東方半獣録   作:幻想郷のオリオン座

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兎との対決

月へ向って飛び出したのは良いけど、どう考えても飛んで月に行くのは無謀かな。

別の方法を考えないと…そう言えば、この状態でどんな風に動けるのかな。

とりあえず、地面を蹴ってみて…あ、動ける…緊急回避に使えるかも。

すごいなぁ! 私、空を飛んでる! 今まで飛べなかったのに!

あはは、楽しい! こんなの初めて!

 

「ん? おっと」

 

飛んでいると色々な弾幕が飛んで来た。

今まで感じた事が無いほどに激しいの攻撃。

でも、私は空を飛んでる、避けるのは本当に簡単だった。

当らない、擦りもしない、飛んで来る妖精を落としながらすすむ。

でも、妖精のようで妖精では無かった気がする。

何処かこう…機械の様なそんな手応え。

 

「…そこ!」

 

一気に距離を詰めて、その妖精の様な機械の様な物の胸を貫く。

やっぱり手応えは固い…生き物の硬さでは無い。

きっとこれは機械だ。

 

「邪魔しなくても撃つぞ!

 『こちら清蘭、好戦的な地上人と接触した』『これから浄化活動に入る』

「…誰ですか?」

「残念だったな、穢れ多き地上人よ。もうすぐ地上(このち)は浄化されるのだ!」

 

よくは分からないけど…敵なのかな、兎さんみたいだけど。

何処か鈴仙さんみたいな…やっぱり兎だよね、これ。

見た目は違うけど…青っぽい髪に、赤い眼と長いウサ耳がある。

兎の耳はやっぱり同じなんだ…、でも、ウサ耳には番号のような黄色いタグが付いている。

髪は二つのお下げにしてる。

髪と同じく青っぽい色のワンピースで、下に透けドロワーズを穿いている。

いや、透けてるってスカートの意味が…いや、ドロワーズがあるから良いのかな?

足元は白のフリルソックスで、靴は履いていない。

そう言えば、てゐさんも履いてなかったっけ…裸足だったけど。

そして! 白いウサ尻尾! もふもふしたい…あ、いや、それどころじゃ無かった。

この人はどう考えても敵! 手に身の丈ほどのデカい杵を持っているし

先端には赤紫色の染みが付いている。

見た目は血に見えるけど、血の臭いがしないから血では無いのかな。

でも、私達に露骨な敵対心を持ってた…つまり、この人は私の敵。

殺意も感じるし、本気だというのは間違いない。

幸運なのか不運なのか、この人が最初に遭遇したのは私だった。

 

「そこ!」

「うわ!」

 

攻撃…やっぱり敵だ、とにかくやるしかない!

 

「なら! こっちも容赦しませんよ!」

「な!」

 

私は手に持っていた妖精機械をあの兎さんに向って投げた。

 

「じょ、冗談でしょ!? 何て怪力! 正面から戦ったら不味い!

 ここは…って!」

「はぁ!」

「うわぁ!」

 

一気に間合いを詰めて回し蹴りを仕掛けたけど、杵で防がれた。

杵は折れ、そのまま地上に落下する。

 

「嘘!」

「もう一度!」

「うわぁ!」

 

避けられたけど、そのまま距離を詰めてもう一度仕掛ける!

 

「今度は!」

「くぅ!」

 

今は地上、体術は十分に発揮できる。

 

「ちょ、だ、弾幕は!」

「これですか?」

「うわ!」

 

彼女の弾幕が出てくる、私はその弾幕の隙間を縫い

一気に間合いを詰めて弾幕を放った。

彼女はギリギリで避けたけど、結構体勢を崩している。

 

「そこ!」

 

そのまま地面を蹴り、更に飛び上がる。

そして、彼女の背後に回り、弾幕を放った。

 

「うわぁああ!」

 

その弾幕を避ける事は出来ず、彼女は私の弾幕を全て受ける。

 

「く、こ、こんなに地上人が強いなんて、聞いてな」

「うりゃぁ!」

「うわぁ!」

 

爪を振ることで、弾幕を展開した。

強く振ると、弾幕はより速く射出されることにこの時気付いた。

そうか、だから色々と派手な行動をしての弾幕が多かったんだ。

考えてみれば当たり前だけど、この攻撃は結構強いはず!

