に居合わせたという人の話によると

 同伴者の3人の分を顔色1つ食べずに食べたという話で」

 

……あれ? 私、実は凄いことしちゃったのかも。

 

「あれね、テレビはこれで持ち切りね、謎の大食いクイーン現るって」

「顔とかは見せないで欲しいと伝えてるから大丈夫だけどね」

「私、凄いことしちゃったんだなぁ」

「今更気付いたの? と言うか、その華奢な身体の何処にそんなに入るのよ」

「…分からない」

「そりゃそうだ」

 

あまり食べないようにしよう。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。