エロゲー世界に神様転生したのに負け組じゃないの?   作:のぶほし

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第16話 アドルフの発明品、アイドルスカウター

 

エミール・デーニッツの過激なライブパフォーマンスが始った。

ステージ衣装はスクール水着に上着だけのセーラ服を羽織っている。

 

もしもシューペアに前世の記憶が残っていれば、

「戦国ランスの柚美じゃないか!」と叫んだだろう。

 

舞台の上で恥ずかしがりながら腰ふりダンスをする

デーニッツに有権者(観客)からは歓声と罵声が飛ぶ。

 

きたーー! もっとやれー! もっと脱げー! 

 

デーニッツちゃん、つるんつるん! ありがたや~。

 

R-18でやれよ! ひっこめー! アウトだー!

 

水着だから恥ずかしくないもん! 水着はセーフ!

 

デーニッツちゃん、エロいよ! ロリフェイス最高!

 

見ちゃダメよ! フェスには子供もいるんだぞ!

 

ちっぱい! ちっぱい! ふぅ。 なめたい!

 

「あれさ。警備員(運営)に追い出されないのか?」

 

「8341プロは孫請けとはいえ歓喜力行旅団(893プロ)の系列です。

 運営のお気に入りだから目こぼしがあるんでしょうねー。

 炎上芸の一つとして認めているってことでしょうか」

 

賛否両論の過激なパフォーマンスをまとめて“炎上芸”と言う。

炎上商法は敵も作るが、有権者(ファン)の注目をより集めることができる。

芸能や政治の業界で今や一般的となりつつあるプロモーションの手法だ。

VRユーチューバー“炎上芸人”エンゼルフレンチ・リヒト候補は、

この炎上芸で多くのキッズの支持を集めて人気芸人となり成り上がった。

 

「そういえばエロ写真者のときにも思ったけど、

 選挙ポスター《グラビア》の水着ってどこまで許されてんの?」

 

「そうですねー。最後はファンシズム運営本部(692プロ)の判断ですし、

 ……個々の判断も写真家(創作者)によって様々です。

 私なら手ぶらに紐パン水着までなら『水着です』って主張しますよ♪」

 

「手ぶらに紐パンで水着とはいったい……うごご」

 

「日本帝国の漫画雑誌『週刊飛翔』に過激なお色気が描かれるご時世です!

 とらぶるを恐れたら創作者は何も描けなくなりますよー」

 

アマゾンのアステカソフトを通じて日本帝国-HENTAI JAPAN-の漫画雑誌などが、

欧州星海域でも気軽に手に入るようになった。もちろん変態紳士向けの内容だ。

 

「ふう……健全だな」(賢者タイム)

 

「アイドルは事務所に無理やりさせられてるって感じですよねー」

 

「う~ん、ただ、それが羞恥心とかを生んでるとしたら……

 意外と計算されたプロデュースの一種なんじゃないか?」

 

「喜んで腰ふりダンスとかしてたら痴女アイドルですもんねー」

 

「政策は、原画至上主義(極右愛国)なのっ!?

 同じ“炎上芸”でもリヒト候補の原画至上主義と随分違うんだけど?」

 

「あー、彼女の場合は原画(R-18)至上主義ですね。

 その辺を説明しますと――」

 

極右愛国の原画至上主義は、国家による原画(言論)の統制を強め

二次創作(言論の自由)を許さないという政治的な主張をしている。

ここで問題になるのが大人向け(アダルト)の統制である。

一般的な極右愛国(原画至上)はアダルトには厳しい。

しかし原画(R-18)至上主義はアダルトに寛容な立場だ。

国家が二次創作(薄い本)を禁止する代案として、

公的に政府が大人向けのオカズを用意すると政策で主張している。

 

つまり彼女の炎上パフォーマンスは、ただのエロダンスではない。

身体を張った政策的な主張(ダンスパフォーマンス)なのだ。

 

「ピーピピピッ……あれで推定アイドル戦闘力は4800LPか」

 

「せっかく素材がキュートなのに勿体ないはね。

 私がPだったら違ったプロデュースをするわよ」

 

「レーティアさん、ゲッベルスさん!