 

「うぅ! この!」凶弾「スピードストライク」

 

周囲に広がる弾幕、散弾という感じなのかな。

だけど…これ位なら!

 

「くぅ! あ、当らない!」

「そこ!」

「くぅ…」

 

周囲に広がり、僅かな隙間のみが避ける道。

弾の1発1発は大きく、避けるのは中々に難しい。

でも、隙間さえ分かれば、避けるのが難しい弾幕じゃない!

 

「うりゃぁ!」

「うぅ!」

 

私は弾幕を避けながら、一気に接近する。

滑空を行なったり、身体を捻らし、弾幕を避けながら弾幕を放つ。

距離も近く、避けるのが難しかったのか、全ての弾に当る。

 

「うぅ…強い…でも!」 弾符「鷹は撃ち抜いた」

 

自分の周囲に大玉の弾幕を展開してきた。

私は急いでその場から距離を取っての攻撃に切り替えた。

彼女の弾幕は最初、大粒の弾幕が自信の周りを展開させ

その弾が一定の距離離れると弾け、小さな弾が飛んでくる物だった。

小粒の弾幕が私の周りに展開し、逃げ道を塞ぐ。

 

「これで!」

 

そして、彼女は私に向って弾が高密度で展開し

後方へ行くにつれて広がっていく、ショットガン弾幕だった。

その初速は速く、大粒弾幕の中に隠れての攻撃だったから見えにくい。

だけど、見えた瞬間隙間を把握して、そこに入り込んで。

 

「はぁ!?」

「うりゃぁあ!」

「うぅ!」

 

ショットガン弾幕の中を通り抜ける、結構危ない真似をした。

だけど、その行動で向こうは動揺する、その瞬間に下降して

真下からの攻撃を仕掛ける。

この弾幕は全方向に展開されているけど、下方には移動で来た。

ショットガンは私を狙って飛んで来る、上下に動いて振っていけば容易に避けられる。

 

「うぅ!」

「どうです!」

「く、ま、まだまだ! え、援軍が来れば勝てる!」銃符「ルナティックガン」

 

周囲を中粒の弾幕で制限し、ショットガン弾幕を乱射する攻撃。

動きを制限して、その広範囲に及ぶショットガン弾幕で貫こうという感じかな。

だけど、制限をしている弾幕の隙間を縫って、ゆっくりと接近する。

 

「うぅ!」

 

その間に弾幕でダメージを稼いで、ゆっくりと相手を追い込む。

そして、一瞬見えた弾幕の隙間、その隙間を狙って一気に飛び出す。

 

「は!」

「うりゃぁあ!」

「あぅ!」

 

私は隙間を縫い、一気に彼女に接近し、彼女膝打ちを叩き込む。

何とか反応して防いだけど、威力は十分。

 

「う、うぅ…」

 

弾幕が止まった…

 

「ど、どうして援軍が来ないのよぉ! てか、地上人強いじゃん!

 ど、どう考えても本気じゃ無かった…あんなに動けるなら

 もっと強力なのが来てもおかしくなかったのに…」

「えっと、命までは取りませんよ…被害も無いみたいですし

 あ、でも、月に行く方法が知りたいです」

「お、教えますから殺さないでー!」

「殺しませんよ! 今は!」

「ひぃ!」

「あ、そう言う意味じゃ無いですよ? 

 他の人に害を及ぼしたらどうなるか分からないってだけで」

「な、何もしませんよぉー! 勘弁してくださいぃ!」

 

こ、怖がられちゃった…

でも、何とか色々と教えて貰って山の湖に前線基地があると教えて貰った。


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