東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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幻想郷の観光

幻想郷巡り、久し振りに帰ってきたんだし、楽しもう!

 

「さて、とりあえずは何処に行きましょうか」

「何処が近いですかね?」

「そうですね…ここから近いのは…人里ですかね。

 ひとまずは人里を通り、博麗神社へ移動しましょうか」

「はい!」

「神社に向うなら、守矢神社で良いのでは?」

「それが、どうやら守矢の神々はフィルさんが苦手みたいで」

「うぅ、私、何か気に触ることをしましたかね…獣が苦手とかでしょうか」

「白狼天狗達を普通に招き入れてますし、その線は薄いかと」

「うーん」

 

はぁ、何か変な事したかな、普通に行っただけなんだけどなぁ…

 

「まぁ、この話は後として、人里に向いましょうか」

「はい」

「本当に行くんですか? 文さんは大丈夫でしょうけど

 私は白狼天狗、人里には」

「大丈夫よ、とりあえずフィルさんの知り合いと言う事で」

「え、えぇ…良いんですか?」

「大丈夫よ、フィルさんは人里にも通ってるから」

「お買い物とかでお世話になってます」

「きっと歓迎されますよ? 長らく姿を見せませんでしたしね」

「あはは、そうだったら嬉しいですね!」

「うぅ…妖怪と人間のなれ合いは」

「良いから、前時代的な考えだけでは将来性は無いわよ」

「うぅ…」

 

私達3人はそのまま人間の里にまで移動した。

人間の里、初めてここに来たときは、あまり良いイメージは無かったけど

慣れちゃったら、皆優しいし、本当に楽しい!

 

「さて、ここは案内するまでも無いとは思いますが

 折角来たのですし、私のイチオシを」

「うおぉおおお! 久し振りだね! カワイ子ちゃーん!」

「うわぁああ!」

「おやおや、知り合い…と言うのは間違いないとして

 あまり仲が良い様には思えませんね」

「う、ぼ、僕の道を阻もうとは…む! そこの白い髪の毛の子!

 何!? その子も耳と尻尾あんじゃん! 可愛いなぁ!

 もふもふさせて?」

「…例え人間だったとしても、私に触ろう物ならその首を」

「待った! こ、恐いなぁ、け、剣を抜こうとしないでって!

 はぁ、恐いなぁ…ちょっと触らせてと言っただけじゃ無いか

 別に減る物でも無いし、だから、少しくらい」

「容赦はしません」

「椛、恐いですよ、その目は」

「うへぇ…あ、因みに僕も半獣なんだよ? 分類的には仲間だし」

「そ、そうなんですか!? でも、耳も尻尾も!」

「いやぁ、私が獣になるのは満月の夜だけでね

 因みに僕は妖狐の半獣だよ、ほら」

 

英子さんが帽子を取ると、そこには本当に小さな耳が生えていた。

次に後ろを向き、スカートを少しだけ浮かして

小さな狐の尻尾を見せてくれた…後、やっぱりドロワースなんだ。

 

「…と言うか、なんでそんな話を今更?」

「実は話そうと思ってたんだ、親近感湧くかなって

 でもまぁ、残念な事に勢いのままで行動したら忘れてね

 でも、今回はゾッとした経験から思いだしたんだ」

 

へ、へぇ、気分屋なんだ…それに、私と同じ半獣が他にも居たなんて。

それも、この人間の里の中に。

 

「あやや、その話で思い出しましたよ、確か英子さんでしたね。

 人里に住む半獣、慧音さんの様に良い評判をかなり聞きます。

 確かお店を経営してましたね、お店の名前はペット屋、もふもっふ、でしたっけ」

「おぉ、よく知ってるね、その通りだよ、僕はペット屋さんを経営しててね

 特に猫が大好きだよ! 普段はツンツンするくせに甘えてくるところが可愛いね!

 ツンツンして手から逃げ出したのに、少ししたら膝の上に乗ってきたりね!

 いやぁ、可愛いなぁ! 猫! 犬も好きだけど、やっぱり猫だね!」

「…狐、なんですよね?」

「狐はペットに出来ないし、そもそも同胞だし~」

「そして、満月の夜、妖怪が力を得る時期。

 その時、あなたは人里の警備を担当していると聞きます」

「そうだよ」

「そして、満月の夜と普段では性格が全く違うとか」

「あはは、いやぁ、別人って位に違うなぁ、あ、今日は満月だし

 なんなら見てみる? 僕のお狐モード!」

「いや、良いです」

「なんで!?」

「夜までお世話になるわけには行きませんし」

「いやいや! 一見の価値あるよ!? 月一だよ!?

 お狐モードの僕は自分で言うのもあれだけど風格あるよ!?」

「でも、まだ夜まで時間ありますよね? 今は確か3時

 今の時期、月が出るのは6時位ですし、3時間も」

「さ、3時間くらいは…ほら、観光で潰れるって!

 ぼ、僕も案内するからさ!」

「……」

「その疑うような目は何さ! 全く…良いでしょう!

 そこまで僕に期待するなら期待に応えて、てりゃ!」

「にゃぁああ!」

「はへ? あぶぁああ!」

「フー! フー!」

 

あ! ま、またやってしまった!

 

「……し、尻尾で叩き付けて地面にヒビを入れるとは」

「え? あの尻尾恐いんですけど…」

「し、尻尾にこれほどの威力が…」

「あやや、いやぁ、ただ者では無いとは分かってましたが

 まさかここまでとは思いませんでした」

「うぅ、怪我はありませんか?」

「だ、大丈夫さ…これでも僕は半獣、ちょっとやそっとじゃね」

「まぁ、折角ですしこの方にも付いてきて貰いましょう。

 一応は信頼のある方ですしね」

「いきなり尻尾を触らせろと言う人に信頼…ですか?

 あげく、不意打ちでフィルさんの尻尾を触って返り討ちに遭ったのに」

「いやぁ、フィルさんは異常なくらいに警戒心が強いはずなのに

 面と向っていると隙だらけだというのが分かりましたよ」

「その隙を突いても当たり前の様に返り討ちだったんだけどなぁ」

「うぅ…」

「まぁ良いでしょう、さて、では行きましょうか。

 まずは私のイチオシですね、付いてきてください」

「はい」

 

私達は英子さんも巻き込み、4人での移動をした。

人間の里で4人の妖怪が徒党を組んで歩く。

それでも人里の人間達は恐怖はしていない。

 

「さてフィルさん」

「はい」

「あなたは本は好きですか?」

「えっと、好きか嫌いかと言えば…好きですかね。

 と言っても、暇だったら読む程度なのであまりですけど」

「それでも、暇つぶしに本を選ぶという事は好きなんですね」

 

うーん、確かに菫子ちゃんの部屋では暇だったから分厚い本を読んだけど

あれも適当に流して読んだだけだから、本気で読んだわけじゃ無いし…

 

「さて、そんなあなたに良い場所をご案内しましょう。

 こちらです、この鈴奈庵、貸本屋さんですよ。

 紅魔館の大図書館があるあなたには物足りない点もあるかも知れません。

 しかしながら、この鈴奈庵にて取り扱われている本は非常に興味深いでしょう」

「貸本屋さん…」

「文さん、私、身体を動かすのは好きですが、本を読むのは苦手なんですけど」

「それだから万年下っ端なのよ」

「ぐふ!」

「僕もあまり本は得意じゃ無いけど、良い機会かな

 可愛いペットの本とかあったら面白そうだし」

「まぁ、ひとまずはどうぞ、私は一応顔見知りですし大丈夫ですよ」

 

うーん、こんな場所があるなんて、初めて知ったよ。


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