 会場の下見は終わったんですか?」

 

「ええ、明日のライブは万全よ」

 

「レーティア、その電脳メガネは何だ?」

 

何故かレーティアはモノクル(片目)のメガネをしていた。

耳あての部分には電脳機器が装着されている。

 

「ああ、これは天才の私が発明したアイドルスカウターだ」

 

「アイドルスカウター!?」

 

「ああ、エーファ。大航海《でらべっぴん》にある

 彼女のデータを調べて教えてくれないか?」

 

【エミール・デーニッツ】

 

イメージレベル:Lv6(要注目アイドル)

ランク:小選挙第XXX区、当選

所属:8341プロ所属アイドル候補

分類:一極集中型《スペシャル》

属性:天才肌《キュート》

 

Visual:B- 過激なビジュアルパフォーマンスが売り

Dance:C+ トークは苦手だが、過激なダンス活動に要注目

Vocal:C+ 歌はイマイチ。所属事務所の政策を評価

 

推定アイドル戦闘力:4400LP

 

[エルによるコメント]

ビジュアルはキュートだが身体は貧弱。それを炎上パフォーマンスで補う。

公開討論会を見るとトークは苦手だが、過激な活動をダンスとして評価した。

性格はアイドル向きではないだろうが所属事務所の後押しに期待の要注目だ。

グラビアに続き、より過激なイメージビデオの販売に期待が高まっている。

 

「誤差は400LPか統計の偏差範囲だと言えるが……むむむ」

 

「なあ、レーティア。アイドルスカウターについて教えてくれないか?

 まさか、推定アイドル戦闘力が計測できるのか。俺も詳しく知りたいぞ」

 

「あ、馬鹿シューペアっ!」 

 

「なにっ! シューペアは私の発明に興味があるのか!?

 これは淫子仮説《きゅうべえ》理論を応用して作った発明品だ。

 まずはアイドルの芸能評論やファンの声をビッグデータとして集めて

 形態素解析して――」

 

「あーあ、シューペアさん地雷ですよ」

 

「数値化については大航海に芸能評論家のエルが、

 LPの算出方法を論文として掲載していたから参考にした。

 アイドルが纏うオーラを淫子として計測して――」

 

しまった!芸術発明家VTVNに師事するレーティアは発明オタクだ。

こうなると止まらない。ゲッベルスもエーファも知らんぷりだ。

 

「やはり合理主義者《デジタル打ち》としては、

 レッスンによる成長が数値化できないのは許せなかったんだ。

 このアイドルスカウターがあれば根性論や精神論のような

 非科学的《オカルト》なトレーニングをこの世から一層できる!」

 

「それどころか私はレーティアさんの発明って

 審査員の在り方そのものを変えるような気がしますー」

 

「それは難しい所だな。推定アイドル戦闘力(LP)は目安だ。

 ファンが百人いれば、アイドルの評価なんて百通りある。

 審査員は多くのファンが納得のいく評価を専門家として、

 それぞれの基準で行っているに過ぎないんだ」

 

「ビジュアル重視の審査員もいれば、

 ボーカル重視、ダンス重視の審査もいるわね」

 

「そう。アイドルスカウターはあくまでエルの基準を元にしたものだ。

 まあ統計的なデータを元に算出した値だから理解は得られやすいと思うが」

 

「なるほどー。でもイメージレベルやLPはほぼ業界標準ですからね。

 そのアイドルスカウターって私にも作ってもらえますか?」

 

「あら? エーファは私と同じで機械なんか頼らずに

 アイドルを自分の目で判断するタイプだと思ってたわ」

 

「いえ、アイドルファンの友達にプレゼントしようかと。

 私もプロの写真家ですから、ゲッベルさんと同じです。

 機械の評価値に頼り過ぎると、自分の判断力が鈍りそうで」

 

「なあ、レーティア。それは量産可能な発明なのか?」

 

「量産は可能だが今は試作の段階だな。

 難しいのがオーラを計測する人工知能AIの部分で――」

 

「ああ、わかった。情報分野は後で協力するから俺にも作ってくれよ!」

 

「なにそれ、貴方プロデューサーなのに機械なんかに頼るわけ?」

 

「政策担当プロデューサーは政策に応じた楽曲制作が仕事だ。

 残念ながら俺にアイドルを見る目が無いって言うのがよく分かったさ。

 そーいうのはゲッベルスやエーファに任せる」

 

「それって開き直りじゃない!

 まあ人を見る目がないのに知ったかぶりされるよりマシかしら」

 

「でもアイドルスカウターがあれば、

 シューペアさんでもライバルアイドル候補者の

 客観的な力量を測ることができるようになりますよー!」

 

「そうだな。天才の私にとっては玩具みたいな発明だ。

 一点ものではなく、量産も視野に入れようじゃないか」

 

「あ、皆さんいよいよ。

 本日のラストBグループ本命のライブが始まりますよー」

 

「リーベ・フェアビンドゥング候補ね」

 

「話題のトップアイドル候補者という奴か……ピーピピピッ」

 

「VRユーチューバー四天王筆頭の戦闘力は気になるな」

 

リーベ候補者が舞台に上がると大勢の支持者(ファン)が、

メインステージへと押し寄せてくる。

 

「ニワカのアイドル候補者は相手にならんよ!」

 

ワー! ワー! リーベちゃん! 親分! ワー!

