エロゲー世界に神様転生したのに負け組じゃないの?   作:のぶほし

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第14回の東方Project人気投票の期間に、
動画『【東方シリーズ人気投票】 東方READY!!』を視聴しながら書きました。

BGM『READY!!』(THE IDOLM@STER アニメ前期OP)


第17話 私設親衛隊SSによるライブコール!

第17話 アドルフ私設親衛隊SSによるライブコール!

 

――――南ブロック全党大会二日目、第15週――――

 

中選挙区の四大ロックフェス(全党大会)は野外フェスだ。

有権者はメインステージ、サブステージなどを行き来しながら

各アイドル候補者のライブ(演説)を楽しむ。

 

飲食屋台が立ち並ぶ場外のショップ・エリアでは、

芸能事務所(政党団体)がオフィシャルショップを出展している。

 

そこで新曲(マニフェスト)やグラビア(選挙ポスター)を

有権者に配布し、支持者(党員)になってもらうのだ。

 

少数精鋭の6923プロは、ひとみ芸能事務所(1103プロ)に

選挙グッズの販売を外部委託している。

 

ホテルではなく会場の一番近くあるキャンプサイトで寝泊まりする、

ロックフェスが大好きな政策通の有権者(ファン)が何百万人といるほどだ。

 

世代交代型宇宙船を模した移動式テント内は、

バーやミニステージが階段状に並ぶ。

 

毎夜国内外の選りすぐられた交響楽団と政治DJによる

最高のパフォーマンスが繰り広げられ総統選挙を盛り上げている。

 

ロマンティックなピンク色の空間に包まれた

広いダンスフロアでは「エロゲー」世界っぽい光景が繰り広げられてた。

 

健全なシューペアは宇宙港近くのビジネスホテルで寝泊まりしていたが――。

 

 

「いよいよ、レーティアさんの出番ですねー」

 

エーファが小型端末でタイムテーブルを念のため確認する。

レーティアの出番は二日目の午前、ライブ会場はメインステージだ。

 

周りを林に囲まれた野外ステージは、室内コンサート会場と違って

何だかワクワクするような自由な空気に包まれた独特の雰囲気を持っている。

日没後にはミラーボールによるライトアップや

3DマッピングやAR(拡張現実)の技術を盛り込んだ空間演出が行われる。

 

アドルフはアイドル候補者としてVisual(外見)の魅力だけで小選挙区を突破した。

だから多くの有権者たちは未知数なVocal(政策)やDance(手腕)を評価していない。

 

だからこそロックフェス(全党大会)での顔見世はチャンスだ!

レーティア・アドルフは可愛いだけのお飾りアイドルではない。

 

ロックなボーカリスト(好戦的な政策通)であることが、

これから有権者の目の前で明らかになるだろう。

 

三( ゚∀゚)ワーワー 三( ゚∀゚)ワイワイ 三( ゚∀゚)ワーワー

 

ゲッベルスが準備した6923プロのプロモーション映像が会場に流れる。

 

「さて、どうやら会場も温まってきたようだね」

 

( ̄◇ ̄;)エッ ( ̄◇ ̄;)ダレ? ( ̄◇ ̄;)アイドルトハチガウミタイ

 

「私はドクツ第三プロダクションという政党団体の代表、

 ヘルマン・ヘスだ」

 

三( ゚∀゚)CMデミタコトアル 三( ゚∀゚)マホウショウジョノ スカウトマンダ

 

「オジャルマル共和国は

 ワルプルギスの夜(世界恐慌の不景気)に支配されている。

 それが……不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、

 そういう災いの種を世界にもたらしている――」

 

総統選挙で何よりも有権者が注目しているのは、

ワルプルギスの夜をどうするかという

景気刺激策(財政政策)や雇用対策(社会保障)だろう。

 

巨乳主義、貧乳主義、課金主義、無課金主義を

選挙公約として各アイドル候補者が掲げているのはこのためだ。

 

「会場にお集まりの有権者の皆様に、

 是非とも見て頂きたいアイドル候補がいる」

 

ウォー (丿 ̄ο ̄)丿 ハヤクダセー (丿 ̄ο ̄)丿 ワーワー (丿 ̄ο ̄)丿 

 

「それでは紹介しよう!

 世界を変える魔法少女(アイドル候補者)のレーティア・アドルフ君だ!」

 

アドルフの2ndリリース曲『READY!!』のイントロが会場に流れる。

 

「アイドル候補者のレーティア・アドルフだ。

 ワルプルギスの夜は私が必ず退治する。

 その為にはドクツ民《ファンシスト》の団結が必要だ」

 

アドルフの政治思想は原画理想主義《大ドクツ主義》だ。

その点では保守候補のマインシュタイン国防軍大将に近い。

 

私生児として生まれたアドルフは家族愛に恵まれていたとは言えない。

父も母も平凡な市民だった。娘の天性の才など理解できなかった。

母は娘を愛していたが、父は娘を気味悪がった。

10代前半で家を出たアドルフはJC発明家として収入を得て、

自ら力だけで帝国美術アカデミーの席を勝ち取ったのだ。

 

だからだろう、人一番、理想の家庭(ドクツ)に憧れを抱いている。

だからこそ、今のオジャルマル共和国体制が許せないでいた。

 

「私たちならやればできる! ドクツが世界で一番だ!」

 

ドクツ民が団結して、総統選挙で最高で最強のアイドルを選ぼう。

 

巨大な敵、ワルプルギスの夜を退治するためには、

「アイドル至上主義」(独裁政治)による強権が必要だと訴える。

 

今日のステージは、新しいドクツのスタートとして歴史に残るだろう。

凡庸なシューペアでさえ、そう感じるほどの熱気をアドルフは発していた。

 

「願いは叶うって、私は信じている!

