エロゲー世界に神様転生したのに負け組じゃないの? 作:のぶほし
――――6923プロ会議室 1stリリース曲の選択、第03週――――
楽曲の選定は政策参謀とも言われる音楽プロデューサーの大切な仕事の一つだ。
曲作りを専門とする音楽プロデューサー(選挙コンサルタント)もいるが、
アイドルの曲は、所属事務所(政党団体)の党の思想(政策理念)を元に作られるのが一般的だ。
アイドル候補者も所属事務所(政党団体)を選ぶ際は経営方針(党の思想)が、
自らが望む理想のトップアイドル像に近いかどうかを参考にする。
とは言っても大手芸能事務所の力は個人の理想など捻じ曲げてしまうほどに強いが……。
ゲッペルスが6923プロを選択したのも、
経営方針が、レーティアの政策課題(アジェンダ)と親和性が高いと判断したからだろう。
レーティアの政策課題「世界改変によるドクツ民の救済」を実現するには、
アイドル総統には独裁的な権限が必要になる。それが「アイドル至上主義」だ。
また
ヘス代表の掲げる財政再建策「反無課金主義」は相性が良い。
「反共有主義」と「魔法少女による世界革命」については追々説明するとしよう。
国防省で航空参謀を目指していた俺は
レーティアの掲げる軍事政策はドクツのお家芸ともいえる
ヴェルサイユ条約によって軍備が制限されたオジャルマル共和国の国防軍は、
量的制約を補い、質的改善を進めるためには機動力が何より重要であると考えた。
この機動力重視の軍事教義(ドクトリン)こそが「電撃戦」なのだ。
お陰で空軍や海軍は陸軍派の国防軍に予算の大半が削られてしまい
前大戦の
共和国では宇宙空母の研究開発予算がおりず、新鋭艦建造は不可能だと言われている。
デビュー曲は自らの得意分野で勝負したいと思うのはプロデューサーの性だろう。
そこで幾つか用意した1stリリース曲の中で一番のオススメは、
軍事政策を得意とする俺が作詞した『恋の電撃戦~ブリッツクリーク~』だった――
はずなのだが……orz
「この
ヽ( ゚∀゚)ノ┌┛)`Д゚)・;'シューペア
ついに
ハイヒールにストッキング、這いつくばった角度から見える滑らかな脚線美。
いけない何かに目覚めてしまいそうだ。
いい胸元だけじゃなくって、いい太腿も持ってるじゃねえか。
あっ、もう少しで下着も……。
「早く起き上がりなさい、この変態がっ!」
ゲッペルス○(#゚Д゚)=( #)≡○)Д`)・∴'.
この作品は“健全”だからって遠慮なしに殴りやがって(#゚Д゚) ムカムカ
俺がその気になれば
あー、早くゲッペルスの幕間を書いてくれないかな(要望)
「作詞家が
「す、すいません……けど歌詞はちゃんとアイドルの政策課題から選んで……」
そうだゾ!本気で
「あのね。今の流行はビジュアルなのよ? どうしてボーカル(政策)を押し出したの。
しかも軍事政策(ドクトリン)なんて一般の有権者が興味を持たない
マニアックでマイナーなジャンル曲を持ち出してくるわけ?」
「ぐっ……」
確かに日常生活に直結する
デビュー曲からドクトリンを歌ったパンクロックなどを全面に押し出してしまったら
色物アイドル候補者のレッテルが
「そういう意味では
けど、これもビジュアルやダンスがボーカル(政策)に寄り過ぎてるのよね」
「だって音楽プロデューサーが歌詞に政策を込めるのは当たり前だろ?
レーティアは既に自らしっかり考え(政策)を持っているんだ。
レーティアの場合は、6923プロの経営方針(党の思想)との相性も良い。
「あー、もうアナタって頭でっかちね。
「じゃあゲッペルスはどんなデビュー曲が希望なんだよ」
「ボーカル(政策)なんてどーでもいいの。第一に重要なのはビジュアル(見た目)よ!