 

「ピートゥルン……推定アイドル戦闘力は7000LPだ」

 

「なにそれ! レーティアの大航海の評価より低いじゃない」

 

「ニワカじゃないけどハニワだね。見掛け倒し?」

 

「いえ、皆さん芸能人の本気はこれからですよ?」

 

会場にリーベ候補者の持ち歌の曲が流れ始める……。

 

「さあ、お魅せしよう……四天王の打ちしゅじを!」

 

「あ、噛んだ」「噛みましたね」

 

「政策は反ハニワ主義に――」

 

「財政政策は美乳主義、社会保障は無課金主義、

 後はプロダクション主義みたいですねー」

 

「音楽性(政策)のいくつかは6923プロと反対だな」

 

「6923プロの経営理念(党の思想)は、

 反無課金主義とアイドル至上主義ですからね」

 

「総統選挙ってアイドル選挙なのに、

 アイドル至上主義って意外と少ないわよね」

 

「殆どがプロダクション主義ですね。

 ファン主義も根強いけどねー」

 

これらはアイドル総統選挙後の権力の在り方の議論だ。

アイドル主義はアイドル自身に権力を与える考え。

 

主義の前に優先や至上がつくことで権力範囲が変わる。

アイドル至上主義となればアイドル総統による独裁だ。

 

プロダクション主義は、

アイドルが所属する政党団体が政治の舵取りをする。

まあアイドル総統なんてお飾りなんだから当然だろう。

例えばイタリンの黒ビキニ党はプロダクション主義だ。

アイドル党首の「ムッチーニ」はお飾りで、

実質的には「ぴえとろ」が政党団体を動かしている。

 

ファン主義となると権力はファン(有権者)が持つ。

アイドル総統が政策を実行するたびにファンの判断を仰ぐことになる。

ガメリカ民は我らが至高のファン優先主義(民主主義)だと言うだろう。

ソビエト民は我らが究極のファン至上主義(共有主義)だと言うだろう。

 

アイドル至上主義を極右とするなら、

ファン至上主義は極左になるだろう。

 

「ま、戦闘力7000LPだと中選挙区は当選できても……」

 

「何を言ってるんですかシューペアさん、

 会場が温まって来てるのが感じ取れませんか?」

 

「たしかにリーベ候補が熱を、オーラを発してるのが凝視えるわ」

 

「そのオーラっていうのが分からないんだけど……」

 

「ゲッベルスさんは凝ができるんですねー。念の素質が十分みたい」

 

「凝? 念?」

 

「いえ、こちらの話です」

 

「ピーピピピッ……馬鹿な……LPがどんどん上がっていく……」

 

「そうですよー。アイドルが舞台に上がれば輝くのは当然です」

 

「なるほど。たしかにレーティアも普段の恰好と

 ステージの上ではアイドルとしての輝きが違うわね」

 

「レーティア、リービ候補の推定アイドル戦闘力は?」

 

「……8000の200,300,400,500……9200……まだまだ上がる……くっ、計測不能だ」

 

「計測不能?」

 

「試作品なんだ。一万を超えるLPになると淫子が揺らいで人工知能AIが働かないんだ」

 

「やっぱり大選挙区レベルとなると推定LPは一万を超えるのか」

 

「少し浮かれてたわ。余裕があったから発明の時間を確保してたけど、

 レッスン内容を見直す必要があるかもしれないわね」

 

「残業レッスンでもするんですか?」

 

「ヘス代表と違ってゲッベルスって考え方がブラックよりだよな」

 

「辞めてくれ! 就業時間内のレッスンで最大の成果を出す!

 ヘス代表だって創作の時間はちゃんと確保しろって言ってくれてるだろ。

 ほら、明日のライブでは天才の私が一万の壁を軽く超えて見せるさ!」

 

「そうよね。レーティアなら何一つ問題ないわよね!」

 

「相変わらずゲッベルスは手のひら返しが早いなー」「流石ですよねー」

 

ロックフェス一日目終了。




デーニッツの扱いが酷い? 下げて上げます。

以前登場したガメリカ人エロカメラマンの
デビッド・キャヌホークは原作ゲーム「大帝国」に出てきます。

R-18えろかみ大帝国のゲッベルスの幕間が期待とは違ったorz
いや手に汗握るバトルだったのですが、それはコッチでやるんで……。
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