 さあ一緒に踏み出そう! 最初の一歩を!」

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!

 

会場から大きな声援が上がる。

 

6923プロの党の思想(経営理念)は「魔法少女による世界革命」だ。

世界を変える魔法少女《アルティメットアイドル》が運命(原作)を変える。

 

「ジーク・ハイルッ! ハイルッ! アドルフッ!」

 

「ジーク・ハイルッ! ハイルッ! アドルフッ!」

 

お揃いのオタ衣装で統一された非公式ファンクラブ親衛隊SSのメンバーが、

オタ芸と共にサイリウムを振り、曲に合わせてコールを発する。

 

シューペアは頼まれていたアイドルスカウターでの計測さえ忘れて魅入る。

計測するまでもない推定アイドル戦闘力は10000LP以上、計測不能だ。

 

「絶対に私がNo1のアイドル総統だ!」

 

「「ジーク・ハイル!! ハイル・アドルフ!!」」

 

(ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ- (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-

 

「さあ一緒に、歌って、踊ろう!

 一つ一つの出会いが、ドクツの新たな夢と希望に繋がっている!!」

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!

 

「私が立候補するのはグループAだ。

 四大討論会-グランドスラム-TOP×TOPの党首討論に

 同じグループAの本命である、

 国防軍大将マインシュタイン候補を相手として指名したい!

 前大戦の英雄よ! 私の挑戦を是非とも受けて欲しい!!」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

 

グループAはマインシュタイン候補者の安全区だと思われていた。

しかし、この日のレーティア・アドルフの立候補表明により、

南ブロック屈指の死のグループ(激戦区)として大きな注目を浴びる。

 

この話を聞いたマインシュタインは「よろしい、本懐である」とだけ答えた。

 

 

――――演説後、メインステージ候補者控室――――

 

「お疲れ様、レーティア。最高の演説(ライブ)だったわよ♪」

 

演説を終えた後、控室で伸びをするアドルフにゲッベルスが労いの声をかける。

 

「なあ、ゲッベルス。歌ってた時のアレ、合いの手はコールであってるか?」

 

「そうよ。演説(ライブ)中の声かけ(コール)を野次と言って嫌う人もいるけど、

 お堅いコンサート(党大会)とは違って、四大ロックフェスのような

 自由な雰囲気の野外フェスなんかではライブコールは一般的な文化なのよ」

 

「やけに統制が取れてたけどゲッベルスや6923プロで何かやったのか?」

 

「いえ、何もやってないわ。

 非公式ファンクラブの親衛隊SSが自主的にやってくれたみたい」

 

「そうなのか。すごいな……」

 

「ええ、新曲が発表されたすぐに有志によるコールガイドが、

 非公式ファンサイトに掲載されたの。

 今日のために親衛隊SSも事前に随分と練習してたみたいだし、

 印刷したコール本を会場で無料配布してたわ」

 

「非公式ファンクラブって代表者とかいるのか?」

 

「興味あるの?」

 

「いや、お礼くらいした方が良いかなって」

 

「分かったわ。

 アイドル候補者が特定のファンを贔屓するのは問題になるから

 事務所の方で何ができるか考えておくわ」

 

「ん。そうなのか、よろしく頼む」

 

アドルフとゲッベルスが二人で言葉を交わしていると、

二人の褐色少女が近づいてくる。胸部は共に慎ましい。

控室に居ると言うことはアイドルとプロデューサーなのだろう。

 

「ワタし、パルぷナ・カらード……といいマス」

 

茶色のエイリス風のステージ衣装を来たアイドル候補者が、

拙いドクツ語でアドルフに話しかけてくる。

清楚で物静かな大人しい印象を受ける。

 

「初めまして、芸能プロダクション東インド会社の

 社長秘書サフラン・ヴェーダです。

 この娘、パルプナの専属プロデューサーでもあります」

 

秘書を名乗る褐色肌の少女は活発な印象よりも

他人を値踏みするような冷静な目からクールな印象を受ける。

ベルリン星域では珍しいインドカレー風のスーツスタイルだ。

 

「東インド会社と言えば、1107 (いい女)プロね」

 

「あら? ご存知でしたか。

 1107プロは新興の芸能事務所なんですが……」

 

「あれだけ資金営業(プロモーション)を行っておいてよく言うわね。

 資金力だけなら業界大手クラスに匹敵。

 エイリス帝国からどれだけワイロ(政治献金)を貰っているのやら……」

 

「芸能プロダクションを利用した

 エイリス帝国からの内政干渉か……」

 

「たしかに東インド会社はエイリス資本の株式会社です。

 しかしエイリス帝国の王室や議会とは一切関係ありません」

 

「じゃあ、何で総統選挙に候補者を擁立したのよ?」

 

「……しゅ、趣味です……(小声)」

 

「はい? はっきりと言いなさいよ」

 

「……クリオネ・アルメイン社長の趣味です!

 私は反対だったんですよ! それなのに社長が……」

 

「そういえば小選挙区で落選したクリオネちゃんって(察し)」

 

「どこの芸能事務所もプロデューサーは大変なんだな」

 

「あ、アノう……ワタしも……おハナシして、いいデスカ?」

 

「そうね。用事があったんでしょ? 何の話かしら?」

 

「パルプナ、ドクツ語が苦手ならエイリス語でも構わないぞ」

 

「ありがとうございます。

 アドルフさん、貴方はアイドルのフレンズですか?」

 

「はい?」 「フレンズって何よ?」




原作ゲーム「大帝国」のエイリス植民地勢から
パルプナ・カラード、サフラン・ヴェーダ、クリオネ・アルメインが登場。

中選挙区は、大選挙区キャラの顔見世も兼ねてます。
民間ファンクラブの私設親衛隊SSも本格的に登場です。

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