レーティアは小選挙区を勝ち抜くだけが目的じゃないの、目指すのは
デビュー曲で
デビューの瞬間にティンっていう直観を感じてもらえることが何よりも大切なの!」
「楽曲に足りないのはビジュアルの要素、表現力か……」
「そうよ。アナタの楽曲には
レーティアの持つ情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ……
そして何よりも
「そんな……」 _| ̄|○ il||li
「……ふむ、どうかね二人とも。
ここは一つ外部の音楽プロデューサーに作詞と作曲を依頼するというのは?」
「外部の
「そうだ。シューペア君の独り善がりも問題だが、
ゲッペルス君も少々アドルフ君に肩入れしすぎていて客観的な意見とは言えない。
ここは第三者の視点からアドルフ君の魅力を引き出して貰うのも手だと思うがね?」
「……なるほど。でも楽曲制作を依頼できるような音楽プロデューサーに伝手があるんですか?」
「アイドルを贔屓しているマネージャーの私が言っては何ですが、
レーティアの魅力を引き出すのは、そんじょそこらの作曲家では荷が重いと思います」
「実はね。
「えっ? ベルリンフィルの
「子供でも知ってる
「そうだ。彼はドクツ最高の天才と言われている人物だ。
それに『天才を知る者は天才である』という言葉もある。
アドルフ君の才能を量り、魅力を引き出す役目には最適だと思うが、どうかね?」
「しかしVTVN氏は総統選挙やポップアイドルに興味はなさそうですが?」
「そうね。かの
デビューもしてないアイドル候補者に楽曲を提供してくれるなんてありえるのかしら?」
「業界でベテランと呼ばれてる次女トレーナー君が紹介してくれたんだ。
何か考えがあってのことだろう。ダメ元でお願いしてみようじゃないか」
「「ヘス代表がそう仰られるなら――私たちに異存はありません」」
――――翌日、6923プロ会議室――――
「おはよう、諸君。さっそくVTVN氏から返答があった。
報酬は契約金としてローベル賞の賞金と同額をスペースユーロによる前払いで要求。
作曲を引き受けるかどうかは
「オジャルマルクが暴落中だからって、さすがにそれは……」
「そうね。いくら
「たしかに無茶な要求かもしれん。しかしVTVN氏にも言い分がある。
今まで数多くの芸能事務所(政党団体)から作曲の依頼を受けたらしいが、
お眼鏡に敵う適うアイドル候補者は一人もいなかったそうだ。
VTVN氏は多忙な芸術発明家いわゆるマルチクリエーターだ。
これ以上、クリエイティブでない仕事に煩わされたくないそうだ」
「そうなると問題はレーティアがVTVN氏に気に入られるかどうかか……」
「レーティアなら大丈夫よ! 問題はないわ」
「アドルフ君の才能ならVTVN氏と独占契約を結ぶことも可能だろう。
我々にはアドルフ君を世界を変える魔法少女《アイドルマスター》にする義務がある。
最高のカードが目の前にあるんだ。是非とも手中に入れたい」
「ヘス総統、契約金の方は大丈夫なんですか?」
「そのことだが、シューペア君にお願いがある。
契約金の用意は問題ないが、今後の
そこで資金を集める為に
「支援者に握手券(パーティー券)の購入を勧めてくれば宜しいんですね」
「アドルフ君は大事な
「わかりました」
「あと外国人が券を購入することに禁止規定はないが、
6923プロは総統選挙に対する他国からの干渉を良しとしていない。
「はいっ!」
「ゲッペルス君は、アドルフ君を連れてVTVN氏に会ってきて欲しい。
契約金はすぐにスペースユーロを現金で準備をしよう」
「私でよろしいのですか?」
「アドルフ君の専属マネージャーは君だ。
失敗を恐れず自信を持ってアイドル候補者を支えて欲しい。
勿論、任せた私も事務所の全力でバックアップする。
安心してくれたまえ」
「ありがとうございます。ヘス代表」